あらすじ
70年代、80年代、90年代~行間からヒット曲が聴こえる。
2039年。
今まさに、この世を去ろうとしているラジヲ君は、
音楽の神様から、「恋するラジオ」を渡された。
「恋するラジオ」は、音楽を愛した者だけに手渡されるもので、
人生の中で、とりわけ印象的だった音楽と、その音楽が響き渡った街を、
一つひとつ確かめる時間旅行への操縦桿のようだ。
―――あの日、あの時に戻れたら……
あなたの「恋するラジオ」からは何が流れるだろう?
あなたが、人生の最期に聴きたいのは誰の曲?
アリス、サザン、達郎、オザケン、クイーン、そして、ビートルズ・・・
恋するラジオに誘われて、時空を超えた音楽の旅が今、始まる!
懐かしくも甘ずっぱい、著者初の「音楽私小説」。
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Posted by ブクログ
ほぼ同世代。まったく同じように生きててすごいな。大学がいっしょだったら(その可能性も濃厚にあった)物理的にも何度もすれちがっていたことだろう。
Posted by ブクログ
青春と音楽…。
ヤクザにメンツが欠かせないように青春には音楽がないと始まらない。誰しもが1曲や2曲、イントロが流れた途端鼻の奥がツーンとする甘酸っぱい想い出があるはず。
本書は、著者自身の〈あの頃、あの場所〉に必ず側にあったラジオ。そこから流れてきた音楽。想い出綴りを〈周波数と西暦〉をリンクさせ、主人公をラジヲ君に託し、稲妻のように体を突き抜けた音楽をど真ん中に据えた自伝小説。
話は『#1 東大阪のアリス〈1978kHz〉』。
1977年 11歳にしてハガキ職人に憧れる5年生。お気に入りの番組は毎日放送『ヤングタウン』。日夜あの手この手を駆使しハガキを送る。才能は即開花。リスナー垂涎のヤンタンバッグ・キーホルダー・ステッカーを総ざらえ。そのラジオからは1977-78年にかけて冬の稲妻から怒涛のスマッシュヒットを連発したアリスのサウンド。そのアリスが、何と地元 東大阪市民会館でLIVEすると聞き、これは行かねば…と一策を講じる。チケット無しでの会場潜入作戦。いざ、ママチャリを駆って市民会館へ。
これを皮切りに『#12 ふたたびの東大阪と細野晴臣〈2019kHz〉』を経て、2039年時空を超えた音楽旅が今まさに終わらんとしているラジヲ君のところに音楽の神様が粋な計らいをする。母親のお腹で聴いた『Final 日本武道館とビートル〈1966kHz〉』のシーンが浮かび上がる。
本書に登場するアーティストは、サザン・レベッカ・達郎・オザケン・加藤和彦・クイーン…。
渋谷陽一の激越な音楽評論に衝撃を受け、大好きなラジオ業界への就職を切望しながら夢は叶わず、モヤモヤな気持ちを、その折々の歌に絡ませ綴る著者の極私的体験なのに深く共感してしまう。
すっかり色褪せた想い出が蘇ったり、章毎に付けられている注釈もたまらなく懐かしく、著書と同世代である同じ関西人だけに〈みなまでい言いな〜〉と小さくツッコんだ。
そうそう、これまでの音楽への触れ方の変遷にも思いが及んだ。
僕らの世代はテレビ・ラジオで知り、レコード→CDという変遷。中学時に買ってもらったラジカセでラジオを聴き、好きな曲が流れるとRECとPLAYを同時に押して録音。今や私語のエアーチェック。1番で切られたり、イントロに喋りが入ると舌打ちし、カセットテープはメタルにこだわり、慎重にレコード針を落とし、お気に入り歌だけ録音したマイベストテープ作りに精を出した。お洒落なLP用のビニール袋を大事に保管したり…。そのレコードも、マイケルのスリラーがヒットした頃に街に貸しレコード屋ができ、お猿さんが音楽を聴きながら瞑想するSONYのWALKMANのセンスあるCMが流れた。それが今やサブスク…。
振り返ると、あの面倒な作業が音楽との関わりを深くしたし、22時から深夜までのラジオとの時間って、大人への階段を上り始めてる実感があった。
70-80年代の空気をたっぷりまとった一冊。この本一冊で、あの時代に一気にタイムスリップはもちろんのこと、当時の仲間とウイスキー飲りながら、語り合いたい症候群に駆り立てられること間違いなし!
Posted by ブクログ
同世代でラジオ人間、故にかなり共感!
ただし、筆者程に「詩」の世界観を理解せずに音楽と触れ合ってきたため、人生損したか?と思わなくもないが、それもまた個人の人生!
Posted by ブクログ
BS12「ザ・カセットテープ・ミュージック」楽しみにしています。著者の80年代音楽についての鋭い分析&軽妙なトークで知っているようで知らない名曲検索したり、全く知らない音楽用語知ったりして日曜夜の必見番組になっちゃいました。そこで自分で宣伝されていた初めての小説集。小説ですが主人公ラジヲ=スージー鈴木、を文中でも公言しているので青春プレイバックなエッセイ、いやメモワールかな。青春プレイバックを青春プレイリストで語る、というありそうでなさそうな仕立てが秀逸。A面、東大阪のアリス(1978khz)大阪上本町のクィーン(1983khz)早稲田のレベッカ(1986khz)川崎溝ノ口のロッキング・オン(1988khz)半蔵門の吉川晃司(1989khz)武蔵小金井の真島昌利(1992khz)B面、阿佐ヶ谷のサザン・オールスターズ(1993khz)原宿の小沢健二(1994khz)みなとみらいのRCサクセション(1998khz)川崎駅前の加藤和彦(2005khz)ふたたびの早稲田と山下達郎(2018khz)ふたたびの東大阪と細野晴臣(2019khz)…違う人生ながらあの時代の空気がよみがえり、鼻の奥がツンとしました。その中で、加藤和彦、山下達郎、細野晴臣についての終わり3章がノスタルジーとは一線を画して、中年、さらには初老を迎えての音楽の向き合い方の著者の想いになっていて心動きます。特に、細野晴臣と加藤和彦の対比については日本の音楽を語るうえで避けられないテーマでもあると思うのです。ここは軽妙モードではなくマジモードで、その深堀をお願いしたく。ラジヲ、いやスージー鈴木の「音楽評論出版計画」で取り上げてください。渋谷陽一、いとうせいこうとは違う道で。
Posted by ブクログ
音楽評論家である著者の自伝的小説。
自身の音楽体験と当時のエピソードを絡める形で、小学生から大人になり、結婚して子供をもうけ、やがて死んでいく未来までを描いている。
取り上げられているアーティストは。アリス、クイーン、レベッカ、吉川晃司、サザンオールスターズ、小沢健二、RCサクセション、加藤和彦、山下達郎、細野晴臣、そしてビートルズ。
著者のことはBS12トゥエルビの番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」で初めて知った。
同番組で相方MCのマキタスポーツとともに披露される、曲の分析に鋭いものを感じていたが、そのバックグラウンドがわかる内容となっていて、これからの番組視聴がより楽しめる。
同番組を観ている人は必読!
あと、本書を読んで羨ましいと思ったのが、当時早大生であった著者が生でレベッカの伝説の早稲田祭ライブを観た、というエピソード。しかも、当時著者はレベッカのファンだったわけではなく、むしろレベッカを「ロックでない」(笑)という理由で認めてなかったくらいで、たまたま友人に誘われて早稲田祭に顔を出したらライブが観れたという、当時レベッカが大好きであった私からしたら噴飯ものレベルの贅沢さである。
Posted by ブクログ
ラジオがテーマかと思っていたが、音楽にまつわるエッセイのようなものだった。懐かしさもあり、山下達郎、サザンオールスターズ、ビートルズをレコードで聴きたくなった。