上西充子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2018年7月20日。第196回国会の実質的な最終日に、それは
行われた。内閣総理大臣であった安倍晋三に対し、野党は共同で
内閣不信任案を提出し、野党第一党であった立憲民主党代表・枝野
幸男による不信任案決議の趣旨説明演説である。
記録が残る1972年以降、衆院最長記録となった2時間43分の演説を
文字として起こしたのが本書である。
私は当時、動画サイトで全部見たのだが、こうして文字に起こされた
ものを読むと、改めてその巧みさに驚かされる。
本書冒頭の「刊行の理由」でも触れられているが、議会制民主主義
とは何か、日本の議会制民主主義が安倍政権によりいかに破壊され
たか、が過不足なく述べら -
Posted by ブクログ
「嫌なら辞めればいい」「選ばなければ仕事はある」「ダラダラ残業する人が残業代多くもらうって、不公平だよね」「デモで世の中は変わらない」「政治の話はしたくない」「◯◯を政治利用しないで」「野党は反対ばかり」「モリカケばかりで国会が進まない」「沖縄の経済は基地に依存している」「女性は権利ばかり主張するようになった」「恥をかくぞ」「決まっているものは変えられない」
巻末の※「#呪いの言葉解き方」サイト(@tokikaroさんまとめ)より抜粋されたものをさらに抜粋した。サイトには、全国から集まった「解き方文例集」も同時に載っている。
これらは「呪いの言葉」である。「いや、これは違うんじゃないか?」と -
Posted by ブクログ
もはや安倍政権の酷さをひとつひとつ確認したり、挙げ連ねれば、膨大な時間と労力がかかるし、精神衛生にも悪い。この枝野演説は、保守とは何かや、民主主義において多数決が使われる条件を丁寧に説明している点に読みどころがある。また、アベノミクスやカジノ法案の対案として自らの経済政策を提示している部分は、施政方針演説のようである。
保守の概念は、フランス革命を契機に発生した政治概念。保守の本質は、人間とは不完全な存在であるという謙虚な人間観に基づき、今生きている私たちの判断だけでは間違えることがあるから、人類が長年にわたって積み重ねてきた歴史に謙虚に向き合い、その英知を活かしながら、一歩ずつ世の中をよく -
Posted by ブクログ
この本の内容は議事録から追える内容ではある。しかし注釈が付されており、読みやすい内容となっている。
もちろん野党の「あがき」であろう。しかし単なるフィリバスターに留まらず、今の与党の欠点を指摘し、かつ野党も提案を同時に行なっている。詭弁めいたところもあるが、痛快に「そうかもな」と思えるような内容になっている。
彼は「私は保守」という。奈良時代に賭博禁止令が出されたことを引き合いに、「明治からしか考えない政治家」に疑問を呈する。考えてみれば、女性の天皇、武士は頻繁に改姓していたなど、今からすれば時代背景は異なれど、「日本の伝統」はそこにも見いだせる。
また枝野代表の教養の高さ、論旨の明確さには驚 -
Posted by ブクログ
相当前に買っていたものですが、今読み返してみました。2018年7月20日第196回国会で野党第一党立憲民主党枝野幸男さんの内閣不信任案を提出した趣旨説明の演説を書籍化したものです。国会の内容を確認するには、議事録を読めばいいのですが、なかなか読みにいくこともない中、書籍化されていたので手に取ったのだと思います。2時間43分という演説の長さが取り沙汰されますが、お話されている内容はわかりやすく、国会議員というより、私たち国民に語りかけているかの如くでした。
いずれにしても、長期的視座で日本の未来を託している国会議員の方々です。与党も野党もそれぞれの立場でしっかり議論を尽くし、適正な舵取りをしてい -
Posted by ブクログ
ネタバレ劇作家、演出家の永井愛さんと、労働などが専門の学者で国会パブリックビューイングの代表の上西充子さんの対談。
予定されていたトークイベントがコロナで中止になったので本の中で対談することになって生まれた本。
なので、コロナ下でのいろいろが話されていたり、
街頭で国会を上映して見るという国会パブリックビューイングがどうやって生まれたか、
そして、政治家の発言に注目して、いってみれば、どういう神経でそんな言葉が口から出ているのか、みたいな、そんなことを掘り下げています。
政治家が国会や発表の場で放つ言葉の重み。
それは、日常の会話との違いというだけではなく、
社会一般の人が、業務上、所属 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相手を怯えさせ、萎縮させ、思考と行動を縛る「呪いの言葉」
相手に力を与え力を引き出し、主体的な言動をうながす「灯火の言葉」
みずからの身体から湧き出て、みずからの生き方を肯定する「湧き水の言葉」
呪いの言葉の対処として、まず、相手の言葉を「呪いの言葉」と認識することが大事。相手が自分の思考や行動を縛ろうとしていることに。
「そんな言葉であなたに縛られなければならない謂れはない」と思えれば対抗し、はね返す手立てを考えられる。
その時、私達を支えるのが、誰かが自分に届けてくれた「灯火の言葉」であり、誰かがみずからに向けて発した言葉や私達自身から湧き出た「湧き水の言葉」だ。
私は、「相手が理不尽な -