スージー鈴木のレビュー一覧
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これまでも著者の音楽についての著作を楽しんできました。軽くて深くてマニアックでメジャーな語り口は相変わらず。だけど今回は今までとちょっと違った切り口です。「サザンオールスターズ 1978-1985」「中森明菜の音楽1982-1991」のように特定のアーティストに焦点を当てたもの、「カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区 (1)」「イントロの法則80's 沢田研二から大滝詠一まで」のように楽理に焦点と当てたもの、「恋するラジヲ」のように著者自らの個人史で音楽を語るもの、そのどれもが新鮮で、まさにマキタスポーツが言うように「音楽評論はスージー鈴木 以前以後で分けられると思う、マジで
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Posted by ブクログ
同じ歌を聴いていたのに、このように子どもながらに、自分に引きつけて、聞き、思い、戸惑い、考えていたなんて、と驚愕する。いわゆる
昭和と呼ばれて、戦争も差別も平和もなんもかも今よりひどくてむき出しで、今よりまともでまだましだった頃の文化史。東大阪の暮らし、イラスト・挿画も素晴らしく、昭和なんで言葉でてこないんだが、浜田省吾、ビートルズ、イーグルス、清志郎、YMO、ゴダイゴといろいろオリジナルに体験に紐付けられて、面白い。大阪のカルチャーの厚いそして熱いところでもあり、それぞれのクラスタや町全体の両方に根っこのようなものがある共同体で暮らせばこその記録と記憶。その場しのぎの団地育ちにはない物語と出 -
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サザンや桑田佳祐の楽曲を歌詞の観点から分析した一冊。バラエティ番組にも積極的に出るメディア露出のイメージから大衆的、清濁の濁の文脈で語られがちな存在だが、それは完全に過小評価だと分かる。そういったタイアップ戦略もあって恐らく日本人なら(少なくとも受動的には)聴いたことのあるサザンの歌詞がこんなに深いものだったとは。でも本書が素敵なのはそういった考察をしながら「まぁでも難しいこと考えずに聴いてみなよ。気持ちいい名曲ばかりだよ?」というスタンスを採っていることだと思う。自分自身もソロ2枚目のベストアルバム『TOP OF THE POPS』のCDを学生時代に買って聴いてた頃の記憶が蘇ってきた。カラオ
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最近の巷のJ-POPの歌詞の世界観の狭さを揶揄
する「過剰なJ-POP」というネットの書き込み
があるそうです。
「桜舞い散り過ぎ」「君と出会った奇跡過ぎ」
「あの頃僕らは未熟過ぎ」など、手垢がついた
表現を使いまくっている歌詞をバカにしたもの
です。
要は語彙が全く少ないのです。
では日本一のポップスバンドのサザンオールス
ターズを率いる桑田佳祐の歌詞はいかなる世界
観を構築しているのか。
サザンは楽曲が先行して語られることが多い為
歌詞までは深く検証されることが少ないです。
しかしこの本で語られる歌詞の深さを知ること
によって桑田佳祐の凄さが再認識させられます。
まるで俳句のよ -
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とてもよく解説されていて、感動した。
桑田佳祐は歌詞を言葉としてだけではなく、音として当て込む。そのため、方言や古語、造語などが入り、曲の中には全く意味を持たない言葉の羅列のものも数多く存在する。
だけど、「そこの音にはその言葉以外は入らない」っていうような耳触りの歌詞ばかりで、なぜそれが耳触りよく聴こえるのかを本書で解説してくれている。
例えば、『マンピーのG★スポット』の「芥川龍之介がスライを聴いて"お歌が上手"とほざいたと言う」の歌詞。意味は全くない。突然の芥川龍之介。だけど、ここはこの言葉がとってもしっくりくる。著者は「声に出して歌いたい日本語の最高峰」だと述 -
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浅草キッドの水道橋博士主催の「メルマ旬報」を購読し始めた。
多彩な分野から集った執筆陣。
その中でも抜群の光を放つ著者の本を手に取ってみた。
2001年から2018年までの週刊ベースボール誌の連載を抜粋。
球界再編問題。
東日本大震災。
記録的猛暑の中の甲子園開催への是非。
競技としての野球。
娯楽としての野球。
野球は選手のものであり、ファンのものだ。
当たり前のことにこだわり続けた筆者の思いが、無数の音楽と共に綴られていく。
随所にちりばめられた垂涎のコラムは必読。
○“高橋慶彦=佐野元春”論。
80年代を連れてきた“ニューウェーブ”。
疾走感と、カッコよさと、面倒くささと。
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青春と音楽…。
ヤクザにメンツが欠かせないように青春には音楽がないと始まらない。誰しもが1曲や2曲、イントロが流れた途端鼻の奥がツーンとする甘酸っぱい想い出があるはず。
本書は、著者自身の〈あの頃、あの場所〉に必ず側にあったラジオ。そこから流れてきた音楽。想い出綴りを〈周波数と西暦〉をリンクさせ、主人公をラジヲ君に託し、稲妻のように体を突き抜けた音楽をど真ん中に据えた自伝小説。
話は『#1 東大阪のアリス〈1978kHz〉』。
1977年 11歳にしてハガキ職人に憧れる5年生。お気に入りの番組は毎日放送『ヤングタウン』。日夜あの手この手を駆使しハガキを送る。才能は即開花。リスナー垂涎のヤン