あらすじ
吉田拓郎からVaundyまで。時代の「てっぺん」を取った音楽家をつなぐ通史!
「あの音楽家がいちばんすごかった時代」と「あの時代にいちばんすごかった音楽家」、両者の視点から生まれた無二のポップス史。
レジェンド音楽家が何を成し遂げたのか、そして誰に何を継いだのか――日本の大衆音楽史に一本の進化論軸を通す。
本書は日本のロック、フォーク、ニューミュージック……「日本ポップス史」の全体像を知りたいと思ったときにまずは手に取るべき設計図、見取り図となるだろう。
「作品性」だけに傾倒するのではなく、「時代性」、ひいては「大衆性(≒セールス)」までをしっかりと捕捉したスージー鈴木流の「通史」がここに誕生。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
書店で気になったもの。期待通り。サザン本も面白いんだけど、取扱い範囲を音楽全般に広げても、やっぱり興味深い書が出来上がるんですね。素晴らし。だいぶ偏食で、かつニッチな方ばかりを攻める聴き方しかしてこなかったけど、その反動か、最近は王道ポップスへの渇望が強い。本書でも触れられるように、サブスクっていう強い武器を手にした現代だからこそ、せめて本書で取り上げられたような作品群くらいは味わってみたい。
Posted by ブクログ
著者のスージー鈴木氏の見解を前面に押し出した邦楽ポップス通史。単なる事実の羅列から離れた、著者自身の音楽体験を基に書かれた文章だけに、同時代の雰囲気を感じ取りながら楽しむことが出来た。
著者の音楽への造詣の深さと、厚みのある論考に思わず唸らせられる。こうした音楽本はしばしば歌詞解釈に終始する“文芸本”に陥りがちであるが、本書ではサウンド面についても噛み砕いて解説しており、音楽評論家としての著者の矜持が窺える。
また、著者の姿勢として、「売れた音楽」に対する高評価が印象的であった。兎角音楽は分かる人に分かれば良いという、スノッブ的な面があることは否めない。しかし、時代性と大衆性の2本軸で書かれた本書は、ポップス初心者に最適のミュージック・ガイドになっている。
一つ内容に触れるならば、本書は日本語ロックの起源ははっぴいえんどであるという論を採用していない。ザ・スパイダースやザ・フォーク・クルセダーズの活躍にも触れた上で、はっぴいえんどを語るあたり、著者の邦楽ポップス通史には厚みがあると言える。