田渕直也のレビュー一覧
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著者は長銀を振り出しに長年マーケットと向き合ってきた、デリバティブのプロ。金融市場という、不確実性に振り回されることの多い場所で過ごしてきたからこそ、こんな謙虚な発想が出てくるのだろう。筆者の姿勢は哲学的ですらある、と感心。
ビジネスの現場では一つ一つ判断を求められるから、因果関係をこじつけたり、結果で判断する方がわかりやすく、上司の受けも良い。「世の中不確実ですから・・・何が起こるかわかりません」なんて、上層部には口が裂けても言えない、という会社も多いだろう。
ただ因果関係が間違っていたり、環境が変わったのにそのまま間違った判断を繰り返す会社も、長期的に見れば多いのではないか。間違いや失 -
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不確実性とは何か、それは予測できるものなのか、そもそも予測とは何か、不確実性にどう向き合えばいいか。あまり深く考えてみたことがないようなことであったが、それを身近な株や歴史的事実などの事例をもとに考えることができ、面白かった。
定量的に予測できるものも当然あるが、できないものも多い。AIでできるようなものでもない。予測は単に、不確実な仮説に過ぎないもので、予測すること自体が難しいものである。
予測が当たらない、間違ったりすること自体が問題というわけではない。そもそも予測することができないものに対して予測して対処しようとすることが問題である。
不確実性にしっかりと向き合い、それによる変化に柔軟 -
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ネタバレ金利はよく分からない。金利を下げると貸出が増えて経済活動を刺激する反面、インフレを誘発するとよく説明されるが、金利が経済を引っ張っているのか、経済の状況の結果金利が決まるのか、新聞などでの解説ではどちらもよく聞く説明で、なんとなく後付けの説明のような印象が強い。日本の低金利もどちらかというと経済があまりに不活発で投資機会がない結果、低金利になっているとよく言われている。ほどほどの高金利が良いのだと。
・かつてはLIBORというロンドン大手銀行の調達金利の平均が金利指標とされていたが、参加銀行の中に自行に有利となるように実態からかけ離れた金利を報告している者がいることが明らかになって大スキャン -
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ネタバレ株式の長期リターンは、国債などの安全資産より7~8%高い。指数関数的に上昇している=上昇率が等しい。
ボラティリティの変換は、ルートT倍法=一日の変動を、日数のルートをかけると、日数分の変動になる。
ヒストグラム=頻度分布。
分散=偏差の二乗の平均。標本の分散は、平均がその標本の値に依っているため、標本数マイナス1で割ると母集団の分散が計算できる。
対数正規分布は横軸を対数にしたもの。変動幅の標準偏差はベースとなる金額が違えば違うはず。変動率の標準偏差は一定のはず。対数正規分布にすると理解しやすい。=市場価格の変動は対数正規分布に従う。
共分散=xの標準偏差の二乗+yの標準偏差の二乗+2× -
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世の中の不確実性を、主にランダム性とフィードバックという面から論じており、超入門というだけあってとても分かりやすく簡潔に説明がされていると思う。
事前にランダム性などが書かれている「ブラックスワン」と認知バイアスやヒューリスティックなどが書かれている「ファスト&スロー」を読んでいたので、その要諦を上手くまとめた書籍という印象で、その2冊の復習のように読めたことは私の中では大きかったが、その2冊を読む前に予習という形で読んでもよいかもしれない。
また、不確実性にどのように対処していくかにも書かれており、その点もとても示唆に富む内容だった。
同一著者による「確率論的思考」も合わせて読むと良いか -
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ネタバレ一定は理解していると思っているファイナンスについてさらに整理学ぶために借りた一冊
ファイナンス理論のエッセンスから学べることに焦点をあてた本。
メモ
・ランダムウォーク理論
・ブラウン運動
・ウィーナー過程
・モダンポートフォリオ理論
・効率的フロンティア
・アノマリー 原則から逸脱する例外的事象や説明できない特殊事情
・ファーマフレンチの3ファクターモデル
・バリューアットリスク VaR
・クレジットデフォルトスワップ CDS
・モメンタム効果
・第一号ヘッジファンドの特徴
空売りを組み合わせる
成功報酬型運用手数料
自分の資金もファンのに導入。セイムボート -
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確かに、ファイナンス理論の歴史を学べる。
「市場は非効率であると考える人がいるから、市場は効率的になる。」
この矛盾が一番面白い。
割安だからとある株式を購入する人は、将来的にその株式は適正な(効率的な)株価になると考えるのだ。なぜだろう。
「皆、いずれ自分と同じように割安と見抜くはずだ」という奢りに過ぎない。
しかし、市場は効率的であると皆が考えた瞬間、市場は死ぬ。売買の意味がないからだ。
これはアクティブ投資とインデックスも全く同じ構図だろう。アクティブ投資がいるからインデックスが成り立つ。インデックスはアクティブのベンチマークとなる。
不思議だ。