町田健のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
言語世界地図
著:町田 健
出版社:新潮社
新潮新書 266
アフリカの諸本をあさっていたら、ヒットした1冊が本書でした。アフリカだけを説明しているわけではないので、くまなく目を通すこととする。
ともかく、英語は苦手だが、中学から大学はもちろん社会にでてからも付きまとわれ、日本語も日常語として、ビジネスが鍛えてくれた。そういうわけで、言語とは苦手なものの一つとなっています。
さらに、そこそこに、ビジネスを回せるようになるには、7万の語彙が必要とされ、複雑で、慣用的な文法等の巨大な壁がたちふさがっている。
2つでも難儀なのに、世界には、言語が6000とも、7000ともあるとのことです。本書は、その中で代表的な46言語をハイライトしています。Google 翻訳が対象としているのは、2026年5月23日現在で、243ありました。
本書は、それら膨大な言語群をいろいろな切り口で分類して、論理的に説明してくれる、ありがたい本なのである。そして、地図が多用されていて、地球上は実に複雑に民族が入り組んで生活しているのが一目でわかります。
共通語、公用語、標準語
・支配者がつかっていたものが広まったもの、植民地など 英語、仏語、アラビア語など
あるいは、航空管制や、国際社会でコミュニケーションを行うために選定した少数の言語、英語、露語など
・組織がコミュニケーションを行うために代表な言語を選定としたもの、国際公用語、第一公用語など
・国のなかで、方言の差異を吸収してあらたに、標準として政府が選定したもの
・国際連合の公用語 英語、仏語、西語、露語、中国語、アラビア語
語族
・英語と仏語のように、同じ言語から派生した兄弟のような関係の言語群をいう
・祖語、もともとの共通であった言語をいう
・民族の移動や、地域で歴史を下るにしたがって分化していく言語の元になる言語
世界の紛争の連携の1つが、言葉であることが分かります。同じ言葉をしゃべる人々は仲間であり、助け合うべき存在なのです。
形態的類型論
膠着語日本語など
屈折語ラテン語など
孤立語中国語など
語順 S:主語、V:述語、O:目的語
SOV型日本語など
SVO型英語など
VSO型アラビア語など
VOS型マダガスカル語など。
母音、子音
品詞、活用(規則、不規則)、性、格、時制、人称
口語、文語、語形
言語に対して、文字、表記法、字形(語頭、語中、語末)、語根、接頭辞、接尾辞、声調(四声等)
語族
インド・ヨーロッパ語族:ユーラシア大陸の中東、欧州圏で一般的な、言語群
ロマンス諸語(スペイン語、イタリア語、フランス語等)
ゲルマン諸語(ドイツ語、オランダ語[フラマン語]、ベルギー語、英語、スカンジナビア諸語)
ケルト諸語
バルト諸語
東スラブ語族(ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語)
西スラブ語族(ポーランド語、チェコ語、スロバキア語)
南スラブ諸語(セルビア語、クロアチア語、スロベニア語、ブルガリア語)
インドイラン諸語(ペルシャ語、ヒンズー語、ウルドゥ語、パシュト語[アフガニスタン]、クルド語)
アフリカーンス
ウラル語族:
フィン・ウゴル諸語:北欧系(フィンランド語、エストニア語、ハンガリ語(フン族とは関係ない)
ドラビタ語族
ドラビタ諸語 インド系(タミル語、テグル語、カンナダ語、マラヤーム語:南アジア)
オーストロネシア語族
西オーストロネシア語派(マレー語、インドネシア語)
タガログ語(フィリピン)、台湾語
オーストロアジア語族
ベトナム語、カンボジア語
タイ・カダイ語族
タイ諸語
シナ・チベット語族
中国語、チベット語、ラオ語、クーン語、シャン語、広東語
テュルク語族
トルコ語、アゼルバイジャン語、ウズベク語、ウィグル語、カザフ語、キルギス語、タタール語、サラル語
モンゴル語族
モンゴル語
朝鮮語族
朝鮮語、韓国語
日琉語族
日本語
アフロ・アジア語族
セム諸語 アラビア語、ヘブライ語、エチオピア語
南コーカサス語族
グルジア語[ジョージア語]
ニジェール・コンゴ語
スワヒリ語、パンツー系言語
ナイル・サハラ語族
コイサン諸語
気になったのは、以下です。
・日本のように、一国、一言語というのはめずらしい。公用語はあれど、地域ごと、民族ごとに言語が分かれていることは珍しくはない。地方ごとに公用語が定められている場合もある
・異文化と接触することで、借用語、外来語の流入が生じる。葡⇒日:カステラ 等。
・単語は、知識の移転とともに、言語間を行き来する。(音楽用語、アンダンテ、伊⇒日、独、英)
・ある時期の英国のように、階級によって使われている言語が違う場合がある
目次
はしがき
第1章 ヨーロッパ
スペイン語
ポルトガル語
イタリア語
フランス語
バスク語
アイルランド語
オランダ語
ワロン語・フラマン語
ドイツ語
ギリシャ語
ルーマニア語
セルビア語・クロアチア語
ハンガリー語
チェコ語・スロバキア語
ポーランド語
フィンランド語
スカンジナビア諸語
バルト三国
ロシア語
第2章 アジア
タミル語
インド英語
シンハラ語
ベトナム語
ラオ語
ウイグル語
チベット語
モンゴル語
広東語
台湾語
韓国語(朝鮮語)
日本語
第3章 中東、アフリカ
アラビア語
ペルシア語
トルコ語
アフガニスタンの公用語
チュルク諸語
グルジア語
クルド語
ヘブライ語
スワヒリ語
南アフリカの公用語
第4章 アメリカ大陸、その他
英語(上)
英語(下)
ケベックのフランス語
ケチュア語
国連公用語
終わりに
ISBN:9784106102660
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:700円(本体)
2008年05月20日発行
2008年05月30日2刷 -
Posted by ブクログ
「能記」「所記」って何??
「シニフィアン」「シニフィエ」って何??
「ラング」「パロール」って何??
・・・etc
言語学に興味はあるけれど、どこから手をつけたらよいのか分からないという方にピッタリなのではないでしょうか。言語学の世界で使用されている様々な用語を分かりやすく、当時の時代背景も含めて解説してくれています。
あくまで「言語学」という学問の書なので、難しくて分かりにくい箇所も多いかと思いますが、この本が言語学の深い所は入っていくための「はじめの一歩」には充分なりうると思います。個人的には「ラング」「パロール」の説明にあまりよく分からない箇所がありましたが、概ねなかなか分かりやすい良書なのではないかと思います。
「もし単語の能記(音素列)と所記(意味)の関係が恣意的ではなかったとしたら、一つの音素列と一つの意味の結びつきは、結びついた結果の単語がなくならない限りは永遠に変わりようがないはずです。結びつきが恣意的だからこそ、音素列と意味の関係にずれが起きて、その結果として、単語の能記や所記の変化が生じることができるのだというわけです。というわけで、言語記号の恣意性は、言語が変化することを保証する原理として、コトバの性質の中では大変貴重な役割を果たしているのだということになります。確かに、言語は必ず変わるようになっているわけですから、恣意性があるから変化できるというソシュールの指摘は、コトバのしくみの大切な点をとらえています。」(p108) -
Posted by ブクログ
「風」は日本語だと「かぜ」、英語だと「ウィンド」、フランス語だと「ル・ヴァン」、ロシア語だと「ヴィェーチェル」、中国語だと「フォン」、韓国語だと「パラン」、etc。
「言葉はオノマトペから始まった」のような主張を目にすることがあります。私はいつも「風」を思い出して、これは眉唾ものだぞ、という印象を持っていました。
言語学はまったくの素人で、初めてこのような本を読んだのですが、言語には「恣意性」という性質があり、何かを表現する「音」はその何かに結びついている必要はない、とのこと。
私の違和感は学術的にも「あなたの印象通り」と保証されたようで、なんだか安心しました。
この本は、私のような素人が言語に対して持つ単純な疑問を、言語学者が平易に回答するという形式で進んでいきます。
平易といいつつ、重要な概念は専門用語も用いて丁寧に説明され、言語学がどういうものか、大体のところは理解できるように書かれています。
ただ、あまりにも平易で、かつ著者の感想なんかもそのまま書かれているため、あんまり内容が残らないな、という印象も受けました。
しかしながら言語学が魅力のある内容だということはよくわかったので、これからもちょっとずつ勉強したいと思います。
ところで、私の興味はどうやら「各言語の文法の特徴」のようです。
識者のみなさま、もしおすすめの本があれば教えていただけると嬉しいです。