ベルナール・ミニエのレビュー一覧

  • 死者の雨 下

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    ネタバレ

    フランスの作家、ベルナール・ミニエのセルヴァズ警部シリーズ第二弾。上下巻ともそれなりに太く、ボリュームが凄い。

    学園都市で女教師の死体が発見される。縛られ、バスタブに沈められたその死体の側には、セルヴァズが昔付き合っていた女性の息子がいて…

    前半こそ展開が遅いが、事件の本質が分かりはじめた途端にフルスロットルとなる。特に死体がライトを咥えていた理由は凄惨。衝撃だった。

    前作で逃げた殺人鬼ハルトマンの影もチラつく中、セルヴァズの過去、学生時代の友人や交際相手が絡み、シリーズをとおしてキーとなる作品だったのではないか。
    終わり方も非常に味がある。最新作までのあらすじで展開は薄々気づくのだが、途中の幕間の立ち位置を理解した瞬間、ラストの絶望感が増す。

    少し太いが、これこそフランスの警察小説。お家芸の衝撃な展開もあり、非常におすすめのシリーズ。

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    2026年04月08日
  • 黒い谷

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    本書はサスペンスホラーミステリーのような位置付けになるのか?

    八年前に失踪した恋人を追って村を訪れた刑事セルヴァズの周りで次々と起こる不可解で残酷な殺人事件。
    殺人現場には多数の証拠や不可解なモノが残されているものの、封鎖された村でなかなか犯人を確保出来ない警察たちへの村人たちのイラだちや不信感が段々と高まっていきます。次に何が起こるか分からないという緊張感が常にありました。
    集団の中での没個性化など心理学的な内容から様々な社会問題まで扱っていながら物語としても、とてもよく纏まっていて最後まで全く飽きを感じさせなかった。訳された方も素晴らしい。

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    2026年03月03日
  • 氷結 下

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    ネタバレ

    フランスの作家、ベルナール・ミニエの警部セルヴァズシリーズ第一弾。

    ピレネー山脈の高度2,000メートルにある水力発電所で、吊るされた実業家の馬が発見される。実業家への復讐かと思われたが、馬の死体から、近くの精神病院に収監された重犯罪者のDNAが発見され…

    久しぶりにフランスの警察小説を読んだが、手堅さの中に、フランスミステリにありがちなツイストが仕込まれていて、あらすじや序盤の展開からは想像しなかった着地点に導かれる。
    ぶっちゃけ展開の妙だけでミステリとしては強くなく、主役のセルヴァズも右往左往で周辺の仲間たちの活躍が目立つ。心理士の視点もそこまで必要だったのかと思うほど。なんだけど、え、そういう話なの?という感じで、気づかないうちに全く違うところへ連れていかれる展開が良い。

    若干冗長で中弛みしそうだが、独特の味わいがある警察小説を読みたい場合はぜひ。

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    2025年10月21日
  • 氷結 上

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    ネタバレ

    フランスの作家、ベルナール・ミニエの警部セルヴァズシリーズ第一弾。
    クラシックでもなく、奇を衒ったものでもなく、たまにしっかり手堅い警察ものを読むと心が洗われる。
    詳細な感想は下巻で。

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    2025年10月15日
  • 黒い谷

    購入済み

    読み終えたくないおもしろさ

    私の好みにピッタリ
    美しい描写
    恐怖
    混沌
    愛
    不安
    宗教
    だれもが想像できない結末

    #深い

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    2025年08月16日
  • 夜

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    シリーズ4作目ですが、初めて読みました。680ページもありますが、結構読めます。特に最後の100ページくらいは動きますね。この流れにどうオチをつけるのだろ…?、あらら、そうなるのかぃ?、という感じでした。GoogleMapで場所を突き合わせながら読むと面白いです。

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    2025年07月29日
  • 黒い谷

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    面白すぎるー!

    前作で肉親を守るために自分を痛めつけまくったセルヴァスも、50歳と言う年齢のせいなのかはたまた今回は肉親と物理的に離れてたからなのか、事件に対しても節度ある行動で安心して読めた。

    そして事件は私好みの物凄い凄惨なもの。しかもうまく被害者の心象や驚きも描かれてて、後で読み直すとその反応や伏線すべてに納得という感じ。さすが手慣れてる!よっミニエ様!
    フーダニット、ワイダニットもそう来たか、いや、そうだよね?と納得感があり、いろんな意味で高値安定のまま着地、素晴らしい。

    やー、ほんと、良い読書だったなあ。

    ドMなの?と思っちゃう肉親のためなら破滅上等キャラが鳴りを潜めただけではなく、最後に犯人に語りかける内容にはもう、父親もといパパ味が溢れてて、いい感じに主人公が成長してるなあって変なとこにも感動しちゃった。シリーズものでここまで納得できる作品ってしばらく当たってなかったから、飛び上がりたいくらい嬉しかった。ぐんぐん引き込まれて700ページ越えの作品だけど、体感瞬き20回くらいで終わった気分。うーん、良き読書。幸せなまま眠ろう。おやすみー

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    2025年04月01日
  • 黒い谷

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    ★5 フランスのピレネー山脈で発生する猟奇殺人、重々しくも心臓に突き刺さる骨太ミステリー #黒い谷

    ■あらすじ
    フランスはピレネー山脈で男性の奇妙な惨殺死体がに見つかった。さらに半年後にも同様の猟奇殺人が発生してしまい、憲兵隊ジークラー大尉が事件の真相を追う。

    一方、以前事件で停職中になっていたセルヴァス刑事の元に、八年間も行方不明になっていた恋人マリアンヌから電話がかかってきた。かつての恋人を探すためセルヴァスは奔走するも、足取りがわからない。さらに連続殺害事件との関連も見えはじめ…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 おもろいっ! 自分がミステリーを書くなら、こんなのを書いてみたいという物語でしたね。いわゆる北欧ミステリーなんですが、やっぱりこの重く暗く寒々しい世界観が好きすぎる。

    複雑な感情が絡み合った結果、人間の深く醜い部分が見えてしまう。読み終わった時にひたすら苦しい気持ちになるんですが、同時に人間の温かさも染みわたるんですよね。腹も立つし、泣きたくもなるんだけど、抱きしめたくもなる。ホント、心がぐちゃぐちゃになるんですよ。

    本作、まず登場人物が素晴らしいんです。まずなんといっても憲兵隊ジークラー大尉ね、女性なんですが超カッコイイんですよ。才色兼備、質実剛健、捜査本部のリーダーとしてチームをひっぱる。どんなことにも屈せず、立ち向かう姿がCoooool過ぎるでしょ! そんな鬼軍曹でも愛する人には… という人間のやわらかい部分も丁寧に描かれてるんですよね。

    そして主人公のセルヴァスですよ。本来はバリバリの刑事なのに、本作では停職中という身分のため、最初から最後までずっーーーと我慢しきりで可哀想。自分がどんなにも辛い時でも優しい言葉をかけられる。本当に強い人間ってのは彼のような人のことをいうんでしょうね。私もこんなシブイ男になりたい。

    他にも艶めかしい女性精神科医、力強く立ち向かう女性村長、何か怪しげな神父や教師などなど… それはもう強めなキャラクターで目白押し、すっかり人間関係の渦に巻き込まれてしまいました。

    特に後半、いわゆるラブシーンが2か所あるんですが、これがスゴイの。こんなにもヒリヒリする事件の中、こんなにもキワキワの情事があるんすか。いやー、もうビックリ。

    物語の構成もしっかりしてて、エンタメ度も抜群なんすよ。警察小説としてもすったもんだあって面白いし、最後まで読む手が止まらない。謎解きとしても、かなりハードな真相です。こんなの大好物なの、私。

    現場に残された謎の記号の意味は? なぜ殺害方法が猟奇的なのか? そして恋人マリアンヌの拉致事件との関連性は? 最大の疑問は何故こんな事件が起こったのか? ということでしょう。

    フランスだけではない、日本はもちろん世界中で起こりうる、現代的な社会問題が背景にあるんです。善悪や勝ち負けを決めたがり、強いものが弱い者をこき下ろす。何でも二項対立にしたがる現代人の悪い癖。何でも我欲や自分の立場を通すのではなく、もっとひとりひとりに寄り添うことはできないもんでしょうかね…

    ベルナール・ミニエの本シリーズ、初めて読みましたが面白過ぎですね。本作は6作目ですか、これはもう遡って読むしかないです!

    ■ぜっさん推しポイント
    最終盤、セルヴァスがある人物に語り掛ける。これまで長い長い物語を読んできて、最後の最後に至極当然の話をするんです。これにたどり着くために、読んできたと言ってもいい!

    自分自身の人生も振り返らせてくれる、味わい深い素晴らしい語らいでした。

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    2025年01月15日
  • 黒い谷

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    フランスの警部補セルヴァズを主人公にした警察ミステリー。シリーズ6作目。
    8年も行方不明だったマリアンヌからの電話で物語は始まる。ピレネーの村に駆けつけたセルヴァズを待っていたのは残酷な遺体で発見された二つの殺人事件と、道路を爆破されて孤立状態になった村の人々の不穏な動きだった。
    今回は停職中のセルヴァズが旧友ジーグラーの片腕となって事件の解決とマリアンヌの救出に尽力するというもの。兎に角、殺人方法も理由もエグいが700ページ超えもあっと言う間に読ませてくれた。次回も楽しみ、待ち遠しい。

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    2025年01月14日
  • 黒い谷

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    ベルナール・ミニエ『黒い谷』ハーパーBOOKS。

    全仏ベストセラー第1位の警部セルヴァズ・シリーズの第6作。最近では余りお目に掛からない奇怪な連続殺人を描いた700ページ超の長編ミステリー小説。

    主人公が停職中の刑事で、8年前に失踪した主人公の元恋人から連絡があり、そこで得体の知れぬ犯人による奇怪な連続殺人事件が発生するという、まるで全方向を網羅する形で興味惹かれる読み応えのある作品だった。

    果たして、セルヴァズの警察人生は……マリアンヌは本当に生きているのか……奇怪な連続殺人事件の犯人の正体は……


    ピレネー山中の凍結した湖面で全裸状態で腹を斬り裂かれた遺体となって発見された29歳のカメル・アイサニ。斬り裂かれた腹の中にはプラスチック製の赤ん坊の人形が無理矢理押し込められていた。

    ある日、警部補に降格された上に停職中のマルタン・セルヴァズの元に8年前にジュリアン・アロイス・ハルトマンに拉致されたマルタンの元恋人のマリアンヌから助けを求める電話が入る。

    マリアンヌを捜索するため、ピレネー山中の村を訪れていたセルヴァズは捜査を担う憲兵隊大尉ジーグラーと遭遇すると新たな男性の惨殺死体が発見される。そんな中、村に通ずる唯一の道路が何者かによって寸断され、一行は村に閉じこめられることになる。

    そして、さらなる残虐な殺人事件が続き……

    定価1,680円
    ★★★★★

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    2024年12月11日
  • 夜

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    ネタバレ

    もはや偏愛の域に達しているので星を減らす気はないのだが…今回はちょっと、シリーズ初めてモヤモヤ感が残った。

    他の方の感想を読むと、シリーズで1番とか、単体でも読めるし新しい読者を取り込めたのではなどあったけど…
    うーん、個人的には真逆の感想だった。なんなのかなこの感じ…と思って、上手くはないんだけどこう、ダークな少年ジャンプを読んでる気分になったんだよね。

    人気が出て連載が進むにつれ物語は大規模になってゆく。主人公の周りの世界が広がる。仲間も増えて敵がどんどん強くなる。主人公が成長してまた新たな困難に立ち向かう。
    そうなのだ。
    ただ主人公はジャンプのそれみたいな少年ではない。すでにかなり確立された地位とかを手にしてるので、成長の代わりにどんどん行動が変化する。敵が固定されるので最短距離を取るために、ルールから外れた行動が増えて行くんだよねえ。
    いや、別に道徳的になる必要も理由もないのでフィクションのヒーローにルールを守って欲しいわけじゃない。だけど無茶で明らかに周りと距離ができたり本人がボロボロになると、なんともやるせないというか、最後に犯人が捕まったからいいよね?みたいな終わりよければ口調になるのがどうも…

    この違和感、ヨーナ・リンナでも感じたぞ。
    リンカーン・ライムみたいに宿敵はいてもそれだけに固定しないでいいんじゃないかなーなんて思ってしまった。
    ハルトマン(ヨーナの場合にはサンドマン)という固定要素を保って物語の起伏をつけるために、主人公にすべての皺寄せがいってないかなあ、なんて思わず考えてしまう。

    …エスペランデューとかサミラとか、ヨーナよりも光サイドの主要人物がいてくれるから読めるけど、こっちも暗くなりすぎないでね?と、祈るような気持ち。

    この、固定された悪と切れない関係で思い出したのがJカーリィのお兄ちゃんがシリアルキラーのシリーズ。あれは主人公とヴィラン的要素がありつつも決して一連托生になってなかった気がする。最新作を読んでいなかったので、再読してみようかな?

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    2024年07月27日
  • 魔女の組曲 下

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    ネタバレ

    おおおおおー!

    当然クロスするはずの2人がずっと平行線だったところから、ようやく線が混じり合う。物理本で読んでいたので、え、ここで出会っちゃって解決したらページ数大丈夫?と思ってけどさにあらず。

    雪崩れ込むように展開が加速して、後半はもうそしてミランダを殺すみたいなジェットコースター級のどん・でん・返しきたよコレ!

    あの人が悪いのかと思ったらその人が、いや、その人も?みたいにくるくる大展開にわたしはもうスタンディングオベーションでした。読み進めるごとにすごいんだけど、謎や状況に加えて物語構成の巧みさにしみじみ。

    やばい、寝不足なのは熱帯夜のせいです。みたいな顔して仕事に臨むしかない。ゲームやりすぎる子供と何も変わらないんだけど。面白すぎる〜!

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    2024年07月24日
  • 氷結 下

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    ネタバレ

    これはやばい。一気読み必至。読み終えずに眠れない!

    この作品が処女作と聞いたけど、重厚な語り口調やめちゃくちゃ魅力的な登場人物たちに持ってかれまくり。手が止まらない!

    犯罪の突飛さととにかく美しい地の文に引っ張られて気がつくと、実は現在軸の殺人はそこまで多くはないんだね。ただ、過去の悲惨な事件もあったし、あとなんといってもところどころ教養のあるエピソードが挟まれて退屈しない。
    これはまた、良い読書体験だったよなー!

    凍えるような描写、閉塞的な環境、だんだん不安定になる主人公…ある意味全てが筋が通っていて、読み終わって余りの完成度に声が出ちゃった。

    うーん、これはまた、作家買い決定。
    美しくて切なくて、凍える物語。最高!

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    2024年07月18日
  • 姉妹殺し

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    1993年美人姉妹の女子大生が惨殺された。ラングという作家の書く作品内と似た設定で殺されており、姉妹とラングの交流があったと分かる。ラングが殺したのか・・・25年後、ラングの妻が殺される。毒蛇にかまれて。

    面白かった!分厚くても全然飽きない。謎が解かれる快感をストレートに味わえた。シリーズものだけれど、前作読んでなくても大丈夫。

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    2022年06月30日
  • 姉妹殺し

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    凄いと思った。700ページ近い量もだが、25年にまで遡るセルヴァズの来歴が事細かに綴られている。同時に当時の警察官の取調べの様子から今に至るまでの時の流れをセルヴァズと共に味わっていく様だった。登場人物の作家の作品にクスリとさせられもした。

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    2022年06月21日
  • 姉妹殺し

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    「セルヴァズ」シリーズ第5弾。今作は25年前セルヴァズが新人だった頃の事件から幕が開ける。大学生の姉妹が殺害され容疑者は人気小説家。シリーズのどの作品もそうだけれどすぐに引き込まれていく。25年後に起きた似たような事件。その関連とセルヴァズが感じる不安。ジリジリと追い詰められていくような焦りと緊張感がある。700ページ近くあるけれどその長さを感じさせない。事件のラストの展開やエピローグで明かされることやシリーズの今後が気になる。

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    2022年05月10日
  • 姉妹殺し

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     セルヴァズ警部、と呼び掛けられると、前作で降格させられた経緯があるので、「警部補です」と敢えて答える主人公が、本作ではとにかく目につくし、それもまたなかなかの味である。銃をあまり持たないセルヴァズ。射撃にとんと自信がないからである。そんな主人公の警察シリーズで良いのか? と読者が心配してしまうタイプの警察官が主人公なのだ。

     好敵手は、かのハンニバル・レクターに比肩されるほど怖い、サイコ過ぎる元検事の殺人鬼ジュリアン・ハルトマン。この怖い元検事の殺人鬼が出演しないストーリーであれ、セズヴァズの夢には必ず出てきたりするくらい、シリーズ中、圧倒的存在感を誇る。前作ではハルトマンとの一部直接対決など、どきどきする巻でもあったのだが、本作では思い切り趣向が変わる。

     しかもセルヴァズ警部ファンにはこたえられないことに、何と20代、新米刑事時代のセルヴァズ登場によって、本作はスタートするのである。銃を使いこなせない不器用さはもちろん各方面で駆使されるし、新米であれ、彼なりの性格の強さや勘どころの鋭さといった、今に繋がるセルヴァズならではの特徴はこの年齢でも早くも味わえる。特に彼の実力を伴いそうにない無謀さは、この頃から何とも一流である。

     本シリーズは最初から順番に読んでいるのだが、何といっても『氷結』で知ったトゥールーズという作者在住でもある地方都市が良い。ピレネー山脈やスペイン国境にフランス一近い大都市が、トゥールーズである。なので、冬には雪と山岳を舞台にしたアドベンチャー・ノヴェルをシリーズ内で披露できるという、この年に住む作者ならではの強みがある。それこそ一作目の『氷結』はこの都市、そして冬のピレネーという個性を存分に生かしてくれたのだ。事件も個性的で第一作としてはなかなかの大物デビューぶりを示したのだったし、セルヴァズの無謀ぶりも存分に表現してくれたものだった。

     その後、シリーズを重ねるにつれ、ハルトマンとの因縁の経緯を背景に楽しみながら、各作品毎の大きめの変化も楽しむことができたのが本シリーズ。『魔女の組曲』などは独立作品でも成功しただろうと思うのだが、セルヴァズのシリーズに組み込むことにより、読者的にはより楽しむことができた。療養中のセルヴァズを無理やり出演させることで、作者の、また読者側からのセルヴァズ拘りを確認できたくらいである。

     さて本書は、そういったセルヴァズ・ファンにとっても、初読の方にも最高のサービス作品である。物語は二部制となっており、前述の通り、二十代のセルヴァズが担当した事件、そしてその時点での謎多い結末までが描かれる。最大の容疑者はその時点で自殺している。

     その25年後、続編とも言える新たな事件が起こる。二つの事件は一見遠いように見えるが、繋がるのは25年前と同じ被害者の白いドレスと、両方の事件に関与した作家の存在。作家が書く作家。そんなややこしい多重構造重だけでも、かなり好奇心を刺激されるのだが、両方の事件を繋ぐものの何ものかに対する好奇心が半端ではなくなるのが、25年を経た二つの事件の繋ぎの部分である。

     シリーズ中、最もサービス過多と思われるエンタメ作品でありながら、まだまだ宿敵との怨恨も残しつつ、さらにセルヴァズの青年から熟年への変化をも楽しみつつ、事件の複雑な謎解きにももちろん迫ることができる作品内多重構造の、これは超エンタメ作品なのである。訳者解説にもある通り、確かに時系列としてはシリーズ主人公セルヴァズの20代から物語がスタートするとあって、シリーズ読者でなくともこの作品に限っては、本書から最初に読んでも問題はないかもしれない。

     著者のベルナール・ミニエは、今、最も人気のあるフレンチ・ミステリ作家であるらしい。作品毎にこの作家はかなり趣向を変え、見方をずらしてみせる。そのマジックぶりに、セルヴァズという個性的な警部、じゃない、今は警部補、の魅力を存分に味わって頂きたいと思う。

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    2022年05月07日
  • 姉妹殺し

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    ベルナール・ミニエ『姉妹殺し』ハーパーBOOKS。

    セルヴァズ警部シリーズ第5作。『夜』に続き再び全仏ベストセラー1位を獲得したようだ。

    もしかして、今回もまた連続殺人鬼ジュリアン・ハルトマンが関わって来るのだろうか。

    25年の時を経て2つの事件がつながり、予想外の結末へと向かう警察ミステリー小説。ベルナール・ミニエという作家は兎に角あの手この手で読者を翻弄するのが巧い。今回も先の見えない展開と意外な真相、セルヴァズを何度も襲う危機、感動のラストに感情を揺さぶられた。

    1988年。16歳の姉のアンブルと15歳のアリスの姉妹は大ファンのミステリー作家に会うために真夜中の暗い森の中を歩く……

    1993年。トゥールーズの森で大学生となったあの姉妹の初聖体拝領式の白いドレス姿で木につながれた異様な遺体が発見させる。この当時はまだ駆け出しの新米刑事だったセルヴァズは事件を捜査するが、この事件が25年後に悪夢として甦ることになることなど知らなかった……

    姉妹の実家の部屋から発見されたミステリー小説とアルバムに隠された手紙から人気ミステリー作家のエリック・ラングが容疑者として浮かび上がる。しかし、事件は思わぬ形で幕を閉じ、エリック・ラングの嫌疑は晴れる。

    2018年。姉妹の殺害事件から25年後。ミステリー作家、エリック・ラングの妻が初聖体拝領式の白いドレス姿で殺害させる。

    定価1,440円
    ★★★★★

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    2022年04月29日
  • 夜

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    もうすでに次が読みたくてしょうがない。
    ヒーローっぽくない主人公が、人間らしさに溢れているて、自分はそこが好きで読み続けています。

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    2022年04月14日
  • 魔女の組曲 下

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    ネタバレ

    驚いた! 傑作だった!

    過去2作品を読んで、なんとなく予感はあったけれど、それでもここまで化けるとは思わなかった。

    ただ長〜い!(1作目の様にダラダラはしていないが…)。 
    つ〜か、二人の主要人物が出会うまでが時間かかり過ぎて、もどかしいったらありゃしない。
    勿論、それも演出なんだろうけど、その辺の焦らせ方も『ONE PIECE』ばりで、早く!早く!とイライラしながらも頁が進む趣向だった。

    途中、これちょっと収集つかなくなって、最後は無理矢理の力技で終わるんじゃ…と心配したんだけど結末はスッキリ。
    堅物ぽかったシリーズの主人公も今回は結末にあたり粋と言えなくもない融通を効かせて、個人的には初めて彼に好感を抱いた。

    敢えて言うなら日本ではイヤミスって言う範疇なんだろうけど、個人的にはあまり好みではなく、ただ今作は伏線もきっちり帰って来たし、上手くまとまっていた。
    とにかく3作の間にこれまでの変貌を遂げるとは、今後が楽しみなシリーズです。

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    2021年08月15日