万城目学のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
例によってなぜ読もうと思ったんだったか・・・。
本が届いた時に、想像もしていなかった大部さ加減に目を剥き、「まきめ」って読むのか!と仰天したくらい、なんの予備知識もなく読み始める。
これと言って取り柄のない忍者「風太郎(ぷうたろう)」が、数奇な運命(というか周囲の思惑)に弄ばれていく物語。
時代は、大坂冬の陣から夏の陣。秀吉が死に、家康が攻め上ってくる。戦が終われば用なし、「忍び」には生きにくい世がやって来ようかという頃合いである。
冒頭部分、
・・・三日月がいよいよくっきりと光を放っていた。腰を屈め、夜に背中をこすりつけるように屋根を走る。
なんとイメージ豊かな筆を揮うのだろう、と惹き込まれた。
と言いつつ、主人公に際立ったものがないためになかなか感情移入できず、中盤までは読み進めるのに苦労した。
8章くらいから、遠い伏線をたんねんに拾いながら俄然盛り上がってくるが、最後の方までどうも展開が重苦しい。これァ星2ツだな、と思っていたら、ラストシーンで痺れさせられた。
全体としては、忍びに生きることの難しさ。ひいては人事の図り知れなさが描かれていたかと思う。
一方、「とっぴんぱらりのぷう」ってどういう意味なんだっけ?と思って(作中に説明があるわけではない)調べてみたら、そうそう、つまり「めでたし、めでたし」に相当する言葉なのだった。
はて、そしたらこの結末は、ひょっとしたら忍びの運命としてめでたかった(救いだった)・・・のかも、と思うと、また痺れた。
もう一つ、印象に残った言葉を引いておく。
・・・それに人というものは、退屈になるといくさを呼びこむ悪い癖があるからのう。
今、そろそろ人は退屈してはいないだろうか? -
Posted by ブクログ
「エッセイなのに衝撃の結末」、帯の惹き文句に偽りはないものの、少々読者をナメてます。ふざけとんのか!とツッコミを入れたくはなりましたが、そこに至るまでは楽しいエッセイ。
題材は多岐にわたっていて、「マキメマナブの日常」の章では、ひょうたん栽培にハマってしまった万城目さんの話が可笑しい。「旅するマキメ!」ではギリシャの空に想いを馳せ、「デリシャス七重奏」には美味しそうなものいっぱい。パスタの話には目が潤みました。東京電力の株主だった万城目さんの株主総会リポートという異色の章もあれば、「マキメマナブの関西考」に関西人としては心が躍ります。大阪市営地下鉄各線を戦隊ヒーローに見立ててみるとはどういう思考なのか。そういえば他の章には戦国武将でサッカー日本代表を組んでみるという試みも。「マキメマナブの想い人たち」では、京都に縁のある作家、森見登美彦と綿谷りさとの対談を楽しく読みました。
城崎温泉でしか入手できないという万城目さんの『城崎裁判』、ぜひ赴いて手に入れたいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ豊臣時代末期の忍者小説。万城目学は2作目だが、作風が全く違うのに驚いた。
忍者としてはやや出来損ないの風(ぷう)太郎が主人公で、他の忍者仲間や、仕える豊臣家や、ライバルの忍者が出てきて騒動を巻き起こす。ひょうたんがキーアイテムのなんとも不思議な話である。青春ものでもあり、人情ものでもある。
上巻はのんびりと穏やかな田舎物語だが、下巻に急にハードボイルドに展開する。読み進むと自分がその歴史舞台にいるような気持になり、風太郎を応援したくなってくる。意外な結末だった。
登場人物がたくさんいて、ややとっつきにくい。また、内容的に1冊に収まるはずが、前半のぶらぶら暮らすところや、後半の戦闘シーンが長くて飽きてしまう人もいるだろう。忍者小説はたくさんあるので新しさはないが、歴史の変わり目に忍者はどんな役を果たしたのだろうかと思いながら読んだ。