ジョン・ハートのレビュー一覧
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前半部分は、ワークの辛さは伝わるけれど、とにかく読みにくかった。あまり先に進まずに、常にモノトーンの映像しか浮かばない状況に憂鬱な気分になりました。
それが後半ではみごとに一転。
彼の行動の一つ一つも登場人物との会話の一つ一つにも、全てのシーンに緊張感が走り、先が知りたくてたまらなくなりました。どんどんと加速していくスリリングな展開であれこれ想像する間もなかった。
最後にワークへの手紙の内容を読んで、泣きそうになっている自分に驚きました。気付かないうちに、好きなタイプではないワークへすっかり感情移入しきっていたのですね。
前半での読みにくさをきれいさっぱりと忘れさせられ、そしてその結末に驚かされる。。。面白かった。挫けなくてよかったとつくづく感じました。 -
Posted by ブクログ
正直評価に困る。上巻は星五つで傑作の予感すらあったのだが、下巻の後半から急降下。そんなこんなで諸々が相殺されて結局こういう評価に落ち着いたのだが…。
今回のテーマは親子ではなく兄弟。いつものハート節は鳴りを潜め、サスペンス色を前面に出したスピードある展開で一気に駆けて行く。端々でのざっくり感はあるものの、ハートのサスペンスもなかなか面白いなと後半に期待してると、急カーブで景色がガラッと変わってくる。
物語としては徐々に破綻してくるのだが、色んな不良箇所をごった煮して、家族というテーマで料理してしまう手腕はあざといのか鮮やかなのか、もう何が何だかよくわからない。ある程度の速度を保ちつつも、それぞれの立場から見た人生観は読み手に充分伝わってくると思う。
過去を乗り越える過程で得たものと失ったもの、そして忘れてきたもの──荒業的な伏線回収でも心に響く余韻は残る。ストーリーを貫く直線はそこに向かっていたんだなと、まあ何となく清清しい終焉ではあった。ハート作の特徴を踏まえた上で読んでほしい秀作。 -
Posted by ブクログ
双子の妹アリッサが行方不明になって1年。
少年ジョニーは探し続けている。
近くで捕らわれのまま生きていると信じて。
10歳ぐらいにしか見えない13歳の男の子の頑張りように応援せずにはいられません。
娘を一人にしたと妻に責められた父は出奔、母キャサリンは酒浸りとなり、言い寄ってきた金持ちの男ケンの言うなりに。
調査に当たった警官クライド・ハントもまた、人生を狂わせていた。
あまりののめり込みように半年で妻が去り、高校生の息子アレンとは上手くいかない。
同僚にも半ば引かれている有様だったが…
ここへ来て新たな展開が?
同じ学校の少女ティファニーが行方不明に。
事故現場に行き合ったジョニーは、倒れている男が死に際に「あの子を見つけた」というのを聞く。
たった一人の親友ジャックと共に懸命な探索を続けるジョニー。
スリリングで引き込まれます。 -
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「川は静かに流れ」「ラスト・チャイルド」が好評なジョン・ハートのデビュー作。
主人公は弁護士ジャクソン・ワーク・ピケンズ。
父親エズラは高名な弁護士でやり手だったが、成り上がりで品がなく、家では暴君。強烈な人間だった。
家で家族が口論中に、母親が転落死して1年。
父エズラは母の葬儀の後に行方不明になっていたが、とうとう遺体が発見される。
母の死に責任を感じての失踪という可能性もあったのだが、射殺されていたのだ。
知人に頼み込んで発見現場に入れて貰うワーク。
父と仲が悪かった妹のジーンがやったのではと悩む。
女性を蔑視する父親が原因で心を病んでいたジーンは、病院で知り合った女性アレックスと暮らしている。
母の死後は、兄に対しても心を閉ざしていた。
ワークは最愛の妹ジーンを守ろうと奔走するが、その行動で警察の反感を買う。
ワークの妻のバーバラは良家の出で美人だが、仲は冷え切っていた。
いぜんの恋人ヴァネッサは農場主。思い悩んで訪問し、17ヶ月ぶりの逢瀬を持つが、口論になってしまう。
その結果、自分自身を見つめ直すことにもなるのだが‥
さらに遺言で、莫大な遺産はほとんどワークが継ぐとわかり、今度はワーク自身に疑いが‥?!
予想を超えた莫大な遺産、そして遺言の奇矯さにも亡き父親の強烈さが出ています。
中盤のかなりの暗さが~ダイナミックに解決へ向かいます。
著者は1965年生まれ。様々な職を経験した後に2006年、作家デビュー。新人としては異例なセールスを記録。
弁護士だったがあまり性格に合わずに転職というあたりは、作者自身の経歴の反映も。 -
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ネタバレ故郷を追い出され逃げるようにニューヨークで暮らしてきたアダム。突然の旧友ダニーからの電話で助けを求められ、5年ぶりに故郷に帰ってきた。淡い期待と怒りを胸に。だが彼が直面したのは自分を人殺しとして扱う人々の冷たい視線、頑なな父、敵視する継母、機嫌の悪い恋人や幼馴染。さらに、アダムが再会した直後に幼馴染が何者かに暴行され、やがて殺人事件まで起きてしまう。そして彼を呼び出した当の友人は行方不明なままで…。年末年始にかけて良い作品に当たったなぁというのが読み終わった直後の感想。ストレートな感情表現がアメリカらしく、家族や恋人たちとの絆が中心に描かれている。「アメリカ探偵作家クラブ賞」受賞作品とのことだが、あまりミステリらしい謎解きは前面に出てこない。5年前から未解決なままの事件、ある人物の出生の秘密、母の自殺、いま新たに起こった殺人事件の真相など、解明すべき謎は数え上げるとたくさんあるのだが、いずれもが関係する人々の心の内面に深く起因しているため、人間模様を解きほぐしながら次第にわかっていくというスタイル。読みやすく解り易い話の展開で読者への間口を広いが、一方でミステリ色が薄いような若干肩すかしをくらうかもしれない。いずれにしても、徐々に解き明かされる真相、人間関係にいつの間にか物語に引き込まれる良作だ。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】5年前、アダムに何が起こったのかは過去の回想とともに次第に判明してくる。アダムの父が経営するレッドウォーター農場で少年が殺害されているのが発見され、継母がアダムの犯行だと法廷で主張した。殺人の濡れ衣を着せられた無実のアダム。判決は無罪となったが人々の疑惑は拭えず、アダムはこれ以上この土地に居た堪れない状況に追い込まれたのだった。この過去の事件をはじめ、幼馴染で妹的な存在のグレイスを襲った暴行事件、アダムを故郷に呼び戻したダニーの殺害を、警察の反感を買いながらも半ば自棄になって追いかけるアダムがこの作品の探偵役と言えよう。自分の目の前で母親に自殺されたトラウマを抱え、過去の事件では自分の無実より継母の証言を信じた父親に対して怒りと憎しみを抱きつつも、痛みを堪え少しずつ乗り越えていこうとする姿が印象的だ。子供が親を慕う気持ち、親が子を思う気持ちは一方で、少しよじれると縺れ歪み、嫉妬や憎悪、敵愾心の感情をもたらし、不幸を生んでしまう。暴行、殺人は決して許されることではないが、結末で明かされる意外な真犯人(たち)もこうした不幸の被害者といえるのかもしれない。諸悪の根源は父親ジェイコブの過去の過ちにあり、流産を何度も経験し心身ともに疲れ果てた母親へのダメージを思うと本当に同情するばかりで、幼いアダムの負った傷も痛々しいのだが、ジェイコブのために犠牲的行動をとった親友ドルフの堅い友情、刑事としての難しい立場ながらアダムを思いやる恋人ロビン、アダムの無実を信じ続けたダニーの友情など、心温まるところの多さが救いとなっている。惜しむらくは、現在のレッドウォーター農場が原子力発電所建設を巡る土地の買収に拒否を示しているため地域住民の反感を買っているという設定を、うまく事件に絡められたらよかったかも。