パオロ・バチガルピのレビュー一覧

  • ねじまき少女(下)

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    エネルギーが枯渇して社会構造が激変した近未来のバンコクが舞台のSF小説。

    遺伝子操作技術と、その根幹になる無傷のオリジナルの遺伝子が物語を回す主軸になっている。

    遺伝子操作によって人工的に作られた歪な生物たち。

    その技術とオリジナルの遺伝子を巡っての利権抗争と、遺伝子操作された生物を取り締まる人たちの努力がドラスチックに描かれている。

    利権抗争も遺伝子組み換えも、すでに存在している技術の延長に過ぎないところが物語にリアリティを与えているようでだ。

    遺伝子操作しなくても、交配によって自然に手を加え続けてきた人類に守るべき自然とは何なのか、進化とは何なのかを問いかけてる作品です。

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    2018年12月30日
  • ねじまき少女(上)

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    石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。
    遺伝子組換動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物【ンガウ】を手にする。
    ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。
    彼とねじまき少女エミコの出会いは、世界の運命を大きく変えて行った。
    (あらすじより)

    このタイプのSF小説にありがちな事として、物語の前半を使って世界観や独自の文化を説明する手法がある。

    最初は物語に入り込めず忍耐が必要だが、ここをしっかり読まないとその後の話にもついていけなくなるので、重要な

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    2018年12月08日
  • ねじまき少女(上)

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    ネタバレ

    初長編で大きな賞を獲ったということで「『ニューロマンサー』以来の衝撃」がオビの売り文句になっているが、さらに言うと、雰囲気・手法もギブスンを意識しているみたいだ。

    ・遺伝子ハックやねじまきといった道具仕立ての細かい中身には立ち入らず、それらがいかにもリアルな世界で使われているという描写で世界観を描き出していく。ねじまきの性格がドMにデザインされているとか、人が錘になって動くエレベーターとか。この辺は読んでいて面白かった。

    ・タイを舞台にしてエキゾチックな感じをうまく出している。出てくる日本人のおかしさは相変わらず(ある意味正統的なステレオタイプ)。

    ・章ごとに入れ替わる多視点。語り手のバ

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    2018年11月09日
  • ねじまき少女(上)

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    SF。エコSF。バイオSF。
    説明不足で分かりにくいところもあるように思うが、先に『第六ポンプ』を読んでいたおかげで、すんなりと物語に入っていけた。
    アンダースン、エミコ、ジェイディー、ホク・センと、複数の視点から物語が進む。
    ジェイディーとホク・センのパートが好きではないが、エミコのパートが良い。ねじまき少女は何を考えて生きているのか?

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    2017年06月16日
  • 神の水

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    アメリカの作家パオロ・バチガルピ、2015年発表の小説。アメリカ南西部の諸州が旱魃で危機的な状況に陥った近未来を舞台にしたSF作品。警世の書としてのリアリティはあるのですが、中身はハードボイルド調の極めて通俗的なエンターテインメント。面白いけれど、一寸物足りない、という感じです。

    水不足が深刻化し多くの難民が発生、河川の水利権を廻って各州の秘密組織が暗躍、州軍間の緊張も高まり内戦の一歩手前という状況にある近未来のアメリカ南西部が舞台。廃都と化しつつあるアリゾナ州の州都フェニックスでの不穏な動きの調査に赴いたラスベガスの秘密工作員、崩壊して行くフェニックスを執念で取材し続ける女性ジャーナリスト

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    2015年11月15日
  • ねじまき少女(下)

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    多分、設定は面白いんだろう。
    だがこれは手法の違いかもしれないが、きちんと時代や世界の背景、いろんな設定が明示されない展開にイライラする。
    言葉一つにしても、それを普通に知ってるでしょう前提で言われても、もちろん読み進める内に多分と判るのだけど、多分で終わるのが居心地悪い。
    別にこの作品だけでなく、そう感じる作品が多いと感じてて、もう、価値観とか世界観とか、少なくともSFがずーっと好きデスみたいな人だけが読んでくれればいいみたいな本が、好きではないのだな。
    で、文体は嫌い。
    人物はあんまり浮かび上がって来ないな。
    ぼくにとっては、そう、いい小説ではなかった。

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    2015年04月18日
  • 第六ポンプ

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    ネタバレ

    「ポケットの中の法」★★★
    「フルーテッド・ガールズ」★★★
    「砂と灰の人々」★★★
    「パショ」★
    「カロリーマン」★★★
    「タマリスク・ハンター」★★★
    「ポップ隊」★★★
    「イエローカードマン」★★
    「やわらかく」★★★
    「第六ポンプ」★★★★

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    2015年02月22日
  • ねじまき少女(下)

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    2009年のSF賞を総なめというので、期待して読んだ。新たな世界観とSF的ガジェットについては納得したが、エンターテイメント性に欠けていたと思う。もっと”ねじまき”の攻撃性をフューチャーしてほしかったかな。クーデターという展開があったので残念。次も読みたいと思う作家ではある。

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    2015年01月07日
  • ねじまき少女(下)

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    ネタバレ

    前巻のラストもキツい展開だったけれど、物語はさらに鬱々してきて最終的にかなり疲労感を覚える読書となった。

    ジェイディーと対話するカニヤの姿の痛ましさ。
    虐げられ続けてきたエミコの暴発。
    大きな不運と少しの幸運に振り回されるホク・セン。
    図らずも急転直下の事件の引き金を引いた形になってしまったアンダースンの失敗。
    …それぞれの行動が一気に絡み合いながら迎えた大流血の惨事。
    決してバッドエンドではないのだろうけど、結局最後の勝者となるのは新人類であることが示唆されていて、何とも言えない気分になる。

    この過酷な世界を生きる上では当たり前なのだろうけど、登場人物たちはかなり即物的な生き方を強いられ

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    2014年05月03日
  • ねじまき少女(下)

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    先進国が牽引する産業や技術による世界”拡張”の時代から一転、エネルギーが枯渇し、遺伝子操作された生態系によってわずかな地域だけが生き残る”収縮”の時代という設定。
    バンコクを舞台にした暗さの漂う退廃的な世界観。
    国民の生存や政治の利権をめぐる”環境省”と”通産省”の対立。

    上巻は設定やキーワードを理解するのに手間取ったが、下巻からはテンポの早い展開で面白くなる。

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    2013年10月13日
  • ねじまき少女(下)

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    ダラダラした展開だった上巻に比べて、スピーディーに物語が進み、一気にハラハラドキドキの展開になります。
    ただ、結局何が言いたかったのかよく分からない感じで消化不良で終わってしまった感が強いです。
    この作品は大きな賞をいくつも受賞したそうですが、何がそれほど評価されたのかも今ひとつ判りませんでした。

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    2013年04月28日
  • ねじまき少女(上)

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    未来のタイを舞台に、ねじまきと呼ばれるアンドロイド少女や野心満々な外国人たち、何もかも失い再起を期す元中国人実業家、激しい権力闘争を繰り広げるタイの官僚たち、と多彩な登場人物それぞれの視点から物語が進んでいきます。
    物語の設定は興味深いものなんですが、今ひとつピンきませんでした。翻訳が下手くそなのか元々の文章がそうなのか知りませんが、文章がとても読みにくいし、物語の背景が複雑すぎてゴチャゴチャになりすぎている感じがしました。下巻でスッキリすることを期待したいと思います。

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    2013年04月25日
  • ねじまき少女(下)

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    ネタバレ

    上巻の混沌とした都市での実業家奮闘記とはうって変わって2大勢力のぶつかり合いが大きくクローズアップされている。
    正直、上巻に比べワクワクする要素も少なく、淡々と登場人物たちの行く末を見守るような気持ちで最後まで読み終えた。

    エミコ・カニヤの2大ヒロインには明るい未来が訪れることを切に願います。

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    2013年02月28日
  • ねじまき少女(上)

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    読むのに時間をかけすぎたせいで、ちょっと全体像を掴み損ねてしまった。
    細かいモチーフとかは、非常に好みだったので、また読み直したい。

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    2012年11月04日
  • ねじまき少女(上)

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    エネルギー資源がゼンマイと遺伝子組換動物に変わった後の世界、様々な遺伝子操作の結果、食の安全も崩壊した世界。タイ・バンコクを舞台にした群像劇。
    汚染されていない植物の謎を追う欧米人、失った富を取り戻そうと機会を狙う老中国人、不正を許さないが故に身内からも狙われるタイの役人、そして日本製の新人類である「ねじまき少女」。
    湿度が高く、不快指数の高いアジア特有の空気感がどんよりした世界の雰囲気と良く合う。そしてどん底の状態でも精一杯、したたかに生きようともがくそれぞれの姿も興味深い。

    ただ、状況が見えにくい上に独特の語彙が多く、入り込み辛くもあった。下巻に期待。

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    2012年10月03日
  • ねじまき少女(上)

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    登場人物表がないせいでややごっちゃになってしまいますが、SFなのに設定や世界観がリアルすぎるのですいすい読めます。エミコ、幸せになってほしいな…。

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    2012年07月03日
  • ねじまき少女(上)

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    前半の終わりにきて少し面白くなりかけた。なかなか新しい世界の言葉に理解が及ばず、登場人物も整理しにくく、訳が悪いのか原作自体の分かりづらさかその辺は分からないが、もう少し工夫が欲しいところ。
    後半に期待する。

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    2012年06月24日
  • ねじまき少女(上)

    購入済み

    お薦めできません

    あくまでも、個人の感想ですが、SFやファンタジーのカテゴリーではない気がします。また、残虐な描写が度々あり、途中で読む気が失せました。子供達には読ませない方が良い気がします。

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    2015年05月18日