小幡績のレビュー一覧
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ネタバレ現時点で年金の運用構造とその課題を理解するために格好の書物である。
利回りについて割かれた分量は多いが、その分丁寧な説明で分かりやすい。
➡6章、8章は読むべきポイントが多い。
そして、話はガバナンスの話へと向かう。
著者自身がガバナンスを専門としており、ガバナンスの入門書としても通用する分かりやすい説明であった。
➡9章、12章が良い。
それ以外のポートフォリオの提言などは、アイディアの一つとしてはありかもしれないが、中身としては深まっていないように感じた。
外部からメディアなどが具体的ポートフォリオに口出しすべきでないと書きながら提言している形になっており、むしろポートフォリオの提言は -
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以前地方公務員の年金運用の仕事をしていたことがあり、年金運用のあり方についてはいろいろ思うところがあったので、GPIF改革について書かれたこの本には早速飛びつきました。
運用のプロというのは世の中に大勢いますが、プロでも通常の運用している額は数百億円程度で、兆円単位の金額を運用している人というのは、少なくとも日本にはあまりいません。そのことから、年金運用の改革については、専門家でもどうも実務的にちょっと的外れのように思われる意見を言う人が多いように思っていたのですが、この本の筆者は、数年にわたってGPIFのあり方検討会の委員や運用委員を務めておられたというだけあって、さすがによく研究されており -
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アベノミクスだ何だと言われてもてはやされている、現・安倍政権のリフレ政策に対して警鐘を鳴らしている本。リフレによる円安の進行が、結果的に国債の暴落を招き、日本経済が再起不能に陥るといったシナリオについて解説している。
まあ、安倍さんの言う3本の矢というのは分からないでもないが、自分はその3本の中では成長戦略というものが一番重要と思っているのだけど、残念ながらそれを具現化する方策がきちんと立てられているようには見えず、結局円安誘導で無理矢理数字をこねくり回して何となく景気が浮揚しているように見せているだけなのではないかというように見えてしまっている。その意味で、小幡さんのいうような展開になって -
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今経済論壇が活発だし、まぁ売れてるみたいだし、この版元のこのレーベルは「電子書籍の衝撃」で印象もよかったので読んでみた。
論旨は明確で読みやすい。センセーショナルなタイトルの割にはちゃんと建設的。この辺がディスカバーさんのバランス感覚かね。全体としてリフレ派への評価を「~だと思います」としていて、論証責任を放棄しているのは誠実ではないと思う。こういう感情っぽさを入れた方が受けるのかな。
たぶん産業戦略のビジョンがリフレ派と違うんだろうなぁ。新しい価値、新しい技術革新で攻めていかないといかんという主張は割と好きなのだけど、もう一冊くらいリフレ派の本を読んでから自分の主張を決める。 -
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イェール大学名誉教授の浜田さんの本「アメリカは日本経済の復活を知っている」
に続いてこの本を読んだ。
無知な私は浜田さんの本を読んだ時点では、
日銀が金融緩和すれば、円安になり、インフレになり、製造業が復活し、日本は全体として良くなるんだな
と完全にそう思っていた。
しかし、この本を読むと、書かれている内容が真っ向から対立していて、しかもものすごく説得力があり、今頭の中の整理がつかない状況だ。
確かに円安になれば輸出は良くなるのだろう。だが、円安とは、他の通過と比べて円の価値が下がることなので、海外とのやり取りが不安になる感じは前から感じていた。
リフレがいいのか、悪いのか、もしくはな -
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先日読んだイェール大学名誉教授の浜田宏一氏の『アメリカは日本経済の復活を知っている』では、日銀の金融政策でデフレ脱却、円高解消は出来ると書かれている。国債で大きな債務を抱えているが、同時に世界一の対外純資産を持っている世界一の債権国でもあり日本国民の将来の納税力があるため円の信頼はゆるぐことは無いと言っている。
一方この本の著者は、『リフレ』つまり『インフレを起こそうとすること』はまずいと主張する。金融政策だけではインフレは起こすことはできない。インフレが発生するためには強い需要が必要だが、所得が増えない状況では需要が増えずインフレは起きないという。円安輸入コスト高でインフレは起きるが、この -
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問題①お金はなぜ殖えるのか②経済はどうやって成長し続けるのか
③資本主義とは何か
著者によれば、①から③まで端的に同一かつシンプルで、「ねずみ講」であるという。
②について、資本が労働とともに生産プロセスに投下され、付加価値を生み出し、それが利益となり、資本の蓄積が進み、されに資本が生産力を高め、労働機会を生み、付加価値が増加していくという正のフィードバックが形成されることになる。するとどうなるか?、資本が実体経済から乖離して金融資本主義に変質していくことになるのである。というのも、世界経済における未開の地は減少していくのに対して、資本の膨張スピードが相対的に加速しているからである。資本