リー・チャイルドのレビュー一覧
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リー・チャイルド『副大統領暗殺 下』講談社文庫。
現在、アメリカで刊行されているジャック・リーチャー・シリーズ全28作の2002年に刊行された第6作で、邦訳作品では第15作目にあたる。このシリーズは邦訳が刊行順では無いが、全て独立したストーリーなので読んでいても、余り違和感を感じない。
上巻の盛り上がりに比べると結末がイヤに呆気ない。そんなことが理由で次期副大統領の暗殺を図り、無関係な一般人やシークレットサービスまでも射殺してしまうのかと疑問を感じた。しかし、上下巻通して評価すれば、高評価ではある。
シークレットサービスの幹部であるM・E・フレイリックから依頼を受けて、元部下のフランシス・ニーグリーと共に暗殺予告のあったアメリカ合衆国の次期副大統領ブルック・アームストロングの警護にあたるジャック・リーチャーだったが、感謝祭の会場で事件が起きる。何者かが次期副大統領を狙って狙撃を行い、身を呈して次期副大統領を護ろうとしたフレイリックが射殺されたのだ。
リーチャーはニーグリーと共に正体不明の犯人を追ううちに次期副大統領暗殺未遂事件の背後にあった驚愕の事実を知ることになる。
本体価格1,100円
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リー・チャイルド『副大統領暗殺 上』講談社文庫。
現在、アメリカで刊行されているジャック・リーチャー・シリーズ全28作の第6作で、邦訳作品では第15作目にあたる。
記憶にも新しいトランプ元大統領の暗殺未遂事件は非常に衝撃的な事件だった。普通の若者が高性能ライフルを簡単に入手出来て、簡単に凶行に走ることが出来るという事実は、銃社会アメリカの病巣を再び浮き彫りにした形となった。犯人の若者がその場でシークレットサービスに射殺されるという如何にもアメリカらしい無慈悲な決着の付け方にも驚かされた。
2022年には日本でも安倍晋三元首相の手製銃による暗殺事件が発生し、日本国内を震撼させた。
こうした事件の記憶もあってか、本作に描かれる次期副大統領暗殺というのは非現実的な話ではなく、寧ろリアリティのある話に変わって来る。
それにしても、次期副大統領の警護を風来坊の元憲兵隊のジャック・リーチャーに依頼するというのは少しぶっ飛んだ考えのようなのだが、依頼主のシークレットサービスの幹部であるフレイリックがリーチャーの兄のジョーの元恋人であったということで、何とか辻褄を合わせようとしているかのようだ。
一種のヒーロー物のアクション小説ではこうしたご都合主義的な描写も面白さの一つとして捕えても良いだろう。
なかなか面白いストーリーである。アームストロングが2度射殺される場面には驚いたが、読者のミスリードを誘う巧い描写に思わずニンマリした。
家も車も持たず、あらゆる痕跡を消しながら放浪を続けるジャック・リーチャーにシークレットサービスの幹部であるM・E・フレイリックから奇妙な依頼を受ける。その依頼は、10日間のうちにアメリカ合衆国の次期副大統領、ブルック・アームストロングを暗殺する機会を狙い、警備体制の問題を明らかにして欲しいというものだった。
依頼を受けたリーチャーは元部下のフランシス・ニーグリーの協力を仰ぎ、僅か5日間で次期副大統領が3.5回も暗殺が可能だったことを知らせる。
フレイリックは警備体制に問題があることに衝撃を受けると共に、リーチャーに次期副大統領の暗殺予告が届いていたことを明かし、リーチャーとニーグリーに次期副大統領の警護の強化を依頼する。
謎の暗殺予告犯を突き止めようとするリーチャーたちだったが、何者かにより次期副大統領と同じアームストロングという名の似たような風貌の男性が2人も射殺され、犯人からそれが予行演習だと言うメッセージが届きたくさんいよいよ次期副大統領暗殺が現実味を帯びて来る。
本体価格1,100円
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リー・チャイルド『消えた戦友 (下)』講談社文庫。
ジャック・リーチャー・シリーズ第11作、14作目の翻訳作。
放浪生活が長く、素寒貧のジャック・リーチャーがやたらと金にがめつく、悪党たちのポケットから持ち金を強奪するシーンが何度か描かれるのには少し興醒めした。しかし、スリルに富んだストーリーは面白い。
カルヴィン・フランツの残したUSBから手掛りを得たリーチャーたちはラスベガスへと向かう。しかし、リーチャーの推理は外れ、ラスベガスでは何も得られなかった。
殺害されたカルヴィン・フランツが残したUSBの情報と行方不明になっている軍事企業ニューエイジの保安副部長を務めていたトニー・スワンとの関係を調べると、開発中の新兵器に関わる疑惑が浮かび上がって来た。『リトル・ウイング』という名の新兵器を大量に強奪した一味の存在が疑われ、彼らがリーチャーたちのかつての仲間を殺害したと見られた。
リーチャーは、ニーグリー、ディクソン、オドンネルと共にかつての仲間たちを殺害した一味を焙り出し、復讐することを誓う。
日本では2000年に刊行された『キリング・フロアー』でシリーズが 開幕したが、『反撃』『警鐘』『前夜』と刊行された後、一度翻訳が途絶えた。ところが2012年にトム・クルーズ主演で『アウトロー』が映画化されるや再び息を吹き返し、その後は年に1作のペースで翻訳されている。アメリカでは27作目までが刊行されており、まだまだ楽しみは続きそうだ。
定価1,100円
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リー・チャイルド『消えた戦友 (上)』講談社文庫。
ジャック・リーチャー・シリーズ第11作、14作目の翻訳作。2007年の作品。
これまでは単独での行動が多かったリーチャーだが、今回は昔の同僚たちと事件の捜査を行うという、これまでとは少し変わった趣向の作品。安心安定の面白さ。
日本では2000年に刊行された『キリング・フロアー』でシリーズが 開幕したが、『反撃』『警鐘』『前夜』と刊行された後、一度翻訳が途絶えた。ところが2012年にトム・クルーズ主演で『アウトロー』が映画化されるや再び息を吹き返し、その後は年に1作のペースで翻訳されている。アメリカでは27作目までが刊行されており、まだまだ楽しみは続きそうだ。
住所不定で、携帯電話もEメールアドレスも持たずに放浪を続けるジャック・リーチャーがATMで金を引き落とすと、何者かにより覚えの無い1,030ドルが入金されていることに気付く。10-30という憲兵が同僚に応援要請する時の無線コードであることが気になり、入金した人物を調べると、かつての同僚のフランシス・L・ニーグリーであることが判った。憲兵時代にリーチャーは9名から成る特別捜査部隊を率いており、ニーグリーは最も信頼出来る女性隊員だった。
ニーグリーはシカゴで民間警備会社で働いており、会社に連絡するとニーグリーのアシスタントからロサンゼルスに向かったことを伝えられる。ロサンゼルスに飛んだリーチャーはニーグリーと再会し、かつての同僚のカルヴィン・フランツが砂漠の上空を飛ぶヘリコプターから突き落とされ、亡くなっていたことを伝えられる。
フランツの死の謎を明らかにするため、リーチャーとニーグリーが調査を行うと、かつての同僚のうち5名が死亡または行方不明になっていることを知る。
やがて、かつての特別捜査部隊の同僚、カーラ・ディクソン、デイヴィッド・オドンネルも合流し、4人で事件の真相を調べるが、4人の周囲には謎の人物たちの姿が付きまとう。
定価1,100円
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リー・チャイルド『奪還(下)』講談社文庫。
2006年に刊行されたジャック・リーチャー・シリーズの第10作。既に26冊が刊行されており、本作は邦訳の13作目となる。
二転三転四転の全く予想を覆す展開ばかりが続き、非常に面白い。思い返すと上巻冒頭のリーチャーの推理が全て空振りに終わったのは、著者の緻密な計算だったのか。この作品が今から15年以上前に刊行されており、初の邦訳だというのだから何とも勿体ない。
リーチャーは元FBIの私立探偵ポーリングと共に誘拐犯の正体を追う。二人は最も有力視していた民間軍事会社の社長レインに戦地に置き去りにされ、4年間捕虜となっていたホバートの居場所を見付けるが、ホバートが戦地での拷問により、両足両腕を失って帰国していたことが明らかになり、ホバートへの嫌疑は消滅する。
真犯人は誰か。レインを始めとする戦争犯罪人である民間軍事会社のメンバーに正義の鉄槌は下されるのか。
リーチャーの推理とポーリングの調査能力で真犯人の正体が判明し、二人はイギリスへと飛ぶ。
そこでたどり着いた意外な真相……
そして、結末……
定価1,100円
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リー・チャイルド『奪還(上)』講談社文庫。
2006年に刊行されたジャック・リーチャー・シリーズの第10作。
冒頭こそ偶然が重なる強引な展開に不自然さを感じたものの、読み進むうちに面白くなってくるから不思議だ。
戦争の残酷さ、祖国と仲間に裏切られた男の怒りと執念……
民間軍事会社の社長エドワード・レインの二度目の妻ケイトと娘ジェイドが拉致され、犯人の要求によりベンツの車中に準備した100万ドルの身代金がベンツごと奪われる。
偶然、カフェに居たリーチャーはベンツが犯人により持ち去られる場面を目撃する。翌日、再び訪れたカフェで社長の部下から目撃情報を尋ねられたリーチャーは自ら進んで誘拐犯の捜索に介入するというトンデモな展開。
そして、複数犯による犯行で、犯人は300km以上離れた場所にアジトを構えているだろうといったリーチャーの推理は全て空振りに終わり、追加の500万ドルの身代金まで奪われる。さらに450万ドルも奪われ、総額1,050万ドルの身代金が犯人の手に渡る。
しかし、ここで挫けないのがジャック・リーチャー。リーチャーの雇い主が戦争を食い物にした極悪人であることを掴むと、今度はその方面の関係者であるレインの最初の妻の妹パトリシア・ジョセフ、ニューヨーク市警のブルーワー、元FBIの私立探偵ローレン・ポーリングらと連携し始める。すると何故かそちらの方面の推理はズバリと当たってしまう。
見えてきた犯人の姿と目的……
たどり着いた先は……
定価1,100円
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1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。
アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー、スティーブン・キングなどの有名な作家が短編を寄せている。
エドワード・ホッパーという画家は知らなかったが、とても独特なタッチの絵を描く作家だ。アメリカでは名の知れた画家なのだろう。
また、絵を題材に物語をつくるという試みは成功している。思いもよらない物語を寄せている作家も多い。 -
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リー・チャイルド『宿敵(下)』講談社文庫。
ジャック・リーチャー・シリーズの前期作品にあたる第7作の最新邦訳。既にシリーズは25作刊行されているようだが、邦訳の方は虫食い状態で邦訳順も滅茶苦茶で、本作が10作目。
次々とリーチャーを襲う苦難と危機。リーチャーはそれをどう乗り切り、自身の目的を果たすのかというのが読みどころ。2003年に刊行された作品であるが、古さは感じず、噂に違わず非常に面白い作品である。
ジャック・リーチャーが10年来の宿敵クインの命を狙い、アメリカ司法省麻薬取締局はザカリー・ベックの犯罪の証拠を追い、行方不明となった潜入捜査官のテリーザ・ダニエルの救出に奔走する。10年前、リーチャーとクインの間に何があったのか……
定価1,100円
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リー・チャイルド『宿敵(上)』講談社文庫。
邦訳順が滅茶苦茶ではあるが、ジャック・リーチャー・シリーズの前期作品にあたる第7作の最新邦訳。シリーズ最高傑作の呼び声高い作品。次々と襲う窮地をリーチャーは持ち前の知恵と度胸で乗り切っていく。物語全体に緊張感があり、先の読めない展開に手に汗握る。
物語は衝撃的な幕開けで始まる。大学のキャンパス内で学生が怪しい男たちに拉致されようとする現場に居合わせたジャック・リーチャーは男たちを射殺。揚げ句、警察官までも射殺し、学生を救出して現場から逃走する。
リチャード・ベックという名の学生はオリエンタルラグ輸入業者の富豪ザカリー・ベックの息子で、リーチャーはアメリカ司法省麻薬取締局の要請でザカリーに接近したのであった。ザカリーの要塞のような屋敷に潜入したリーチャーはザカリーの悪行を暴き、行方不明となった捜査官テリーザ・ダニエルと自身の宿敵クインの行方を追う。
定価1,100円
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20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ、コンゲーム、ラブロマンスと幅広いジャンルの作品が揃う。
翻訳陣もニクイ。スティーブン・キングには白石朗、マイケル・コナリーには古沢嘉道と、過去に夫々の作家の翻訳を手掛けた人を起用している。
贅沢な一冊。
個人的にはロス市警を退職し私立探偵となったハリー・ボッシュが登場するマイケル・コナリーの『夜鷹 ナイトホークス』が一押し。 -
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リー・チャイルド『葬られた勲章(上)』講談社文庫。
ジャック・リーチャー・シリーズの第13作。2009年の作品。
信じられないことに再びリーチャーが火中に飛び込むかの如く事件に巻き込まれていく。事件がリーチャーを呼ぶのか、それともリーチャーが事件を呼ぶのか……という冒頭の展開から事件は謎が謎を呼び、リーチャーが事件に巻き込まれるたのは必然だったという展開に。
深夜のニューヨークの地下鉄でジャック・リーチャーは自爆テロリストのような不審な女性を目にする。リーチャーがその女性に話し掛けると女性は自らの頭部を銃で撃って自殺する。事件の目撃者として警察の事情聴取を受けたリーチャーに近寄る4人の男と被害者女性の弟の警察官。
自殺した国防総省の事務員スーザン・マーク、スーザンにとある調査を依頼した謎の美女ライラ・ホス、スーザンが調査していたと思われる下院議員ジョン・サンソム……謎が謎を呼ぶ。
もはやベテラン浮浪者と化したジャック・リーチャー。とてもヒーローとは思えない。軍隊在籍による恩給か何かで暮らしているのだろうが、スマホや携帯電話を持っていなかったり、ホテルを非正規値段で利用したりと意外にセコい。
本体価格1,000円
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