井上達彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑
著:井上 達彦 ・ 鄭 雅方
中国のスタートアップ企業が、これほどまでの急成長を成し遂げられたのは、「市場が市場規模が大きいから」だけだではない。中国のスタートアップのように、群をなして急成長している事例は他国や地域では見つけられない。それゆえ、世界中のスタートアップ起業家、投資家、大企業の経営者、イノベーター、政策立案者、そして経営学者が、中国の群生的な発展プロセスに注目し始めている。
本書では、中国の①社会・経済・文化②エコシステム③ビジネスモデルという3つの観点を軸として以下の3章から構成されている。
①事業レベルの急成長の論理
②全社レベルの急成長の論理
③エコシステムの急成長の論理
中国という国の特殊な環境があってこそ、中国のスタートアップ企業は急成長したという結論ではなく、その中にも再現性を見出すことも参考にすべきことも多い。
中国のスタートアップ環境をそれこそ科学的に捉えることで要素要素として今の日本のスタートアップのエコシステムに取り入れる事、取り入れるべきことも多い。
本書では、中国のスタートアップを3期に分けてそれぞれの時代背景を踏まえた企業の事例も紹介している。システム的な差はあれど、スタートアップを構成する「人」、CEO等のそれぞれの行動や感情においては、共通すべきことも多く、泥臭い行動ベースの積み重ねのプロセスも垣間見える。
日本という枠組みのみならず、地域や業種や個社ごとに課題は違うものの大局的な流れを他国のフローから参考にするにはうってつけの体形的にまとめられた一冊であった。 -
Posted by ブクログ
・たのめーるはコピー機やパソコンの販売、システム構築や保守サービスのための顧客の新規開拓を目的としている
・オークション事業は売買仲介のマッチングプラットフォームを設ければ、費用は人件費や設備の償却費が中心になります。出品台数が増えて手数料収入を伸ばしても、費用は増えにくく、スケールメリットを活かしやすい構造となっています。
・補完財プラットフォームは自社で競争力のあるプラットフォームをつくり出すということに加えて、外部のサードパーティがこのプラットフォームにあう規格で開発してくれるなど、魅力を作り出さなければなりません。iモードのように権勢を誇ったモデルであっても、iPhoneのApp storeのような別のプラットフォームとの競争で負けてしまえば、その存在が消滅してしまうのです
・競争戦略を打ち立てるときに大切なのは「戦わない状況」を作ることです。製品や商品の差別化はすぐに他社から模倣され、戦わない状況は長続きしません、そうではなく、お手本とする会社の強みに自社オリジナルの経営資源を紐づけて「仕組みを差別化」することが重要です。
・三井不動産は物件保有による賃貸利益に加え、自社の開発物件を、REITや私募ファンドなどに売却して資金を回収します。売却後も管理・運用・仲介などのマネジメントを担うことで、手数料を稼いでいます。また、売却先から価値が落ちた物件を買い取り、リノベーションや建て替えにより、賃貸事業の新たな収益源を作っています。このように、資産規模をコントロールすることで財務の健全性を保ち、保有・開発・マネジメントという総合力を生かした超長期の循環型の事業を展開しています
・制作会社にとっては興行収入が高い東宝に配給を任せることで、より多くの映画館で上映してもらえる可能性が高まります。結果的に人気作が集まりやすい構造になっているのです -
Posted by ブクログ
起業を考えている人は必読。
話し口調で書かれていてスルスル読める。
実在する企業のビジネスを、インタビューや研究を通して紐解いていて、社会科見学のような、企業の裏側を見ているようで楽しい。
「大学に貢献はしても、大学の犠牲になってはいけないよ」
井上先生の隣の研究室にいらっしゃった太田先生のお言葉。組織に属する上で、大学でも会社でも家庭でも、見失ってはいけない大事なことを思い出させてくれる言葉だと思います。
「今がいちばん若い。起業家の誰もが言うんだけどね、これ本当にそうだと思います。アイディアがあるなら早くそれを収益化してください。トライアンドエラー、そして成功の連続です」
井上先生にお会いする機会があり、直接お話した際に念押ししていただきました。人生100年、長いようであっという間。せっかく生きるのだから、後悔のないように中身の詰まった濃い人生を歩みたい。
さて、この本は実在する企業の実例をもとにビジネスモデルを深掘りして検討するもの。馴染みのある企業の成長ストーリーや、危機を切り抜けた話、井上先生だから引き出せるたくさんの裏話が載っていて、話のリアルさに子どもの頃の社会科見学のような気分になりました。
単なるすごい話のストーリーテラーで終わるのではなく、数々のストーリーに隠されたビジネスモデルを分析し、パターンを見出してビジネスマンの教科書にする。先生の想いが詰まった1冊だと感じます。 -
Posted by ブクログ
今日ご紹介する本は、今後の自分にとってのバイブルとなりそうな本です。
●ストーリーなきモデルは絵に描いた餅
今、日本で圧倒的な力を持っている偉大な企業の成り立ちなどを紐解きながら、なぜそのような競争優位を維持しているのかが、具体的に書かれています。
以前ベストセラーになった、楠木建氏著の「ストーリーとしての競争戦略」をかなり意識して書いているのではないかという点が多々あります。
本書のあとがきのところで井上氏は、はっきりとこう書いています。
「理想とするモデルが戦略立案に必要だという考え方は、ストーリーとしての競争戦略と対立するように見えるかもしれない。しかしその実は補完するものである。」
ストーリーとしての競争戦略は、戦略の立案におけるストーリーメイキングの重要性を示していますが、本書はモデルの重要性も強調しています。
「モデルなきストーリーは不安定であり、ストーリーなきモデルは絵に書いた餅になる。」
●仕組みを模倣する
実際に本書にも書かれているように日本を代表する企業も、必ずお手本にしたモデルがあり、その仕組みを模倣し、新しい価値を創造していきました。
本書の中では、トヨタ自動車、セブンイレブン、ヤマト運輸、スターバックスコーヒー、ドトールコーヒー、グラミン銀行、ライアンエア、KUMONなどを取り上げています。
本書では取り上げられていませんでしたが、かのアップルも模倣から新しいイノベーションを創造しました。
この本の中で一貫している著者の主張は、製品そのものを模倣するのではなく、仕組み(ビジネスモデル)を他業種、海外、過去、社内の他部署など、様々なところをお手本にして模倣し、新しい価値を創造するべきということです。
実際に製品レベルでの模倣は、インターネットの発達により、そのペースが早まったとされています。
模倣者がイノベーターを模倣するのに、19世紀だと、100年くらい、20世紀前半には10年くらいに、20世紀の最後には2年未満にまでに短縮されるようになったといいます。
ですから、技術的なイノベーションは、必ず追いつかれるということです。
本書にも書かれていますが、セブンイレブンが他社に追いつかれないのは、その流通の仕組みと季節や地域などの特性に合わせた各店舗からの発注の仕組みがなかなか真似ができないからなのです。
●創造のための模倣
井上氏は本書の最後をこう締めくくっています。
「ビジネスモデル発想における模倣は、単純な模倣にとどまるものではないし、競争戦略論における模倣戦略とも異なる。モデリングをベースにした学習戦略であり、創造のための模倣なのである。」
この一文に著者の伝えたいことが凝縮されています。
具体的にどのように模倣をしていけば良いのかというところを、ヤマト運輸の個人宅配事業の確立を例に上げながら、とてもわかりやく書かれています。
この本は、間違いなく私の今後のバイブルになりそうです。
会社を経営されている方、会社の中で新規事業を立ち上げようとされている方、これから起業しようとされている方には、必ず役に立つと思います。
ぜひ騙されたと思って読んでみてください。必ずどこかにヒントがあると思います。