チママンダ・ンゴズィ・アディーチェのレビュー一覧

  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    ネタバレ

    ネットで繰り広げられる攻撃的フェミニストの言説にかなりの違和感があったので、大学でフェミニズムを研究していた妻に話をふったところ紹介されたのがこの本。

    解説にもある通り、実に語り口がしなやかで攻撃的なところが一切ないのが好感がもてる。フェミニズムは過去の歴史的な流れから女性側により多くの抑圧があるということを踏まえた上で、男性も同様に「男性らしくあること」から解放されることが良いという主張はとても説得力がある。

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    2019年07月23日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    ナイジェリア1960年代の話。
    60年代前半と後半で分けて話は進む。
    壊れてしまった幸せな日々を思い出すような構成になっていて、読んでいて胸がヒリヒリする。

    翻訳本は苦手な人にも一気に読める作品だと思う。

    引用P.137
    カイネネ「愛が他のものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。何かを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから。」

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    2017年06月12日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    物語の語り手の三人もバランスがよい。みんななにかしらの意味で「観察者」だよね。特に序盤はそれぞれアフリカハイクラスの、アフリカ庶民の、アフリカ社会の、観察者と行った具合に。だから前提が理解しやすい。中盤からはどんどん当事者になっていって、彼らの行く末が気になった。途中ちょっとダレたけど。
    アフリカとして一般に語られがちな貧困や紛争は数ある要素の一つだと語る小説。それでも一般に語られる要素の重さも感じられる小説。面白かったです。

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    2012年09月30日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    3人の視点から語られる、愛であり、一族の歴史であり、戦争であり、貧困、搾取、あらゆるものが大きな流れの中に組み込まれている。言葉も的確で、風景が広がるような感じがあった。
    ことさらに、ビアフラ戦争を非難している訳ではないが、世界中で起きている戦争も大なり小なりこのような図式であることが、本当によく分かる。そして、何より大切なことは、生き延びることだ。

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    2011年01月05日
  • 半分のぼった黄色い太陽

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    1960年代に起きたナイジェリア内のピアラフ戦争を題材とした作品。タイトルの「半分のぼった黄色い太陽」は旧ビアラフ共和国の国旗の絵柄。
    戦争に伴う民族紛争や虐殺の悲惨さを描きながらも、本来的テーマは家族や恋人や姉妹のドラマである。なので戦争部分はファクトベースながらフィクションを織り交ぜる。後半は生々しい残酷な描写が続くものの、アフリカの独特な文化背景と米国留学経験の長い著者の欧米的感覚が絶妙なバランスとなり、小気味よいリズミカルな文章を生み出している。
    日常的な出来事に対する心の脆さと戦争という異常事態のなかでのカイネネやウグウの強さや適応性という矛盾を違和感なく両立させ、人間そのものを巧く

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    2025年12月10日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリアの女性たちを主題にした短編集。表題と同じ短編では、完璧なアメリカ人の恋人(すごくいい人)とのちょっとしたやりとりに、「オレは君と君のバックグラウンドを理解しているしそんな君をそのまま受け入れてるよ」が透けて見えてしまい、違和感とかすかな苛立ちを覚えるあたりにとても共感。どんなに素晴らしい人でも、「わかってる」感を出した途端にちょっとムッとくるよね。彼だってまだ若くて未熟だし、今現在の彼の背景を考えれば、十分過ぎるほど寄り添ってくれてるのに、どうしてもひっかかってしまうのが切ない。全編に渡って、言語化できない思いや感情を、そのままの空気を吸い込むように感じさせる話運びが素晴らしい。最

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    2025年11月08日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリアの女性作家の短編集。様々な世代、立場のアフリカ人(イボ人)女性の心理、アメリカとアフリカの対比がわかりやすく描かれているので、現代アフリカ文学の入門としてオススメ。
    ストーリーの作り方がうまい。アフリカの人名に慣れていないせいで、出だしは入りにくいけれど、最後は「この先が読みたい」(しかし短編なので終わってしまう)と思う作品が多い。

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    2025年06月08日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    煌めく陽光に向かって掌をまっすぐに伸ばしたときのような。 清々しい風のそよぎを胸いっぱいに吸い込んで深く呼吸したときのような。
    アディーチェの軽やかな言葉に鼓舞されて、心が晴れやかになってくる。


    フェミニズム論における「男性の特権や無自覚な加害性」を、僕は認めざるを得ない。
    それは単純に、男として利益を享受していることに身に覚えがあるから。
    それと同時に、ジェンダー論の「男性であることの生き辛さや期待される男らしさからの解放」についても、ちゃっかりと都合よく支持している。
    残念ながら「フェミニスト」と名乗れるかと問われても、言ってしまえばレディーファーストであろうとする自分や、妻に日々感謝

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    2025年05月04日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリアで生まれ育った著者が、男女、民族、貧富、宗教など異なる世界を持つ人が交わるときに生まれるささやかな違和感を穏やかに描いた短編12編。


    自分たちの国を民族を文化をまったく理解していない人に人生の舵を取られる屈辱。『象牙製品のようにエキゾチックな戦利品のように品定めされる』感覚。傲慢な西欧化の波にさらわれる戸惑い。

    アフリカが辿ってきた歴史を思うととても同列に語ることなんてできないけれど、女性として、アジア人として、少し心当たりのある感覚でもあります。

    自分の中にある無知と傲慢について考える機会になりました。出会えてよかった本。
    「なにかが首のまわりに」
    チママンダ・ンゴズィ・

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    2025年01月21日
  • なにかが首のまわりに

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    この感想を書いてるのは読んでから1年以上経ってからのことです。
    12の短編全てを思い出すことは出来ないので12タイトルは他の方の読書感想からコピペしてきた。
    おそらく多くの方のベストは「ジャンピングモンキーヒル」か表題の「なにかが首のまわりに」もしくは「震え」とかでしょうか。
    私も読んだ直後はそうだったかも知れない。でも思い出せない。
    今は「イミテーション」のあらすじだけが残ってる。
    不思議。

    セル・ワン
    イミテーション
    ひそかな経験
    ゴースト
    先週の月曜日に
    ジャンピング・モンキー・ヒル
    なにかが首のまわりに
    アメリカ大使館
    震え
    結婚の世話人
    明日は遠すぎて
    がんこな歴史家

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    2024年05月12日
  • アメリカーナ 下

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    ナイジェリアに住んでいるイフェメルとオビンゼの夢は、英米に留学すること。そんな二人は高校生時代からの恋人同士だが、イフェメルだけがアメリカに留学することになると二人の中にも溝ができて…。イフェメルはアメリカに留学してからというもの日々カルチャーショックに見舞われていく。その最大とも言えるのが、人種のるつぼとも言えるアメリカで自分が「黒人」であるということを発見していくことだった。やがてイフェメルは「非アメリカ系」黒人として、自分の思いをブログに綴っていく。オビンゼとの関係も断絶し、恋人もでき、順風満帆に見えた時、イフェメルは突然恋人を捨てナイジェリアに帰る決意をする。昔の恋人オビンゼに会うため

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    2024年04月12日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    「そう、ジェンダーについてつらい思いをしてる人いるよね。だから良くしなきゃ」
    そう思ってる人はみんなフェミニストだと、私も思う。
    言葉のリセット、賛成です。

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    2024年03月12日
  • なにかが首のまわりに

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    読んでて私は、異邦人の女の人の話が好きだと思った
    国を出た、居場所がない、親しい男、家族になじめない等の、現在の自分のいる場所に違和感を持つ女たち。とても自立しているようで寂しい人。

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    2023年11月13日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカ関係の本は、滝田明日香さん以来。(そうえいばキリマンジャロ登山の本とバッタの本は読んだ!)
    滝田さんが繰り広げるエピソードは、私の知らない世界であり、わくわくしながら読んだことを覚えている。

    本書の、チママンダさんは、世界的に活動されている。
    本の評価が高いことは知っていたけれど、活動拠点はアフリカではなくアメリカ。来日もしていて、松たか子さんが朗読???
    なんとも驚くものがある。

    アフリカに私は行ったことなく、はっきり言って知らない世界である。
    それをいいことにアフリカのイメージが作られてきた感がある。
    それを証明するものが、FACTFULNESSのチンパンジーアンケートである。

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    2023年10月02日
  • パープル・ハイビスカス

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    「発掘王への道#5」はチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『パープル・ハイビスカス』です

    海外作品も発掘します
    王ってそういうことですから
    苦手分野ないのが王ですから

    まずは作者紹介から!
    訳者あとがきから抜粋!(一部省略)
    1977年生まれ。ナイジェリア南部のエヌグで、イボ人(ナイジェリアの民族の一つ)の両親の六人の子どもの五番目として生まれた。父親はナイジェリア初の統計学教授でナイジェリア大学の副学長を務めた人。
    ナイジェリア大学で薬学と医学を学び始めたが、十九歳で米国にわたり、コミュニケーション学と政治学を学び、その頃から作品を書き始めました
    本作は作者の第一長編で、ハーストン/ライ

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    2023年09月16日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    男性優位の世界を見てここがおかしいと言う本。女性差別あるあるだよね、ということが穏やかな口調で満遍なく書かれているのでフェミニズムに目覚めていない人向け。
    「ジェンダーについて話すのは居心地の悪いこと。現状改革は面倒だから。なんでフェミニストって語を使うの?という話もあるが、それは「人権」という大きい言葉ではごまかしになるから。」
    私も、わざわざ嫌われる言葉を使わなくていいんじゃないかと思っていた。でもそれはずっと長い間無視されてきた女性の人権を無視することとあった。自省。

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    2023年07月04日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    読みやすい!
    語りベースだからなのかもしれないけど、とっつきにくくない
    めちゃくちゃいい言葉たくさんあって、あとで読み返したい

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    2023年04月05日
  • なにかが首のまわりに

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    アメリカーナが面白かったので、こちらも読んでみた。
    一つ一つがとても短い話なのに、一話終わるたびに感じる余韻がすごい。本書で描かれている、ナイジェリアとアメリカの空気、それぞれの女性たちの感受性や生きる力などに触れ、視界が開けるように感じた。世界は広い。

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    2023年04月02日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    文化的な背景知識などがないためにやはり一部わかりにくい表現や理解しきれていないと感じる場面があったのが残念だった(完全に個人の問題)

    アフリカでは(日本とはまた違う)フェミニズムもその他の人権問題もまだまだ山積みで、一見フェミニズムはそれらよりも軽んじられている印象があったけれど、それはアフリカでなくどこの国や地域でも同じだと改めて感じた(フェミニズムはしばしば後回しにされがち、もしくはもはや改善されたと思われがち)

    話者の語る様々な場面での男尊女卑を実感するシーンは、詳細さえ違えどきっと世界のどこでも起こっているものばかりで、身に覚えのあるようなものも多かった。

    人間としてではなく、な

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    2022年11月23日
  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    広いフェミニストの定義を教えてくれる。あ、私もフェミニストかも、そんな発見がある。
    私は、ジェンダーフリー
    の立場で男性、女性気にしないでやっていこうぜ
    と考えることが多かったけど、その姿勢じゃ女性であることで発生している問題を覆い隠すことになると再認識させられた。
    そうなった時に男性とは何か。女性とは何か。仮にその判断が性自認に委ねられるとき、人は何をもって男性であると認識し、女性であると認識するのか。もしくは認識しないのか。
    そんな問いや気づきをくれた1冊です。
    文量等から人によっては物足りないかもしれません。

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    2022年10月06日