ジョン・ハートのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アイアンマウンテンの奥深く、朽ちかけた少年保護施設に兄弟はいた。
殺伐とした子供社会の中では弱い者は食い荒らされるだけ、兄は牙を磨き、弟は空想の世界へ逃避した。
時は経ち兄はギャングの凄腕の殺し屋として組織に君臨、弟は養子に貰われた後、一部で熱狂的な支持を受ける絵本作家となった。
兄は恋人の妊娠を機に組織からの脱退を申し入れるが受け入れられず、ある時恋人の働くレストランが爆破、銃撃を受け多数の死傷者を出す。
逃亡する最中、組織のボスから弟を殺すと脅迫を受ける。
弟とは20数年会っていない。でも俺にはいつまでも大事な弟なんだ・・・。
ジョンハートさんの4作目。ようやっと入手しました。
まだ上巻なので何とも言えませんが現段階ではラストチャイルドに迫る名作の予感です。
少年達は自分の人生を手に入れようともがいていますが、選びようも無かった少年時代に未だに縛られて先に進めなくなっています。
兄は暴力のエリートとして育てられ組織から抜ける事が出来ない、弟は弱い心を抱えていつか見つかるのではないかと、救いの扉をノックし続けるので有りました。
下巻へ続く -
Posted by ブクログ
妹アリッサの誘拐事件から、父親の失踪、母親の薬物依存、地元名士の母親への執着等で、ジョニー少年は最低辺の生活を強いられる。
そんな中でもジョニーはあきらめる事無く一人で妹を探し続ける。妹さえ見つかれば家庭が元通りになると信じながら・・・。
話はジョニーの視点と、ジョニーの理解者で、母親キャサリンへ淡い恋心を抱いているハント刑事の2つの視点から話が進んでいく。
ジョニーはひたすら自分一人で事件を解決すべく動くが、協力を仰ぐのは唯一親友のジャックだけ。大人に反抗するというよりも、自分だけを頼みにして孤独な戦いをしていきます。
ただ、ハントの存在が無ければ決してジョニーも先へは進めない、このタフで心優しい正義漢は、自分の立場も顧みずにひたすらジョニー、キャサリンの為に息の詰まるような人間関係を掻き分けて突進していく。何も信じられないこの話の中で唯一の光といってもいい存在で、病み切ったアメリカの中でこうありたいと思う理想の男像のような気がする。けれどアメリカ人に知り合いいないので、心の中のアメリカーナに聞いてみました。
内容的には是非読んで確認して貰いたいけれども、この小説はとにかく面白いです。間延びする瞬間が全くなく、ひたすら目が離せない状態で最後まで進みます。途中妹失踪の真相の部分など集中しすぎて変な声が出てしまい家族から不審がられました。
優秀なバイプレイヤーの黒人の大男も神託を授ける堂々たる役割を果たし、話に神秘性を与えるための重要存在として登場します。
盛り沢山の話でありながら印象的にはとてもわかりやすく感情移入して読めます。訳がいいのかもしれませんが、登場人物の行動がとても人間的です。
最後のジョニーとジャックの友情に一番胸をえぐられました。なんでえぐられたかって?それは読んで確認すること!お兄さんとの約束だ! -
Posted by ブクログ
ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。
この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの実の息子、ひねて、出来の悪い息子である。実の息子以上に親父さんが組織を任せたがっていた殺し屋の存在が疎ましい。妬み、嫉みでいっぱいの息子は、若き殺し屋の門出を許さぬばかりか、親父さんという鎖から放たれて一気呵成に殺し屋への憎悪を爆発させるのだ。
街角が轟音をあげて炸裂するシーンにて、活劇はスタートする。殺し屋は愛する女性を救い出し、炎と血と消炎を置き去りにしながら逃げる。まるで激画の世界のように胸のすくアクション。完全なる力の備わった銃撃の美学。ジョン・ハートの他の作品を読んでいる人々はまずこの過激で大胆なストーリー展開と、冒険要素の連続に驚き呆れるに違いない。
しかしそれだけなら凡百のアクション小説に終わりかねないところ、ジョン・ハートはさらなる仕掛けを用意して、作品世界に暗い奥行を与えてくれる。それは殺し屋の弟の存在である。弟は、兄とともにアイアン・ハウスという奇妙で曰くありげな施設に育ち、そこで過酷な暴力に苛まれ精神を病んでしまった。兄は弟を守るが、守り切れない。そこに現れたのが、里子を求めて訪ねてくる美貌の女性である。
彼女は、兄を求めるが、兄は弟を彼女の救いの掌の上に差し出すのだ。そんな過去を背負った殺し屋は、弟の周囲で連続殺人が起こっていることを知る。精神をやんだ弟が、シリアル・キラーとして失踪したのではないか? そんな状況が彼を捉え、なおかつ殺し屋の兄は追われ続け、愛する人を守らねばならない。これぞ四面楚歌の出口なし。
あまりのスピーディな展開と派手なアクションの末、抱えてきた過去の暗闇の深みに見えるゴシック世界のサイコ風味、劇画的との謗りを受けかけないほどサービス精神に富んだノンストップ娯楽小説世界がここに確実にあることを請け合おう。これがジョン・ハートという作家の入口とは言えないまでも、この作家のエンターテイナーぶりに酔って頂きたい掛け値なしの一篇である。 -
Posted by ブクログ
ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。
この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの実の息子、ひねて、出来の悪い息子である。実の息子以上に親父さんが組織を任せたがっていた殺し屋の存在が疎ましい。妬み、嫉みでいっぱいの息子は、若き殺し屋の門出を許さぬばかりか、親父さんという鎖から放たれて一気呵成に殺し屋への憎悪を爆発させるのだ。
街角が轟音をあげて炸裂するシーンにて、活劇はスタートする。殺し屋は愛する女性を救い出し、炎と血と消炎を置き去りにしながら逃げる。まるで激画の世界のように胸のすくアクション。完全なる力の備わった銃撃の美学。ジョン・ハートの他の作品を読んでいる人々はまずこの過激で大胆なストーリー展開と、冒険要素の連続に驚き呆れるに違いない。
しかしそれだけなら凡百のアクション小説に終わりかねないところ、ジョン・ハートはさらなる仕掛けを用意して、作品世界に暗い奥行を与えてくれる。それは殺し屋の弟の存在である。弟は、兄とともにアイアン・ハウスという奇妙で曰くありげな施設に育ち、そこで過酷な暴力に苛まれ精神を病んでしまった。兄は弟を守るが、守り切れない。そこに現れたのが、里子を求めて訪ねてくる美貌の女性である。
彼女は、兄を求めるが、兄は弟を彼女の救いの掌の上に差し出すのだ。そんな過去を背負った殺し屋は、弟の周囲で連続殺人が起こっていることを知る。精神をやんだ弟が、シリアル・キラーとして失踪したのではないか? そんな状況が彼を捉え、なおかつ殺し屋の兄は追われ続け、愛する人を守らねばならない。これぞ四面楚歌の出口なし。
あまりのスピーディな展開と派手なアクションの末、抱えてきた過去の暗闇の深みに見えるゴシック世界のサイコ風味、劇画的との謗りを受けかけないほどサービス精神に富んだノンストップ娯楽小説世界がここに確実にあることを請け合おう。これがジョン・ハートという作家の入口とは言えないまでも、この作家のエンターテイナーぶりに酔って頂きたい掛け値なしの一篇である。 -
Posted by ブクログ
下巻に入り展開は早くなった、という感じではないもののしっかりとしたラストまでの流れが出来上がっていて、また刑事の捜査のパートも、妹の行方を追う少年のパートも心理描写もしっかりしていてじっくりと読みこめました。
明らかになる真実は意外であるとともに、思い返すと伏線も張られていて非常によく、ラストもなかなか感動的。暗い感じであった話を見事に締めてくれました。
誘拐事件解決というミステリーとしての面白さの中で、家族のつながりや友情、愛や信仰なども問いかけてくるミステリの枠に収まりきらない小説だと感じました。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞
英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞
2011年版このミステリーがすごい!海外部門5位 -
Posted by ブクログ
双子の妹の誘拐事件を機に家庭が崩壊してしまった兄ジョニーが妹を行方を捜すミステリー。
作品全体に漂う雰囲気や、登場人物たちの様子がどことなく暗くそういう雰囲気の本が好きな自分には、どんどん引き込まれて行きました。
父親が失踪し、母親はろくでなしの男とともに薬に溺れているにもかかわらず、妹を追い続けるジョニーの描写が巧みです。このような状況なのでなんとか強くなろうと頑張っているのですが、まだ13歳なため時折見せる子供っぽい口調や様子が、余計に深く響きます。
この事件の担当の刑事のハントも事件にこだわり続ける様子や、家族との関係について苦悩する様子がしっかりと描かれていてこちらの描写も良かったです。
展開はけっこうゆっくりとした感じでした。なのでここから下巻がどうなるのか楽しみです。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞
英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞
2011年版このミステリーがすごい!海外部門5位 -
Posted by ブクログ
ジョン・ハート、3作目にして最高傑作。読み終えて、心底そう思えた。痺れた。
家族とは? 友情とは? 愛とは? 生きていく上で避けて通れない様々な問題について、この作品はずばずばと問いかけてくる。
主人公の双子の妹が行方不明になっている。関与した者、目撃した者、そして真相を突き止めた者、ラストにはそれぞれの胸中を想像しないわけにはいかず、読んでいるだけで息苦しささえ感じた。事件を通して描かれる様々な問題に、リアリティを感じたからかもしれない。
作中に答えはあるのか?
登場人物がそれぞれの答えをみせてはくれる。しかし、それぞれの答えは異なり、読者は彼らと同じ苦悩を味わうことになるかもしれない。少なくとも私は、作中の人物の立場だったらどうするだろう? と始終頭を悩ませながら読んでいた。
ちょっと話ははずれるが、読んでいる時に思い出したことがある。本書のメイン事件と似たようなプロットを持つ、東野圭吾作品のこと。事件に秘めて、人間生来の正義感やエゴを描いているところが本書と同じ。ただ、エンディングが異なる。どちらももちろん良い作品。どんな答えが正解なのかはやはりわからないが、人として取るべき道はしばしば痛みを伴うものであることを痛感する。そんな具合で、とびきり重厚な作品だったために、ひたすら真剣に読んだ。
実は、著者の前2作はちょっと好みからはずれていたので警戒しての読み始めだった。話題と聞いていながらも前2作を思い出し、読むのが遅くなってしまったが、今は心から読んでよかったと思っている。間違いなくすばらしい作品だと思う。