【感想・ネタバレ】自分の人生に出会うために必要ないくつかのことのレビュー

あらすじ

〈日経新聞で話題の連載「言葉のちから」待望の書籍化〉

古今東西の名著の中には、生きるための知恵、働くうえでのヒントが詰まっている。
NHK「100分de名著」でお馴染みの批評家による、自分の本当のおもいを見つけるための言葉。

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【目次】
この本の用い方──はじめに
1………言葉の重みを感じとる──神谷美恵子『生きがいについて』
2………事実と真実を感じわける──遠藤周作『イエスの生涯』『深い河』
3………沈黙の世界、沈黙のちから──武者小路実篤「沈黙の世界」
4………世界と向き合うための三つのおきて──柳宗悦「茶道を想う」とノヴァーリス「花粉」
5………叡知を宿した人々──ユングとメーテルリンク
6………語られざるおもい──司馬遼太郎と太宰治
7………美とは己に出会う扉である──岡本太郎のピカソ論
8………書くとは時に止まれと呼びかけることである──夏目漱石と鷲巣繁男
9………心だけでなく、情[こころ]を生きる──ピカート『沈黙の世界』
10……人生のモチーフ──小林秀雄『近代絵画』
11……書くとはおもいを手放すことである──高村光太郎と内村鑑三
12……人生はその人の前にだけ開かれた一すじの道である──アラン『幸福論』
13……経験とは自己に出会い直すことである──ヴェーユ『重力と恩寵』
14……ほんとうの私であるための根本原理──志村ふくみ『一色一生』
15……思考の力から思索のちからへ──ショーペンハウアーの読書論
16……観るとは観えつつあることである──今西錦司の自然観
17……本質を問う生き方──辰巳芳子さんとの対話と『二宮翁夜話』
18……ことばは発せられた場所に届く──河合隼雄と貝塚茂樹
19……賢者のあやまり──湯川秀樹『天才の世界』
20……三つの「しるし」を感じとる──吉田兼好『徒然草』
21……力の世界から、ちからの世界へ──吉本隆明『詩とはなにか』
22……書くことによって人は己れに出会う──ヴァレリーの『文学論』
23……念いを深める──ティク・ナット・ハン『沈黙』
24……運命に出会うために考えを「白く」する──高田博厚とロマン・ロラン
25……着手するという最大の困難──カール・ヒルティ『幸福論』
26……語り得ないこと──リルケ『若き詩人への手紙』
27……沈黙の意味──師・井上洋治と良寛
あとがき
ブックリスト

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Posted by ブクログ

今の自分に必要だと思うところから読み始めていいのだ、とはじめに断りがあった。そして、願うならば読み終わらないこと。私という読み手はそういうことができずに、順番に読み、あっという間に読み終えてしまった。
若松英輔さんの本を読んでいると、その時その時で気になる人が出てくる。今は神谷美恵子さんがその人のようだ。若松英輔さん月間と決めたが、神谷美恵子さんの本を、言葉を欲しているなぁと思いながら読み進める。来月は神谷美恵子さん月間かな。
私の読書は興味の趣くままに、なのであちらこちらに飛んでしまう。だから、じっくり読むということが苦手。それで1人の作家にじっくり向き合うことを目的に今月は若松英輔さんと決めた。ただ、後からまた読みたくなる、ふとしたときに読みたくなる。そんな本もある。この本もそんな本として、本棚に存在してくれるだろう。
おもう、という漢字。ねがう、という漢字が沢山あること。語源まで遡って、自身の感情にしっくりくる言葉を見つけること。そんな楽しみを教えてくれる。若松英輔さんの本を読むと、私の言葉の世界はどんどん広がっていく。だからこそ、じっくり時間をかけて読むことが求められているのだろうな。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

名言たくさんでガンガンメモりました!!引用されていた本がどれも読んだことのない本ばかりで、ただただ無知の知を感じさせられた…人生生涯勉強だなぁ。

p.36 知を蓄える。すると人は無意識に知において貧しい人を軽んじるようになる、とメーテルリンクは警告する。知だけではないのかもしれない。私たちは何かを必要以上に蓄え始めるとそれを持たざるものを軽んじるようになるのかもしれない。
メーテルリンクは、知に優れた人だった。それゆえに知の危険を深く自覚してもいた。彼はこの言葉を、他者に向けて書く前に、自らの胸に突きつけている。そうした姿勢が、この本を、世紀をこえて力あるものにしている。同じ作品で彼は、何かに対する蔑みは、私たちの幸福を脅かす、とも述べている。「叡知や幸福といっても、それが別の何かを蔑むことで成り立つものなら常に用心すべきだ」。
何かを知らないと損をする、といつしか私たちは思い込むようになった。メーテルリンクによると多くの知識は幸福を約束しない。真の幸福は、知る、知らないというのとは別な領域で実現されるらしい。それは達成し、獲得するというより、発見する何ものかなのかもしれない。
知は、遠くの世界まで見えるようにしてくれる。人類は今、ほかの惑星の様子さえ知り始めている。いっぽう叡知は、私たちのなかにもう一つの宇宙があることを告げ知らせている。

p.45 本がうまく読めなくなるときがある。書いてあることは理解も記憶もできるのだが、深いところまで言葉が入ってこない。そんなおもいがぬぐえなくなる。つまり、言葉は認知できても深く意味を認識できなくなるのである。
そんなときは絵を見に行くことにしている。すると、何の効用なのか読書のための調律が整う。絵画の色彩や構図によって心が整えられていく感覚がある。
絵画の恩恵に気が付いたのは、四半世紀ほど前のことだった。当時、私はまったく本が読めなくなっていた。買うものといえば本しかないような男が、本を手にしなくなっていた。
はじめは多忙を理由にしていたが、気が付いてみるとかつて本を手にするだけで感じられていた、ある手応えも消え去っていた。読書好きの人には伝わるのではないかと思うが、ある人たちは目だけでなく、手で本を選ぶ。本を手にしたとき、その内容を読まずとも自分との関係を鋭敏に感じとる。
この本は、今の自分に必要な何かを宿している。あるいは今、読まなくてもよい、しかしこの本が必要になるときが必ず来る。そんなおもいが内心から湧き上がるのである。だが、こうした感触がまったく失われていたのである。そうした本との関係が断絶することは、ほとんど生きがいを見失うような出来事だった。

p.86 人生が私たちに提示するのは結論ではなく、問いである。人間は、それにどう応じるのかが問われている。問いを解答のように受容するのでなく、真の意味でそれとたたかい、生そのものを新たに創造できるか否かにかかっている。
試練にあるとき人は、出会った言葉を握りしめてよい。大切な人からもらったお守りをそうするように、言葉の護符と呼ぶべきものを身に強く引き寄せることがあってよいのである。

p.92
「運」には「はこぶ」という意味がある。真の「運」が働くとき人は、進むべき場所へと導かれてもいるのではないだろうか。

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2024年07月12日

Posted by ブクログ

初めて随筆集というものを読みました。
全て違う人の本から引用し、書かれていたので、勉強になりました。

ブックリストにある本を見つけて読んで、深めていきたいと思います。

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2024年07月03日

Posted by ブクログ

1日1日大切に読ませて頂きました。今の自分にはすっと入って来ることもあればまだ難しいこともありましたが、時を経てまた読みたいと思います!ありがとうございます!

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

言葉選びが今の自分には難しいように感じた。けれど心に刺さるフレーズもあり、その部分は深く噛み締めて読ませていただきました。
「はじめに」で筆者が記しているように、用いる本。私の場合は手元に置くというより、数年後、歳を重ねてまた読んでみたいと思う本でした。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

『悲しみの秘儀』に感銘と衝撃を受けて以来、若松さんの本を読むのは背筋がピンと伸びる感覚になる。
どこまでも深い。本一冊としての重みだけでなく、言葉や表現一つ一つに質感があり、厳密だけど限りなく余地がある。
私がこの本を本当の意味で読むには、まだまだ何もかも未熟なのかもしれないと思わされた。いつかまた読み返したい。

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

言葉のちからをよく考えて、どの言葉を選ぶか、語彙力を増やして今後の人生をより豊かにしていきたいと思います。
「魂を顧みる」という感覚が素敵でした。

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2024年06月25日

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