あらすじ
きちんと挨拶ができない、正しい敬語を話せない、路上や公園にゴミを平気で捨てる、満員電車の中で新聞を広げて読む――。そんな品のない人が増えてはいないだろうか。相対性理論を発見したことで一躍有名になったアメリカの物理学者・アインシュタインは、かつて日本人を評してこう言った。「日本人の素晴らしさは躾や心のやさしさにある」。1899年、新渡戸稲造博士は『武士道』を出版した。執筆の動機は、「『日本人の心に宿る伝統精神』を世界の人に理解してもらうことにあった」というが、博士は同書の中で、アインシュタインも愛したその精神をあますことなく紹介している。本書は、「日本人の素晴らしさは己を磨く『道徳』と『修身』である」と説く、『武士道』をわかりやすく解説したものである。「仁・義・礼・智・信」――。今、我々が失いつつある伝統精神を見直し、品格ある生き方を考える格好の書。
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Posted by ブクログ
この本の凄いところは、仏教や神道だけでなく、儒教との比較から武士道を論じていたり、勝海舟と福沢諭吉の確執の中から、やせ我慢の説の利点だけでなく欠点をも指摘し、しかし両者の生き方にはそれぞれの素晴らしさがあるという、いずれかに偏らない、新しい評価している点であろう。
Posted by ブクログ
岬龍一郎著。
新渡戸稲造の『武士道』を翻訳している人です。
1946年生まれ、早稲田大学卒、情報会社・出版社の役員を歴任。
退職後、著述業の傍ら、人材育成のために「人間経営塾」を全国13ヶ所で主宰。
というようなことをやっていらっしゃる方。
新渡戸稲造や内村鑑三など、江戸から明治にかけて
日本人が持っていた精神を明治時代に著した著者の本に、
「人は、日本人は、いかにあるべきか」ということを求め、現代において普及している。
本書も、同様。
本書は、特に新渡戸の『武士道』の解説本という位置付けに近い。
『武士道』のエッセンスをかいつまんで、分かりやすく、現代との対比などを交えて説明している。
個人的には、新渡戸の『武士道』を先に読んでいたので、
この本から読み取ったことはそれほど多くはなかった。
『武士道』はやや難解なので、読みづらい人にはこの本は読みやすいものと思われます。
個人的には、次の社会モデルを考えていく上で、非常に示唆に富む考え方であり、本であると思います。『武士道』も含めて。
ちなみに本書は1995年刊行のものを加筆・修正されて、
初版2006年6月。252ページ。