脇明子のレビュー一覧
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ネタバレこれまでどんなどの翻訳よりもわかりやすかった。
滑らかで流れるような文体は清水真砂子さんの翻訳を彷彿させる。
伊藤整さんの翻訳ではほんの少し思い違いをしてしまっていたような部分も「ああ、こういう意味だったの!」と得心がいった。
特にラスト、ミンチンに、貧しくなっても公女さま気取りだったと罵倒された際、セーラが果敢に言ってのけるセリフ、「私はそのことを決して忘れまいと思っていた」である。
他のどの訳でも「私は他のものになるまいと思っていました」となっている。
個人的にはこの従来の翻訳のせいで、「セーラはセーラ自身になろうと努めていた」という意味だと勘違いしていた。
また、映画の吹き替え版では、「 -
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小公女セーラはアニメで見てストーリーは知っていましたが、書籍を読んだのは初めてです。
物語は20世紀初頭ロンドンの寄宿生学校に、父親から宝物のように大切にされた女子が入学し、父の死、貧しさに襲われるが決して誇りを無くさないまさに小さな公女様スピリットをもったセーラ。
これ、なんでもっと早くに読んで置かなかったんだ!自分の人生にも大いに役立つ。
パワハラに負けない気持ちの持ち方、辛い時の考え方、お手本になる事がギッシリ詰まってます。
ボーッと生きてるとミンチン先生になってしまうこが人間。私は今43歳、子供を叱りつける時は間違いなくミンチン先生化しています。
本を読みながら何度も反省しました。
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「本を読みなさい」と子供に言ってはみたものの、「どうして本を読んだ方がいいの?」と問われると答えに詰まってしまう、そんな大人にとっての救世主となる本。子供が成長する上で大切な感情や、認知能力を如何に本が育んでくれるのかという事を、作者が推奨する本を交えながら、とても分かりやすく丁寧な言葉で教えてくれる。
そもそも現代の親は、子供に与える食事や栄養には、オーガニックや無添加とやたら気を遣っているのに、かたや本となると何故、キャラクター物や、絵が綺麗で分かりやすい絵本ばかりを選ぶと分かって居て、子供に自由に選ばせるのか。それは、食事で言うところの子供の大好きなスナック菓子ばかりを与えている状況と -
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ネタバレいまだ未読だった名作児童文学を今さらながらに読んでみるシリーズ①(笑)。
子供の頃に放映されてたハウス食品の世界名作劇場シリーズに、「小公子セディ」というのがあったなぁ、と思い出して手に取った1冊。
最高。
名作。
傑作。
セドリックってば、絵にかいたようにパーフェクトな少年!
こんな完璧な“イイやつ”、現実にはいるわきゃないよね~、と分かってはいても、それに鼻白むことなど全くなく、無邪気で可愛く美しく賢い少年セドリックの一挙手一投足から目が離せない!
読んで清々しく、心洗われること間違いなし。大人にも薦めたい。いや、心汚れっちまった大人にこそ、薦めたい。
文体も内容も、装丁や挿し -
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ネタバレル・グィンの作品って好きです。
さらにいえば、ル・グィンのSFをよんで、SFがもっと好きになったし、興味を持つようになりました。知人に言わせれば、「高尚なSF」らしいル・グィンのSFですが、ロマンティックでなんだかキラキラしていて、甘くもほろ苦いこの頃のル・グィンの作品は、巡り合えてよかったと思えるような素敵なものです。
「ロカノンの世界」に続く長編第二段で、ロカノン~とゆるくゆるくつながっています。
5000日もの間冬が続く竜座の第三惑星で暮らすヒルフという種族と、異種族である(彼らからしてみれば)人間であるファーボーンという種族が同盟を組み、共通の敵に立ち向かう、みたいなお話ですが、あら -
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初めて読んだのは小学生のときで、ミッキーのクリスマスキャロルを観たのは保育園に通っていた時かな…。
簡単に言うと「人の親切を受け取らず、他人の不幸にも目を向けない人は、ひとりぼっちで不幸に死んでいくし、亡霊になった後も苦しむことになるんだぞ」という教訓めいた物語なのだが、子どもの頃の私の記憶からすると、これは「怖い物語」であった。
しかし、周りの友達や大人に聞くとそんな感想を言う人は誰もおらず、不思議に思っていた。
何故私だけがそんな感想を持っていたのか。
それはおそらく「死」というものが関係していると思う。
「幽霊」や「お墓」、「今は亡き共同経営者」など、この物語には数々の「死にまつわる -
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新聞の紹介文を見てどうしてもまた読みたくなって本屋さんで買ってきた。子供の頃大好きで何度も読み返した本。それにしても小公女や秘密の花園は文庫があるのになぜ小公子はないんだろう?
お母さんの「その人がいるおかげで、世界が少しは良くなるということそれが何よりも大切なことなのよ」って言う言葉に、おぉ〜と思った。最遊記(峰倉かずや)の「お前が死んでも世の中は変わらん。しかし、お前が生きていることで変わるものもある。」って言う三蔵のことばを思い出した。
再読する度に気になるポイントが違うから何度も読みたくなるんだなあ。大人になってから読むと突っ込みどころ満載。でもやっぱり好き!2013.1 -
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冷酷な守銭奴スクルージが、神の慈悲によって改心し善人になる話。要約するとそれだけであり、そう聞いただけで脊髄反射的に読む気を失ってしまう人も多いだろう。まして作者の御都合主義ぶりは、翻訳者ですら認めている(というより、それがディケンズの一般的評価らしい)のだから尚更だ。
それでも私は敢えて高評価をつけたい。この作品の魅力は、ストーリーやプロットとは別の所にあると思うからだ。第一に、人間描写の妙。特に、大都会ロンドンの下町に生きる庶民の活写ぶりが秀逸だ(その光も闇も含めて)。次に、シニックでハイブロウなブリティッシュ・ジョーク。英国紳士は、たとえ読者が子供であっても手加減はしないようだ(「極め -
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ノートルダム清心女子大教授の脇明子さんが、子どもの読書について書いた本。
今の学生さんたちのなかで、書かれた文章を理解してレポート等を書き上げるだけの能力があるにも関わらず、物語の本を一冊読み通すことのできない人がいるそうです。このことについて、児童期によい本と巡りあってこなかったこと、本の質ではなくただ冊数を読ませる学校での読書指導があったのではないかと指摘されています。
またよい本は、自分で想像力を掻き立てる、物語を自分のなかで描きあげることにより、自分が主人公に同化すると同時に、俯瞰で物語全体を見渡すことができるものだそうです。
話し言葉のレベルでなく書き言葉とレベルの文章、 -
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ジョージ・マクドナルドの短編(彼の場合、フェアリー・ストーリーと言ったらしいが)も初めて読んだが、なかなか面白かった。
先だって読んだ長編物語もそうだったが、描写が細に入り、非常に美しく、また、ところどころに持ち前のユーモアが垣間見れたりする。
また、ここに収録された二編となると、訳者泣かせだと思うが(原書では)たぶん、言葉遊びや歌のパロディなども味わいどころなはず。マクドナルドと縁の深いルイス・キャロル然り、シェイクスピア然り、イギリス文学の面白さの一端がよくあらわれている。
例えば‘軽い’(light) ‘ 明るい’、そして‘重さ’(gravity)には、‘真面目さ’という意味もあるので、 -
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岩波(少年文庫)の新刊で出た『小公子』を読んでみた。
やはり、名作なんだな、今読んでも面白い。
その昔、子どもの頃、最初に読んだバーネットの『小公女』『小公子』『ひみつの花園』は、集英社の母と子の名作文学・童話シリーズだったようだが、その後、小学館からでた少年少女世界の文学全集で読み直した覚えがある。
特に、愛読したのは『秘密の花園』と『小公女』でこちらは、大人になってから、念願かなって原書(ペーパーバック)とオーディオブックでもフルに味わうことが出来た。
『小公子』はそれほど思い入れ(記憶)はなかったのだが、読み出してすぐに話を思い出した。
まっすぐに愛情深く育ち、無邪気で優しい心を持っ -
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その友人にはルイス・キャロルがいて、トールキンやC.S.ルイスが愛読し、多大な影響を受けたという、いわばイギリスファンタジーの源流ともいわれるジョージ・マクドナルド。
その古典的作品とは知っていましたが、岩波少年文庫の表紙絵が、なぜか現代的コミック風だったのにはちょっと戸惑いがあったのも否めず(笑)どこかで見たような気もしてたら、竹宮恵子さんの絵だったんですね(挿絵は違います、ちゃんと古風な雰囲気)…読み終えてみれば、怖れを知らない勇敢で可愛いお姫さまと品のいいカーディの要素は伝わるので、まあいいか。
たしかに面白い。独特の語り口と、美しい情景描写、不思議で惹きつけられるおばあさまという、