スージー鈴木のレビュー一覧
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「ひよっこ」って初めて録画をしてまで見た朝ドラでしたが、テーマソングの桑田佳祐の声が高度経済成長期の多幸感を包み込んでいて、まさに「国民的歌手」という存在感を発揮してたと思います。だけど初めてサザンをテレビで見た時、彼はジムショーツで舞台を駆けまわっていて、そのインパクトは「勝手にシンドバット」という楽曲に負けず劣らず強大で「特異なもの」を見たということを覚えています。そんな「特異点」がなぜ「国民的」になったのかを、まるでビッグバンから宇宙の基本構造が出来るまでの「最初の1秒」を解説するかのように1985年までの初期のアルバムを詳細に論評し、しかも筆者のライフヒストリーと重ね合わせていく、という「思い入れ」と「なるほど」がたっぷりの本です。今まで歌謡曲というジャンルが崩壊していく流れの中でニューミュージックが生まれJ-POPに乗り替わられていく、という漠然とした音楽歴史観を持っていたのですが、そういう構造を超えたロックの土着化みたいな作業がサザンの作業だったのか、としみじみ。そういう意味では山下達郎と桑田佳祐は違うコース同じ目標で走り続けている?と思いました。
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デビュー曲「勝手にシンドバッド」から
アルバム「KAMAKURA」までの"初期サザン"が、
日本の音楽史に与えた影響と、
サザンの軌跡を年代ごとに分析しまとめた本。
私はサザンのデビューを見た世代ではないし、
本書で挙げられているアルバムや名曲たちをリアルタイムで聴いてきたわけではないが、
だからこそ、この本を読むことで当時の時代の波というか、熱を感じることができた。
流行り廃りが目まぐるしいなかで、40年近く経った今も色褪せない「勝手にシンドバッド」は、本当に、すばらしいという言葉では足りない、言い尽くせないほどの名曲だなぁと。
著者の評価には共感するところも、うーんと思うところもありますが、読んでいて面白かったです。こういう見方(聴き方)があるんだ、と思いました。
桑田さんの歌詞のすごさについての考察がとくによかった。
本書で出てきた曲で個人的にベストテン作るなら、「勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」「思い過ごしも恋のうち」「ラチエン通りのシスター」「C調言葉に御用心」「海」「シャ・ラ・ラ」「私はピアノ」「夏をあきらめて」「Bye Bye My Love」かなぁ。 -
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ネタバレ<目次>
はじめに~こんなもん、ただの歌詞じゃないよ
第1章 胸騒ぎの腰つき(1978~1985)
第2章 米国は僕のヒーロー(1986~2010)
第3章 20世紀で懲りたはずでしょう?(2011~2022)
終章 桑田佳祐と戦後民主主義(1945~2022)
<内容>
桑田佳祐の(サザンオールスターズ)の歌詞を元に、彼に生き様や時代背景などを(類推しながら)解いていった本。まあ、著者の言うとおり、当初は意味のなさげな(ありげな)和洋折衷の歌詞を曲につけて、やがて確信犯的に自分の気持ち(日本や世界の良くない政治の流れ)を歌詞にぶち込んでいるんだろう。そう思う。 -
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『アンジェリーナ』、『そして僕は途方に暮れる』、『My Revolution』、BARBEE BOYS、ドリームズ・カム・トルゥーなど、80年代のキラキッラな音楽を生み出してきたEPICソニー。
名曲の分析、レーベルの歴史、プロデューサー小坂洋二、佐野元春インタビューを収録。
冒頭でそれぞれの曲を最初に聴いたときの思い出が書かれているんですが、これよくわかる。最初に聴いたときを覚えているくらいEPICソニーの曲というのは新鮮で衝撃的でした。
私の場合、『そして僕は途方に暮れる』は校内放送。クラスで一番かわいい女の子を捕まえて「これ誰の曲?」とたずねました。特別仲が良かったわけでもないのになぜその子に聞いたのか。彼女なら知ってるはずとなぜか思った。
バービーボーイズは陸上部の後輩でマネージャーの順子ちゃんが「先輩こういうの好きだと思う」ってテープをくれました。最初に聞いたのは『負けるもんか』。
ドリカムは渋地下で短期バイトをしていたときにラジカセから繰り返し流れていた『うれしはずかし朝帰り』。この時もバイト先のかわいい女の子に「誰の曲?」と聞きました。あとからわかったけど彼女がドリカム好きなんでほかのバイトくんが彼女のためにかけていたらしい。
「EPICソニーのアーティストは美男美女」というのはわりと真髄をとらえているのではないかと思います。
私にとってEPICソニーとは「おしゃれな子が聴いているかっこいい音楽」で、そのキラキラ感にあこがれた。
90年代になってキラキラ感がごく普通のものになり、J-POPになっていく過程で失われていってしまうのですが、今聴いてもやっぱり眩しいなあ。
佐野元春がインタビューで素で「キッズたちが」とか言ってるのかっこよすぎ。日常会話でキッズ言って様になるのは彼くらいでしょう。
以下、引用。
シティポップ歌謡
『セーラー服と機関銃』『約束』『ドラマティック・レイン』『初恋』
「シティポップ歌謡」を聴いて思い出すのは、82年の若者たちの見てくれである。ハマトラ、ニュートラ、プレッピー。華やかで明るい色のファッションを堂々と着こなし、ヘアスタイルは、丁寧にブローされたパーマネント
「日本の歴史上、若者が一番小綺麗だった時代」ではないだろうか。
井上大輔メロディ
『街角トワイライト』
『ZIG ZAG セブンティーン』
『め組のひと』
『ボヘミアン』
『2億4千万の瞳』
『気ままにREFLECTION』
「日本2大『あの夏のカーブ』楽曲」
『ガラス越しに消えた夏』
『夏のクラクション』
「EPICソニーの音楽家は美男美女ばかり」
80年代EPICソニーのあの音、あの世界が、時代のデフォルトになってしまった。
MVの存在も大きかったですね。EPIC・ソニーでは、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を見た丸山さんが「これで行く!」と方針を固めた。我々にとっては、テレビ局に頭を下げて歌番組に出なくても、映像表現できるツールを手に入れたということでした。
佐野元春の作品をCCCDでリリースしたいというソニー・ミュージックエンタテインメントと、佐野の間でコンフリクトが起きた。これが、佐野がEPIC・ソニー/SMEを離脱する1つの引き金となった。
当時、僕のところには、たくさんの歌詞や文章やデモテープが送られてくるんですけど、その中に、とてもユニークなエッセイのような文章がありました。書いたのは女性だったのですが、彼女に連絡を取って、何度か会ううちに「歌詞にトライする気はありませんか?」とデモテープを渡しました。この曲がTM NETWORKのファーストアルバムに収録された《金色のライオン》という曲で、歌詞をつけるのはとても難しいだろうと思っていたのですが、1か月後、私の机に、そのデモテープと「私には無理です」と記された置き手紙がありました。その女性が、現在の銀色夏生さんです。
彼(岡村靖幸)は映画好きで『ゆきゆきて、神軍』という映画に興味を持ち、私を質問攻めにするんです。また井上光晴を描いた映画『全身小説家』を、映画館で一緒に観ましたね。
自分の音楽のベースはロックンロール音楽だということ。都市の音楽。スリっ傷だらけの子供たちが歌ってダンスする音楽。とにかく街で生まれて、街で暮らすということは、子供たちにとってはタフなことなんだよね。すでにでき上がったオトナの価値観の中で生きていくということは、そこに抵抗するべきものが、たくさんあるわけなんです。それを反抗的に歌ったり、ロマンティックに歌ったり、シニカルに歌ったりするのが、ロックンロール音楽だと僕は思っている。
スペクター・サウンドの真髄とは何か。僕が思うにそれは都市の音。都会の音。街の音。ニューヨークやロサンゼルスといった街のロマンティシズムが体現されたサウンドです。人々の欲望や喜びが混じり合った混沌とした音がウォール・オブ・サウンドの真髄だと思う。
彼らにとってロック音楽はただのエンターテインメントなんだろうと思う。でもロック音楽は表現であり文化だと思っている人もいる。僕もそうだ。
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1978年にCBSソニー内に設立されたレコード会社、EPICソニーは佐野元春、大江千里、渡辺美里、大沢誉志幸、BARBEE BOYS、岡村靖幸、DREAMS COME TRUEなど、80年代~90年代序盤の日本の音楽シーンを彩る多数のアーティストを輩出した。まさに80年代という時代を代表するといってもよいEPICソニーというレコード会社が、ここまで目を見張るような成果を出せたのはなぜかを、個々のアーティスト・作品の分析と合わせて、関係者らのインタビューから解き明かした一冊。
本書の半分くらいは、EPICソニーから生まれた数々のヒット曲の分析となっているが、こちらについてはさほどの面白みはない。面白いのは、EPICソニーの活動を丹念に追いながらその特徴をまとめた後半部分であり、名プロデューサーである小坂洋二と、アーティスト側からは佐野元春という両氏へのロングインタビューである。
一言でまとめればEPICソニーの特徴とは、CBSソニーの子会社でありながら、非常に高い自由度・独立性を武器として新人アーティストを徹底的に獲得・育成できたシステムにある。そしてレコードレーベルとしての音楽の共通性を「歌謡曲とニューミュージックとロックの3つの交点」であるとする。70年代の日本の音楽シーンは一般的に歌謡曲とニューミュージックに代表されるわけだが、その2つのポピュラリティを活かしつつ、新たな日本語ロックを作りたいというアーティスト側の工夫によるロックの要素が絶妙なバランスでミックスされた、という説明は非常に納得感のあるところであった。 -
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このところずっと日曜日の夜9時は、BS12と決まってました。マキタ・スポーツとスージー鈴木の日本ポップス(J-POP以前も含む)を巡る奔放でエッジが効いていて、しかもディープなおしゃべりが、さあ、明日から月曜日!という週末の最終コーナーのリラックスタイムでした。元アイドリングの女の子がおじさん二人のマニアックトークにチンプンカンプンな感じも、可愛いいのです。語る素材はまさに自分にとってもドはまりミュージックなのですが、ずっと聴いていなかった曲、すっかり忘れていた曲や、まったく知らない曲もあるので見た後はYouTube三昧のベッドタイムに突入でした。自分が視聴し始めたのは一昨年ぐらい。2017年放送開始当時のオンエアをみたいと思っていました。特にユーミンのコードとメロディを語った回に巡り会いたくて、結果的に本書にたどり着きました。本で読んでもわかるようにコード図解も掲載されているのですが、あー、やっぱり音で聴きたい。ユーミンコードに胸を締め付けられて来た世代ですが、ユーミンってコードから曲を作ったことはなく、先にメロディを作って、そこから自由にいろんな音を当てはめて、新しいコードを作っていった、という記載に、ユーミンの唯一性を感じました。コードの流れだけを聴いても、絵画的で、マキタ・スポーツの「私と正隆さんがやっているのは、そういう絵を見せること」みたいな真似も、本じゃ伝わらない!残念!もっと残念なのはこの本読み終わったら、この番組に一時休止のニュースが入って来たこと…おじさん、日曜の夜はどう過ごせばいいの?