西淑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
優しい…自分の子育ての一瞬一瞬をこんなに優しく、温かい言葉で切り取れてすごいと思った。挿絵も良く、本として素晴らしい。理系の研究者ならではの、斬新な視点というか、私の知識としてないものが多いので、切り口としてすごく新しい。研究者だけど、科学や数学の切り口を絶対とするでなく、そこからはみ出るものを切り取っているのが特によい。例えば、
柔軟な分数があっても良い、という話。ピザ8枚を4人で分けると、もいちいち厳密に計測するでなく楽しく喜びを分かち合う方が大事ということ。
時間や数の概念をもたないこどもの、時間の流れの感覚の違いを優しく大切にしている姿。
同じように数量感覚をもたないこどもの、味見 -
Posted by ブクログ
眠れない夜のための物語でした。本の装丁は、深い夜のイメージでした。静かな夜に、ページをめくるのがいいかもしれないと思いました。
眠れない夜は、クッキー缶を開ける。
眠れない夜は、ばけものになる。
眠れない夜は、ないと思っていた。
眠れない夜は、雨が降っている。
眠れない夜は、ここに来るといいですよ。
眠れない夜は、お腹のなかからやってきます。
眠れない夜は、おれのもの。
眠れない夜は、すぐそばに■■がきているのだと云う。
眠れない夜は、君の呼吸に耳をすます。
眠れない夜は、どうやって過ごしていただろう。
これらの9つの冒頭の言葉から、紡がれた短編集。6話目の『木守柿』と9話目の『寝息』、そ -
Posted by ブクログ
名言たくさんでガンガンメモりました!!引用されていた本がどれも読んだことのない本ばかりで、ただただ無知の知を感じさせられた…人生生涯勉強だなぁ。
p.36 知を蓄える。すると人は無意識に知において貧しい人を軽んじるようになる、とメーテルリンクは警告する。知だけではないのかもしれない。私たちは何かを必要以上に蓄え始めるとそれを持たざるものを軽んじるようになるのかもしれない。
メーテルリンクは、知に優れた人だった。それゆえに知の危険を深く自覚してもいた。彼はこの言葉を、他者に向けて書く前に、自らの胸に突きつけている。そうした姿勢が、この本を、世紀をこえて力あるものにしている。同じ作品で彼は、何