「少年の心を持った男性におすすめ」というレビューがあったが、女性が読んでも十分面白くパピコと零には好感が持てる。
実際生物学上は女の私でもすっかり夢中にさせられた。
零は映画監督をめざす映画マニアの高校生、パピコは毒家族とDV彼氏に悩まされるAV女優。癒しは犬だけ。
もしEETの一件がなければあ
...続きを読むまりの環境の違いと年の差その他もろもろの事情で自然消滅していたかもしれないが、ある種の吊り橋効果というべきか、パピコこと本名ちほに対する零の一途な愛と誠意、そんな零をこの世界の良心の代弁者の如く慈しみ守らんとするパピコ、相思相愛の恋人同士の姿にじんとくるやらきゅんとくる。
パピコを巡る環境は複雑で、特にいい男三人+まだ働ける年齢の中年女性の分際で娘一人に食わしてもらっといて「いやらしい仕事」呼ばわりする家族にはイラッときたが、そんなパピコを「こんな立派な人と付き合ってることを喜ぶべきだ」と擁護する、零の純粋さに救われる。人が死ぬネタに憤りを示す良識も好ましい。
一方で感情が高ぶってファミレスで号泣してしまうなど、パピコ絡みになると簡単に理性をなくす等身大の幼稚さや思春期のままならさが痛々しくもあり共感できる。
クリーチャーが大挙して虐殺をくり広げる展開はド派手だが、追い詰められれば追い詰められるほど零とパピコの絆が強まり、二人の幸せを願いたくなる。
SNSの反響もリアルなのだが、それにしてもこの人が書くネット民の民度は低い……。