脇明子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
横浜のアリス展にて懐かしくなり、再読。
やっぱり脇明子さんの翻訳は素晴らしい。
解説も詳しく、英国への愛に溢れており、興味深い。
福音館のバージョンで読んだ際に釈然とせず、「まあ面白い?ってことにしとこう」とくくっていた箇所を、本当に面白く読めるように意訳してくださっており、感謝しかない。
「いつか英語で読んで」とあとがきにあるが、その「いつか」はいつ来るのやら。
昔、2001年ぐらいのMOEで「魔女の宅急便」特集を組んでおり、角野栄子さんのインタビューで、英文科を卒業する集大成として教授から与えられた課題がアリスの原書で、「今更アリス?」と思ったが読んでみたら非常に難しかったと書いてあった気 -
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「読書は本当に大切か」という問題提起に筆者が向き合った一つの答え。
「いい本」とは、「ちゃんと読みこなせば、まんがよりもアニメよりもゲームよりもおもしろい」もので「人間や世界について基本的に前向きの姿勢を持つもの」とし、
「読む」精神活動にて①書き言葉レベルの言葉を使う力 ②想像力 ③全体を見渡して論理的に考える力を育み、思春期を支え、大人になる手助けをする。
「なんでもいいからたくさん」という指導、「名作を」という強要。
藤原和博氏の「本を読む人だけが手にするもの」にも指摘あったように、「本の世界に自分自身を投影できるかどうか」が大切なので
その年頃にあった本を息子たちと一緒に手にして読 -
Posted by ブクログ
鏡を通りぬけた先にあったのはチェスの国。前に進めば後ろに進み、丘が谷になり、古いものが新しいという鏡のような対称の世界だった。そこで出会った赤の女王に「白の女王になれ」と言われ、アリスは「女王」になるため“小川を渡った先にある八列目の枡”を目指すことになる。
おしゃべり好きの花たちや体がお菓子で出来た虫、ハンプティ・ダンプティなど登場人物は魅力的なものだらけ。強引で高慢な赤の女王・どこかとぼけた様子の白の女王は、ティム・バートン監督の映画を観た人ならつい重ねてしまうのではないでしょうか(超余談ですが劇中で白の女王を演じるアン・ハサウェイは可愛すぎます)。
この国では自然や時間や物理…あらゆ -
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品に影響を受けたというナルニアをたしかに思い出すところもあった。でもナルニアほど宗教くさくないのがふしぎ。むしろ聖人たちが世俗的なキャラクターとして登場したり。
真の純粋さを持っているのはダイヤモンドだけで、彼が救ったナニーだって、そんなダイヤモンドのことを、頭のねじがゆるんでいると思っている。
「北風のうしろの国」について直接書かれた部分は意外なほど少ないのだけど、それを心のなかにずっと抱いているダイヤモンド坊やが、それを自らの力として生きていくあたり、けっこうファンタジーの力を理念的にえがいているような気もしないではなかった。
ヒノヒカリ姫の話が、とてもきれいで好きだった。 -
- カート
-
試し読み
-
-
Posted by ブクログ
主張そのものはおおむね同意できるが、全体的に科学的根拠が弱く、「サンプル」が教え子だけの場合も多いなど不満が残る。本に比べて、映像、電子メディア(豪華な挿絵本も含む)に対する視線が厳しいのは著者の世代によるバイアスか。絵本から本格的な読書になぜ移行できないのか?という問題意識は興味深いし、多くの冊数を読めば良いわけではない、ダイジェスト版の文学性の喪失なども批判として正当だ。
・子どもを意識した本を作ったのは18世紀中ごろのイギリスのニューベリー。それまで本を読むという習慣は子どもにはなかった。日本でも明治から出版文化が発達し、読書は教養スキルとなった。
・社会のなかで「伝えること」「受け継 -
Posted by ブクログ
小学校の頃に父が読み聞かせてくれてから30年ほどして、今回自分の子供たちに読み聞かせるために初めて再読。この間、ディケンズの小説を読んだことはまったくなかったのですが、今回の僕の感想は「ディケンズすげー!!」でした。
すごいと思う一つ目の理由はその想像力です。読み始めてすぐに感じた率直な感想は「これはハリーポッターじゃないか!」ということでした。JKローリングが影響を受けていたのでしょうか。ググってみたところハリーポッター自体よりもその後に彼女が書いた小説について、ローリングをディケンズの後継者だとみなす記事があるようですが、僕はハリーポッターしか読んでいないのでハリーポッター・シリーズそ -
Posted by ブクログ
鏡に映る姿は凸レンズと違い
上下をそのままとして左右のみ反転させている
しかしその反転には気付きにくい
もし気付ければ自分の反転している姿を見ることで
本来の自分を描き出せるし
世の中で出合ったモノを逆手に取り反面教師として
真理のカケラなりとも学び取ることを可能にしてくれる
この本の作者はこの世の不思議な歪みの現象を皮肉って
物語に仕立て直していたのだろう
鋭い眼力である
140823
不思議の国もアリスの続編
マザーグースでお馴染みの登場人物の大方は
前作と同じだけれども
トランプではなくチェスを舞台にして話が進む
鏡の中なのでアベコベな現象に振り回されながら
アリスはポーンと言う -
Posted by ブクログ
最初にこの物語に出会った小学校低学年の頃には「セディのような性格のよい子にならなくちゃ!」と思い、何度も読み返すうちに「セディのお母さんみたいな素敵なレディになれるように頑張らなくちゃ!」と思い、結果どちらも挫折したなれの果てが今の KiKi です(苦笑) そうそう、逆に言えば「こんな人にだけはなっちゃいけない!」と思っていたセディのお爺さん、ドリンコート伯爵の方にこそ「うんうん、わかるわかる・・・・」と頷いている自分に気が付き、ちょっと唖然・・・・・・。 まあ、それだけこの老伯爵の心理描写が巧みだっていうことだとは思うんですけどね(笑)
(全文はブログにて) -
Posted by ブクログ
ジョージ・マクドナルドの『お姫さまとゴブリンの物語』の続編。
一冊目もそれで一応完結しているけれど、やはり続きがあるなら読んでみたいと思わせる…で、こちらも。
やはり、描写も展開も面白かったが、古きファンタジックな物語というには、懲りない愚かな人間たちのありさまがあまりに象徴的に描き出されていて、むしろ現代の一面を語っているようで恐れ入ります。
ヒーローとヒロインは結ばれてその時代は栄えたというものの、その後の結末が暗いといえば、そうではあるが、こういうことも歴史がたびたび物語ってきたようにありかもしれません。
いずれにせよ、現代に生きる私たちは、もうそれぞれが愚行をやめる時期ですけどね。