スージー鈴木のレビュー一覧
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歌謡曲評論家として著者が名を成す前の、勢いと思い入れのあるアーチストに捧げられた著作。アルバムカマクラまで解説。
デビュー期・怒涛期・AOR期(まー売れなかった。しかし今振り返ると名曲だらけ)・結婚期・モンスター期、私なりにカマクラまでを分類するとこんな感じだが、年ごとに区切っているので本のほうが冷静か。
とにかく情報量がぱないし、マイルスもエバンスもごっつぁんの中山康樹の本よりもリアタイの素直さが発揮されててアラフィフには特におすすめ。著者はボブクリアマウンテンがしょせんアジアの田舎バンドとバカにした綺麗を推してたが、私はステレオ太陽族と人気者で行こうの2作を推すAOR派です。 -
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物事を考察するには、ある一点に着目し、そこから一気通貫。水面下にあったものが見えてきたり、全貌が明らかになったりする。そう、本書は演繹法的考察でもって「80年代の誰しもが知るヒット曲のイントロに着目した評論本」。
評論と謳っているので、そこにはノスタルジーさもなければ、酒場でついつい語りたくなるクリス松村が開陳するようなトリビアもない。
著者は語る。ポップとラディカル、アナログとデジタル、進化と成熟。それぞれの配合比率が黄金律まで極まったのが80年代のヒット曲。その黄金律のエッセンスがぎゅうぎゅうに詰まったのが「イントロ」。所謂「ツカミ」。小説でいうところの書き出し。
漱石の『草枕』なん -
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新書のあとがきを読んで涙が出るなんて、あるんやろうか。
いやぁ、やられました。
デビューから二枚組アルバム『KAMAKURA』を経て活動休止に至るまでの初期サザンを一年ごとに分けて追う。
全曲批評してた中山康樹さんの『クワタを聴け』よりも当時の空気感や比較分析、当時の日本の状況・空気感、そしてサザンを愛する主観が上手くミックスされていて、非常に面白かった!
サザンのことあんまり知らなかったり、僕のように『KAMAKURA』をリアルタイムで聞いたこと無い世代(1986年です。)にこそオススメしたい。
いきなり売れ過ぎたからこそ過少評価されてしまう、その「初期の総括」をしていくと、NH -
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サザンオールスターズ読本。
私も高校~大学時代がサザンの全盛期だったから当時の熱気が凄く判る。
キワモノバンド扱いだったデビュー曲、同じ路線で来たセカンドシングル、そして困惑の極みに人々を陥れた名曲「愛しのエリー」。
確か当時、ザ・ベストテンで初登場から1位になるまで2ヶ月近くを要しハズ。こんな曲、作れるんだ、と思ったものだった。
ツイストがライバルと見做されていてザ・ベストテンに二組揃うと必ずバカ騒ぎ。アリスはテニスウェアで歌い、サザンは短パン一丁で歌う。
今思えばみんな恥ずかしい恰好で歌っていた。
「勝手にシンドバット」は名曲である、は大賛成。「メロディ」が名曲である、は筆者の思い入れ過ぎ -
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これは買ってしまいます。大ファンとしては気になってしまうんだな~。目にしてしまった以上、素通りできない。内容もなかなかで、あまり知らなかった事実とかも書かれていて、結構楽しめました。というか、興味深くて一気に読み通しちゃいました。KAMAKURAまでで10曲となると… 勝手にシンドバッド、思い過ごしも~、C調言葉~、いなせな~、栞のテーマ、ミスブランニューデイ、夕方HOLD~、東京シャッフル、マチルダBABY、海、番外で夕陽に別れを~、かな~。今の気分で、とりあえずだっと選んだらこんな感じ。ちなみに自分は楽器が出来ないんで、楽曲の良し悪しの判断は、専らボーカルラインの魅力に拠ります。あと、ここ
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スージー節、炸裂。著者の本は様々読んできましたが、この本が一番がBS12の音楽トーク番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」の雰囲気に近いと感じました。彼の語りは長年の聴き手としての洞察&愛情の深さと大阪弁のイントネーションで増幅される軽妙さと広告代理店出身者らしいケレン味のある論理展開が魅力なのですが、それがこの新書ではかなり再現されています。(文字での大阪弁はないですが…)たぶん、かつての著作のようにアーティスト毎やレーベール毎の深掘りではなくて「0000年の○○○○」という連続コラムっぽい構成がそうさせているのかもしれません。そういえば、番組でも「0000年の○○○○」プレゼンテーション
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著者のスージー鈴木氏の見解を前面に押し出した邦楽ポップス通史。単なる事実の羅列から離れた、著者自身の音楽体験を基に書かれた文章だけに、同時代の雰囲気を感じ取りながら楽しむことが出来た。
著者の音楽への造詣の深さと、厚みのある論考に思わず唸らせられる。こうした音楽本はしばしば歌詞解釈に終始する“文芸本”に陥りがちであるが、本書ではサウンド面についても噛み砕いて解説しており、音楽評論家としての著者の矜持が窺える。
また、著者の姿勢として、「売れた音楽」に対する高評価が印象的であった。兎角音楽は分かる人に分かれば良いという、スノッブ的な面があることは否めない。しかし、時代性と大衆性の2本軸で書か -
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「歌う兼高かおる」「アーバン歌謡」「純粋音楽」…
サンド流に「ちょっと何言ってるか分からない」。
だが、読み進めていくと、なんかストンと腑に落ち、明菜が本当に目指したのかは定かでは無いが、たしかにそれに向かっていたような気がしてきた。
リバーブ(音に残響を加えるエフェクト)つまり、こもって聞き取りにくい音楽のアルバム「不思議」を初めて聴いた時、「なんなんだこのアルバムは!」と憤ったものだが、歌声も楽器の一部という解釈からみれば、なるほどな〜と感心した。好きではないが…
やはり私も「機能音楽」に近い「北ウイング」や「DESIRE」の方が、完成した「純粋音楽」の「水に挿した花」より好きな大衆なんだ -
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マキタスポーツさんとされている番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」(BS12)をいつも楽しみに見ているので、その番組の特集が詳しい本になったかのような内容、語り口に、たいへん親しみを感じながら読ませてもらった。中森明菜のデビューの頃、私は小学校高学年。「スローモーション」から「DESIRE」あたりまで(この本で言う<出現>から<飛翔>まで)は、その七変化の世界観や衣装をはじめとする曲ごとの演出に魅せられ、夢中で歌番組を見ていた。が、それ以降のアーバン志向強めの曲は、当時の私には大人っぽすぎて、彼女がどんどん遠いところへ行ってしまうようでさみしかった。けれど、いろいろあったのち発表され
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ネタバレ著者が選ぶ80年代歌謡曲を代表する名イントロ40。TOKIO、スニぶ、ルビ指、Roma止ま、夏扉、夏ナン。分かるのもあるけど目次を読んだ時点で「んんんーーーなんか合わない気がする」
勿論並んでるのは名イントロだけど聖子2、優1、ジュリー2、トシ1、マッチ1、少年1、由貴1。何?ソニーとサンミュとジャニーズに忖度っていうか弱み握られてる?なんか昔の「歌謡曲ベストヒット!」ってCD見たら全部ナベプロやんけってのを思い出すんだけど。大丈夫かね。君。80年代イントロで「スロモ」「ゆれ湘」「北ウイ」「秋そば」入ってないのはシンプルに謎なんだけど。おニャンコのじゃあねってアンタ。
4曲目。プリプリ「ダイ -
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ネタバレサザンの26曲をとりあげ、分析している。スージー鈴木さんならではの鋭さと軽妙さで面白い。
『78年8月31日夜。演奏が終わった瞬間、日本のロックが一段上に跳ね上がった。見えてきたものは江ノ島と、新しい日本のロックのありようだ。』
『ルイ16世「女呼んでもんで抱いてとか、おっぱいとか、これは暴動か?」
リアンクール公「いいえ、陛下、暴動ではございません。革命でございます。」』
『《いとしのエリー》たった一曲の中にも「誘い涙」「みぞりまじり」「泣かせ文句」という強烈な桑田語が並んでいた。これらは、言ってみれば、日本語ロックにおける「言語革命」の痕跡である。』
『ぜひ一度、歌っていただきた -
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明菜ちゃん1982-1991の音楽評論本。
元々曲選びやレコーディング、作詞家作曲家編曲家演奏家などとの交流エピソードが希薄な明菜ちゃんなので、部外者が書いても当時の内部者とほぼ同じ感じに仕上がる。まぁまぁの内容。
気になった点をいくつか。
デビュー候補4曲のくだり。筆者の感覚(スロモダントツ、銀河まぁまぁ、あなポよし、Tサン古過ぎはまさに私の感想と同じ。私の友人のアイドル基地外(1968生まれ。本人は聖子世代と言い張るけどどう考えてもキャンピンク宏美裕美世代。要はジジィ。)も似たような感じ。銀河安い条件でも?とのこと。てか本の感想に戻っていい?
少女Aについてのやりすぎギター。百恵の3