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子どもが本を読むことの大切さは誰でもが説くが,心底から納得できるような”読書への誘い”は案外少ない.著者が長年考えぬいた成果を,具体例を挙げながら明晰に語る本書は,子どもと本との幸せな出会いを望むひと,必読.
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Posted by ブクログ
読書が好きと最近思うようになり、子どもにも読書が好きになってほしいと思い、絵本とかを読むも、あまり興味をもってもらえず。。 自分にとってと読書はなぜよいのか、改めて考えるきっかけになった。 子どもの読む力を育てるにはわかりやすい絵本ではだめ、絵を見るだけの絵本では読む力は育たないなど、目から鱗だっ...続きを読むた。 読む力は、想像力と思考力を磨く。 •ものを考えるとき、心の中で言葉を使う。その言葉の役にも立つ。 •メタ認知能力(自分の頭の中で進行していることを一段上から観察し、制御する力)を育てる •時空を超えた人間理解ができる •自分が生きている社会がいかに支えられているかわかる 子どもには絵本だけじゃなく、読み聞かせを続けていきたい。 私自身はもっと読書を楽しみたい。
幼児に絵本を読み聞かせることの必要さなどは他の本でも読んできたので、次には小中学生の読書に関して知りたくて探していました。紹介していただきましてありがとうございますm(_ _)m 本書で書かれているのは、子供が本を読むことは大切だと言われている。では子供に本などのような良い影響を及ぼすのか?では...続きを読む実際にはどのように指導されているのか、などの話。 ❐そもそも物語を読むということがなぜ必要なのか? 文化、というのは、衣食住のようにないと死ぬものではないけれど生きてゆくのには大切な自尊心を持てるもの。ここでは自尊心を「自分には生きてゆくだけの価値がある」「この世界の中でいくらかの場所を占領し、食べ物を食べ、水を飲み、空気を吸って生きていても構わない」と自分に対して思えることであり、それができなくなったら生きる気力が無くなってしまう、としている。その自尊心の基盤は、幼い頃の親や他の大人たちから受ける無条件の愛情だ。しかし幼稚園などの集団に入り、自分の全世界は世界の一つだと知ると、親だけから受けただけの自尊心は崩れてしまう。そこで自尊心確立のために文化の基盤が必要となる。食べ物に工夫をこらしたり、自然を楽しんだり、そうして自分自身であるという自尊心が作られてゆく。 そこで、人間社会は文化の継承が必要であり、読書の楽しみを伝えることもその一つ。 ❐社会を伝える方法の変化 本が無かったころや、読むことができない国にあっては、大人と子供の距離が近く、大人が働くことを示し、子供にも子供の役割があり、自分が今後どうやって生きてゆくのかを見ることができた。そしてお話というものは、大人から子供に語って聞かせるという形をとっていた。こうして人々が代々得てきた知識や知恵をまるごと子供に引き渡していった。 しかし現在は、大人と子供に距離ができ、子供が自分で大人とはなにか、社会とは何かを知ることが少なくなっている。 ❐年齢に応じて子供に本を読むこと。 ・赤ちゃんの脳の発達には、まず動き、触り、人や物とのコミュニケーションを撮ってゆくことが必要。絵本はその中の一つとなる。 そして徐々に、絵本の絵や名前から実物を思い浮かべられるようになる、出来事をひとつのつながりとして追うことができるようになる。(←私は「読み聞かせ」「本を読んで聞かせる」はやってましたが、素話をしたことがないのですが、素話にすると頭の想像が膨らむのだろう) ・お話の流れに沿って想像力を働かせてお話の世界に入り込むようになった子供たちは、大人の声を聞いたり目でページを見ることを忘れて、心のスクリーンに写した情景を見聞きするようになる。すると大人は、あくまでもお話を主体として、お話の流れを崩さずに伝える必要がある。大人が身振り手振り説明を加えたり、華美で可愛らしい絵に頼るのではなく、読む大人が心を動かしお話の流れを伝えてゆけば、子供はその大人の心の動きに自然について来られる。動画やテレビではだめだという理由はここで、一方的でありどんな対象者相手でも使えるテレビではなく、目の前にいる子供に対して目の前にいると大人が心を動かして伝えることが大切になる。そこで絵本を選ぶときに、絵の美しさやかわいらしさだけでなく、実際に物語を読んでみて、読むことにより絵に命が吹き込まれるか?を考えると良い。(←しかし絵で目を引かないと子供が自分で本を手に取らないということもあるし…。だからこそ最近は名作や古典小説も”萌え絵”で出版されるんですよね。中学生のうちの娘も「表紙がキレイじゃないと絶対手に取らないから!」と断言している(苦笑)。まずはその年齢までにお話の面白さをちゃんと紹介できないとですね) ・10歳前後の思春期頃に、自分が直面する問題の全体像を把握して様々な可能性を考えて解決策を練るとか、行動に入る前に段取りを考えて状況に応じて計画を変更するとか、自分とは違う立場から物事を見直してみるという「メタ認知能力」が発達する。この能力は、自己コントロールにの関わるので、感情爆発を抑えたりする。このメタ認知能力は、電子メディアとばかり接すると発達が遅くなるんだという。このメタ認知能力が発達するには、それまでに「感情の脳」が初田牛手、「考える脳」のための環境づくりが必要となる。 そこで読書も、メタ認知能力を作るための基礎としての役割を果たしているのではないだろうか。物語で自分以外の感情を想像し、ここではない場所を想像する。 ❐子供には昔話が必要だということについて。 昔話には残酷描写もあるが、抽象的な残酷さであり、苦しみや悲しみを伴わない語り方のためリアルな想像を伴わないような作られている(←登場人物たちにはほぼ個性がないってこともあるのかな)。しかし昔話は、その抽象的な残酷さの奥に人生を生き抜くための教訓が感じられるようになっている。だから安易に残酷さを抜くと、その昔話の教訓まで消えてしまう。 ちょっと問題なのは、現在は子供の頃から動画などで残虐場面が目につくようになると、昔話などの抽象的な残酷さもリアルに目に浮かべられるようになってしまう。(なお、私の場合はいわゆる抽象的な残酷な話も子供の頃からたくさん読んできたのですが、大人になったらリアルに思い浮かべるようになってしまいました…。「地獄変」読み返したら生きながら焼かれる場面が本当に熱く感じてしまってキツイような…) ❐想像力 想像力とはファンタスティックなものを思い描くのではなく、その場にないもののイメージを思い浮かべること。それは情景や物だけでなく、人間の感覚、感情、考えも含まれる。 そんな相手の身になり考えることは、人とコミュニケーションを取ること、人間社会で生きてゆくことに必要になる。 ❐映像と文字 ゲームでは主人公は自分自身のため、失敗するとそれが自分の失敗として怒ったり失望したりする。しかしお話では主人公に寄り添い一緒に喜んだり悲しんだりはするけれども自分自身とは別人格なので起きたことを客観的に捉えられる。 お話は、作者や読んでくれる相手との信頼関係があれば、主人公が危機にあっても乗り越えられるだろうと思いながら読める。 ❐注意する本 ・絵ばかりが目を引き、内容とあっていないとか、内容が頭に入らないとか。この場合は本を読むのではなく、本を見るになる。 ・シリーズ物は惰性で冊数だけ重ねる事があるので案外注意。(←子供に本を読むのに手っ取り早くシリーズ物勧めちゃてたかも…) ・とにかく奇想天外な人物が出てきて奇想天外な出来事が起きてなにがなんだか解決していたような、内容よりも刺激しか印象に残らないもの。 ・子供にはあまりブラックジョークとかおすすめではない。まだ経験が少ない子供だと、裏切られた感じになる。 ❐連続するお話 同じ子供に定期的に(毎週月曜日1時間目とか)お話をする時間があるなら、連続するお話もよい。子供は次を待っていられる。 ということで。 子供で「本が読めない」ということにも理由は色々あって、 お話は嫌だけれどその子が好きなジャンルの科学読み物は喜ぶという子供、 お話を楽しむことはできるけれど、文字を読むことが苦手なので、本を手にとってもそれが面白いかわからず、自分で選ぶことができない。(←小学高学年だけどゾロリのような面白く文字が少なく自分が知っている本しか読めない) お話を聞いても全く想像ができないため「〇〇くんと〇〇さんが喧嘩して…」という話に、彼らはどうやって仲直りするんだろうとか、自分も喧嘩したなとかの想像が全くできないので、お話が面白くない、 お話には興味がないけれどもノンフィクション系は面白い、 などと違いがあります。 まずは本を紹介する大人と子供との信頼関係がいちばん大事なのかなあと思いました。乳幼児への絵本読み聞かせも、大人(親や先生)が自分に向かい合ってくれるという安心感と信頼が根底ですよね。するとやはり紹介してくれる人を信頼していると本も楽しく、反対に面白くない本を紹介する人のことは信頼できない人って感じるのでしょう。 私としては、毎週の読み聞かせの時間などで、連続するお話などを読んでみようかなと思いました。まあそれをする前に子どもたちとの信頼関係を築かないとですけどね。
「本を読みなさい」と子供に言ってはみたものの、「どうして本を読んだ方がいいの?」と問われると答えに詰まってしまう、そんな大人にとっての救世主となる本。子供が成長する上で大切な感情や、認知能力を如何に本が育んでくれるのかという事を、作者が推奨する本を交えながら、とても分かりやすく丁寧な言葉で教えてくれ...続きを読むる。 そもそも現代の親は、子供に与える食事や栄養には、オーガニックや無添加とやたら気を遣っているのに、かたや本となると何故、キャラクター物や、絵が綺麗で分かりやすい絵本ばかりを選ぶと分かって居て、子供に自由に選ばせるのか。それは、食事で言うところの子供の大好きなスナック菓子ばかりを与えている状況と変わらないのではないか、という意見には大いに共感した。 この本を読んで、本の持つとても大きな可能性を知る事が出来た。
読書がいいということはよく知られていますが、どうしていいのかということは、あまり説明されていない気がします。そういう疑問に、ずばっと答えてくれています。私も息子と娘に本を読んであげなければ…そう思わせてくれた1冊でした。子育て中のお父さん、お母さんにお薦めです。
ノートルダム清心女子大教授の脇明子さんが、子どもの読書について書いた本。 今の学生さんたちのなかで、書かれた文章を理解してレポート等を書き上げるだけの能力があるにも関わらず、物語の本を一冊読み通すことのできない人がいるそうです。このことについて、児童期によい本と巡りあってこなかったこと、本の質...続きを読むではなくただ冊数を読ませる学校での読書指導があったのではないかと指摘されています。 またよい本は、自分で想像力を掻き立てる、物語を自分のなかで描きあげることにより、自分が主人公に同化すると同時に、俯瞰で物語全体を見渡すことができるものだそうです。 話し言葉のレベルでなく書き言葉とレベルの文章、抽象的な物事を理解し表現する能力は、よい物語を読み自分で物語の世界を想像することによって、伸びてゆくのではないかともいわれています。 自分の読書を振り返ってもいえることですが、脇さんがあげているような質のよい本に巡りあえていたらよかったなあと感じます。 今からでも遅くない、例えば「あしながおじさん」「宝島」「くまのテディ・ロビンソン」など、古典的な名作を、ダイジェストでない完訳で読んでみたいです。
自分自身本に救われることが何度もあったので読書について理解を深めたいと思い手にとった。 話は「読書は本当に必要なのか」という問いに答えていく形で進んでいく。 読書は自分の知らない世界を知ることができ、生きていく上で大事な人間理解を深めることができる。 私達が子どもたちにしてやれることは「すぐれ...続きを読むた本を手渡すこと」。 すぐれた本とは、読む力を育ててくれる本。 ここの章の「なんでもいいからたくさん読む」ことの意味のなさ、「子どもの自由を尊重することがいいことではない」、という言葉は耳が痛くなった。 子どもの自由を尊重することは大事だけれど、本の場合は絵がたくさんあったり、文字が多くあったり、内容がハードすぎたり、こちらが導かないと読む力が育つ本とは出会えないままになってしまうよ、というのはハッとした。 この本が発行された15年前より今はさらに子どもたちとデジタル社会は切り離せないものになっているから、刺激の強いゲームや映像ばかりはよくないけれど、うまく付き合うにはどうしたらいいのかというところを今度は学んでいきたい。
ゲームをしていて思う通りにいかない場合、プレイヤーは壁を殴ったり、時にはゲーム機を壊したりする。でも『宝島』のような本を読んでいて、意に反する展開になったとしても、本を投げたりはしない…なぜか?という問いにハッとさせられた。 なぜかと言うと①作者に対する信頼感②物語を一段上から見ている、からなんだ...続きを読むそうだ。メタ認知力のトレーニングになっている。
本書は本の解説ではなく、本を読むことに関する本である。 なぜ読書が大切なのか、子どもに絵本から児童書までをどのように読ませればよいか、そして時代は本を読まなくてもやっていけたひと昔前からデジタル化の進む現代かけてどう変化してきたのか、について丁寧に温かみのある文章で説明してくれる。 (特に児童の...続きを読む)読書について、この本ほど親身に教えてくれる本は他にない。絵本についても詳しくなれる。 子どもがいて本とどう関わらせていけばいいかわからない、という方に特におすすめの一冊。
主張そのものはおおむね同意できるが、全体的に科学的根拠が弱く、「サンプル」が教え子だけの場合も多いなど不満が残る。本に比べて、映像、電子メディア(豪華な挿絵本も含む)に対する視線が厳しいのは著者の世代によるバイアスか。絵本から本格的な読書になぜ移行できないのか?という問題意識は興味深いし、多くの冊数...続きを読むを読めば良いわけではない、ダイジェスト版の文学性の喪失なども批判として正当だ。 ・子どもを意識した本を作ったのは18世紀中ごろのイギリスのニューベリー。それまで本を読むという習慣は子どもにはなかった。日本でも明治から出版文化が発達し、読書は教養スキルとなった。 ・社会のなかで「伝えること」「受け継ぐこと」「手渡すこと」に学ぶ意味もある。自分のことを考えているだけでは意味は見いだしにくい。 ・アフリカではいまも昔も本を読んでいない。昔は物語の国だったから。本はヨーロッパのもので自分たちのものでなかったから。しかし、その語りも南アフリカでは崩壊しつつある。テレビのせいで。 ・本が普及するようになってから、昔ながらの共同体の力は弱まったが、本は世界中の人を結び、過去と現在をむすびつけて、大きな共同体が育ってきたとも言える。 ・映像が子どもの発達に与える影響については、まだまだわからないことだらけ。でも、けっして内容の善し悪しだけの問題ではなさそうだ。(#「メディアはメッセージ」だ?) ・読むことの独自性。映像メディアに対して。1.話し言葉ではなく、書き言葉レベルの言葉を使う力。2.想像力。3.全体を見渡して論理的に考える力。(#1.と2.は関連している。メタ認知の視点。3.は本のアフォーダンスに関して。論理的には考えることは、本というメディア、読書という行為から必然として導かれるものではないだろう。技術によって変わる部分が大きい。アメリカの教育者ハーリーの論文の引用も電子メディアが具体的に示されていないので、根拠として弱い。) ・「作者への信頼感がもてる」「距離を置いて外から眺めながらも登場人物と一体になれる」ことは、児童文学作品を見分ける時の大切なポイント。
「読む力は生きる力」 著者の読書支援活動を通して得た結論が、この一言に集約されている。 子どもの成長段階ごとに、どのように「読む」事と向き合っていくか理解でき、多少なりとも読書支援をしている身としては、いちいちうなづける部分が多い。 ただし、コンピューターの操作に関する記述(p.150)は...続きを読む、実はTVゲームで育った身としては、しっくりこない所もあります...。
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