ベルナール・ミニエのレビュー一覧
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マルタン・セルヴァス警部シリーズ第四弾。今回は初めて上下分冊ではなく初の一冊もの。700ページに近い大作であるにも関わらず、だ。読者としては、分冊よりもコスパは有難い。
前作『魔女の組曲』では、セルヴァスが休職療養中で、連続殺人鬼ジュリアン・ハルトマンから離れた独立系の犯罪と、そのとんでもない経緯と真相に向かうストーリーテリングのジェットコースター感に、まったくもって脱帽させられた。シリーズとしてよりも、単独作品として十分に成り立つため、新たな読者を獲得したのではないかと喜んでいる。
翻訳出版としては『氷結』(2016年)『死者の雨』(2017年)。その後、忘れ去られたかのように邦訳 -
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ベルナール・ミニエ『夜』ハーパーBOOKS。
シリーズ第4弾。全仏ベストセラー第1位を獲得し、Netflixドラマ化、さらには累計300万部突破のミステリー・シリーズ。またまた殺人現場から連続殺人鬼ジュリアン・ハルトマンのDNAが検出される。第1作以来なかなか姿を見せないハルトマンに今回も肩透かしを喰らうのか……
シリーズの中では一番面白く、ようやく及第点を得たという感じかな。今回も色々と詰め込みながら、全く新たな方向に物語は展開し、連続殺人鬼のハルトマンがセルヴァズに執拗に絡んで来るのだから堪らない。
ノルウェーの教会で女性の撲殺死体が発見される。死体のポケットにはオスロ警察の女性刑事 -
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前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑 -
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前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑 -
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フランスの売れっ子作家と聴き、興味深く読み始めたが、幕開けが奇妙かつ派手な事件、その舞台となるのが冬のピレネーの山村、とアクロバティックで一気に引き込まれる大スケール&アクション・ミステリーであった。これがデビュー作ならフレンチ・ミステリーのスターダムに一気に輝いたというのも容易に頷ける。
連続する猟奇殺人にしても、山麓の村にある重罪犯を集めた研究所の存在にしても、相当に不気味である。腕利き警部マルタン・セルヴァスの活躍の中に挿入されるのが、その不気味な研究所にやってくる女性心理学者ディアーヌ・ベルクの章である。事件と並行して存在感を増す連続猟奇殺人犯と研究所の存在が、気になって仕方ない -
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フランスの売れっ子作家と聴き、興味深く読み始めたが、幕開けが奇妙かつ派手な事件、その舞台となるのが冬のピレネーの山村、とアクロバティックで一気に引き込まれる大スケール&アクション・ミステリーであった。これがデビュー作ならフレンチ・ミステリーのスターダムに一気に輝いたというのも容易に頷ける。
連続する猟奇殺人にしても、山麓の村にある重罪犯を集めた研究所の存在にしても、相当に不気味である。腕利き警部マルタン・セルヴァスの活躍の中に挿入されるのが、その不気味な研究所にやってくる女性心理学者ディアーヌ・ベルクの章である。事件と並行して存在感を増す連続猟奇殺人犯と研究所の存在が、気になって仕方ない -
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セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。
期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。
一方のゲスト主人公は -
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セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。
期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。
一方のゲスト主人公は -
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ネタバレセルヴァスシリーズ第6作。前作『姉妹殺し』の次作。相変らずもてまくりのセルヴァスだが、たかがタバコをやめることができないダメ男。前作の無茶な行為で責任を問われ、懲罰委員会の決定を待っている停職中の身である。
これが元恋人の助けを求める電話を受けたとたん前後を考えず突っ走る。もっと考えて動けよと突っ込みながら読み進む。多くの事件が発生するがそれらの被害者はそうされても仕方がないような悪事を働いていた犯罪者だったのである。セルヴァスの貢献はほとんどない中で、いつも通り危機一髪のところで犯人は捕らえられ、一時的な平和がおとずれて本編は終了するが事件が起こる社会的病理の基底の部分はなにも変わらず悪くな -
Posted by ブクログ
ネタバレさすがの文章の美しさだし、セルヴァズの過去なども丁寧に描かれている。ああ、昔からこうなんだ、とくすっとしたり、お父さんとの確執にも一旦区切りがついてしんみりしたり、物語としては豊かだし中身は濃厚。
シリーズ大ファンとしては満足なのだが、すこし物足りなさも。なんでだろう?
死体の数は多いけど、シリーズ特有の残酷さがあまりなかったからだろうか?それともあの人の不存在?
それもきっとあるんだけど。
多分、丁寧に過去を描いて掘り下げ、過去と現在のクロスする事件などをなぞって進んだ結果、現在のメンバーがあまり登場しなかったから、かなあと思い至る。
マルゴも電話でちらり、エスペランデューやサミラも