田渕直也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ第1章 世界は不確実性に満ちている。
第2章 歴史と不確実性(中国や日本の戦国時代、ヨーロッパの歴史と不確実性について述べている)
第3章 市場と不確実性(主に株式市場について)
第4章 科学と不確実性(主に量子力学について)
第5章 確率論的思考(真に必要な意識改革)
不確実な世界で必要なもの
・多様性(多様な人材、手法、観点、才能)
・失敗は避けられないので避けようとするのではなく
柔軟に対応できるよう仕組みを整える。
失敗から学んで修正する。
・長期的視点にたつ
破滅を避ける方法
・小さな失敗をする
・ばくちを避け勝てる戦いをする
・致命的な失敗を防ぐために利益を犠牲にする
(目先の利益よりも生き延びることが重要)
試行錯誤による計画のない進歩こそが不確実な世界を
生き抜くただ1つのやり方である。
市場・経済・ビジネス・経営・政治・戦争など
複雑な事象において長く生き残っていくためには
確率論的な思考が必要不可欠である。
今を生き抜くのに非常に参考になる本です。
是非一読することをおすすめします。 -
Posted by ブクログ
本書は、確率論的思考(=蓋然的思考)という基軸を持ち出し、不確実な世界をどの様な見方で見るか、という意識改革の本である。
不確実性に満ちた複雑な社会においては、確実に予測することは困難であるため、成功を持続させるためには何事をも絶対視せず、確率論的アプローチ(つまり、起こり得る結果を挙げそれぞれ可能性を勘案しながら対処する方法)が必要とのこと。
不確実性がもたらす不思議な効果は次の通り。
①不確実性は何物にも予測することが出来ない
②不確実性の下では失敗は避けられない
③不確実な世界では必ず確率を伴う。
従い、不確実性のもとでは、
1)多様性の確保
2)失敗の許容と活用
3)長期的視点
が大変重要である。
これらのキーワードに対応する思考方法が確率論的思考とのこと。
非常に興味深い内容である。 これまで日本のみならず世界の企業が栄枯盛衰をくりかえしている。 一時は最優良企業としてもてはやされていたものの、市況の変化についてゆけず衰退を辿った企業もいる。
これまで読んできた書籍にも、失敗が次への大きなステップとなり、成功体験が衰退への引き金になるということが書かれている。 これらは私の中で実際に起こった事例として記憶されていただけであったが、本書で述べられている「不確実性」という概念を中心に置くと、腑に落ちる感覚があった。
本書、実はプロローグとエピローグを読むだけで十分な本である。 プロローグには問題提起と確率的思考の必要性が述べられており、エピローグには、本書の纏めがなされている。 本文を読まずともこの部分だけで重要なことは語ってある。
また、この部分を先に読んでから本文を読むと、より深く理解することが出来る。
なお、不確実性に対応するためには確率論的思考が肝要となるが、それと反対に位置する非確率論的思考は以下の通り。
①因果論: 原因と結果を一対一で対応させる考え方
②結果論: 結果をすべてと考える思考法
③二元論: 物事を2つに分けて考える方法。
④努力万能論; 努力によって成功が導き出されるという考え方。
日常で駆使している思考法は非確率的思考であり、むしろこちらの方が一般的で、合理的思考法である。 ただ、この中には確率の概念が含まれていないために、不確実性のもとでは逆にミスリードしてしまうと本書では述べている。
非確率論的思考と、確率論的思考のメリットデメリットは以下の通り。
【非確率論的思考】
<メリット>
1)物事を単純化してパターンとして捉えれる。
数多くの意思決定を下す際に有利。
2)明快で力強い結論を導き出すことが出来る。
<デメリット>
1)さまざまな要素の複雑な相互関係や、偶発的な事象を加味して
捉える事が出来ない。
2)因果関係が不明確だったり、二元的に分解できない場合に無理やり
こじつけることにより正しいやり方を放棄してしまう可能性がある。
3)予期しない出来事を想定していないため、リスクマネジメントが出来ない
4)効果的で手っ取り早く結論に導ける一方で、認知バイアスの温床と
なりやすく、強い思い込みや偏見を生む。
5)短期的な成功に目が向けられているので、目先の利益に目がとらわれ
長期的な成功への道を閉ざしてしまう可能性がある。
【確率論的思考】
<メリット>
1)予想外の出来事に対応がしやすい
2)イノベーションや革新が生まれる
3)破滅を逃れて生き残ることが出来る
4)不確実性の影響を減じることが出来る。
5)短期的な利害の対立を避けることが出来る。
<デメリット>
1)手間暇がかかる手法故に、多くの判断を求められる日常的な事象
には適さない。
2)必ずしも短期的な成功には結びつかない -
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ネタバレ「不確実性」とは何か?
本書『「不確実性」超入門』は、金融市場のプロフェッショナルである田渕直也氏によって執筆された、経済や投資における「不確実性」というテーマに真正面から取り組んだ一冊である。筆者はリスクと不確実性を明確に区別し、我々が日常的に用いている「リスク」という言葉の裏にある曖昧さに光を当てている。
経済学やファイナンスの世界では、「リスク」は確率分布が既知であるもの、「不確実性」は確率分布すら不明なものとして定義される。しかし多くの投資家や経済主体が直面しているのは、実際には「不確実性」の方である。田渕氏はこの点に強く着目し、我々がどのようにしてこの不確実な世界に適応し、判断を下すべきかについて、多面的に論じている。
経済や投資における「モデル」との向き合い方
本書で特に印象的であったのは、「モデル依存性」に対する警鐘である。現代の経済学や金融工学は、多くの数理モデルに依存して構築されている。しかしながら、これらのモデルは常にある種の仮定の上に成り立っており、現実の不確実性を完全に捉えることはできない。
田渕氏は、モデルを使うこと自体を否定しているわけではない。むしろ、モデルの限界を理解した上で、モデルを「使いこなす」ことの重要性を説いている。すなわち、モデルが示す結果を鵜呑みにするのではなく、それがどのような前提に基づいて導かれたものかを問い直し、自らの判断力を常に研ぎ澄ます姿勢が求められているのだ。
「意味のある仮説」と「意味のない予測」
また、筆者は予測の限界についても率直に語っている。特に、金融市場やマクロ経済の将来を予測することがいかに困難か、そしてそのような予測に依存することがどれほど危ういかを具体的な事例を交えて説明している。
例えば、過去のデータを基にした回帰モデルによる株価予測は、一見説得力があるように思える。しかし、市場の構造が変われば、過去のデータに基づくモデルは容易に無効化される。田渕氏は、未来を「正しく」予測するのではなく、「不確実性の存在を前提として行動する」ことの方が、長期的に見てはるかに合理的であると説く。
このような視点は、FIRE(経済的自立と早期退職)を志す読者にとっても非常に重要である。なぜなら、FIREの実現には将来の資産運用が大きく関わってくるが、その運用成績は当然ながら不確実性の影響を強く受けるからである。
不確実性の中でどう行動するか
本書の中核にあるのは、「不確実性に満ちた現実をどう生きるか」という問いである。筆者は、確実な知識や予測に依存せず、むしろ不確実性を織り込んだ思考と行動をとるべきだと主張する。
その一つのアプローチが「オプション的思考」である。これは、将来の複数の可能性を考慮しながら、柔軟に対応できる戦略を選ぶというものである。例えば、一つの投資先に全資産を集中させるのではなく、複数の資産に分散投資を行い、それぞれの動きに応じて調整を加えていくことが、オプション的思考の一例といえるだろう。
また、筆者は「ナラティブ(物語)」の力についても触れている。人間は本質的に不確実な状況を完全に理解することができないため、ナラティブを通じてその状況に意味を与えようとする。だからこそ、我々がどのようなナラティブを信じ、行動に反映させるかが、極めて重要なのである。
本書が示すFIREへの応用
『「不確実性」超入門』は、単なる金融や経済の専門書ではない。それは、不確実性をどう理解し、どう行動するかという、普遍的かつ実践的な哲学書でもある。
FIREを目指す者にとって、不確実性への理解と対応は生命線である。将来の市場動向、インフレ率、生活費の変動、制度の変更など、FIREの成功を左右する要因はことごとく「不確実」である。そうした中で、自らの判断を下し、戦略を調整し続けるには、本書で述べられているような思考法が不可欠である。
「未来を予測することはできないが、未来に備えることはできる」。本書を読み進める中で、この一文が胸に深く刻まれた。これはFIREを志すすべての人への力強いメッセージである。
まとめ
田渕直也氏の『「不確実性」超入門』は、経済や投資における「不確実性」という概念を体系的に解説しつつ、その本質的な意味と向き合う方法を提示した良書である。モデルの限界、予測の不完全性、そして「物語」の力といった観点から、不確実性の中でどう行動すべきかを示してくれる。
FIREを含む長期的なライフプランを描く上で、本書が与えてくれる洞察は極めて大きい。不確実性を恐れるのではなく、受け入れ、それを前提に行動する姿勢こそが、変動の時代を生き抜く鍵となるであろう。 -
Posted by ブクログ
ここまでかみ砕いてそもそも論から金利について勉強できる本は稀なのではないか。ビジネスの現場で計算はするものの、そもそもの仕組みについて理解が乏しかった。金融ニュースで出てくる専門用語がわからず、わかったフリをして読み飛ばしていた部分を気づかせてくれる。たとえばレポ=Repurhcase agreemen=買戻条件付き債券売買=債権現先取引 など。
金融周辺の各要素(債権・株式・市場・中央銀行等)の相互に関係しあっている。その関係性は、金利を切り口に見ると理解しやすくなる。基礎の部分をこの本で把握できるので、実際に変化が起こったとき、背景の推測もしやすくなるはず。この視座が少しもてたのがうれしい。
金利そのものについて言えば、一口に金利といっても様々な種類があり、期間によっても異なる。たとえば国債の期間ごとに異なる金利をつないだ線がイールドカーブだが、これが固定化されているものではなく、市場の動向を反映して生き物のように弾力的に動き続ける。この動的なイメージをもてるのが、この本のいいところだ。
本棚に置いて、参考書的に見ていきたい。