堀越英美のレビュー一覧
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それにしても圧倒された…。同じお母さんでも、こんなにオールラウンドな生き方があるなんて。全員分(メインの11人とプラスアルファ数名)振り返っていかないと明確に思い出せないくらい、濃密で多種多様だった。
この1冊で世間が求める「母親像」(献身的で慈愛に満ちている)が、いかに手狭でみみっちいものであるかがよく分かる。
「自分を貫いて独自の育児をする母親」を本書では「スゴ母」と呼ぶ。
歌人 岡本かの子(岡本太郎の母)やA.リンドグレーン(『長くつ下のピッピ』作者)など古今東西のスゴ母を集結させ、悩める母たちの自己肯定感に拍車をかけたい…同じ母の肩書を持つ著者は、そうした目的で執筆されたようだ。資料 -
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今まで出会ってきた数多の人たち(ただ知っているというだけの人から、きわめて身近な親族まで老若男女問わず)の中に、これはちょっと生き難いだろうな、という特性を見受ける人たちが、ままいらして。
私自身も他者から面白い人とか変わってるとか、しばしば言われることがあるほうですが、次元が違うような。
その特性は何処からきたものなのか。
生育環境からくる影響なのか心的外傷からなのか、疾病なのか障害なのか。生来のものだとしても、あまりに突飛な言動をするのは何故なのか。
自閉スペクトラム症やADHDなど聞いたことはあっても、それが一体どういうものなのかを知らずにいて、ずっと気になっていたので、この数ヶ月い -
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ASD(自閉スペクトラム症)は男性に多いとされているが、実際には興味の方向性の違いがあったり定型発達への擬態をしていたりしているため女性のASDは気づかれにくい。
本書は、長年ASDのサポートをし自身もASDである筆者が、アンケートをによって、ASD女性がライフサイクルに応じて直面する課題を洗い出したものになる。
ASD女性は、ASD男性に比べ幼少期に電車などのモノよりも人物やキャラクターなどに惹かれるため、定型発達と見分けづらいとする。また、ASD女性は「女らしさ」への違和感などから性自認への混乱も生じやすい、とのこと。
扱うテーマはとても幅広く、本書を通じたASD女性の理解浸透が彼女らの生 -
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エモいってなんやねんと思いつつ、乙女な表紙に戦慄を覚えながら、おっさんは本書を入手した。一読なるほど、エモいのである。
「好きなキャラをエモく表現するために、感受性を爆上げしたい! 」そんな声に応えるべく、本書は編まれたという。「エモい」は現代人の専売特許ではない。「あはれ」や「をかし」がそれに当たる。そう思ってみてみると、古語はエモい言葉の宝庫である。
本書は、天文、自然、人生、物語、言葉のパートに分かれて構成され、文字通り辞典としてエモい言葉が例文とともに列挙される。誰そ彼時、雀色時、うそうそ時、天が紅…夕暮れを表すだけでもいくつもの言葉がある。なんと日本語は豊かなことかと感心する。
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主に米国の医療現場で女性、なかでも有色人種の女性の患者の訴え、痛みが医師に無視された結果、亡くなったり予後が悪かったりする…という現実を統計と患者の声から描くロビイストの著作。
日本とは状況が異なるところも多々あるが、出産時の痛み、生理痛は当たり前だし、むしろ取り除いてはいけないという謎の信仰等重なるところも。著者は出産や出生そのもには前向きなのだが、具体事例があまりにも酷いので妊娠・出産自体を避けたほうがよいのでは…と思わせる。日本ではなんとなく出産=女性の幸せ幻想があるので、(仮に医師が女性患者の声を傾聴したとしても)こういうリスクがある、ということを子どものうちに知っておいたほうがいいと -
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ネタバレ著者とママ友になりたい。知識教養のレベルについていける自信はないが、話が絶対おもしろい。
昔から好きな童話作家であった小川未明について、別の視点を得られたのが良かった。
学校や大人によってこどもが「感動統治」されるって分かるなー。仕事ある事を言い訳に、学校の事にはあまり深く関わってないんだけど、知ったらいろいろ不満や疑問が増えそうだ。
あと、道徳、春休みこどもがやたら「家族」行動を推してくんな、と思ったら、通信簿(と今は呼ばないのよね)によると、なんやら家族で助け合う云々を学んだとか書いてある...多分道徳だろう...一体何を話したのか、少し前あれだけ話題になった道徳の教科入りも、何も話 -
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ネタバレ国民意識が芽生えた明治〜今の道徳感について。
Q「ごんぎつねが栗やマツタケを運んだのは何故ですか」
A「性器のメタファーだから」(以下略)
…これでまんまと最後まで読まされてしまったw
が、以降は真面目なものだった。
(自メモに詳細記載)
◆1章 読書と道徳
明治初年代の儒教濃い時期には、小説を読むと破滅したり死ぬと信じる知識層が珍しくなかった。
明治12年に自由民権運動の反動で儒教教育が復活、女子の裁縫必修と男女別学となって男子小学生が増えた。
明治21年、少年誌『少年園』創刊、以降冒険物が人気。
明治32年には中等教育男子に相応しい良妻賢母育成のため高等女学校令が発布される。
明治3 -
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強要される運動会の組体操、1/2成人式、PTA、道徳科目化、そして子育てに関わる数々の神話や良妻賢母である専業主婦への称賛、働く母への冷酷なまなざし、、自己犠牲、同調圧力、日本社会の変な美徳感、こちらの著者のご指摘には非常に共感できます。どうしてこのような日本風の異様な文化が出来上がってしまったのか、現代から明治、大正、昭和の戦後と、時代を遡って考察されている点、非常に面白かったです。やはり戦争時の軍国社会主義的な、天皇万歳!国家主義、あれがおかしかったのですね、今こそ過去の過ちを反省して本当の民主主義的な日本を取り戻して欲しい、将来の子どもたちにはもっと自由に生きて欲しい。そういう母親になら
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表紙を見て、分かりやすく面白く書かれていることを想像していたが、はっきり言って思っていたより難しい本だった。特にライトな読み物に慣れた脳には。
国民の思想を束ねる政府が出来た明治に遡り、大量の文献を引いている…その原文を読むのがマシュマロ化した脳にはこたえた。
が、そこを耐えて二章、三章と進むと、この国の教育の流れ、国民を誘導したい思惑などがジワジワと分かり、そら恐ろしくなる。
小川未明の初期の作品を読んで反戦作家なのかと思っていたが、その後北原白秋と共に戦意高揚を掲げ、愛国主義に傾いていったこと。
教科書の新美南吉の「ごんぎつね」は、実は原文とは違い鈴木三重吉によって書き換えられていたこと -
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なんということ。
母の日にこの作品を読み終えるとは。
テレビ等で、ある女性にインタビューする時は「お子さんはいらっしゃるんですか」、
ある男性にインタビューする時は「お仕事は何をされてるんですか」。
逆もあるけれど、だいたいはこんな感じだ。
そして、メダルをとったオリンピック選手に必ず聴くアレ。「まず最初にどなたに伝えたいですか?」この質問で、「お母さん」と答えなければ日本中から干されるような空気。そう、空気だ。いつまで日本中に漂っているんだ、この空気は。
わたしは、親(母親)に感謝すべきなのに感謝できない、という苦しみの中で、ずうっと罪悪感を感じながら生きてきたけれど、ある日「感謝なんて -
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ネタバレ常識を常に疑うこと。正しいことは何かを自分で考え、自分で決め、修正していくこと。そういったことが大切だなと思ってはいるけど、道徳さえも疑うということはあまりしたことがなかった。
その点は目からうろこな情報がたくさんな本。いかに道徳が都合よく作り上げられてきているか、そしてその普及が推し進められているか。特に母性幻想については完全に自分の考え方の根底に植えつけられてしまっていることに気づかされた。子供に対しての母の自己犠牲ってどうしても感動してしまいがち、、、
日本の学校教育、つまらんね。
息子よ、染まるなよ。すべて自分で考えろ。