あらすじ
経済界を震撼させた超話題のビジネス小説。
「99%が真実」という噂で書店から本が蒸発した!? あまりに詳しすぎる内部情報、関係者しか知らないはずのエピソードが満載だったため、小説を偽装したノンフィクションではないかと噂され、発売と同時に一気にベストセラーとなった超問題小説「トヨトミの野望」の第二弾が遂に文庫化! EV、自動運転、ライドシェア、さらにカーボンニュートラル、地球温暖化。激震する自動車業界の巨大企業に、さらに世界的IT企業が襲いかかる。持ち株比率たった2%の創業家社長は、この難関を乗り切れるのかーー気鋭の経済記者が覆面作家となって挑む「この国の危機」の真実。新聞が書けない極秘情報満載のビジネス小説登場!
※この作品は単行本版『トヨトミの逆襲』として配信されていた作品の文庫本版です。
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Posted by ブクログ
「今、読むべき一冊」だと思います。
何故、孫正義は大統領就任式にトランプの隣に立てたのか?またトヨトミにとってその意味は?
トランプ、孫正義、中国、情報セキュリティー、デファクトスタンダードからデジュールスタンダードへ、テスラ、グーグル等々、現在進行形で動いているであろう世界の裏の話しも伺えます。
部長器と揶揄されなからも、血縁を理由に社長に就任した統一。圧倒的なテクノロジーを武器にしたIT企業に翻弄されながらもyesマンしか置かない統一はトヨトミ(≠トヨタ)を率いて世界と戦えるか。社長としての器を問われ、成長するストーリーを軸に終盤は男泣きのシーンもあります。最後に見せる統一の迫力ある薄ら笑いは、かつての武田剛一を彷彿させてくれました。
統一が社長になってどれほど酷い有り様かと思っていましたが、創業一族の立場を良い意味で上手く使い、そして経験から学び社長としての地位を固めていく様子、また急速に変化していく世の中を必死に模索しながら歩いていく様に、気づけばひたすら応援していました。ほぼノンフィクションの素晴らしい企業小説であり、啓発本でもあると思います。
Posted by ブクログ
統一が出てくる場面では必ず黒縁メガネの丸顔でナッパ服のあの人を思い出しました。描写も凄い。会話している両者の心情が細やかな表情や動きの記載から分かるようでした。書き方が上手いなと素直に思いました。愛人のことも知らず、思わずググってしまいました。最後の解説も何故名字がトクガワではなく、トヨトミにしたのか?成程と納得させられる作品でした。経済的興味無かったけど、自動車産業と絡めると面白いですね。書き方も本当素晴らしいと思いました。
Posted by ブクログ
相変わらず迫真かつ痛快で、一気に読み切った。一作目より現実離れの内容が増えた気がして(真相は分かる由もないが)、リアリティ度が落ちた時感じたのが唯一気になったところ。
Posted by ブクログ
衝撃的な本に出会いました、小説の形をとっていますが、現在の自動車業界が置かれている状況を詳細に調査して、それをベースに書かれた小説です。私の勤務している会社も、最終的には自動車の一部品として使われている製品を作っていますので、将来の自動車業界の動向(特に電動化)がいつ頃、どの程度進むのかは大いに興味があります。
この本で書かれているように今年もトヨタの収益はダントツで一位のようです、以前は日本市場のシェアを40%死守すると言っていたと記憶していますが、今では過半数を超えるのではないでしょうか。そんなトヨタであっても電動化に対する対応を間違えると将来は今の地位を維持することはできないと予測されています。
電動化に対するアナリストなどのレポートは読んできましたが、このような形で近い将来(おそらく10年以内)の予測を頭に描きながら、それを小説として楽しむことができて、この本を読んでいる間はワクワクしていました。多くの取材を通してこの本が完成したと思いますが、それを楽しめるのは幸せだなと思いました。
以下は気になったポイントです。
・水素ステーションや軽油やガソリンよりも安全管理が難しく、しかも首都圏に40箇所と数が少なくインフラとしてあまりにも脆弱、という三重苦がある。基本特許を無償で開放する大盤振る舞いも虚しく、新たに参入するメーカーは皆無であった。2019年末に5万台を目指す計画も今となっては口にする者もいない。FCVでつまづいている間に、次世代車の世界的趨勢は完全に電動車に決まってしまった(p21)
・CASE(コネクテッド、自動運転、ライドシェア、電気自動車)の技術のどれもが、排ガスを撒き散らして走る車を大量に作って売る、しか能のない既存の自動車メーカを死に追いやるものである(p40)
・ハイブリッド車で培った技術は一日の長があるが、バッテリーは別である。EV用バッテリー開発には技術だけでは乗り越えられない「素材」という壁が立ちはだかっている(p42)
・EVシフトで一番アワを食っているのは自動車産業に関わるサプライヤー企業である、自動車が電動化すると、自動車はエンジンとトランスミッション、ガソリンから、モーターとインバーター、バッテリーの乗り物になる。外見こそ変わらないが、中身は別物である。(p64)
・言葉遣いで変わったのが「うれしい」という言葉、要は「どこが自動車会社にとって嬉しいポイントなのか、どんな利益があるのか」ということである。傲慢さと驕りが言葉の裏から透けて見える言い回しである(p73)
・ものづくりにこだわる戦略を発表する車メーカーと、EVという車の性質の変化にはまる関心を示さず、移動そのものの概念を変え、持続可能な社会への提案を打ち出した会社、どちらの構想が人を惹きつけるかは明らかである(p121)
・決算の最終利益は過去最高であったとしても、これはひとえにアメリカの法人減税と円安で海外販売が好調な上、国内のライバル企業が勝手に転けているおかげである。(p135)
・新型電池とは、電解質に液体ではなく固体を使う「全固体電池」と呼ばれるもの、これにより既存の電池が抱えていた「液漏れリスク」や「設計の自由度」「充電時間」の問題は解決することになるが、固体電解質の素材も、量産技術も未だ確立していない(p197)
・高出力のバッテリーを積んだからいい車になるというわけではない、出力系統の制御、バッテリー劣化防止、構造の単純さゆえのドライバビリティの差別化など、課題の数は無限にある(p199)
・デジュールスタンダードとは、工業製品などにおいて、国や省庁など公的機関が性能や製造方法、生産のための技術などを定めた規格のことである。市場競争の結果として事実上の標準となった規格を指す「ディファクトスタンダード」の対局となる概念である。つまり市場競争が先にあるのがディファクトスタンダード、公的機関のお墨付きが先に来るのが、デジュールスタンダードである(p243)公が基準を作る前に取り入って、自社に有利な規格を作らせ、他社や他国の競争優位を崩してしまえばいい、それがデジュールスタンダードの裏のルールである(p244)
・PCU(パワーコントロールユニット)と呼ばれるモータの回転やトルクを制御する電子部品の向上をトヨトミ本体からトヨトミ車の電装品を作るグループ会社の尾張電子に移管し、開発から生産までを尾張電子が一手に引き受ける体制を整えた点である、PCUは電動化の核となる部品であり、多くの開発資金を必要とするセクターである(p266)
2021年11月23日作成
Posted by ブクログ
前作に引き続き読破。
EV、自動運転、ライドシェア、カーボンニュートラルといった他業界も巻き込む大変革技術に対し、いかにトヨトミ自動車が立ち向かうかが書かれていた。
中でも自動車の「所有」か「共有」かの対立軸の件は、非常に興味を持った。
自分は公共交通機関を使えば、仕事にも行け買物もでき、遊びに行くこともできるため、車の所有の重要性を感じていないが、たまに使いたいなと思うときがある。
自分にとっては車は共有で十分だが、都市に人が集まっている傾向がある以上、共有の流れがある程度進むのではと感じている。
となると、トヨタやホンダ、日産といった自動車メーカーの大量生産・販売モデルはこの先どうなんだろうと(もちろん、トヨタは色々手を打っているはず)。
その中で本書でも書かれているが、イエスマンばかりで固める人事、またそれに気付かない経営トップでは将来は暗いと思わざると得ない。
2025年10月時点ではEV販売に陰りが出ているが、この先EVがさらに浸透するのか、他の自動車が覇権を握るか分からないが、どちらにせよ組織のガバナンスが体制が重要であると感じた。
最後に一度契約を切られた中小企業が己を磨き上げ、切られた先を見返すシーンは爽快であった。
組織にしろ、個人にしろ、残酷なビジネスの現場で生き残るには、社会の変化に合わせて己の技術や知見をひたすら磨き続けることが大事だと思った。休んでいる暇はないのである。
Posted by ブクログ
トヨタの社長の話です。
トランプ大統領や、安倍総理が名前を変えて登場してます。
大企業での権力争いのビジネス小説です。
少し難しいので大人向けの本だと思います。
Posted by ブクログ
仕事の関係でシリーズを読んでいるけれど、読むほどにゲンナリする。
けれど、必読の書と評するのが適切な感じの本です。
アメリカは機敏なベンチャーが、疎い既存のプレイヤーを置き去りにして圧倒するのだけれど、既得権でそれを許さない日本経済は、かなりヤバイ。ヤバすぎる。
Posted by ブクログ
前作の「トヨトミの野望」に続く続編。
今回は豊臣統一が社長となり、そのトヨトミ自動車の軌跡がメインのストーリー。
99%実話というキャッチフレーズなのだが、もしそうならば幾らかは凄く暴露的。全体を通して面白く、前作でも思ったのだが自動車産業の知識に乏しい自分でもしっかりと把握しながら読むことができた。
統一が最後に自分の真意を、そしてトヨトミの真意を見出だす。彼の会社人生はやはり「トヨトミの血」のもたらす影響下だ。良いも悪いも含めて血統とはそういうものかと再認識させられた。
今後のトヨトミ=トヨタがどう活躍していくのか?そして自動車の未来は?
気になるトピックを残しつつ、未来は不確定で不安が多いが、明るい日本の未来を自分たちに見せていってほしいと素直に感じた。
そして自分も畑は違えど同じ志で生きていきたいと感じた。
Posted by ブクログ
トヨトミの野望の続きです。昭和からわりと最近までのトヨトミ社の歴史。登場人物多くて、疲れたから投げやりに名前つけられたのでは?と思っています。タイロンマークス。
Posted by ブクログ
トヨトミの野望の続編。
主人公は創業家の直系、統一。前作のサラリーマン社長vs直系一族の争いからすると、大分地味にまとまっていると思う。ここまで書いて良いのか?というリアルを題材とした姿勢は相変わらず。
Posted by ブクログ
トヨトミの野望の続編。リアリティーを追求して、どこかの誰かを彷彿とさせる小説、モデルもあって、現実世界と対比しながら読み進めました。
日本のものづくりはまだやれる、日本は新しい技術を生みだすことは難しいけと(歴史的に)、それを発展させる技術力とあらゆる分野において、よくできた商品、サービス、アウトプットがある。
それらをまた開発された新たな技術で繋げてイノベーションを起こすことができる国です。
トヨトミの社長の最後のスピーチは、ものづくりをする立場では大変うれしい、まだまだ未来を感じさせるものてした。
完全に、題名のインパクトたけで買ってしまったので、トヨトミの野望を読んでない。今度読もう。
Posted by ブクログ
前作に引き続き面白かったです。やっぱり企業ストーリーは好き。統一社長時代だけだったので次の照市の社長時代も見たかったかも。彼目線の経営だけだったので、ちょっとそこは物足りず。この話を読んで、自分の会社はガバナンスが効いているんだろうか?日本に五万とある下請け工場は100年に一度の変革期に大丈夫なのか?案外、そういうとこに日本の技術があるのかも?とかそんなんも考えました。
Posted by ブクログ
前作トヨトミの野望ほどの衝撃はなかったが前作同様の緊張感と面白さは維持されている。今回の小説のテーマでもあるEV化、CASE化の進展はまさに自動車業界の構造を変えるテーマになっている。中でもEV化は喫緊の課題で、欧州発の環境問題への関心の高まりとともに各社の取り組みが注目されている。昨年末に水素自動車にこだわっていたトヨタがEVシフトを発表したのもEV化に取り組む姿勢を見せないと、マーケットに置いていかれるという危機感から発したものだろう。
今回の小説では未来予測も含まれていて、現時点ではその通りになるかどうかはわからないが、航続距離1000キロの車で量産化ができたらEVも一気に普及するだろう。どこがそのハードルを乗り越えるのかどうかはわからないけれど。
小説の中で社長は退任を決めていたが、EVが量産化するまでは今の豊田章男社長は辞められないと思うのだが果たしてどうか。
Posted by ブクログ
「野望」の時ほどの衝撃はなかったが、超巨大企業での同社でも社内政治がハビコッてっている事に驚いた。
製造業を支えているのは、ケイレツの下請け工場も含めた全てのステークホルダーなんだけどね。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。トヨトミというグローバルカンパニーの名前を冠した、愛知の田舎企業の経営実態が赤裸々に?
経営というより、記者視点からみたそれなのだけど、時々に出てくるトヨトミ創業の地、浜名湖の描写に癒されます。
Posted by ブクログ
この小説が発刊された頃の時代は、この小説もそうだけど、さあ時代はevだという雰囲気ですが、現在はそうでもないですね。世界的に売れ行き悪くなってるようです。欠点だらけで、逆に環境破壊につながるev車を流行らそうとしたのは無理がありましたね。当分の間はトヨタのハイブリッドが覇権を握るんでしょうか。
小説はあんまり物語性がないので、どんどん読みたいとも思わず淡々と読んでいました。
Posted by ブクログ
「トヨトミの野望」第二弾!
統一が社長となってからの物語
EV、自動運転に向けたトヨタじゃなくてトヨトミの挑戦が語られると同時に、会社内部の人事・権力争いが絡んで楽しめました。
前作同様、どこまでが創作で、どこまでがノンフィクションなのかわかりませんが、登場人物には、実在人物をもじって出てくるのも面白かったです。
トランプや孫さんがもじられて出てきます(笑)
本作が書かれたのが2019年、物語は2022年、そして、今2025年。
実企業のEV戦略は出遅れたともいわれていますが、全方位戦略が成功していると思います。
これからの実企業の方向性が楽しみです。
さて、こちらの物語に戻ると、今回のメインストーリ。
EV車の航続距離1000Kを目指し、EV業界を震撼させたトヨトミ。
しかしバッテリには限界が..
そこに、以前取引を切った下請け会社のモータ技術(コイル巻技術)が必要となり、統一がその下請け会社に出向くシーン。
これ、胸が熱くなりました。
こういうの弱いんだよな。
そして、その下請けを切った背景、隠されていた不正、さらに、権力争い。それらに対して統一がとった行動。
ボンボンだった統一の成長が描かれています。
実企業も社長が変わりました。
これからの実企業が楽しみです。応援しています。
前作同様、楽しめました。
お勧めです。
「トヨトミの野望」から読みましょう!
Posted by ブクログ
2作目も面白いが、1作目の武田剛平のようなカッコ良さはトヨトミのプリンスに求めても難しいか。トランプやソフトバンクの孫など実在のモデルを思い浮かべながら読むのは楽しい。
Posted by ブクログ
章男氏の愛人とのエピソードには、著者の心配もあり、ハラハラした。
孫正義やトランプの登場は興味深い。
「野望」ほどの興奮までいかないが、役員同士の腹の探り合いなど面白かった。
野望から始まり、今作にも新たなモデルが登場し、あまり知られたくない情報も出てくるが、大丈夫かな?
Posted by ブクログ
トヨタ役員の人物像を会社内部でヒアリングしないと、こうまで面白おかしくは書けないのでは?誰かがゴシップ情報をリークした?トヨトミの野望も読まないと・・
株主総会で社長やK副社長が涙ながらの臭い?答弁をしていたのを思い出します。T副社長のFaceBookネタや、中国担当になった元人事部長の逸話も、与太話としては面白い。どこまで本当なのかは知る人ぞ知る!唐突なソフトバンクとの提携はトランプと習近平対策だったのか?ロビー活動とアライアンスで飛び回るために社長の座を技術系に譲ったのか?
ちなみに今日の安全系の認証不正記者会見での会長はマスコミに睨みを利かせてました。マスコミがトヨタに忖度しているさまが良く判りました。
Posted by ブクログ
トヨタの名社長であった奥田氏と豊田章男氏の確執を描いた小説
前作はほぼ事実っぽかったが、今回は微妙な感じ。まぁ、実情はなんとなく伝わってくる
Posted by ブクログ
トヨトミも大企業病の様子を呈し、現社長の豊臣統一をうまく操作して、自分の利益ばかり優先する役員が周りにいるようになった。EVで完全に乗り遅れたトヨトミは果たして生き残れるのか?
今回もトヨタ自動車の状況をよく踏襲していて、現実なのかフィクションなのか時々わからなくなる。豊臣統一の性格や行動も現実のトヨタ社長の豊田章男と非常によく重なる(もっとも愛人の話とはどうかわからないが)
社内闘争の話がほとんどで終わるのかと思い、少しうんざりしていたが、統一も退任することになり、最後に思慮深い人事を行い、痛快なエンディングとなる。トヨトミの逆襲である。