梶山三郎のレビュー一覧
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▶︎2016/11/19-12/09
▶︎1955年から2016年のトヨタ自動車の変遷をノンフィクション小説としている。前面から退いてはいるがバックヤードでは、今も企業戦士が日本経済を支え続けている。しかし、ガソリンエンジンの後は、水素自動車か電気自動車か。2022年世界の自動車生産台数は、日本は783万台 アメリカは1006万台 一位は中国の2702万台。中国の世界戦略は
▶︎p322の「おまえら、アメリカがどれほど怖い国か知らんだろう。あれほど国益に敏感な国はない。」との武田(第8代社長石田碩と思われる)の言葉が心に残る。たかだか建国236年のアメリカである。 -
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ネタバレ前作に引き続き読破。
EV、自動運転、ライドシェア、カーボンニュートラルといった他業界も巻き込む大変革技術に対し、いかにトヨトミ自動車が立ち向かうかが書かれていた。
中でも自動車の「所有」か「共有」かの対立軸の件は、非常に興味を持った。
自分は公共交通機関を使えば、仕事にも行け買物もでき、遊びに行くこともできるため、車の所有の重要性を感じていないが、たまに使いたいなと思うときがある。
自分にとっては車は共有で十分だが、都市に人が集まっている傾向がある以上、共有の流れがある程度進むのではと感じている。
となると、トヨタやホンダ、日産といった自動車メーカーの大量生産・販売モデルはこの先どうなんだ -
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剛腕サラリーマン経営者しかり、平凡な創業者一族の御曹司しかり、キャラの濃い登場人物が己の名誉、組織の名誉をかけ奮闘する姿が描かれていた。
大企業であればあるほど、奇人変人からポンコツ経営層・社員まで人材の宝庫であろう。
適材適所という言葉は言うは易く行うは難し、トヨトミ自動車においても様々なしがらみからうまくいかないのだなと思った。
どこまでが実話でどこからが虚構かはとうていわからないが、仮に90%事実だとしたら、モデルとなった自動車メーカーでも華々しいリリースの陰に、表には決してできないことが裏でたくさん行われているのだろう。
ただ、一民間企業かつ上場企業である以上、利益をしっかり確保して -
Posted by ブクログ
audibleで聴いたら不要な効果音や音楽付きで、やたら豪華なエンターテイメント作品だった。
トヨトミって名前がすごくうまいと思う。
本物と豊が共通してるし、誰もが知る武将の名前で箔がある。
そもそも事前知識がないので事実と付き合わせることはできないけど、日本のトップ企業で起こっているであろうことを覗き見るようでなかなか面白かった。
暴露本というイメージでいたけど、個人的にはその程度なら必要悪なのでは?と思える範囲の内容だったのでホッとしている。
登場人物が個性的で、武田剛平のカリスマ性や、優秀なロビイスト堤が特にかっこいい。
印象深かったのは豊臣市出身の元トヨトミ秘書の安本沙紀で、これ -
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経済界を震撼させた超問題作奇跡の文庫化
「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。
これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と私に言い切った。一方で良識ある自動車業界担当の官僚は、まあ、半分くらいじゃないですかね、と口を濁す。名古屋界隈の書店から本書はすべて消えた、とか(中略)さまざまな噂が駆け巡るが、真実を知るものは本書の登場人物のモデルとされる人物だけだろうし、彼らが本書の真偽を語ることは絶対にないだろう。
本書は週刊誌ではないのだから、真偽のほどなどどうでもいい。フィクションと割り切って読むと、これほど面白い企業小説はない」(夏野剛氏による解説より -
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相変わらず切れ味鋭い。梶山三郎(著者)とは何者なんだろうか?経済に詳しく、ストーリーも生み出せる。覆面作家は過去にもあった。もしかすると二人か?岡島二人のように。
しかしこのリアルな内容はどうなのだろう?自分は頭の中で実際の企業、ト◯タ、とか日本◯産と読み変えながら読んでしまった。なんたって顔を思い浮かべることができるから。
EVシフトに世襲と独裁経営者の課題をうまく掛け合わせながら展開するシナリオに目が離せない。自分はモーターの会社の株を持っていて、これが全然反転しないのでイラついているが、それもこういう問題なのかなぁ、とリアルに感心してしまった。まさに経済小説の最高峰だと思える。