トマリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレとんでもないことになってしまった。
ずっと気になっていた「暁闇計画」の全貌が、まずとんでもない。
大量虐殺兵器を完成させ、それを帝国にぶち込むことによって戦争を2度とさせない平和な世界を作る…?
いや、言ってることは分かるけれど到底理解はできない。
でも、世の中の戦争って全部そうなんだよね。自国だけが良ければ他国の人がどれだけ死のうと涼しい顔。それがまかり通ってるのが、今の世の中なんだもの。
私はフェロニカには賛成できない。ギードと同じ道を選ぶと思う。けれど、フェロニカの気持ちが完全に分からない訳でもない。正直に言うと、家族だけが助かれば良いと私も思ってしまっている。
冷酷無慈悲に見えたフェロニカの真の想いは、辛くなるほど愛に満ちていた。
なんて切ない話なんだろう…。
クラウスと『灯』メンバーの別れのシーンが結構キツかった。まさか袂を分かつことになるとは。もういっそのこと、全員でクラウスに着いてってくれよ…と思ってしまった。(そんな選択をしたところで、クラウスが許さなかっただろうが。)
次巻からの展開も目が離せない訳だが、ちゃんと集中して読まないと誰が誰だか分からなくなってくるし、記憶が新たな内に次巻が出ることを望む。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクラウスの焔加入から灯創設までを書いた短編集。そしてこれまでほとんど描かれなかったフェロニカ、ギード、ゲルデ、ルーカス、ヴィレ、ハイジたちの話。
クラウスのスパイとしての成長ぶりをとっても面白く楽しく、時に苦しく感じながら読み進められる今作はスパイ教室が気に入った人みんなに読んで欲しいと思いました。
そして、灯の少女たちと焔メンバーの接点を知ることが出来る今作は所謂"オタク心"をくすぐられる伏線回収回で「早く次の接点が知りたい…!」とワクワクしながら読み進めてました
特に双子はそれぞれ接点が面白かったなぁ
あとはなんといってもイラスト!
表紙は幼いクラウスを愛しく見つめる視線に心があったまるし、扉絵は初めて見る焔集合絵にワクワクニヤニヤしちゃいました! -
Posted by ブクログ
前々巻はクラウスを主役とし彼がどのように世界最強のスパイになっていくかを描いた過去の物語だった。前巻はクラウスを脇役とした『灯』達が革命を成し遂げる物語だった
今回は世界大戦終結後を『焰』がどのように過ごしていたか、そしてフェロニカとギードはどのようにして決裂したかを描いた物語となったね
それはライラット王国で起きた革命の最後を飾るに相応しい裏話であり、同時に世界レベルでの革命が始まる前夜だったとも言えそうだ
『焰』はフェロニカが加わる前から存在していたスパイチームだけど、本作としては彼女がボスの時代しか描かれていなかったものだから少し誤解していたかな。『焰』を家族としたのはフェロニカの方針だったのか
そこだけを見れば、特定の国や家族に属さぬよう生きてきた彼女が『焰』に家族の代替を求めたと見える
けれど、彼女が『焰』を家族扱いし始めたのは彼女の心が死に始めてからの話で
その点がこの巻においてフェロニカという人間をどう解釈するかを難しくし、そして『焰』そのものの破綻へと繋がっていったわけだ
各章のタイトルが『《燎火》裏』となっているように、短編集5巻の裏側を補完するような構図となっている。あの時、クラウスは家族の情を享受する側だった。この巻ではフェロニカ達が家族の情を届ける為に何をしていたか、そして家族で在り続ける為に何を犠牲にしたかが描かれている
フェロニカは地獄へと変ずるライメン市街を見てヒーローから殺戮者へと生まれ直した。それはディン共和国を守るスパイとしては正しい在り方かもしれないが、『焰』を家族としての棲み家に変えた彼女の言動とは乖離がある
フェロニカを理解する上で外せない要素として、元々彼女は慈悲の情を強く持つ人物であるとか、余命宣告をされている等は関係しているのだろうなと思う
殺戮者に成り果てたとしても根っこの部分に慈悲が有るから彼女が最終的に目指すのは平和となる。自分の寿命が残り少ないと自覚しているから大罪を背負う事を厭わないし、残された者の為に何かを遺したいと強く願ってしまう。それらの要素が交わる事で自身の命だけでなく名声すら軽く投げ捨てられてしまう
これらの要素はフェロニカを大切に想う『焰』の者達と相反する感情となってしまうね。特に彼女に忠誠以上の感情を向けていただろうギードにとっては尚の事
そう考えると、フェロニカとギードが守ろうとしているのは同一であるのも明白。ただし、二人はヒーローについての捉え方が異なるから対立も決定的になってしまうと
フェロニカは人々を救う手段としてヒーローを目指した。ギードはフェロニカに感化されてヒーローを目的とした。だから弱者として《暁闇計画》に抗おうとしている白蜘蛛達にギードが共感してしまうのは当然の成り行きだし、『焰』を虐殺の管理者にしかねない計画に賛同する余地なんて無かったのだろうな
けれど、フェロニカ自身はヒーローを目指す道なんて疾うの昔に諦めていて、縋り続けるは大切な者達を自分勝手に守る道だけ
『焰』の中核を担う二人は大切な『焰』を守る同じ目的を掲げて、決定的な破綻を迎えたわけだ
この巻で提示された問題は世界レベルの虐殺と、家族を守る小規模愛が同次元で語られている為に答えを出し難いものとなっているね
回想後にモニカが叫んだように、自分達に計画への同意も行く末も選べないならば悩む必要はない。けれど世界に名だたるスパイとして時には国の命運さえ動かせる程になってしまった『焰』や『灯』だからマクロとミクロの話を同時に行わなければならない
そうして行われた選択は非常に恣意的なものだったね
クラウスは『灯』に同じ答え、「成就」を促した。対して己自身は「阻止」。それは少女達を守る為の方策であるようにも、自身を止めさせるようにも、またはこうして別の方策を互いに取る事で全く別の未来を探ろうとしているかのように映る
だとしても両者の道は分かたれた。今後はお遊びのように教室を開く事も叶わないのだろうね
遂に生まれ落ちた『虹蛍』、そして舞台へと復帰する悪のカリスマ達。これから始まるファイナルシーズンはただ任務をこなせば祖国の平和に繋がるというものでもないだけに難しい展開に成りそうですよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ暁闇計画の全貌を解明するために動き始めた10巻、今回は煽動班であるエルナとアネットの動きについて主に描かれてました
それなのに表紙はサラ…?と思ってたら、灯離散直前に比べてとても頼もしくなったサラが窮地に陥ったエルナとアネット、そして反政府組織の『義勇の騎士団』のメンバーを救うために現れたときには鳥肌が立ちました、更にLWS劇団の現代表と宣言した時はゾワっとしました
今回は主に謎に包まれた炭鉱での爆破事件についての調査がメインだったので、謎解きに近かったように思いますが、さすが、最後はハラハラのアクションシーンが待ち受けていたなぁ、と。
そして、最後の双子の話。
いや、LWS劇団ってお前らかーい!!!ってなりました笑
鳳と同様、すでに本人が亡くなっていたとしても活躍したスパイの功績は後に影響を与えるんだなぁと感じました
でも、1番怖かったのはアネットの挿絵です
背筋がちょっと冷えましたし、夜に見ちゃったので夢に出てきそうで…あのアネットの狂気を表したイラスト。トマリ先生すごい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ他と少し独立してて、セカンドシーズン終わっての少し箸休めのようにも感じられる1冊!なのにこれまたボリューミー!竹町先生は天才か…??
個人的には、セカンドシーズンのあの展開を超えた上でのモニカの馬鹿騒ぎとアネットの変化がすごくささったなぁ…
そして、そのアネットの変化を成長へと導くクラウス、あるいはグレーテとクラウスもこっから関係性がどうなるのか気になったりと、クラウスにも注目の回でした!(「一年、考えさせてくれないか」っていうと思わなかった…!)
そして、後半!煤煙のルーカスと尺骨のヴィレの描写、そして髪を切ったり成長したエルナ&アネットの描写!盛りだくさんすぎる!!
ルーカスとヴィレはヴィジュアル含めカッコ良すぎるなぁ…(二人で極上って言ってたんだなぁ…)
こっからの展開が楽しみです…!!
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Posted by ブクログ
ネタバレランの行く先をどうするか、を主軸に鳳との蜜月後の灯の動きが描かれた短編集。
本編9巻までとハネムーンレイカーを読んでランが気になってた身としては、冒頭「ニートライフを満喫するでござるよおおお」なんて言ってたランのラストでダグウィンの拳を止めて巓への加入を望むという流れがすごく好きでグッときて、ラン頑張れよ…と思いました
灯関連ストーリーだと今回は養成学校とスパイとは縁遠い世界の2つが好きだったかなあ
養成学校から出たてのリリィとの違い、ジビアのメンバーへの思いやりが感じられたのが良かったです
物語本体と関係ありませんが、この巻についてる鳳の6shotは最初見た時泣きそうになりました。(竹町先生もあとがきで言及してましたね)色々ひっくるめて鳳が気になった方にはハネムーンレイカーだけでなくこれも読んで欲しいです -
Posted by ブクログ
ライラットでの革命も遂に本番へ。様々な不安要素を抱きながらも至った正念場は『灯』がバラバラに活動した1年間を決算するようなもの
彼女らがここまでにどう成長したか、何を成し遂げたかが問われる中で別方面の不安要素として表出したのはアネットの闇か
エルナやティア達は任務が終わった後の明るい未来を考えられる。それは彼女らの特徴であり抱き続ける希望
でも、生来的に他の少女達と異なる人格を持つアネットはそれに迎合できないわけだ
アネットは革命の中心人物ではない。けれど革命に絡むならその要素は危険を齎す可能性がある。そういった面が描かれた巻となったかな
勿論、革命の中心は表紙になっているエルナだね
というか、ライラット編が始まった当初はここまで彼女が革命の中心になとは思っていなかったけど
貴族の生まれとして奉仕精神を持つからこそ困窮する国民の為に腐った王政府を倒そうという運動のシンボルになるのは当然かも知れないけれど、まさかこれ程までに革命精神に適合するとは思わなかった
彼女の存在はそのまま革命の動力となるね
けれど対するニケが『灯』の好きにさせるわけがない
それが描かれたのは中央収容所からの一連の流れか
革命に乗じてリリィ達との合流や革命に影響有る人物を救い出そうとした手際は褒められて然るべきもの
なのに、彼女らの策略を全て読みきりある程度成功させた上で策を乗っ取ったニケは尋常ならざる存在であると判る
それでもリリィ達が成長しているのは確かなんだよね。幾つかの局面ではニケやタナトスを上回るシーンも有った。世界的なスパイや暴力の嵐を前に立ち向かえたなら称賛すべきとも言える
特に表面的には絶体絶命と思われた偽革命が行われた最中にエルナが撃たれたシーンからの逆転劇は素晴らしいもの
この巻で最も驚かされたのは過去においてルーカスとヴィレの双子が実はただ殺されたのではなくニケも藍蝗も出し抜いていた点か
過去編で明かされた藍蝗の正体にも驚かされたけど、やはり双子の実力を前にするとその意外性も霞んでしまう
ニケや藍蝗がどう動くかを完全に制御した上で二人を見逃した
それは双子からのメッセージかな。究極のバランサーである彼が呈したのは争いの無意味さ、暗躍に明け暮れたニケや藍蝗の愚かさ
そうした点を考慮するとエルナ達が革命を成就させる為には己の愚かさを認める必要があると言えるのかもしれない
己の愚かさを見通せない者達は『灯』が作り出した革命の狂乱へと呑まれていく。己の愚かさを認められなかったニケはタナトスの失策や王の亡命により『灯』に敗北した
そして己が愚かと知らなかったアネットが向き合う事になったのは自分を闇の存在と思いこみ見逃していた愛情だね
アネットの愚かさは身の滅びに通じるもの。それを藍蝗に曝け出してしまえばアネットに勝ち目なんて無い
そのような絶望的状況だったからこそ、エルナがアネットの愚かさを受けた上で生き延びて、アネットと同じように愚かになると決断するシーンは本当に良かったよ
これでもうアネットは独りじゃないんだろうね
それにしてもこの巻はどこか不気味さを持つ内容でも有ったような
そもそも革命の4日目が描かれていないのもそうだし、所々情報が欠けたままというのも薄気味悪い
リリィに藍蝗の情報を渡した人物、3人のエルナという修正案を出した人物、双子が散り際に発した「弟たち」が指す対象。革命の後半はニケに捕らえられたとはいえ動向が全く描かれなくなったスージーは気になる
思い返せば白蜘蛛が最期に残した『虹螢』についても判らないまま
現状は『灯』の勝利であるように思える。なのにここから状況を引っくり返し世界に激震を走らせる何かが始まるのだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレリリィとサラがスパイ養成学校に戻される話が一番好き。なんとリリィ、いじめられていたとは。「女が嫌いな女」タイプではないと思っていたんだけどな。
ゴリッゴリにいじめられぬいた後の最後の反撃は見事でスカッとする。しかも養成学校トップまで脅迫するとは流石。リリィも成長したなぁと最初の駄目っぷりを知っているからこそ感慨深い。
ファルマの兄ダグウィンの希望を叶えるミッションの難易度の高さに関わらず、それをクリアし、且つ孤児院の子どもたちの遊び場まで作ってしまったティアの話も良かった。グレーテのミッションクリアの方法も賢いのだが、私は泥臭く頑張る最近のティアが好きなので、彼女を応援している。
ファルマにはこんなに妹思いの兄がいたのか。この兄妹は二度と会うことはないのだ。何とスパイの世界は酷いことか。
それでも皆、スパイを続ける。ゆるーく過ごしているように見えるリリィたちだが、生半可な覚悟では決して続けていけないんだよね。 -
Posted by ブクログ
作者がコメントで述べているように『スパイ教室』の前日譚であり、クラウスが如何にして今の姿になったかを明かす物語となっているね
クラウスの成長を描くという意味では確かに教室と呼べるものでは有るけれど、どうしたって『焰』は家族と呼びたくなるし、だからこそ『焰』から派生した『灯』もまた一つの家族だと感じられるものだと再確認できたよ
本作を読んで最も意外だったのは初期のクラウスがやんちゃ坊主というか全力で野生児をしていた点かなぁ
そりゃ来歴を考えれば当たり前なんだけど、現在の泰然とした姿勢を当たり前のものとしてみてしまうとかなり意外性を感じてしまうというか
また、後に本編で活躍する事になる人物が登場したり言及が有ったりという点はちょっとしたサービス要素として嬉しくなるね
最初の2年間はまともにコミュニケーションも取れなかった。戦闘能力は高くても人間としてあまりに不足していた。けれど、『焰』の先輩方に育てられて世界最強のスパイへと成長した
それは一息に成長が描かれるのではなく、幾つものエピソードを通して少しずつ成長する彼の姿が描かれたからこそ、そこにはどこまでも『焰』の愛を感じてしまう
でも、それは各話タイトルに現れているように表の物語であるという点が少し物哀しいね…
クラウスは『焰』の愛情を一身に受けるようにして成長した。でもその裏ではフェロニカは一人で世界の暗部を背負っていたし、ギードは裏切りへと突き進んだ。ルーカスとヴィレだって暗部に関わろうとしていたし、きっと描かれていないだけでゲルデやハイジにも何かしら裏は存在するわけで
クラウスはそれらを知らないままに『焰』の崩壊に立ち会った。何も明かされて居なかった事は彼が信頼されていなかったかのように感じてしまいそうになるが、一方でギリギリの瞬間まで彼を表側に留めておきたかったかのように感じられる
でも、それは暗部に立ち入らせないとするものではないから、クラウスが本当の意味で残酷な決断をする為の覚悟を欲した時に背を押す力となっていたね
だからこそ、クラウスを殺せる筈だった銀蝉は失敗し、彼は極限状態から生き残れた。フェロニカが遺した言葉が彼をスパイの世界に留め置かせた
『焰』から受け取った心の炎を分け与えて新たに作り上げた『灯』
それがどのような経緯で生まれたか、クラウスがあの場所にどのような感情を持っているか。それを知れたという意味ではとても良い短編集でしたよ