トモセシュンサクのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
綾小路が全てのクラスリーダーを出し抜いた特別試験の直後、誰もが望み通りの結果を手に出来なかった為に悲愴感漂う雰囲気になるかと思いきや、そうは成らなかった点は少々意外だったかも。堀北クラスにおいても、綾小路を責める声がそこまで大きくならなかったし
良くも悪くも勝つ為なら犠牲は仕方ないと誰もが判り始めている。だから勝利を目指す中で綾小路が犠牲を前提にライバルを出し抜いた策略に皆が理解を示す
でも、それって言い方を換えれば綾小路の独断を許してしているとも言えるわけで
この状況を受け容れきれない者が居るとすれば、それは綾小路に直接負けた者達だね
最下位に沈んだ一之瀬クラスは彼女を中心に再び立ち上がる以外の選択肢を持たないが一之瀬は想いを裏切られる形で敗北した為に感情がグチャグチャとなり二進も三進も行かない状況。ここで他の人物が新たなリーダーとして名乗りを上げられれば良いのだろうけど、そうはならないのが一之瀬クラスの弱みか
だからこそ、敗北も沈み込みも容認できない星之宮が暴走し始めるわけだ。以前から茶柱への憎しみをひけらかしてきた彼女だけど、遂に後が無くなった段階でその凶悪さを明らかにしてきたね
もう一人の敗者である龍園はもっと荒れているかと思いきや、静かに受け止めている風でもあったね。勿論、坂柳が自滅した点やそれに綾小路が絡んでいる点は納得し難いのだろうけれど、彼にしては珍しく殊勝な態度を隠さない
龍園としては坂柳に対し完璧な敗北を認めた。かつては綾小路によって無理矢理に敗北させられた事もあるが、今回は自分の意志によって。だからこそ坂柳の方が勝者に相応しいと思うし、そうして負けの立場に追い遣られた事が良い意味で彼の心を清涼としているように思えたよ
この清々しいけれど納得しがたい敗北感は龍園に新たな成長を齎しそうな予感
春を前とした季節らしくこれまでへの別れと未来への変化が幾つか描かれたね
学校を去る立場でありながら今後を期待させる坂柳、親同士の賭けにより対立軸を綾小路と作りそうな高円寺
また、初期から感じさせるものが無い訳では無いながらも進展も無かった綾小路と堀北の関係がここに来てかなり思わせぶりなものに
前々から綾小路に頼る局面は有りつつも、どうにか彼を制御しようとしていた印象がある堀北だけど、櫛田と佐倉のどちらを退学させるかを問われた辺りから綾小路の心情を気にする面が強く見えるようになった
そして一之瀬を倒す為にクラスメイトを退学させる重荷を背負わせてしまった事が決定打となったのか彼女の態度はかなり変わったね
以前に綾小路から軽く指摘されていたけど、堀北は誰か知り合いを意識的に退学させる策謀を巡らす点では劣っている。それだけに顔色一つ変えずに前園を退学させた綾小路の内心が気になってしまうのかな?
そう考えると、祝勝会にて彼女が口にした言葉は現時点で最大の親愛を籠めた言葉だったのだろうけど……
長らく良い関係を築きながら、ここ最近は綻びが見え始めて綾小路と軽井沢。まあ、綾小路としては意図的に綻びを作っていたのだろうけど…
この穏やかな関係が遂に終わる時が来てしまうなんてね…
綾小路として真の恋愛感情から彼女を求めたわけではなく、そもそもは彼女から恋愛について学ぶ為。学習が終わったなら彼女と付き合う意味は無くなる
それでも別れの日に躊躇いを見せた綾小路の姿に思わず期待してしまう部分はあったけど、それすらも彼にとって学習の一環だったんだろうなと思える。良くも悪くも綾小路は目的の為に感情を他所における人間だから…
彼に振り回されながら最後の瞬間に綾小路の理解者として強く振る舞おうとした軽井沢の姿には強さと哀しさを感じてしまったよ……
それだけに軽井沢以上に恋愛を通して綾小路を理解する者がすぐに現れるとは思わなかったが…
綾小路が軽井沢相手に好意的な恋愛による学習を行っていたなら、憎悪に近い恋愛を学ぼうとしていたのが一之瀬か…
一之瀬には散々自分を頼りにさせ溺れさせ、その上で手酷い裏切りを行った。けれど、一之瀬は軽井沢と違って本質的には強さも持つ人間。ただ、罪の意識が重すぎただけで
だから綾小路は一之瀬に軽井沢とは違う答えを求めていたようだけど、まさか綾小路の思惑を超える程の答えを返してくるとは思わなかったよ……
更にあれだけの扱いを受けておきながら綾小路への恋慕を失わず、その感情に呑まれずむしろ綾小路を呑み込んでみせた
まるで軽井沢が振られたシーンと対になるかのような一之瀬の挿絵には寒気を含むかのような艶を感じてしまいましたよ……
そして綾小路と一之瀬の策謀によって成立しただろう驚愕のラスト。これから始まる3年生編は何が起きるか全く読めない激動の1年間となりそうですよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ炎上回。
テーマが現代風で、他人事じゃないなと思わされた。悪いことをした人をsnsやテレビで報道されると、本当にそうか定かじゃなくても私の場合、それを事実として流してしまう節があるなと自覚した。身近な噂や話だと特に。だから、教訓みたいに言うと、なんでも情報は疑うべきで、正当性とか解釈は自分の頭でしっかりやらなきゃいけないんだと思いました。会話も口軽すぎたり虚言癖があるとまずい。当たり前だけど私はできてません。
ストーリーに関して言うと、坂柳と橋本が頑張っていた。見ていて鬱陶しかったけど、自分のためこれだけ考えて行動を起こせるのは強い。
一之瀬はどうなるのか、読んでいて正直分からなかったけど、最後まで読むと納得。伏線を綺麗にまとめていてすっきりした。一之瀬は可愛い。みんな何かしらの重い過去1つや2つあるけど、それでも努力して毎日生活して頑張っているんだなと感じた。なんか共同体の感覚。 -
Posted by ブクログ
今巻はかなり凄い展開になったな……
坂柳と龍園の勝負結果こそ事前に予想していた通りだったけど、そこに至る過程が完全に想定外だったし、ノーマーク気味だった堀北クラスと一之瀬クラスの勝負も予想外にも程が有る結果となったよ…
前々からヤバいヤバいと前フリされていた学年末特別試験、しかしいざ蓋を開いてみればまさか人狼ゲーム系とは思わなかった
これは綾小路が推理していたように何かしらの横槍が入った…?
兎も角、今回の試験における特徴は事前対策が不可能だった点だね。これまでも事前の備えをしても意味は薄い試験は有ったけど、当日まで何が行われるのか教員すら知らないというのは異質
だからそれまでの期間で出来る事なんて基本的にない。クラスメイトとの対話を進めた坂柳の行動が良い準備と映る程度
そのような認識だからこそ、事前に大将の地位を要求し更に勝敗に拠って変動する報酬を要求した綾小路の判断が際立って見える
そもそも自分が矢面に立つを良しとせず、暗躍を繰り返してきた綾小路を大勝負の大一番で使えるなら頼りになる。けれど頼ってしまったら今後は頼れない
危うい賭けだけど、ここで迷うこと無く選択できた堀北は良い成長をしていると感じられたよ
そのような認識だったから、いざ始まった特別試験で堀北が一之瀬に全く歯も立たなかった点は驚かされた
確かにアレは一之瀬の得意分野というか、人を深く観察し人と広く交流しなければ真実が見えてこないゲーム。似たような点では坂柳が一切のミスをしなかったのはクラスメイトとの対話が活きた部分があったのだろうし
その意味ではその道を歩み始めたばかりな堀北では分が悪かったという話
逆に言えば、ここで敗北を知った堀北は成長の余地が生まれたと言える
それを意識したからこそ、綾小路は堀北を労ったのだろうし
今巻のメインイベントの一つとなる綾小路と一之瀬の戦いはかなり特殊な推移となったね
前提として、一之瀬は堀北に圧勝してしまう程にこの試験の強者であり綾小路に惚れた事で様変わりした人物
なら、綾小路は彼女とどう向き合うかを決めなければならない
もし、彼女から勝ちを拾うなら彼女を上回る観察力を持つか背信者ルールによって彼女を乱すしかない
そう思っていただけに、綾小路の策略が言ってしまえば1年以上前から始まっていたなんて想像もしていなかったよ
実際には倒す為に仲良くなったのではなく、仲を深めた結果として彼女を倒す武器を手にしたというべきか
今の一之瀬はクラスとして敵対していても綾小路を心の底から信頼している。そこにこそ、彼女の心をぶち壊すチャンスが有る
だからって、ああまで仕掛けるなんてなぁ…
あの場面で前園を始末したのはそれこそ一之瀬の精神的な安定を崩す一手。約束を破り、更には一之瀬にとってタブーと言える退学者を出す事で彼女の信頼を揺らがせている
その上で自分達の関係が根底から思っていたものと違うと告げられればそりゃもうなぁ…
以前の一之瀬は退学者を出しかねない状況や自分の罪により立ち直れない状況だった。それが綾小路への恋心で持ち直したのだから、それが崩れてしまえば待っているのは闇ばかり
彼女の心は完全に折られてしまったのだろうね……
もう一つのメインイベントが坂柳と龍園の勝負
前巻にてどちからに破滅が訪れる賭けを交わした二人の戦いこそ今巻はこのイベントに費やされると思っていただけに、予想外の展開を見せた綾小路の後だと少し地味な印象…と暫くの間は思っていましたよ
と云うか、坂柳と龍園こそ今回の試験を真っ当な実力で戦わせていたんじゃなかろうか
だからこそ、次第に見えてくるのは坂柳と龍園の実力差
龍園とて参加者をよく見て優等生等を当てているが、坂柳の方はまずミスすらしていないね
それは判断力だけでなく観察力すらずば抜けている証
おそらく今回は運が悪かった等という話ではなく、今の龍園では坂柳に届く事は決してない
だとしても、あの龍園が何の見栄も見せずに敗北を認めるとは思わなかったな
それはある種、気持ちの良いシーン。龍園の負けでは有っても彼の成長を見れたのだから
そのように感じたからこそ、ここに綾小路が仕込んだ罠をおぞましく感じてしまう
あの伝言は龍園が敗北を認め、坂柳にお膳立てする心境に成らなければ意味のない代物。いわば敗者が勝者に道を用意する状況に綾小路は仕掛けを打っていたわけだから
綾小路にとって橋本が生き残るも関係ない
表向きの伝言だけに坂柳が気付いて彼女がAクラスを成長させても良かったのだろうけど、成長の余地がより大きい龍園こそ綾小路が望んだという事実は重く響くね…
終わってみれば、今回の試験は綾小路の一人勝ちに
それもクラスリーダー全てを倒したと言っても良い状況なのだから恐ろしい
堀北は綾小路との賭けに負け、クラスの戦力から彼を失う
一之瀬は恋する相手から裏切られ、頼る相手もなく闇に落ちるだけ
坂柳は綾小路から望まれていない事実を突き付けられ学校を去る
そして龍園は敗北を認めたのに、その認める心を利用する形で助け出された
今回の試験はこれまで以上に綾小路の異質さを浮き彫りにするものになったね
けれど、そんな彼がAクラスを目指すレースに関わる事はない。その状況とて異質
恐らく次の12.5巻は波乱の後始末が為されるのだろうけど、これってひょっとしなくても綾小路の人間関係が潰滅する事態も有り得るんじゃなかろうか……
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