あらすじ
『ザ・空気』3部作で知られる人気劇作家と、「ご飯論法」の考案者でもある国会ウォッチャーが、この国で起きている諸問題を見つめながら、逆戻りしつつある民主主義について考察した対談集。国会での答弁や記者会見などをつぶさに観察し、言葉を手がかりに、問題をわかりやすく「見える化」し、「解きほぐ」し、わたしたちができることについて具体例を挙げて語りあう。書き下ろしコラム全6篇を収録。
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Posted by ブクログ
劇作家、演出家の永井愛さんと、労働などが専門の学者で国会パブリックビューイングの代表の上西充子さんの対談。
予定されていたトークイベントがコロナで中止になったので本の中で対談することになって生まれた本。
なので、コロナ下でのいろいろが話されていたり、
街頭で国会を上映して見るという国会パブリックビューイングがどうやって生まれたか、
そして、政治家の発言に注目して、いってみれば、どういう神経でそんな言葉が口から出ているのか、みたいな、そんなことを掘り下げています。
政治家が国会や発表の場で放つ言葉の重み。
それは、日常の会話との違いというだけではなく、
社会一般の人が、業務上、所属の組織を代表して放つ言葉以上のものがあるはずで、
それは最近読んだ本の説明をふまえると、
民主主義という社会のルールが構成的規則としてあるから、
というはずだけれども、
実際に国会を見てみると、その前提が崩される状態になっていたりする。
印象操作はみなするものだろうけれども、真摯なコミュニケーションが問われている、ということかなー。
政治家の失言が常態化すると、その言語規則でさえ歪められ、壊されて、
ルールへの信用もなくなるのかなーと思ったり。
でも、いや、それはおかしい、勝手にそれをありにしないでください、それはルール上許されません、という行為が国会ビューイングの取り組みであったりするのかなと思う。
ジャーナリズムについても触れている。
日本では、発表報道は90%以上で調査報道がかなり少ないことや、
取材対象に接近して情報を入手する、アクセスジャーナリズムというらしい、それは欧米では腐敗だと。オフレコ取材に意味はあるのか、などを問うている。
日本の記者は国民を信用していない、らしい。
職業意識について批判的に話されていたけれど、
国民意識にも課題があるということだと思った。
声をあげる、ではなく、交渉する、ということ。