あらすじ
①金融や投資に関わる確率・統計論の基礎的な概念をわかりやすく解説する本
②金融や投資にまつわる事例をもとに、数式に馴染みのない人にも理解できる記述
③数式で理解したい人のために、定義式などについてもそれぞれの章の最後で解説
金融や投資の周辺で必要な確率・統計に関する知見が「必要十分」に盛り込まれていながら「読みやすい」本。
数学書のコーナーにある統計の入門書とは違って、金融や投資にまつわる馴染みのある事例をもとに、数式に頼らないわかりやすい解説をしている一方、正確に意味を理解するには数式で見たほうがわかりやすいという人のために、各章の最後で定義式を取り上げて補足するなど、読みやすい工夫が凝らされた一冊です。
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Posted by ブクログ
株式の長期リターンは、国債などの安全資産より7~8%高い。指数関数的に上昇している=上昇率が等しい。
ボラティリティの変換は、ルートT倍法=一日の変動を、日数のルートをかけると、日数分の変動になる。
ヒストグラム=頻度分布。
分散=偏差の二乗の平均。標本の分散は、平均がその標本の値に依っているため、標本数マイナス1で割ると母集団の分散が計算できる。
対数正規分布は横軸を対数にしたもの。変動幅の標準偏差はベースとなる金額が違えば違うはず。変動率の標準偏差は一定のはず。対数正規分布にすると理解しやすい。=市場価格の変動は対数正規分布に従う。
共分散=xの標準偏差の二乗+yの標準偏差の二乗+2×xとyの共分散(xの標準偏差とy標準偏差と相関係数をかけたもの)。相関がなければ、小さい。
相関係数が少ないものの組み合わせのほうが合成変数はボラティリティは小さくなる=標準偏差は小さくなる。
モデルの有意性を判断するものがP値。小さいほど有意であるといえる。
VaR革命=バリュー・アット・リスク。観測期間で99%の確率で変動の範囲に収まるもの。それより大きな変動は考えなくてもいい、とする。テールリスクは大きいので、それより小さい期待ショートフォールの損失までを見込む。
リーマンショックのときの変動は、正規分布の前提を大きくハズレた。確率・統計論の大きな落とし穴。
短期的なリスクをこれで捉えられない。
実際の市場は正規分布よりも、ピークは上昇に傾き、下落のロングテールが大きい=少しずつ多くの日で上昇するが、下落は一気に下る。
中心極限定理は、母集団が変化しないことが前提。母集団が、平常とは違うとしたら、違うものが出現する。
ヒストリカル法=現実の値動きだけを直接見る。データをもとにモデルを作らない。
乱数シミュレーション=モンテカルロ法。乱数を発生させて将来の株価変動を予想する。標準正規乱数は乱数を標準正規分布に従って発生させるもの。これだと正規分布とみなすことと同じ。ファットテールを含んだモデルを考える必要がある。