感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年11月06日
家人が購入して本棚にずっとあったのだが、もっと早くに読めばよかった!と思うくらいよき本。
答えのない問い、「どうして負けたんだ?」「私のどこがきにいらないの?」
何を答えても誤答になる問い。
「人が『答えにならない問い』を差し向けるのは、相手を『ここ』から逃げ出さないようにするため」
いきなりガツン...続きを読むと来た。
私もある。言われたことも、言ったことも。
そうかあ、相手を逃げ出さないようにさせる問いの形を取った言葉だったんだ。私もそういうつもりで確かに発したことがある…。
そういう言葉には問いの次数を上げて対処すること。
要するにメタ的に捉えるということ。
なるほど。
でもそれができない弱い相手に発する言葉ではあるのだよね。やはり呪いの言葉は怖い。
「やっぱり若さというのは価値だと思うんです」という呪いの言葉には
→「自分で自分に呪いをかけているようなものよ。あなたが価値がないと思っているのは、この先自分が向かっていく未来よ」
さらに、「灯火の言葉」と名付けられた、人に勇気と元気を与える言葉についても書かれている。
褒める、というよりも、まず相手を「発見』して、話しかけることだよね。通り過ぎるだけでは、「発見』したことにはならない。話しかける、というのは意外と骨が折れて面倒だけど、それは、もしかするとものすごく人間にとって必要で基本的な生きる力に直結するものなのではないだろうか。言う方も言われる方も、人生を変えるくらいの。
Posted by ブクログ 2021年05月12日
「嫌なら辞めればいい」と言われたことがある。典型的な呪いの言葉。
「この仕事を選んだのは私、辞めずにいるのも私がそれを選んでいる、だから文句を言わずに働くしかない」本気でそう思っていた。
本当は働くものを追い詰めている側に問題があるのに、それには全く気づかなかった。まんまと相手の土俵に乗り、「文句」...続きを読むを言う自分の側に問題があるかのように相手が設定した思考の枠組みに縛られていた。
この本は、私自身の思考と行動が「呪いの言葉」に支配され、がんじがらめになっているにもかかわらず、そのことに全く気づいていないことに気づかせてくれた。ホント、自分のことながら呆れて笑えた。
Posted by ブクログ 2020年08月15日
「嫌なら辞めればいい。」
ここから逃げ出せないように投げかけられる言葉。
これを自分の問題としてとらえ、葛藤し始めると、相手が設定した思考の枠組みに絡めとられてしまう。
でも、根本から問いの立て方を間違っているのかもしれない。問題は自分の中にあるのではなく、相手の方にあるのかもしれない。一呼吸おいて...続きを読む、「呪いの言葉」なのかどうか、見極めてから反応していけるように訓練していく事が重要だ。
Posted by ブクログ 2019年12月10日
”呪い”という言葉は、この本の中でも書かれているように強いなぁと思ったのは、この本を読んでいると何人かに「呪い?」と怪訝な顔をされたことからもわかる。
もちろん、内容はそうしたオカルトではない。政権によってめちゃくちゃな労働関連法案が提出され、それに対して、戦った著者の経験に基づく、声をあげる者への...続きを読む弾圧(=呪い)から解き放たれるためのアイディアが散りばめられている。
Posted by ブクログ 2023年11月11日
説得力はあるけど、その説得力も戦ってきた人としてのもの。私はこの人のように戦いたくない。戦わず、ぐでぐでしていたいんだなと思った。そういう自分を見つめ直す契機になった。いい本だけど、この本が必要なほど追い詰められてはいない気がする。この本が必要なほど戦う必要がある人にこそ、この本が届くことを願う。
Posted by ブクログ 2022年10月22日
言葉はSNSなどを通して凶器の側面が露呈する。その言葉に翻弄されて病んでしまわないためにも免疫力をつける。そして乱暴な言葉の背景や流布する人々の思惑を解析してみる。不条理が壁として立ちはだかっても乗り越えることが至難であっても、その壁を逃げずに見つめてみる。すると聞こえなかった見えなかった何かに気付...続きを読むくかもしれない。安易に分断するのは彼等の術中であり、無関心は悪徳に通じている。私は答えを急がない性質なので、まずは立ち止まってみる。何もしないのは無作法なので一休さんのとんちポーズでやり過ごすかな。
Posted by ブクログ 2022年04月07日
あとから考えるとあれおかしくない?という気持ちになる”呪いの言葉”に対して、どう反撃するか?を具体例で示す。しかし普通の人は、あまりにも失礼なことを言われたり、ここに上がっているような呪いをかけられるとまず混乱してすぐレスポンスができなくなってしまうので、事前に練習しておかないと、その場で反駁できな...続きを読むいよね…練習必要だけど、そもそもそういう練習が必要じゃない世界にしたい。
Posted by ブクログ 2021年07月31日
様々な社会の問題について報告したり解説したりする本は多いが、その問題に著者自身ががどう関わっていくかについて、肩肘張らずしかしラディカルに語る本は決して多くない。第3章の4節から第4章の最後までは特に面白かった。109ページで「職場の労働者のモデルは「ケアレス・マン」」という、朝倉むつ子による指摘を...続きを読む紹介しているが、なるほどと思った。
Posted by ブクログ 2021年06月19日
「仕事と私のどちらが大事?」や、謎の執着でからまれる時に、その発言に付き合うのではなくてその意図を見て、さらに意図を超える「呪いの言葉の解き方」があることを教えてくれる本。
源泉の言葉など、聞いていて楽しくなるフレーズも多い。
常識、習慣、慣例、あるいは惰性など、深く考えずに返す言葉ではなく...続きを読むて、より考えて言葉を発したいと思わせる。
とても面白かった。呪いの言葉というフレーズに引っ掛かりを覚える方にはおススメしたい。
Posted by ブクログ 2021年06月05日
言葉は呪いにもなりうる
と私自身も常々考えていたのでタイトルに惹かれ購入しました。
私は特に幼い頃親などから言われた言葉が自分の可能性を奪う呪縛である、と思ってそのようの心理学的なことが書かれているかと思いましたが、法や政治という別側面からの文献でした。
思ったより大枠からの解釈で私は労働法、政...続きを読む治に詳しくなかったので、個人的な心理だけでなく、国レベルの心理戦にも言葉の呪いは利用されているのだと、目から鱗でした。
今まで個人の内面ばかり目をむけてましたが、もっと大きい枠での、言葉の呪縛というのを考えさせられました。
Posted by ブクログ 2020年02月28日
“「呪い」に縛られていると、自分でなんとかしなくてはいけないと思い込まされ、できない自分の姿は、見せてはいけないのだと思い込まされる。そうやって問題を閉じてしまう。そうではなく、問題を「開く」こと、ひとりではできないことは「できない」と言い、適切な助けを求めることこそが大切なのだ。自分の薄い“溜め”...続きを読むを補うためにはどうすればよいか、どこに助けを求めればよいか、というとらえかたが大切なのだ。”(p.177)
“肯定的に認めるとは、その人の「今」を評価すること。期待をかけるとは、その人の「今」の「その先」を評価すること。”(p.201)
Posted by ブクログ 2020年02月16日
「嫌なら辞めればいい」「選ばなければ仕事はある」「ダラダラ残業する人が残業代多くもらうって、不公平だよね」「デモで世の中は変わらない」「政治の話はしたくない」「◯◯を政治利用しないで」「野党は反対ばかり」「モリカケばかりで国会が進まない」「沖縄の経済は基地に依存している」「女性は権利ばかり主張するよ...続きを読むうになった」「恥をかくぞ」「決まっているものは変えられない」
巻末の※「#呪いの言葉解き方」サイト(@tokikaroさんまとめ)より抜粋されたものをさらに抜粋した。サイトには、全国から集まった「解き方文例集」も同時に載っている。
これらは「呪いの言葉」である。「いや、これは違うんじゃないか?」と思う方もおられるかもしれない。貴方は間違っている、とは言わない。そもそも、こんな数行で「呪いの言葉」の仕組みを紹介出来ると思う方が間違っている。でも、「呪いの言葉」は「たった一言」でそ人の人格や努力や地道な行動を否定する。その一言で、ホントに仕事を辞めて、その人の人生は激変するのである。表面の言葉の裏に、言っている本人さえ気がつかない(当然恣意的に言っている場合も多々ある)悪意や「社会的な圧力」があるのが「呪いの言葉」の特徴のひとつだからだ。この本には、これらの数倍の言葉が溢れているけれども、それらの背景、解き方を簡単に説明しているだけで、270ページの本が出来上がるのも宜(むべ)なるかなと思う。
私はひとつひとつに反論したい。私自身が何度も聞いてきた言葉だからだ。でもそれをやると、数十頁の論文が出来ちゃうからグッと我慢している。まぁ読んで欲しい、ということですね。
つい最近も、ある女性から労働相談された。「パワハラまがいを受けている」という。「その上司の上司(店長)とは相談出来ますか」「でも、そんな文句を言ったら職場にいられなくなる」「それは文句じゃない。上司は労働者が気持ちよく働けるように職場環境を整える義務があるんですよ」「でも言ったらどうなるかわからない」「感情じゃなくて、事実を伝える必要があるけど、それは店長にとっても必要なことなんです」延々3時間ぐらい話したけど、どうどうめぐりが続いた。結局辞める方向でアクションを起こしてみる、ということにしかならなかった。かくも「文句を言うと、職場の雰囲気をこわす」という呪いの言葉の力は大きい。
Posted by ブクログ 2020年01月17日
読み始めは「ん?」でしたが
読み進めていくうちに
「なるほど」が
少しづつ増していきました
ただ
TVは全く観ないので
「ドラマ」の事例が多々でてくるのですが
そういう「呪い」がでてくるモノなのだなぁ
ぐらいしか わからず
少し残念な気が…
それでも
「国会パプリックビューイング」に関...続きを読むするところは
とても 興味深く
読ませてもらえました
逆にその辺りのことから
TVの話題を推し量っていました
総じて
「今の日本」を考える
一冊になりました
Posted by ブクログ 2019年08月24日
傷つく言葉あるあると、それに対する正論。
日本人は言い返さない。だから溜め込んで病んでしまう。
こういう本が欲しかった。
しかし、他人の心的エネルギーを奪うようなエナジーヴァンパイアからは人が離れて、そのうち発言の機会もなくなりそうなのだが、いまのSNSつながり強化社会では難しそうだ。
やや個人的...続きを読むな事柄が多い。
Posted by ブクログ 2019年07月05日
「行動派」へと変貌を遂げた研究者の道行がわかる。わが母校、一時期変な方向に行ってたけど、今は信頼できる総長のもと、大学らしい振る舞いをしていることがうれしい。
Posted by ブクログ 2023年10月22日
言葉によって、私たちの思考は、行動は、縛られもするし、支えられもする
法政大学の教授
国会パブリックビューイング代表
エンパワーメント
その人が持っている潜在的な力を発揮できるようにする
肯定的に認めるとは、その人の今を評価すること
期待をかけるとは、その人の今のその先を評価すること
Posted by ブクログ 2022年09月25日
「嫌なら辞めればいい」というような自分を縛る言葉。問題があることに対処せずに、抗議した自分が悪いように意識させられる言葉、それらのおかしな点を突いてちゃんと戦いましょうという書籍。個人的にはっとしたのが、”ダンダリン 労働基準監督官”というドラマからの引用で主人公が部下からどうしたらそんなに強くなれ...続きを読むるか尋ねられたとき、『私は強くなんかありません。強いて言うなら、人からどう見られるかを気にしていないだけです』のところ。どうしても女性は意見を述べるときに感情的だとか言われがちで、私もどのように話すか日々腐心している。でも、これこそが呪いの言葉の束縛だったと気づいた。なぜならこのように悩んで出した言葉の成否は結局他人に委ねられておりその評価は信のおける結果ではない。このような部分に悩むのは止めようと思った。また他者のケアに責任を全く持つ必要がない人を”ケアレス・マン”とし、人間としてはあまり幸せでないのではないかという引用があった。自分と少し重なった。「国民主権」を獲得した国と与えられた日本との違いに納得し、デモの必要性もわかった。人間の究極の幸せは、”人に愛されること、人に褒められること、人に必要とされること、人の役に立つこと”の4つであるという禅僧の引用も参考になった。
Posted by ブクログ 2021年07月24日
大学教授である著者が労働、ジェンダー、政治のそれぞれにはびこる呪いの言葉についてその背景や呪縛からの解き方について解説した一冊。
漫画やドラマからの引用や自身のデモ活動の経験などをもとに残業問題や不当な扱いを受ける労働者と使用者の問題や政治などの不当な部分についてどのようにして呪いの言葉が生まれて...続きを読むいるのかという背景と交渉することや背負いすぎないことなどで呪いから解放するための手段を知ることができました。
また、著者が行うデモや国会パブリックビューイングなどの活動も呪いの言葉から解放するひとつとして学びを得ることができました。
また、他者から力を引き出す灯火の言葉や湧水の言葉も呪縛から解き放つことのできる言葉として参考になりました。
本書の中でも育児放棄の部分や著者が信頼できる人を選ぶ基準などは参考にもなり、印象に残りました。
本書を読んで自分の自由を感じるためには自分の可能性を信じて諦めないことが大切だと感じました。
そして、ひとりでも届くようにと信じ、屈せずに呪いの言葉と闘っていくことがより良く人生を生きていくために必要なことだと感じた一冊でした。
Posted by ブクログ 2021年05月05日
働き方、ジェンダー、政治などの言説でよく目にする呪いの言葉の解き方。ジェンダー意識が高くて、政治に関心を持つ女だと、よく言われてきた言葉が数々乗っててあーわかる〜ってなっていたし、そるらにどう対処していけばよいのかが書いてあって心は少し軽くなった。知り合いのスピーチが乗っていたり、呪いの言葉に対する...続きを読む灯火の言葉って表現が素敵だなって思ったりした。私も灯火のを投げかけられるような人になりたい。
以下読書メモ
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・職場の労働者のモデルは「ケアレス・マン」だと語る。「ケアレス・マン」とは、杉浦浩美が『働く女性とマタニティ・ハラスメント』(天月書店、二〇〇九年)のなかで使っている言葉で、他人のケアに責任を持つことなど想定外であるような労働者という意味だと浅倉は語る。さらに浅倉は、男性は、自分が誰かのケアをしていないだけでなく、自分のケアを誰かにしてもらっている存在なのだと語る。妻が育児や介護を担っていれば、夫である男性は、それらのケア労働から解放される。さらに妻が料理を作り、掃除をし、洗濯をし、アイロンをかけ、日常のこまごまとしたタスクもこなしてくれれば、夫である男性は、みずからの時間を最大限企業のために捧げることができる。
・第一に、働きかたが「ケアレス・マン」レベルに達していない労働者を排除してしまう。女性に限らない。病気や障害のある労働者、妊娠・出産する労働者、家族のケア責任を抱える労働者、そういった労働者が「二流労働者」と評価されてしまう。第二に、ケア労働は生物としての人間にとって不可欠な労働であるにもかかわらず、それが女性に不均衡に押しつけられることによって、女性の労働する権利(有償労働の権利)が侵害されている。そのなかで社会の持続可能性が損なわれている。第三に、労働者自身が、健康を維持し、市民的活動に参加する時間を奪われる。そのうえで浅倉は、「ケア労働」を、誰かに押しつけられるものではなく、社会にとって重要な労働だと位置づける。そして、「ケア時間」「教育時間」「社会的時間」のそれぞれが人間にとって必要な時間なのであり、それらの時間を確保するためにも、有償労働に取られる時間は制限されなければいけないと語る。
・「ケアレス・マン」の話というのは、それら必要な時間を奪われている人たちです。「ケアレス・マン」はいくら会社のなかで評価され、高い賃金を得たとしても、人間としてはかなり鬱めで不幸な存在であるのではないでしょうが。
・「溜め」は、外界からの衝撃を吸収してくれるクッション(緩衝材)の役割を果たすとともに、そこからエネルギーを汲み出す諸力の源泉となると湯浅は語る。
・お金はその溜めの代表だが、他にも有形・無形の様々なものが、溜めの機能を有している。湯浅によれば、頼れる家族・親族・友人がいるというのは、人間関係の"溜め"だ。自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるというのは、精神的な"溜め"だ。
湯浅は貧困状態に至る背景には「五重の排除」がある、と語る。
第一に、教育課程からの排除。この背後にはすでに親世代の貧困がある。
第二に、企業福祉からの排除。雇用機会が得られないこと、あるいは雇用されていても食べていけない状態に陥っていること。低賃金、不安定雇用、雇用保険・社会保険からの排除、福利厚生からの排除、労働組合からの排除など。
第三に、家族福祉からの排除。親や子どもに頼れないこと。
第四に、公的福祉からの排除。生活保護行政が窓口で追い返す「水際作戦」を取っている現状が批判されている。
そして、第五に、自分自身からの排除。第一から第四の排除を受け、しかもそれが自己責任論によって「あなたのせい」と片付けられ、さらに自分自身がそれを内面化して「自分のせい」と捉えてしまう場合、人は自分の尊厳を守れずに、自分自身を大切に思えない状態にまで追い込まれると湯浅は語る。
・ 社会を変えていくのは数ではない。一人です。
・では、日本には(なぜ)、デモが少ないのか。なぜ、それが変なことだと思われているのか。それは、国民主権を、自分の力で、闘争によって獲得したのではないからです。日本人は戦後、国民主権を得ました。しかし、それは敗戦によるものであり、事実上、占領軍によるものです。自分で得たのではなく、他人に与えられたものです。これを自分自身のものにするためにどうすればよいのか。デモをすること、です。私が受けるもう一つの質問は、デモ以外にも手段があるのではないか、というものです。確かに、デモ以外にも手段があります。そもそも選挙がある。その他、さまざまな手段がある。しかし、デモが根本的です。デモがあるかぎり、その他の方法も有効である。デモがなければ、それらは機能しません。今までと同じことになる。
・主権を手放してしまったら、選挙は政権にお墨付きを与える形式でしかなくなる。政権が暴走しても、止められなくなる。おかしいことにはおかしいと言い、あるべき社会を求める、そのための発言と行動をみずからがおこない続ける、それが国民主権ということなのだ。
・専門家としての責任においてデータを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任です。その責任を十全に果たすために、適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません。世論に多様性がなくなれば、働く現場は疲労困憊し、格差はいっそう拡がり、日本社会は硬直して出口を失うでしょう。柔軟性をもって意見をかわし、より良い方法を探ることこそ、いま喫緊に必要なことです。「自由を生き抜く実践知」を憲章に掲げる本学は、在学する学生・院生、本学で働く教職員の、積極的な社会的関与と貢献を評価し、守り、支援します。互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます。今後、全国の研究者、大学人の言論が萎縮する可能性を憂慮し、本学の研究者に起きていることを座視せず、総長としての考えをここに表明いたします。
・わかりやすく言えば「ほめて育てる」だ。「ほめる」は「叱る」と対比的に語られがちだけれど、むしろ「ほめこと)」と「期待をかけること」の区別が大事。人を動かす言葉を持っている人は、期待があってもその期待については自制して語らずにおける人であり、一方で肯定的に認める言葉については積極的に送り届けられる人なのだと思った次第。肯定的に認めるとは、その人の「今」を評価すること。期待をかけるとは、その人の「今」の、「その先」を評価すること。
・ 前の究極の幸せは四つです。人に愛されること、人に褒められること、人に必要とされること、そして人の役に立つことです。四つの幸せのうち、愛さなの三つは『働く』ことで得られる。だから障害がある人たちが働こうとするのは、幸せを求める人間としての証しなのです。
・「やりがい搾取」とは、教育社会学者の本田由紀が「軋む社会』(双風食 二0〇八年) で名づけた言葉だ(同書の表現では、「〈やりがい〉の搾取」。労働者が自発的に「自己実現」に邁進していて、じつは彼らをその方向に巧妙にいざなう仕組みが、働かせる側によって仕事のなかに組み込まれている、そういう構造を指した言葉だ。安定雇用の保障や高賃金などの対価なしに労働者から高水準のエネルギー・能力・時間を動員したい、そのために、働かせる側が巧妙に労働者を巻き込む仕組みが、「やりがい搾取」だ。
・私たちは、言葉を通じてものを考え、状況を認識し、自分の気持ちを把握する。言葉によって、私たちの思考は、行動は、縛られもするし、支えられもする。
Posted by ブクログ 2019年10月29日
今も昔も呪いの言葉が潰しているものに意識を馳せないとね。他の人の言葉への俯瞰的な見方ももちろん意識が必要だけど、何より自分が使う言葉の解像度を上げることにもっと自覚を持たないといけない。