ベルナール・ミニエのレビュー一覧
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ネタバレフランスの作家、ベルナール・ミニエの警部セルヴァズシリーズ第一弾。
ピレネー山脈の高度2,000メートルにある水力発電所で、吊るされた実業家の馬が発見される。実業家への復讐かと思われたが、馬の死体から、近くの精神病院に収監された重犯罪者のDNAが発見され…
久しぶりにフランスの警察小説を読んだが、手堅さの中に、フランスミステリにありがちなツイストが仕込まれていて、あらすじや序盤の展開からは想像しなかった着地点に導かれる。
ぶっちゃけ展開の妙だけでミステリとしては強くなく、主役のセルヴァズも右往左往で周辺の仲間たちの活躍が目立つ。心理士の視点もそこまで必要だったのかと思うほど。なんだけど、え -
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面白すぎるー!
前作で肉親を守るために自分を痛めつけまくったセルヴァスも、50歳と言う年齢のせいなのかはたまた今回は肉親と物理的に離れてたからなのか、事件に対しても節度ある行動で安心して読めた。
そして事件は私好みの物凄い凄惨なもの。しかもうまく被害者の心象や驚きも描かれてて、後で読み直すとその反応や伏線すべてに納得という感じ。さすが手慣れてる!よっミニエ様!
フーダニット、ワイダニットもそう来たか、いや、そうだよね?と納得感があり、いろんな意味で高値安定のまま着地、素晴らしい。
やー、ほんと、良い読書だったなあ。
ドMなの?と思っちゃう肉親のためなら破滅上等キャラが鳴りを潜めただけで -
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★5 フランスのピレネー山脈で発生する猟奇殺人、重々しくも心臓に突き刺さる骨太ミステリー #黒い谷
■あらすじ
フランスはピレネー山脈で男性の奇妙な惨殺死体がに見つかった。さらに半年後にも同様の猟奇殺人が発生してしまい、憲兵隊ジークラー大尉が事件の真相を追う。
一方、以前事件で停職中になっていたセルヴァス刑事の元に、八年間も行方不明になっていた恋人マリアンヌから電話がかかってきた。かつての恋人を探すためセルヴァスは奔走するも、足取りがわからない。さらに連続殺害事件との関連も見えはじめ…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろいっ! 自分がミステリーを書くなら、こんなのを書いてみたいと -
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ベルナール・ミニエ『黒い谷』ハーパーBOOKS。
全仏ベストセラー第1位の警部セルヴァズ・シリーズの第6作。最近では余りお目に掛からない奇怪な連続殺人を描いた700ページ超の長編ミステリー小説。
主人公が停職中の刑事で、8年前に失踪した主人公の元恋人から連絡があり、そこで得体の知れぬ犯人による奇怪な連続殺人事件が発生するという、まるで全方向を網羅する形で興味惹かれる読み応えのある作品だった。
果たして、セルヴァズの警察人生は……マリアンヌは本当に生きているのか……奇怪な連続殺人事件の犯人の正体は……
ピレネー山中の凍結した湖面で全裸状態で腹を斬り裂かれた遺体となって発見された29歳の -
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ネタバレもはや偏愛の域に達しているので星を減らす気はないのだが…今回はちょっと、シリーズ初めてモヤモヤ感が残った。
他の方の感想を読むと、シリーズで1番とか、単体でも読めるし新しい読者を取り込めたのではなどあったけど…
うーん、個人的には真逆の感想だった。なんなのかなこの感じ…と思って、上手くはないんだけどこう、ダークな少年ジャンプを読んでる気分になったんだよね。
人気が出て連載が進むにつれ物語は大規模になってゆく。主人公の周りの世界が広がる。仲間も増えて敵がどんどん強くなる。主人公が成長してまた新たな困難に立ち向かう。
そうなのだ。
ただ主人公はジャンプのそれみたいな少年ではない。すでにかなり確 -
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ネタバレおおおおおー!
当然クロスするはずの2人がずっと平行線だったところから、ようやく線が混じり合う。物理本で読んでいたので、え、ここで出会っちゃって解決したらページ数大丈夫?と思ってけどさにあらず。
雪崩れ込むように展開が加速して、後半はもうそしてミランダを殺すみたいなジェットコースター級のどん・でん・返しきたよコレ!
あの人が悪いのかと思ったらその人が、いや、その人も?みたいにくるくる大展開にわたしはもうスタンディングオベーションでした。読み進めるごとにすごいんだけど、謎や状況に加えて物語構成の巧みさにしみじみ。
やばい、寝不足なのは熱帯夜のせいです。みたいな顔して仕事に臨むしかない。ゲ -
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ネタバレこれはやばい。一気読み必至。読み終えずに眠れない!
この作品が処女作と聞いたけど、重厚な語り口調やめちゃくちゃ魅力的な登場人物たちに持ってかれまくり。手が止まらない!
犯罪の突飛さととにかく美しい地の文に引っ張られて気がつくと、実は現在軸の殺人はそこまで多くはないんだね。ただ、過去の悲惨な事件もあったし、あとなんといってもところどころ教養のあるエピソードが挟まれて退屈しない。
これはまた、良い読書体験だったよなー!
凍えるような描写、閉塞的な環境、だんだん不安定になる主人公…ある意味全てが筋が通っていて、読み終わって余りの完成度に声が出ちゃった。
うーん、これはまた、作家買い決定。
美 -
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セルヴァズ警部、と呼び掛けられると、前作で降格させられた経緯があるので、「警部補です」と敢えて答える主人公が、本作ではとにかく目につくし、それもまたなかなかの味である。銃をあまり持たないセルヴァズ。射撃にとんと自信がないからである。そんな主人公の警察シリーズで良いのか? と読者が心配してしまうタイプの警察官が主人公なのだ。
好敵手は、かのハンニバル・レクターに比肩されるほど怖い、サイコ過ぎる元検事の殺人鬼ジュリアン・ハルトマン。この怖い元検事の殺人鬼が出演しないストーリーであれ、セズヴァズの夢には必ず出てきたりするくらい、シリーズ中、圧倒的存在感を誇る。前作ではハルトマンとの一部直接対決 -
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ベルナール・ミニエ『姉妹殺し』ハーパーBOOKS。
セルヴァズ警部シリーズ第5作。『夜』に続き再び全仏ベストセラー1位を獲得したようだ。
もしかして、今回もまた連続殺人鬼ジュリアン・ハルトマンが関わって来るのだろうか。
25年の時を経て2つの事件がつながり、予想外の結末へと向かう警察ミステリー小説。ベルナール・ミニエという作家は兎に角あの手この手で読者を翻弄するのが巧い。今回も先の見えない展開と意外な真相、セルヴァズを何度も襲う危機、感動のラストに感情を揺さぶられた。
1988年。16歳の姉のアンブルと15歳のアリスの姉妹は大ファンのミステリー作家に会うために真夜中の暗い森の中を歩く… -
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ネタバレ驚いた! 傑作だった!
過去2作品を読んで、なんとなく予感はあったけれど、それでもここまで化けるとは思わなかった。
ただ長〜い!(1作目の様にダラダラはしていないが…)。
つ〜か、二人の主要人物が出会うまでが時間かかり過ぎて、もどかしいったらありゃしない。
勿論、それも演出なんだろうけど、その辺の焦らせ方も『ONE PIECE』ばりで、早く!早く!とイライラしながらも頁が進む趣向だった。
途中、これちょっと収集つかなくなって、最後は無理矢理の力技で終わるんじゃ…と心配したんだけど結末はスッキリ。
堅物ぽかったシリーズの主人公も今回は結末にあたり粋と言えなくもない融通を効かせて、個人的に -
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まるで、某メーカーの酎ハイのようなタイトルで、中身はフレンチミステリー。
凍り付くような季節・場所・事件に、スピードのある展開と緊迫感満載の場面の連続で、あっという間においしく飲み干してしまった。
舞台は、暗い谷の奥に怪しげに佇む精神医療研究所と閉鎖的な町。
雪と氷で閉ざされた水力発電所のロープウエイ頂上で、首を斬られた馬が吊り下げられていたという事件から始まる連続殺人(馬一頭含む)事件と、時代錯誤とも感じるほどの「治療」方法が行われる「研究所」の謎。
入所しているのは最強のシリアルキラーたち、なかでも最強なのが知性と残虐性を併せ持つハルトマン。外に出ることが不可能なはずのハルトマンの痕跡が