【感想・ネタバレ】トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業のレビュー

あらすじ

創業家VS.左遷サラリーマン!日本の救世主は、ハズレ社員だった。気鋭の経済記者が覆面作家となって挑む日本最大のタブー「27兆円企業」に迫る!「失われた20年を、高度成長期並みに駆け、世界一となったあのトヨトミ自動車が潰れるときは、日本が終わるとき。日本経済最後の砦・巨大自動車企業の真実を伝えたいから、私は、ノンフィクションではなく、小説を書きました」(梶山三郎)

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日本最強企業は日本一血筋の強いオーナー企業。
本家血筋以外の社長は奉公人扱いされ、トヨトミ家と闘いながら剛腕社長が最強企業を築いていく内容は下手な小説以上に興奮します。現代にもこんなお家騒動はまだあるんですね。

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2025年05月17日

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今でも日本を牽引するトヨタの過去の話を元にフィクションを織り交ぜて書かれた内容でとても面白かった。武田がカッコいい

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2024年12月29日

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事実を織り交ぜながら、歴史を勉強することも多く非常に面白かった。内情の雰囲気を知ることができる。読みやすさがあり、ドラマチックな展開も魅力的。次シリーズも必ず読む。

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2024年12月04日

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すごい面白かった。
どの企業がモデルになっているかは、もちろんすぐわかり、しかも90%以上は真実らしい。アメリカでのロビイング活動の凄まじさや、巨大企業の凋落というのはこうやって始まるのかということが追体験できるビジネス書としてお勧め。

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2024年09月07日

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ネタバレ

面白かった。
相当脚色してるにせよ、大筋は実在の人物を書いてるはず。
作者すら覆面で、フィクションなのか、ファクトなのか⁈

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2024年01月24日

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「小説の形を借りたノンフィクション」と呼ばれ、現実のトヨタ自動車への圧倒的な取材力がこの小説にリアリティを生み出しており、その面白さの原動力となっているのは間違いない。
そのことを踏まえた上で、敢えてただのフィクションの小説として判断してみたいと思う。そうしてみてもやはり文句なしに面白い。
企業小説としてサラリーマンの悲哀や苦悩、トップのマネジメント論、権謀術数、社内政治などなど(この辺りは島耕作シリーズに通ずるものがある)盛り沢山。その上で描かれる2人の主人公=創業家以外からの初のサラリーマン社長武田剛三と創業家のプリンス豊臣統一の重厚な人間ドラマ。これらが小説として面白すぎるので、こんなことが本当に、現実にあったの⁇と半信半疑になってしまう。
だとしたら裏事情が面白すぎる。特にアメリカでのロビィ活動の下りは特に著者の力の入れようがすごく感じられて面白かった。あの国との間でこんな駆け引きがあったのか…。
安本記者と田野木記者のモデルは著者本人かな。

自分は誰タイプだろう?と考えながら読むのも面白いかも。自分は御子柴タイプだと思った。大きなことをやるリーダーの器ではないけど、既に敷かれた路線はつつがなく進む。親近感が湧いて最後まで嫌いになれなかった。

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2022年09月09日

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トヨタ自動車をモチーフにしたフィクション(小説)。
フィクションですが、細部が描かれていて、「現実のトヨタ自動車も、もしかしたらこんな感じなのかも」と想像させる内容です。

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2022年02月05日

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最高の経済小説だ。架空の大企業の内部、暗闘をまるでドキュメンタリーのように抉り出している。

一般人では伺い知ることの出来ない、大企業の裏側。広告の引き上げというブラフで都合の悪い報道は潰してしまうため、大企業に批判的な報道はなかなかお目にかかれない。

そこを逆手に取り、覆面作家の経済小説として出したところに妙味がある。最高の経済小説だ。トヨタ自動車のWikipediaを見ながら、読み進めると面白さが倍増する。

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2021年12月01日

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面白かった。虚偽も真実もないまぜてのストーリーの様子で、トヨ○のあのO社長、並び周りの人物の立ち位置も興味深く読めた。エピソードも、あーそんなことあったなーみたいにリアルでした。本当に小説⁈

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2021年05月27日

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かなり面白かった。純粋に小説としてストーリーが面白いのと、おそらくほぼ史実であろう内容で知的好奇心が満たされる、という両面において満足度の高い作品。ちょうど現在に繋がる話で、自動車業界とトヨ○の見方が変わった。

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2021年04月03日

hk

実におもしろい

現実の自動車会社を思い起こしながら読むとなお面白い。

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2020年01月11日

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▶︎2016/11/19-12/09
▶︎1955年から2016年のトヨタ自動車の変遷をノンフィクション小説としている。前面から退いてはいるがバックヤードでは、今も企業戦士が日本経済を支え続けている。しかし、ガソリンエンジンの後は、水素自動車か電気自動車か。2022年世界の自動車生産台数は、日本は783万台 アメリカは1006万台 一位は中国の2702万台。中国の世界戦略は
▶︎p322の「おまえら、アメリカがどれほど怖い国か知らんだろう。あれほど国益に敏感な国はない。」との武田(第8代社長石田碩と思われる)の言葉が心に残る。たかだか建国236年のアメリカである。

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2024年01月19日

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取材力が凄い。武田がかっこ良すぎるが、統一の描写が少なくて評価を平等には出来ない。後半の統一をもう少し描きこんで欲しかった。

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2025年06月17日

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自動車業界NO1はトヨタで当たり前だったので、こうした苦難があったことは勉強になった。日本を代表する会社としてこれからも頑張ってほしい。小説としてはモノ足らないところがあった。人物の背景や業界よ裏事情を書き過ぎて、刺激的な会話の応酬やカタルシスを感じさせる展開がなかった。

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2025年05月19日

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ほとんど実話を元ネタにしているようだが、小説仕立てにするとこんなに面白いとは、、、昭和から平成にかけての経済史を思い出しながら読んだ。武田剛平がカッコ良すぎる。奥田元社長がモデルと知り、ますます興味が湧いた。続編も楽しみだ。

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2024年12月27日

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どこまでが事実かはさておき、
あるかもしれない!?が面白かった

胸が熱くなることもあり
泥臭く仕事をすることもいいことかもと思える

世間、裏表なく色んな人がいる、
それに支えてもらって世の中回っているのだな

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2024年11月08日

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大手自動車メーカーをモデルにした小説。経済小説らしくテンポ良く、ハラハラ感もあり楽しめました。ロビイストの活躍が印象的でした。

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2024年08月17日

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読み始めたら面白すぎて、あっという間に読んでしまった。
テンポよく進み、登場人物の一人ひとりが丁寧に描写されていて、リアルに感じた。
早く次の一冊を読まないと。

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2024年07月15日

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ネタバレ

感想
面白かった。トヨタの内情は全然理解していなかったが、その一面を垣間見ることができた気がした。
トヨタ自動車の奥田碩をモデルにした小説。
創世記はカンバン方式と徹底したコストカット。下請けと共に生き残るために。という理由で昔は理由がついたが、今は下請けイジメにとらえられる。伝説の大企業はどのようにして生まれたのか?興味津々。

創業家本家の御曹司にやはり外様サラリーマン社長は敵わないか。経営も今の時流だけでなく、将来の不確定な要素も含めて評価されるから厳しいなぁ。奥田体制がもっと続けば盤石な未来になったのか?想像もできないな。

創業家社長は上手くやってるものと思いきや、詳しくみると全然ダメだったのね。

あらすじ
トヨタの社長として抜擢されたのは創業家外の武田。社内役員でも譜代と外様では経済事情も創業家からの気に入られ方も異なる。

武田は早速、中国市場を見据えてダイエン工業と立川自動車の買収を行う。次にハイブリッド車の量産化の1年前倒しを約束させる。国外は中国、イギリス、フランス、アメリカと次々に工場を建てて世界化を図る。ハイブリッド車の量産化を実現させたが、作るほど赤字に。ただ宣伝費として意にも介さず、この成功で使えない役員を切っていく。

就任四年で売り上げを倍に伸ばしたが、脱トヨトミ家を図るために持ち株会社への移行を画策したが、懐刀の副社長御子柴の裏切りにより、わずか四年で会長へと移行する。その後は財界の重鎮として活動する。

創業家に社長が代わり、恐怖政治でイエスマンしか居なくなる。アメリカの方もロビイストを切ったツケが、アメリカでの事故を後手後手に回らせて問題に収集がつかなくなる。社長の統一は米国公聴会に呼び出され、吊し上げにあうが、真摯な対応でここを乗り切ったことで社が一丸となり、売り上げを伸ばしていく。

統一は最後にアメリカの攻略法を武田の伝授され、自信を持って、2030年までにガソリン車をゼロにすると宣言するところで終わる。

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2024年06月05日

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フィクションとノンフィクションの間のような小説で、歴史への興味もファンタジー的なワクワクも同時に満たされた

30万人の上に立つ人間の価値観を言語化してくれていて、引き込まれた
また、さまざまな立場から描かれており、全員悪気はないのに揶揄される姿もリアル。
最後の武田の20年後を見据えた発言は視座の高さに脱帽
でも納得感がすごい

仕事に生きることで命を失うことが当たり前という価値観が今の時代としては新鮮
そんな武田も最後世界一周にいくのは感慨深い


珍しい感想かもしれないが、
過ごした時間が思い出になるのであれば、早いうちに生涯のパートナーを見つけるのも幸せだなあと感じた

また、トヨトミは本来飲み会でどじょう踊りできる人間が出世していく、というフレーズも好き

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2024年06月02日

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中心人物である武田剛平が最高。
どんな環境でも冷静に判断し、豪快に決断しているようで、幾つもの情報を基に先読みをしている点が格好良すぎる。
作者はきっと武田剛平のモデルになった奥田碩のファンで、その存在が世間に注目されていないのが悔しくて武田剛平をメインに描いたんだと思う。

はじめは、登場人物が多くて、キャラクターを理解するのに苦労したけれど、読み進めるほどに深みが増し、展開も面白い。文中の出来事は名前こそ変えているけど、実際の出来事。
全てフィクションだとは思えないし、ここまで内部事情を描ける作者は何者?

読んでよかった作品。

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2024年05月30日

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企業の内部抗争、大企業サラリーマン社長の大立ち回りなど、めちゃ面白かった。
トヨタの歴史をフィクションとノンフィクションをおりまぜて書いている。
しかし、描写が上手くて、本当にリアルに感じられる。
特に武田剛平が魅力的。
登場人物が多いのだが、読んでいるとスッと入って来る。
サラリーマン金太郎や半沢直樹とか、企業モノが好きな人は特に気に入ると思う。

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2024年03月27日

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ページを巡ると、目次の次におもな登場人物の紹介。人数が多い・・・ 話についていけるかちょっと不安になったが、杞憂だった。読みやすい文章で、人物の多さも全く気にならなかった。

少し前に『未明の砦』を読んだ影響で、自動車メーカーの話を別の視点で見たいと思ったのがこの本を選んだきっかけ。読んでよかったと思う。
ビジネスって戦争なんだなぁ。

折しも、ニュースでトヨタグループが話題になっていた。いつもよりも興味が持てた。

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2024年02月01日

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この本のモデルになっている会社の製品は、正直面白みがないと昔は思っていながら、一方でここ20年ぐらいは『なんか変わってきている?』との思いがあったりしたが、なるほど、この本を読むとその変化の理由がなんとなくわかった気がした。
それにしても、モデル企業にしてみれば結構衝撃的な内容だと思ったけど、どうなんだろう?

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2023年04月30日

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着色はあるにせよ、今のトヨタがこのように成り上がってきたのかと、ネットで登場人物を該当させながらストーリーに引き込まれました。
小説らしく、わかりやすく歴史の一部を学べる良い本でした。
武田さん最後までカッケェっす。

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2022年11月11日

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勧められてこちらを。
実際に誰が誰に該当するのかというメモももらって読む。
読み進めるうちにトヨトミの事が嫌いになりそうで…
武田社長がやり手で凄くかっこよかった!

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2021年06月28日

Posted by ブクログ

どこまで本当の話なんだろうかと想像しながら読めるので面白い。章男社長しか知らないので、そこに至るまでの経緯が興味深かった。あくまでフィクションなので踏み込んだ表現でさらに面白い。

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2020年11月23日

Posted by ブクログ

展開が何かと劇的で私の好みの小説ではなかったけど、ドラマを観ているようで飽きがなく新鮮だった
最初は武田のキャラ設定や小説世界観に馴染めず(正義感強く孤高感じだけど人脈広くて情報通ってそんな事ある?銃撃戦の中に社員送り込むか?とか…)のめり込めなかったけど、後半は武田の人となりも掴め、この小説の世界観にも慣れてきて、楽しめた
武田や統一のモデルをあとから調べると、小説に出ていた人物表現がwikiでも使用されていたり、某企業の歴史と一致することも多く、私の想像以上に事実に近い小説なのかもしれないと思った

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

武田さんについてどういう感情で読んでいいのか、、自分の中で現実と虚構が入り混じってしまった。
統一については、とんとん拍子?に社長になった感じがする。事実を元に書いたからかな?なんか、最後は事柄だけが描かれている感じがした。
面白いのは面白かった。

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2024年04月17日

Posted by ブクログ

1.著者;正体不明の覆面作家。本書「トヨトミの野望」でデビュー。新聞社のフリージャーナリストが書いたと言われているが、実際は複数の現役記者が情報提供し、某作家に書かせたらしいという噂もあり謎。梶山三郎というペンネームは、梶山季之(週刊誌記者出身で出世作は「黒の試走車」)と城山三郎(自動車関係の書籍は「勇者は語らず」)に肖ったと思わらる。
2.本書;企業小説。著者曰く「失われた20年を、高度成長期の様に駆け抜けた巨大自動車企業は日本経済最後の砦だ。私は、その真実を伝える為に、ノンフィクションでなく、小説を書いた」。この企業はトヨタ自動車と思われ、創業家と左遷サラリーマン社長の対立が書かれている。エピソードが所々に書かれ、興味が尽きません。実話だと言う人、どこまで真実かと言う人、両方がいます。真実は闇の中。先ずはフィクションとして楽しむ本でしょう。十四章構成(第一章;ふたりの使用人~)。
3.私の個別感想(心に残った文章を3点に絞り込み、私見を合わせて記述);
(1)第二章【社内事情】より、(武田社長)「豊臣家は創業家だから尊重するが、人事は公平。このグローバルの時代、血縁に頼っていては衰退するばかり。実力ある者を正しく評価し、しかるべき地位に登用」「私が社長に就任する以上、お公家集団のぬるま湯は許しません。社員諸君は何も変えない事が最も悪いと気付いてほしい。現状維持はイコール堕落です」
●感想⇒①「血縁に頼っていては衰退するばかり」について。日本の企業は約256万社。同族経営は、その内約96%。大企業では、トヨタの他にもパナソニック・サントリー等、名だたる会社が同族経営です。同族経営にも、メリット(意思決定の速さ等)とデメリット(私物化の懸念等)があります。一方で、本田宗一郎氏は会社に親族を入れる事を頑なに拒んだそうです。要は創業者の考えで、会社の命運が決まるという事でしょうか。本書のトヨトミは、デメリットが際立ったと思いますが、経営の評価は同族だけでなく広い観点で判断すべきと考えます。②「社員諸君は何も変えない事が最も悪い」について。これは私もよく言われました。企業を取り巻く環境は、グローバル化によって、目まぐるしく変化しています。仕事をマニュアルに沿った作業ではなく、常に創意工夫するのです。個人の仕事のやりがいと成長の為にも知恵を絞り、考え続け事が重要ですね。
(2)第六章【ハイブリッド】より、(山崎;衆議院議員)『「会社には朝一番に行って掃除をしろ」「電話は真っ先に取れ」「お客様の荷物を持ってタクシーに乗せ、見えなくなるまでしっかり見送れ」いたずらにアメリカナイズされる事無く、日本人らしく謙虚に誠実に振舞え、という事だ』
●感想⇒会社に入った頃、「お客様が見えなくなるまで見送れ・・・」を始め、研修で教えて貰ったというよりも、先輩がそれらを自然体で実行しており、私も見様見真似で覚えました。企業の強みは、テキスト等で書いたものを覚えるという事ではなく、先輩が後輩にビジネスマンとしての礼節をやって見せ、後輩は自分の後輩にそれを教えるというサイクルが上手く回っている文化だと思います。上司からも言われました。『部下には差がある。例えば、出張で新幹線の切符を頼んだ時に、並のスタッフは「満席で切符が取れませんでした」。気の利くスタッフは「満席だったので他の時間と他の交通手段を調べておきました」と。こういう所で企業力の差が出るんだ』と。現在は仕事改革で労働時間の効率化が叫ばれています。気配り時間まで効率化して、仕事の質を落としてははいけないと思います。
(3)第八章【萌芽】より、(武田社長)「経営者の堕落が酷い。会社の利益と自分の名声しか考えず、従業員の幸せや企業の社会的責任に無関心な輩が多すぎます。国民と国全体の利益を考えないトップは経営者と呼ぶに値しません。単なる経営屋です。恥知らずの経営屋がバブル経済の膨張と崩壊を招き、日本をこんな惨めな国家にしてしまった」
●感想⇒マスコミで話題のB社経営者の発言を聞いて、今時こんなにレベルの経営者がいるんだと呆れました。破綻した山一證券の社長の言葉を思い出しました。「これだけは言いたいのは…私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから! どうか社員のみなさんに応援をしてやってください、お願いします!」。B社のトップは、社員のやった不祥事を「信じられない」とか「訴える」とか当事者意識は皆無です。B社にも心ある善良な社員が大勢いると思います。社員の働き甲斐を醸成し、ユーザーを大切にする企業(社会的責任)に再生して欲しいものです。
4.まとめ;左遷サラリーマンだった武田社長は、トヨトミを売上高27兆円という世界企業にした立役者。しかし、持ち株会社構想などにより、創業家に疎まれ、社長の座を失います。その社長に忠誠を尽くした人間はことごとく追放され、粛清人事となります。ブチ切れた創業家出身社長の容赦ないお手打ち人事は衝撃的とあります。トヨトミを世界企業に押し上げた功労者の社長ばかりか、取巻き連中まで粛清するとは、凡人には理解出来ません。人としての心(感謝)はあるのかと。経営の厳しさを痛感します。雑談です。日本の企業が世界一になる事は本当に良い事でしょうか。某経済学者が書いていました。「相手が倒れると、相手からの需要も止まり、新たに食い潰す相手を見つけない限り、自分自身、存続する事が不可能になる」と。一人勝ちの行く末は世界から孤立に繋がります。羨望の的ではなく、共存共栄の道を進むべきでしょう。本書の大企業の人間構造に踏み込んだ記述には興味津々ですが、著者の考えが見えないのが残念です。(以上)

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2023年08月14日

Posted by ブクログ

豪快でいて、緻密な戦略家でもある武田社長のキャラクターに惹かれる。単純に小説として面白かった。小説としてストーリー展開や各キャラクターの設定が本当かも、と思えて、そこまで現実離れしていないのがよかった。会社員であれば、組織の中の立ち振舞いとして、共感できる部分も多いと思う。この男臭いストーリーを女性ならどう感じるか気になった。よくも悪くも、現実の大企業における女性社員の立ち位置もよく表しているのだろうと思う。会社の同僚に進めたくなる一冊。

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2021年11月12日

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