スージー鈴木のレビュー一覧

  • EPICソニーとその時代

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    EPICソニーが青春でした。渡辺美里が僕のアイドルでした。そんな人が他にも大勢いたのだとこの本を読んで思いました。最後に佐野さんのインタビューがありますが、佐野さんがソニーミュージックに戻ってくる(デイジーミュージックの販売を請け負う会社がユニバーサルからソニーに変わる)ことも最近ニュースになりました。わくわくしてきます。

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    2021年10月16日
  • 恋するラジオ Turn on the radio

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    青春と音楽…。
    ヤクザにメンツが欠かせないように青春には音楽がないと始まらない。誰しもが1曲や2曲、イントロが流れた途端鼻の奥がツーンとする甘酸っぱい想い出があるはず。

    本書は、著者自身の〈あの頃、あの場所〉に必ず側にあったラジオ。そこから流れてきた音楽。想い出綴りを〈周波数と西暦〉をリンクさせ、主人公をラジヲ君に託し、稲妻のように体を突き抜けた音楽をど真ん中に据えた自伝小説。

    話は『#1 東大阪のアリス〈1978kHz〉』。
    1977年 11歳にしてハガキ職人に憧れる5年生。お気に入りの番組は毎日放送『ヤングタウン』。日夜あの手この手を駆使しハガキを送る。才能は即開花。リスナー垂涎のヤンタンバッグ・キーホルダー・ステッカーを総ざらえ。そのラジオからは1977-78年にかけて冬の稲妻から怒涛のスマッシュヒットを連発したアリスのサウンド。そのアリスが、何と地元 東大阪市民会館でLIVEすると聞き、これは行かねば…と一策を講じる。チケット無しでの会場潜入作戦。いざ、ママチャリを駆って市民会館へ。

    これを皮切りに『#12 ふたたびの東大阪と細野晴臣〈2019kHz〉』を経て、2039年時空を超えた音楽旅が今まさに終わらんとしているラジヲ君のところに音楽の神様が粋な計らいをする。母親のお腹で聴いた『Final 日本武道館とビートル〈1966kHz〉』のシーンが浮かび上がる。

    本書に登場するアーティストは、サザン・レベッカ・達郎・オザケン・加藤和彦・クイーン…。

    渋谷陽一の激越な音楽評論に衝撃を受け、大好きなラジオ業界への就職を切望しながら夢は叶わず、モヤモヤな気持ちを、その折々の歌に絡ませ綴る著者の極私的体験なのに深く共感してしまう。

    すっかり色褪せた想い出が蘇ったり、章毎に付けられている注釈もたまらなく懐かしく、著書と同世代である同じ関西人だけに〈みなまでい言いな〜〉と小さくツッコんだ。

    そうそう、これまでの音楽への触れ方の変遷にも思いが及んだ。

    僕らの世代はテレビ・ラジオで知り、レコード→CDという変遷。中学時に買ってもらったラジカセでラジオを聴き、好きな曲が流れるとRECとPLAYを同時に押して録音。今や私語のエアーチェック。1番で切られたり、イントロに喋りが入ると舌打ちし、カセットテープはメタルにこだわり、慎重にレコード針を落とし、お気に入り歌だけ録音したマイベストテープ作りに精を出した。お洒落なLP用のビニール袋を大事に保管したり…。そのレコードも、マイケルのスリラーがヒットした頃に街に貸しレコード屋ができ、お猿さんが音楽を聴きながら瞑想するSONYのWALKMANのセンスあるCMが流れた。それが今やサブスク…。

    振り返ると、あの面倒な作業が音楽との関わりを深くしたし、22時から深夜までのラジオとの時間って、大人への階段を上り始めてる実感があった。

    70-80年代の空気をたっぷりまとった一冊。この本一冊で、あの時代に一気にタイムスリップはもちろんのこと、当時の仲間とウイスキー飲りながら、語り合いたい症候群に駆り立てられること間違いなし!

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    2021年08月11日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    初期のサザンも、勢いがあってよかったですね。後に希望の轍や、Tsunamiのようなしっとりとした歌も歌えるようになっていて、当時からみると不思議な感じがします。

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    2021年05月04日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    歌謡曲評論家として著者が名を成す前の、勢いと思い入れのあるアーチストに捧げられた著作。アルバムカマクラまで解説。
     デビュー期・怒涛期・AOR期(まー売れなかった。しかし今振り返ると名曲だらけ)・結婚期・モンスター期、私なりにカマクラまでを分類するとこんな感じだが、年ごとに区切っているので本のほうが冷静か。
     とにかく情報量がぱないし、マイルスもエバンスもごっつぁんの中山康樹の本よりもリアタイの素直さが発揮されててアラフィフには特におすすめ。著者はボブクリアマウンテンがしょせんアジアの田舎バンドとバカにした綺麗を推してたが、私はステレオ太陽族と人気者で行こうの2作を推すAOR派です。

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    2020年10月08日
  • イントロの法則80’s 沢田研二から大滝詠一まで

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    「ザ・カセットテープ・ミュージック」を見て、一気に著者のファンになり購入。
    今までの音楽評論とはちょっと違う、イントロ解説本。
    掲載された40曲には「8割がた」異論なし。

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    2020年07月05日
  • イントロの法則80’s 沢田研二から大滝詠一まで

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    物事を考察するには、ある一点に着目し、そこから一気通貫。水面下にあったものが見えてきたり、全貌が明らかになったりする。そう、本書は演繹法的考察でもって「80年代の誰しもが知るヒット曲のイントロに着目した評論本」。

    評論と謳っているので、そこにはノスタルジーさもなければ、酒場でついつい語りたくなるクリス松村が開陳するようなトリビアもない。

    著者は語る。ポップとラディカル、アナログとデジタル、進化と成熟。それぞれの配合比率が黄金律まで極まったのが80年代のヒット曲。その黄金律のエッセンスがぎゅうぎゅうに詰まったのが「イントロ」。所謂「ツカミ」。小説でいうところの書き出し。

    漱石の『草枕』なんて、その代表格。「智に働けば角が立つ。情に棹させば意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」は未読の人でもどこかで耳にしたことのある一節。

    小説は数行、音楽は数秒・数小節。
    「このツカミで、1億人の首根っこつかんで、振り向かせてやるぜ!」の野心が、あの手この手、あれもこれもぶっ込み作り上げた数小節。ドヤ顔したアレンジャーが眼前に立ち昇る。

    ちなみに、僕史上イントロNo.1は異邦人。歌がイントロの添え物に思えるほど主客転倒した名曲は80年代直前の79年。

    著者が紹介する1曲目は、歌謡曲史上最もカッコよくて最も胡散臭いイントロだと断言するジュリーの「TOKIO」の16小節。

    カッコよさに「胡散臭さ」フレーバーをまぶしたのは編曲を担当した、あの後藤次利の仕業。もちろんイントロの音楽的分析もきちんとされていてギター巧者の方なら、「はっは〜ん、なるほど〜」と数行の解説で膝を打つことでしょう。

    60年代、70年代それぞれに栄華を極めたジュリーが、「3度目の花を咲かせたろ!」と助平根性丸出しで臨んだ一曲が80年代幕開けの元日にリリースした「TOKIO」。この16小節のイントロとともに、過去の栄光にバイバイし、幕開けホヤホヤの80年のTOKIOの夜空を飛翔。

    ノスタルジーに陥らず、マニアックに溺れず、「TOKIO」から「君は天然色」まで、歌謡曲史上最強40イントロを選び、1曲1曲、1イントロ1イントロについて、その最強ぶりを、高さ・広がり・奥行きをきちんと測定しながら語った渾身の一冊。

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    2019年06月01日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    「国民的」などという窮屈な形容詞がつく前、デビューから「KAMAKURA」までのサザンの楽曲と活動について著者の思いが詰まった一冊。当時の音楽シーンを織り込みながらの評論は丁寧で、アーティストや事件に関する注釈は「ニューミュージック」を知らない読者にとって親切なだけでなく、リアルタイムで聞いてきたファンにとっては当時の情景が懐かしく甦る。

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    2017年09月24日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    新書のあとがきを読んで涙が出るなんて、あるんやろうか。
    いやぁ、やられました。


    デビューから二枚組アルバム『KAMAKURA』を経て活動休止に至るまでの初期サザンを一年ごとに分けて追う。

    全曲批評してた中山康樹さんの『クワタを聴け』よりも当時の空気感や比較分析、当時の日本の状況・空気感、そしてサザンを愛する主観が上手くミックスされていて、非常に面白かった!

    サザンのことあんまり知らなかったり、僕のように『KAMAKURA』をリアルタイムで聞いたこと無い世代(1986年です。)にこそオススメしたい。

    いきなり売れ過ぎたからこそ過少評価されてしまう、その「初期の総括」をしていくと、NHKの会長がしたような(若い広場に対する)「調べたけど歌詞いみがわかんない」的な発言はしなくなるんやと思う。

    なるほど、「はっぴいえんど史観」とはうまいこと言うたもんですな。

    ものすごく読みやすいです!

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    2017年09月16日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    サザンオールスターズ読本。
    私も高校~大学時代がサザンの全盛期だったから当時の熱気が凄く判る。
    キワモノバンド扱いだったデビュー曲、同じ路線で来たセカンドシングル、そして困惑の極みに人々を陥れた名曲「愛しのエリー」。
    確か当時、ザ・ベストテンで初登場から1位になるまで2ヶ月近くを要しハズ。こんな曲、作れるんだ、と思ったものだった。
    ツイストがライバルと見做されていてザ・ベストテンに二組揃うと必ずバカ騒ぎ。アリスはテニスウェアで歌い、サザンは短パン一丁で歌う。
    今思えばみんな恥ずかしい恰好で歌っていた。
    「勝手にシンドバット」は名曲である、は大賛成。「メロディ」が名曲である、は筆者の思い入れ過ぎか?
    私の一押しは「栞のテーマ」である。娘を「栞」と名付けようかと思ったくらいだ。残念ながら当時は「栞」は人名漢字ではなかったので断念したが。
    「ステレオ太陽族」は初期の傑作だと思っていたが著者によるとダメらしい。「綺麗」が傑作なんだそうだ。う~む、判らん。
    各アルバムの全曲紹介があり、どれも懐かしく読むことが出来た。
    LPは持っていが、CDに移り変わっていく時期に全部捨ててしまいCDを買い直すほどの楽曲でも無い、というのが今の私のサザンの位置づけだ。
    「KAMAKURA」だけ何故かカセットで買ったので今も手元にある。そしてCDで買った「夏のYeah!」だけが今の手持ちのサザンである。思い入れで書く音楽評論は熱くていいね。

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    2017年08月31日
  • サザンオールスターズ 1978-1985(新潮新書)

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    これは買ってしまいます。大ファンとしては気になってしまうんだな~。目にしてしまった以上、素通りできない。内容もなかなかで、あまり知らなかった事実とかも書かれていて、結構楽しめました。というか、興味深くて一気に読み通しちゃいました。KAMAKURAまでで10曲となると… 勝手にシンドバッド、思い過ごしも~、C調言葉~、いなせな~、栞のテーマ、ミスブランニューデイ、夕方HOLD~、東京シャッフル、マチルダBABY、海、番外で夕陽に別れを~、かな~。今の気分で、とりあえずだっと選んだらこんな感じ。ちなみに自分は楽器が出来ないんで、楽曲の良し悪しの判断は、専らボーカルラインの魅力に拠ります。あと、ここまではリアルタイムに体験していないサザンなんで、全部後追いで聴いて好きになった結果がこれ。いやそれにしても改めて思ったのは、サザンと同じ時代を生きられて良かったです、ってことでした。

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    2017年07月24日
  • チェッカーズの音楽とその時代

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    ”その時代”ってタイトルについてるから、チェッカーズを中心に、その時代を彩ったアーティストや楽曲を再評価する、みたいな内容かと勝手に想像してた。実際はチェッカーズ一辺倒なのでした。その全キャリアシングルを通して、彼らの偉業をもう一度、っていう主旨でした。チェッカーズの活動期を、かなりど真ん中で通過した世代ではあるので、ベスト盤も含めてシングルは大方分かるし、本書への親和性も高かった。そしてあらためて、良い曲が多かったな、と。”シェリー”が最高ってのは、自分的にも結構同意。また聴き返したくなった。

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    2026年09月17日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    知るものも知らぬものも、その章を読むときにはその音楽を聴きながら。ポップスの歴史を紐解きながら。大変刺激的だった。

    著者の、思い入れを極力排除した物書きも心地よく読む側もフラットに音楽を捉えることが出来た。つい熱を入れがちになるものなので、その高い技術力に脱帽。

    取り上げてるアーティストは無論、時代を作ってきた方々なのは間違いないので異論なし。いやー音楽って本当にいいものですね。

    もっと多軸にわたっている私の音楽遍歴も、いつか作品にしようかしら。なんてな。ほほほほほ。

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    2026年08月31日
  • 大人のブルーハーツ

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    小学時代、能動的に音楽を聴くようになったきっかけが、ブルーハーツのTRAIN-TRAINだった。当然思い入れもひとしおで、本書でも特に重点的に扱われている初期の3枚は、それこそテープが擦り切れるまで聴いた(実際、当時はカセットテープで聴いていたので)。その歌詞世界は、小学生には十全に理解できていなかったにせよ、『なんか凄いこと言ってるぞ』っていうインパクトは相当なものだった。だからって、自身が夕暮れたりはしなかった訳だけど、本書でも触れられているように、演奏者が強面じゃなく、優しいロックとして受け止めることが出来たのが良かった。いまだに、ふとした機会に聴き直したり歌ったりするんだけど、ほんとワクワクしますわな。これ読んだら、また聴きたくなってきた。

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    2026年08月31日
  • 平成Jポップと令和歌謡

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    個人的サブスク利用元年ってこともあり、特に2010年代以降を扱った音楽本を求めている昨今。ジャニーズ系・~48を中心としたアイドル系・EXILE系でほとんどを占めていた(ように個人的には感じていた)ことと、プライベートで音楽を聴く時間が少なくなった影響で、いわゆるヒット曲的なものを圧倒的に聴かなくなっていたので、久しぶりにちょっと燃えている自分がいる。上記のアーティスト群に占められたチャートは、やっぱり不健康で貧しいし、自分が興味をなくしていたのも、ある程度むべなるかなと思える。そしてふと気が付けば、素晴らしく芳醇な音楽シーンが戻っていたことに快哉を叫びつつ、本書を手掛かりに、もっともっとを探っていくのであった。
    ところで、本書出版以降、そろそろちょうど5年のタイミングなんだけど、続編は出ないのかな?

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    2026年08月26日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    スージー鈴木(1966年~)氏は、東大阪市生まれ、早大政経学部卒、博報堂に入社しマーケティング分野で活躍する傍ら、FM東京で「スージー鈴木」としてラジオに出演、『週刊ベースボール』で野球文化について連載、また、音楽評論家として多数の著書を刊行するなど、多方面で活動している。
    本書は、日本ポップス界について、「その音楽家がいちばんすごかった時代」と「その時代の中でいちばんすごかった音楽家」という二つの軸を掛け合わせることによって、その通史を描いたもので、カバーする年代は1966~2023年、登場するアーティストは26人(組)である。
    私は鈴木氏とほぼ同世代で、1970年代半ばから、風やチューリップ、80年代前半から、大瀧詠一、山下達郎、角松敏生、杏里など(加えて、ボズ・スキャッグスやクリストファー・クロスなどのAOR、ボストンやジャーニーなどのメロディアス・ロックも)を好んで聞いていたが、「1972年の財津和夫」、「1974年の荒井由実」、「1979年の小田和正と鈴木康博」、「1981年の大瀧詠一」、「1982年の山下達郎」あたりには、背筋がぞくぞくするような、何とも言えない感覚を覚えた。
    例えば、以下のような記述だ。
    1972年の財津和夫・・・「ビートルズの影響をもろに受けて、・・・カラフルなコードの響きを日本に持ち込んだバンドがチューリップであり、その首謀者が財津和夫」、「「カノン」「クリシェ」「メジャーセブンス」「対位法」…あれもこれもチューリップ、つまり財津和夫によって、日本ポップス史の中に解き放たれたと言っても過言ではない。」
    1974年の荒井由実・・・「荒井由実の登場は、・・・いわば日本ポップス史上、最大級の革命だった」、「ユーミンの音楽的な革命とは、つまり「コード革命」だった・・・。聴いたことのないコードの使い方、聴いたことのないコードの響かせ方、聴いたことのないコードからコードへの進み方…。」、「少女時代からクラシックピアノを学び、早熟な環境で中学時代から、洋楽ロックやGSに傾倒した土壌に、美術大学に入るほどのアートの感性を上乗せした感覚と才能。だからこそ生み出せた画期的で絵画的なコード進行。」
    1979年の小田和正と鈴木康博・・・「「何かが違うぞ」-ふきのとうどころか、アリスや松山千春、中島みゆきとも。そして、今盛り上がっているゴダイゴとも。つまりは他の「ニューミュージック」とは違う種類の音楽-。」、「彼らの音楽作りのポイントは「洋楽感」にあったように思う。それもローリング・ストーンズなどではなく、ボストン、イーグルス、クイーン、カーペンターズなど、同じようにマルチトラックを駆使した分厚い音によって、日本人好みの洋楽バンド/ユニットのエッセンスがあった。例えば、『愛を止めないで』からはボストン、特に『遥かなる思い(A MAN I’LL NEVER BE)』、また『さよなら』のギターソロからはイーグルス『ホテル・カリフォルニア』の香りがした。」
    1981年の大瀧詠一・・・「真の意味での「ポップス」-高度経済成長の中で育った、ある程度豊かになった若者層に向けられていて、明るくカラッとした曲調で、夜の酒場ではなく、カフェやドライブのBGMとして聴かれるような、つまり「若者の生活の必需品」という意味での(狭義の)ポップス作品という意味では、ロンバケが日本において、その端緒」、「それは、日本の若者が、それまで聴いたことのない音だったし、その爽快感・痛快感は、ロンバケ制作のきっかけとなったという、J・D・サウザー『ユア・オンリー・ロンリー』を遥かに超えた、いわば世界的にも稀有な爽快・痛快サウンドだった。」
    1982年の山下達郎・・・「『SPARKLE』のあのイントロこそが、・・・「第一期山下達郎」における音楽性の完成形」、「1年前発売の大瀧詠一『A LONG VACATION』とともに、これまでの邦楽には予兆すらなかった突然変異種(予兆があったとしたら、山下達郎のそれまでのアルバムだけ)。・・・「理屈も知識も要らない、ただただ、新しく、かっこよく、おしゃれな音楽」の完成形。そんなアルバムとしての音楽性は、ジャケットの2次元に具現化されていた。『A LONG VACATION』と『FOR YOU』は、日本のポップス史上、ジャケットと音楽性の統一感においてツートップ」
    私は当時、ただただ、心地よく、かっこよく、おしゃれな音楽として聴いていただけだが、鈴木氏の思い出や当時の時代風潮の記述には、とても懐かしさを覚えたし、加えて、音楽性の分析・考察については、なるほどそういうことなのかと思うことばかりで(しばしば出てくる「コード」に関しては、音楽の専門知識がなく、十分に理解できないのが残念だが)、大変興味深かった。
    シニア世代には懐かしく、若い世代には、なぜ今、再びシティポップが注目されている(それだけクオリティを評価されている)のかがわかる、これまであるようでなかった一冊である。

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    2026年06月19日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    ラジオの語りと同じ調子で読める。超個人的な趣向に基づくが、聴いてこなかったアルバムを手に取ってみようと思わせる。

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    2026年05月02日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    日本ポップス史について。

    自分が生まれる前から、直近の2020年代のポップスまで幅広く書かれており、勉強になった。。

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    2026年02月16日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    ■はじめに
    今年でタイガースのファン歴は53年になる。これだけ長く贔屓を続けていると、〈あの時のあの選手は凄かった〉〈あのプレイは本当に痺れた〉─そう語り出そうとすれば、二つや三つは即座に浮かぶ。

    たとえば、1973年の田淵幸一のホームラン。生ビール一杯で30分は軽く語れますな。ジャンボ鶴田の高く、美しく、破壊力のあるドロップキックを、滔々と語る知り合いもいる。

    本書は、そんな“語りたくなる衝動”を、日本のポップスに向けて真正面から引き受けた一冊。

    著者のスージー鈴木が、これまで浴び続けてきた日本のポップスを、通史として描き切ろうとした野心作。しかもです、既存の定説に対して、明確なアンチテーゼを携えて。─さあ、行ってみよう!

    ■内容
    1966年から2023年までの57年間、ロック・フォーク・ニューミュージック…、日本のポップスの流れを俯瞰しつつ、著者自身が初めて耳にした際の「腰を抜かさんばかりの衝撃」を随所に織り込みながら語られる、日本ポップス史。

    本書のコンセプトは明快。
    「あの音楽家がいちばん凄かった時代」×「あの時代にいちばん凄かった音楽家」。

    アーティストは何が優れていたのか。何を成し遂げ、何を次世代へ手渡したのか。1960年代の勃興期から現在に至るまでの進化の道筋を、〈時代性〉〈大衆性=セールス〉という視点を含めて丁寧に追っていく。作品性にももちろん目配りはある。でも最終的な評価ポイントは、きわめてシンプル─「売れたかどうか」。

    敬意と愛情に満ちたパッション溢れる文体に加え、時にコード進行の解説まで飛び出す。楽譜や楽器に親しんだ人なら、その凄味を二重に味わえる一冊。

    ■感想
    まえがきに掲げられた「日本のポップスの通史を書きたい!」という言葉。あくまで“表向き”だと、僕は読んだ。

    実際の執筆動機は、日本ポップス史に長年まとわりついてきた「はっぴいえんど中心史観」に対して、一言申し上げたい–そう、先述したアンチテーゼ。その思いが、かなり強く滲んでいる。

    著者の「はっぴいえんど中心史観」とは何か?
    作品性を過度に尊重するあまり、「売れなかったけど凄い」ひいては「売れなかったから凄い」という評価が一般化し、日本語ロックの起点ははっぴいえんどであり、それ以前の日本にはロックは存しなかった──という見立てに収斂していく構図。

    さらに、はっぴいえんどを褒めておけば、「音楽が分かっている人」に見える。結果として、「はっぴいえんど=日本語ロックの創始者」というブランド価値だけが、年々強化されていく。

    本書はそうした“後講釈の歴史評価”を潔く退ける。「あのアーティストは時代を先取りしていた」、
    「10年後に出ていれば評価された」といった仮定法を良しとせず、その時代なりの答えを出した音楽を正当に評価する。たとえば、ザ・スパイダーズ、吉田拓郎、キャロル。

    作品性という曖昧な物差しではなく、〈時代性〉〈大衆性〉という、逃げ場のない評価軸を提示する姿勢が、実に痛快。

    ただ著者自身、「はっぴいえんどから脱却し、ポップス史をニュートラルに眺めるまでに、かなりの時間を要した」…と率直に語っている。

    僕自身、「そもそも、はっぴいえんどってロックなの?」と首を傾げてきた一人なので、この提言は実に刺激的だった。

    ロックとは、ビートとリズムが合致した楽曲なのか。それとも先進性なのか。アヴァンギャルド性なのか。未だに答えは見つからない。

    だからこそ、スージー鈴木には、あらためて〈日本ロックとは何か〉について、一冊まるごと書いてほしいと思う。

    ■最後に
    「歴史書に客観中立などあり得ない。制作者の主観は必ず入る」というスージー氏の言葉に、思わず膝を打った。チャーチルが「歴史は勝者によって作られる」と言ったように、歴史とは常に誰かの視点に規定される。それでも人は、その主観にまみれた歴史を知り、そこから学ぼうとする。

    本書は、日本ポップス史の大きな流れを掴ませてくれると同時に、ニューミュージック旋風の風上にいた“当事者の一人”である僕に、あらためて、その凄さと偉大さを思い出させてくれた。

    ──これはもう、Spotifyを開かずにはいられない。そんな読後感を残す一冊。

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    2026年01月19日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    スージー節、炸裂。著者の本は様々読んできましたが、この本が一番がBS12の音楽トーク番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」の雰囲気に近いと感じました。彼の語りは長年の聴き手としての洞察&愛情の深さと大阪弁のイントネーションで増幅される軽妙さと広告代理店出身者らしいケレン味のある論理展開が魅力なのですが、それがこの新書ではかなり再現されています。(文字での大阪弁はないですが…)たぶん、かつての著作のようにアーティスト毎やレーベール毎の深掘りではなくて「0000年の○○○○」という連続コラムっぽい構成がそうさせているのかもしれません。そういえば、番組でも「0000年の○○○○」プレゼンテーションフォーマットが多かったような…。で、調べたらなんと今日が一年一回(?)の「第9回カセットテープ大賞」のオンエア日でした。この感想書いてないとチェックできなかった!観なくちゃ!でも、なんか不思議…本てこういう偶然連れてきますよねぇ〜。この新書に戻ると時代とアーティストの紐付けにいちいち自分が過ごしてきた感覚が言語化される快感を覚えます。だからこそ「1994年の小沢健二」と「2016年の宇多田ヒカル」の間の22年の空白がとても気になりました。あの時、時代は何を聴いていたんだろう?自分は何を耳にしていたんだろう?ちょうどiPod時代なんだだよなぁ。音楽が街からMP3プレーヤーの中に移管されたタイミングなのかもしれません。

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    2025年12月22日
  • 日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか

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    書店で気になったもの。期待通り。サザン本も面白いんだけど、取扱い範囲を音楽全般に広げても、やっぱり興味深い書が出来上がるんですね。素晴らし。だいぶ偏食で、かつニッチな方ばかりを攻める聴き方しかしてこなかったけど、その反動か、最近は王道ポップスへの渇望が強い。本書でも触れられるように、サブスクっていう強い武器を手にした現代だからこそ、せめて本書で取り上げられたような作品群くらいは味わってみたい。

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    2025年11月21日