梶山三郎のレビュー一覧
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購入済み
統一が社長になってどれほど酷い有り様かと思っていましたが、創業一族の立場を良い意味で上手く使い、そして経験から学び社長としての地位を固めていく様子、また急速に変化していく世の中を必死に模索しながら歩いていく様に、気づけばひたすら応援していました。ほぼノンフィクションの素晴らしい企業小説であり、啓発本でもあると思います。
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購入済み
久しぶりにこれほど面白い企業小説を読みました。ほぼ史実に基づいている部分もあり、もはや小説なのかノンフィクションなのか分からず、あの大企業にこんなお家騒動もあったのかと想像しながら読み進めました。続編が楽しみです。
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Posted by ブクログ
「小説の形を借りたノンフィクション」と呼ばれ、現実のトヨタ自動車への圧倒的な取材力がこの小説にリアリティを生み出しており、その面白さの原動力となっているのは間違いない。
そのことを踏まえた上で、敢えてただのフィクションの小説として判断してみたいと思う。そうしてみてもやはり文句なしに面白い。
企業小説としてサラリーマンの悲哀や苦悩、トップのマネジメント論、権謀術数、社内政治などなど(この辺りは島耕作シリーズに通ずるものがある)盛り沢山。その上で描かれる2人の主人公=創業家以外からの初のサラリーマン社長武田剛三と創業家のプリンス豊臣統一の重厚な人間ドラマ。これらが小説として面白すぎるので、こんなことが本当に、現実にあったの⁇と半信半疑になってしまう。
だとしたら裏事情が面白すぎる。特にアメリカでのロビィ活動の下りは特に著者の力の入れようがすごく感じられて面白かった。あの国との間でこんな駆け引きがあったのか…。
安本記者と田野木記者のモデルは著者本人かな。
自分は誰タイプだろう?と考えながら読むのも面白いかも。自分は御子柴タイプだと思った。大きなことをやるリーダーの器ではないけど、既に敷かれた路線はつつがなく進む。親近感が湧いて最後まで嫌いになれなかった。 -
Posted by ブクログ
衝撃的な本に出会いました、小説の形をとっていますが、現在の自動車業界が置かれている状況を詳細に調査して、それをベースに書かれた小説です。私の勤務している会社も、最終的には自動車の一部品として使われている製品を作っていますので、将来の自動車業界の動向(特に電動化)がいつ頃、どの程度進むのかは大いに興味があります。
この本で書かれているように今年もトヨタの収益はダントツで一位のようです、以前は日本市場のシェアを40%死守すると言っていたと記憶していますが、今では過半数を超えるのではないでしょうか。そんなトヨタであっても電動化に対する対応を間違えると将来は今の地位を維持することはできないと予測されています。
電動化に対するアナリストなどのレポートは読んできましたが、このような形で近い将来(おそらく10年以内)の予測を頭に描きながら、それを小説として楽しむことができて、この本を読んでいる間はワクワクしていました。多くの取材を通してこの本が完成したと思いますが、それを楽しめるのは幸せだなと思いました。
以下は気になったポイントです。
・水素ステーションや軽油やガソリンよりも安全管理が難しく、しかも首都圏に40箇所と数が少なくインフラとしてあまりにも脆弱、という三重苦がある。基本特許を無償で開放する大盤振る舞いも虚しく、新たに参入するメーカーは皆無であった。2019年末に5万台を目指す計画も今となっては口にする者もいない。FCVでつまづいている間に、次世代車の世界的趨勢は完全に電動車に決まってしまった(p21)
・CASE(コネクテッド、自動運転、ライドシェア、電気自動車)の技術のどれもが、排ガスを撒き散らして走る車を大量に作って売る、しか能のない既存の自動車メーカを死に追いやるものである(p40)
・ハイブリッド車で培った技術は一日の長があるが、バッテリーは別である。EV用バッテリー開発には技術だけでは乗り越えられない「素材」という壁が立ちはだかっている(p42)
・EVシフトで一番アワを食っているのは自動車産業に関わるサプライヤー企業である、自動車が電動化すると、自動車はエンジンとトランスミッション、ガソリンから、モーターとインバーター、バッテリーの乗り物になる。外見こそ変わらないが、中身は別物である。(p64)
・言葉遣いで変わったのが「うれしい」という言葉、要は「どこが自動車会社にとって嬉しいポイントなのか、どんな利益があるのか」ということである。傲慢さと驕りが言葉の裏から透けて見える言い回しである(p73)
・ものづくりにこだわる戦略を発表する車メーカーと、EVという車の性質の変化にはまる関心を示さず、移動そのものの概念を変え、持続可能な社会への提案を打ち出した会社、どちらの構想が人を惹きつけるかは明らかである(p121)
・決算の最終利益は過去最高であったとしても、これはひとえにアメリカの法人減税と円安で海外販売が好調な上、国内のライバル企業が勝手に転けているおかげである。(p135)
・新型電池とは、電解質に液体ではなく固体を使う「全固体電池」と呼ばれるもの、これにより既存の電池が抱えていた「液漏れリスク」や「設計の自由度」「充電時間」の問題は解決することになるが、固体電解質の素材も、量産技術も未だ確立していない(p197)
・高出力のバッテリーを積んだからいい車になるというわけではない、出力系統の制御、バッテリー劣化防止、構造の単純さゆえのドライバビリティの差別化など、課題の数は無限にある(p199)
・デジュールスタンダードとは、工業製品などにおいて、国や省庁など公的機関が性能や製造方法、生産のための技術などを定めた規格のことである。市場競争の結果として事実上の標準となった規格を指す「ディファクトスタンダード」の対局となる概念である。つまり市場競争が先にあるのがディファクトスタンダード、公的機関のお墨付きが先に来るのが、デジュールスタンダードである(p243)公が基準を作る前に取り入って、自社に有利な規格を作らせ、他社や他国の競争優位を崩してしまえばいい、それがデジュールスタンダードの裏のルールである(p244)
・PCU(パワーコントロールユニット)と呼ばれるモータの回転やトルクを制御する電子部品の向上をトヨトミ本体からトヨトミ車の電装品を作るグループ会社の尾張電子に移管し、開発から生産までを尾張電子が一手に引き受ける体制を整えた点である、PCUは電動化の核となる部品であり、多くの開発資金を必要とするセクターである(p266)
2021年11月23日作成 -
Posted by ブクログ
▶︎2016/11/19-12/09
▶︎1955年から2016年のトヨタ自動車の変遷をノンフィクション小説としている。前面から退いてはいるがバックヤードでは、今も企業戦士が日本経済を支え続けている。しかし、ガソリンエンジンの後は、水素自動車か電気自動車か。2022年世界の自動車生産台数は、日本は783万台 アメリカは1006万台 一位は中国の2702万台。中国の世界戦略は
▶︎p322の「おまえら、アメリカがどれほど怖い国か知らんだろう。あれほど国益に敏感な国はない。」との武田(第8代社長石田碩と思われる)の言葉が心に残る。たかだか建国236年のアメリカである。 -
Posted by ブクログ
シリーズ完結編にふさわしく、これまで描かれてきた企業経営や権力闘争の先にある「世襲」というテーマに正面から切り込んだ作品だった。パンデミックやEVシフト、不正問題など巨大企業を取り巻く現実的な課題が次々と描かれる一方で、結局は組織を動かすのが人間であることを痛感させられる。
特に印象的だったのは、後継者問題を単なる権力争いではなく、創業家の歴史や宿命として描いている点。シリーズを通して積み上げてきた伏線が回収され、最後まで引き込まれた。個人的には、企業小説でありながら一族の盛衰を描く大河ドラマを読んでいるような感覚だった。読み終えた後、日本の大企業が抱える難しさについてあれこれ考えさせられる一冊だった。