【感想・ネタバレ】成長戦略のまやかしのレビュー

あらすじ

大胆な金融緩和=「第一の矢」、機動的な財政出動=「第二の矢」に続いて、アベノミクスの本丸といわれる「第三の矢」=成長戦略が注目を浴びている。しかし著者はいう。成長戦略では、日本経済は絶対に成長できない。

ターゲティングポリシーはもはや機能しない、規制緩和は既存の経済構造を守る方策、過剰な設備投資減税はばらまきと同じ。立地戦略は理論的に破綻している――。本書が明らかにするのは、日本・世界経済の緻密な構造分析から導かれる、「成長戦略」それ自体の間違いだ。

すべての政策は「人」にある! いまこそ人と社会を有機的に循環させ、真の活力を生み出し日本を前進させる、ほんとうの成長戦略を語ろう。

【内容例】

・官僚は方程式を解いているだけ

・過当競争の是正は経済を殺す

・箱を捨てよ、人を出そう

・地方が東京を支え、日本を支える

・「円安=競争力」という昭和の発想

・私の「高専」政策

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この20年の間に日本経済から失われたのは、新しいものを生み出す力だ。
人が力をつけないといけない。新しい知識やイノベーションを生み出す力を持った人がその社会に溢れていることが、持続的経済成長の唯一の道なのだ。
人の成長なくして経済の成長なし。

まず人を育てよう。
第一に、自己投資だ。基礎的な能力は、学校教育や職業訓練などで高めることが必要だ。
第二に、実践的な人的資本への投資だ。勉強にならない仕事、自分が成長しない仕事では意味がない。

政策としては、初等教育の充実が最優先だ。学校強化する。手を軸に、基礎教育、実践的職業訓練の基礎となる教育、この2つを徹底的強化する。
具体的には各都道府県に高等専門学校を作ることだ。

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2014年01月22日

Posted by ブクログ

アベノミクスの本丸といわれる成長戦略では日本経済は成長できないと、きっぱりと論破していく、その論理構成が小気味よい。
例えば、
「規制緩和とは、規制が残ることである」
「ホンダはこれから需要が伸びない日本で設備投資の予定はない」
「余ったお金はモノにむかうのではなく、資産に向かう」
「円安は日本経済からの所得流失」
「経済がよくなれば株価は上がるが、逆は必ずしも成り立たない」等、納得の指摘が続く。
すべての基本は人にあるという結論は否定しないが、その部分にもう一歩具体性がないところが残念。

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2013年11月21日

Posted by ブクログ

 やたら断定口調である割には論理的な説明がほとんどなく、まったく説得力のない文章である。例えば特区についてその定義を明確にしないので、読者と認識がずれたまま議論が進んでいく。必ずしも特区=東京優遇ではないはずだ。また円安は輸出メーカーに値下げして増産する誘因を与えるから、明らかにプラスに作用する。著者は完成品以外のメーカーの経営事情をご存じない。材料・部品こそが日本の強みなのに。これ以外にも事実誤認、根拠を明示しない断定など数多く、勢いだけの机上の空論の印象が拭えない。
 ただ著者の思想に通底する「箱より人」の発想は素晴らしい。大企業の設備投資を助成するくらいなら、教育に投資すべきというのは正しい政策だ。ドイツのように大学と高等職業教育の2本立てにする提言もやってみる価値があるだろう。個人的には高等教育の学費を大幅に下げるか、学生に直接給付して家庭の経済状況に関係なく教育を受けられるようにするのが第一歩だと思う。
 そういう政策は支配者層の地位を危うくするから、今後も実現しそうにないけれども。

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2018年10月30日

Posted by ブクログ

現在行われているアベノミクスについての批判を述べている一冊。
社会資本整備への資産の投入や、一時的な規制緩和が長期的に負の遺産しか生み出さないことを的確に述べている。
企業は「箱」であり、その中の人材に投資するべきだという主張に共感を覚えます。

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2014年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

産業競争力強化法案の行方を考えるうえで参考になるかと思って読んでみた。反リフレ派なのでアベノミクスについては糞みそだが、産業競争力強化についても「意味がない」ばっさり。まあ、確かに既存の産業構造が変わらない限りは合理化にも限界があるというのは体感出来る感じだけれど。
企業への投資ではなく、人への投資が必要、という観点はよいと思うけれど、具体的な政策への言及がなかったのが残念。

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2013年11月03日

Posted by ブクログ

小幡氏は反リフレ派の代表、アベノミクス3本の矢をばさばさ切り捨てる。賛成する人からみれば良く言ったとなり、反対派からはぼろくそに言われる。そう言う本だ。

批判の向け先は例えば補助金や減税などで特定の企業を助ける事が上げられている。自動車などの製造業は消費立地に移ってきており、需要がない所に設備投資減税で誘致をするのは政府支出としては筋が悪いというのが論旨だ。エコポイントなどの補助金も同様で本来構造改革を進めるべき企業を延命させてしまった。

円安は雇用を増やさないと言うがこれはどうだろう。逆に円高で企業の業績が悪化すると雇用を減らす企業が増える事は容易に想像がつく。貿易赤字の状態では円安はコストプッシュ型インフレの原因になるので経済にマイナスと言うのはわかるのだが、これもインフレ歓迎のリフレ派からすると同じものの解釈が180度違う。黒田日銀の異次元な金融緩和で国債金利が上昇したから失敗だと言うのも似たような感じがする。リフレ派は同じ現象を成功の証拠と上げるのではないか?

金融緩和はインフレを起こす事ができないというのもはバブル期の話を思えば分からなくもない。株や不動産の資産インフレがおこり実体経済は良くならないと言う説だろう。一方のリフレ派は同じ現象に対し資産効果が実体経済に影響を与え景気が良くなると言う。これも程度問題のような気がするが。資産インフレはバブルのリスクを高めるので資産効果のメリットに見合ってるかどうかが問題だと思うが答えが出るのはだいぶ先かな。

個人的に面白いと思ったのは東京が魅力的なのは地方の多様性が集積しているからじゃないかと言う所。東京だけを発展させようとして地方の活力が落ちると結局東京が無個性化するんじゃないかとの意見です。たしかに地方がミニ東京化するのはあまり面白くない。

結局、成長戦略は人への投資だというのがほぼ唯一の提案なのだが、ではどうやって新しい産業を作るようなイノベーションが起こせるかと言うと小幡氏もわからないというのが答えなのでちょっと尻切れとんぼになってしまっている。

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2013年10月31日

Posted by ブクログ

成長戦略を書くのは官僚だと思っていたが、制約条件をふまえて記載するので、それのみでは成長するのは難しい理由をきちんと述べているんは好感が持てる。

しかし、企業ではなく人の成長に力を入れるべきだという理屈は理解できるが、企業にも文化があるのではないかと私は思うのだが。

数年後にもう一度読んで、アベノミクスへのこの本の評価と実際を検証しながら読んでみたい。

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2013年10月12日

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