チママンダ・ンゴズィ・アディーチェのレビュー一覧

  • 男も女もみんなフェミニストでなきゃ

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    フェミニズムは社会運動としての連帯を示す言葉だったが、昨今ではある種の嘲笑を含んだレッテルと化し、女性の自立運動を阻む一因となっている。同じようなことが、他の様々な「発言しづらさ」引いては「生きづらさ」に繋がっている。違いを認め合うことと支え合うことは互いに相容れないものではない。平明な言葉で書かれているが、現代とこれからを生きる人々への力強いメッセージ。

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    2026年02月15日
  • パープル・ハイビスカス

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    アディーチェのデビュー作。カトリック教徒の父親の厳しいしつけと懲罰。宗教的不寛容さは自身の父親にまで徹底している。家庭内の暴力には目を覆いたくなるほどだが、社会的貢献や寄付は成功者に相応しく義務を果たし、政治には改革的だ。ナイジェリアと西欧の宗教・文化が入り混じった複雑な社会が見えてくる。作者の故郷のエヌグにも一度行ってみたいが難しいだろうな。タイトルのパープルハイビスカスは新種で、自由な思想の象徴になっている。

    訳者あとがきを読み、アディーチェのTEDでのジェンダー・フェミニストについての講演をYouTubeでみた。誰もが居心地のいい話題ではないかもしれないテーマを、軽快に、わかりやすく話していく。文化のくだりはさすが。ナイジェリアで女性を無視して男性にだけ挨拶するウエイターや、女性らしい服を着たくても真剣に受け止めてほしくて女性らしさをおさえてしまうことなど、わかる。ジェンダーと階級とは抑圧が形を変えたもの、と。妥協、そんなもの、となる自分を省みた。

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    2025年04月06日
  • なにかが首のまわりに

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    初めてのナイジェリア文学
    1回ではまだまだしっかりと理解できていないことが多いけれど、全体的に切なくも力強い短篇集だった。

    翻訳されたタイトルがさらに切なく、「明日が遠すぎて」は個人的にとても印象的なお話。

    くっきりと描かれないけど、ぼんやりと情景が浮かんできて面白かった。

    「明日が遠すぎて」
    夏休みに祖母の家で過ごした期間を描いた作品。
    祖母は兄ばかり尊重し、そんな兄に嫌悪感を抱く妹がある計画を立て、実行する。
    真実を知るものは一体だれ?


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    2024年11月30日
  • なにかが首のまわりに

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    ナイジェリア出身の著者が、ステレオタイプの「アフリカ」とはほど遠い、実際の彼女たちの日常、心情、人間関係などが書き綴られた、短編集。

    読み始めは、馴染みのない名前(「ン」から始まる名前の多いこと!)、地名、人種、宗教、文化に戸惑いを覚え、300ページほどの文庫読破に7日も要した。アフリカ、特にナイジェリアのことを勉強してから、再読しようと思う。

    再読したら、恐らく星は増えると思われる。

    ナイジェリアのことに詳しくないあなたは、訳者あとがきから読まれるのがいいかもしれない。少しは、著者や背景理解が深まるのではないだろうか。

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    2024年01月07日
  • なにかが首のまわりに

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    「パープル・ハイビスカス」の大きなうねりはないけれど、さざなみのように、人と人のあいだの差違や隔たり、ずれ、違和感を物語にして差し出してくる。

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    2023年11月05日
  • なにかが首のまわりに

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    凝り固まったステレオタイプな印象と、差別と意識していない差別こそが、多様性の時代に潜む本質的な問題なのではないかと考えさせられる短編集。

    ナイジェリア出身の主人公たちが外国(主にアメリカ)との文化の差や、経済的な格差、ナイジェリア出身であるというアイデンティティに直面する物語を数話読んだだけで、豊かな国に生まれた人々の多くが自身でも知らないうちに、自分の中に「無意識の差別」を育んでいるのだと感じてしまいました。

    差別というのは肌の色や宗教の違いを理由に人を迫害するような行為だけを指すのでなく、自分の中の常識に無い、相手にとっての常識に敬意を払わないことで生じる現象を指すのかもしれません。

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    2023年05月09日
  • なにかが首のまわりに

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    どなたかの本棚にあったので読み始めたのだと思います。最初はほんとに何気なくのつもりで。

    ナイジェリアの作家さんなんてもちろん初めてです。
    短編が12,3ほど収められているのですが、どれをとってもナイジェリアで生まれた女性たちがどういう一生を送るのかというのがテーマだと思います。ちなみにナイジェリアという国家は多民族で、よくでてくるスッカという大学街はアブジャ州内にあり日本政府の危険情報でもレベル3;渡航は止めてくださいレベルでした。私達が簡単に行ける国ではなさそうです。

    ナイジェリアをでてアメリカへ渡る、キラキラした上位国アメリカに媚びるように生活するナイジェリア男性の3歩うしろで夫を敬い生活する、自国でも男性社会で女性の地位は低い、白人社会に出るとステレオタイプの黒人というひとくくりでイメージされる、日々レイシズムにさらされる海外生活、、などなどハッとさせられるテーマがナイジェリア女性の目線で描かれているように思います。なかなか厳しい風が吹く環境だと思うのだけど、小説のタッチはサラッとしていて重いテーマをそう見せない感じが素敵。

    ただ、表題作はかなりハッとさせられました。これはなんというか物凄く悲しい。自分の事をきちんと理解してくれる素敵な人に出会ったのに、出自の違いが過ぎて自分をうまく解放できない女性。切ない、、。

    この本を読んで思ったのは、ナイジェリアの女性であっても、日本で暮らすBBAな私でも内なる気持ちには何も変わりはないのだと。

    異国の本もいいなと思える小説でした。来年はいろんな風や匂いを感じられるのでもっと海外小説にも挑戦していきたいなと思います!

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    2022年12月11日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカ(ナイジェリア)に生まれること、黒人であること、女性であること、アメリカに暮らすこと。向けられる眼差しや、違和感。

    物語を読んでほんの一時わかったような気になって、実際、一生本当の意味ではわからないままなのだろうなぁ…。

    ひりひりとした当事者感情がそこにはあった。

    寝る前に『アメリカ大使館』を読んでしまったばっかりに、瞼の裏に鮮烈な赤いヤシ油の色が浮かんで、なかなか寝つけなかった。

    表題作での、

    「夜になるといつも、なにかが首のまわりに巻きついてきた。ほとんど窒息しそうになって眠りに落ちた。」

    というところが印象的だった。初めて海外で暮らし始めた時、似たような気持ちを覚えていた気がする。

    どこにも居場所なんて見つけられなくて、24時間常にコンフォートゾーンの外側。自律神経なんかぐちゃぐちゃだっただろう。

    もうすぐアメリカに引っ越すので、自分も彼女たちみたいな感覚を味わうのかな。答え合わせしたい。

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    2022年10月16日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカの小説、というだけで先入観があった。
    読んでみたら、かわらない人間の悲喜こもごもの話だった。
    明日には遠すぎて ってタイトルがいい。

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    2022年07月05日
  • なにかが首のまわりに

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    アフリカの作家による小説第2弾。今回は短編集で、一つ一つの話が長くなく、軽快でテンポもよく、読みやすい。どの小説にも共通しているのは、「人種差別」と「土着文化とアメリカ文化の大きな違い」。これは、なかなか無くならないもので、「なにかが首の周りにある」という不気味な表現(当事者には感覚なのだろう)は言い得て妙。自虐的でもあり、賞賛でもあり、戻りたいような、帰りたくないような、そんな複雑な感情に共感できることが多い一冊。

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    2022年04月17日
  • なにかが首のまわりに

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    あらゆる差別や偏見,戦争,階級闘争,断絶と断罪,信仰と信念…あらゆるものが混ざり合って出来上がっている世の中と言う「壺の底」から眺めた風景を擬似体験する様に読んだ.
    無知と傲慢を,抉り出して曝け出されたような気分…
    アフリカ系の名前の馴染みのなさについて行けず,没入しきれなかったか,また時間を置いて読み直したい.

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    2022年03月01日
  • なにかが首のまわりに

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    翻訳本だから、少し難しい日本語になっていて読みにくさはあった。
    世界にはいろいろな夫婦形式や、状況があるんやなと、自分の「世界」の概念が少し変わった。

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    2020年10月07日
  • なにかが首のまわりに

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    舞台はアフリカだったりアメリカだったり、登場人物たちも様々な人種ですが、あっこの感覚は味わったことがある…と思うことしきりでした。
    生きづらさはどこにでもある、でもそんな中でも強く生きる女性たちが眩しい。
    「ひそかな経験」「なにかが首のまわりに」「明日は遠すぎて」が特に印象的でした。ひそかな経験、はここにいたらなかなか出くわさないけど緊張感が凄かったです。
    これまで接する機会のなかった地域の文学…色々と読みたくなりました。まずは知るの大事。

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    2020年08月25日