「女の痛み」はなぜ無視されるのか?

「女の痛み」はなぜ無視されるのか?

臨床試験で女性が排除される、コロナ禍でマイノリティの人々が受ける影響、アメリカで中絶の権利が争点になる理由は

著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。
彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、
あらゆるデータ、記事、証言をもとに執筆した。
さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。
初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。
「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。

「女性の痛みという概念が、世界中でどのように捉えられ、管理され、考えられているかを見れば、それは常に男性や『文化』によって定義されてきたことがわかる。多くの社会では男性による支配が続いていることから、女性の痛みや苦しみに対する世界の認識は、女性ではなく、男性によって確立されてきたのだ」(「日本の読者へ」より)

「困惑させられたのは、『女性は自分の健康や身体について決めることができない』と、いまだに世間が思い込んでいる点だ」(5章「知られざる女性の身体」より)

「私はできる限り、フェミニズムと平等主義を重んじる結婚生活を送っていた。そんな夫婦ですら、コロナは伝統的な男女の断層を露呈させた。ロックダウンで誰もが自宅で仕事をするようになれば、より稼ぎの多い人の仕事が優先されるようになる。気づけば夫は自宅のオフィスを占拠しており、私はやむをえず家庭という領域に追いやられた。まるで、1950年代の主婦みたいに」(5章「知られざる女性の身体」より)

(目次)
日本の読者へ
本書に寄せて――ジェシカ・ヴァレンティ
はじめに

第1章 私が出会った最初のフェミニスト
第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ――アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌
第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み
第4章 見えない症状
第5章 知られざる女性の身体
第6章 コロナ禍で妊娠するということ
第7章 代替手段の模索
第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには
第9章 自分の声を届ける

おわりに
謝辞
訳者あとがき
出典

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「女の痛み」はなぜ無視されるのか? のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2023年06月04日

    主に米国の医療現場で女性、なかでも有色人種の女性の患者の訴え、痛みが医師に無視された結果、亡くなったり予後が悪かったりする…という現実を統計と患者の声から描くロビイストの著作。
    日本とは状況が異なるところも多々あるが、出産時の痛み、生理痛は当たり前だし、むしろ取り除いてはいけないという謎の信仰等重な...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年05月08日

    アメリカにおける医療差別は最近知った。
    今回は黒人女性の妊産婦死亡率の高さや、
    疼痛に関して適切な処置が行われないこと、
    コロナ禍での出産がいかに危険で大変なのか
    など綴られていて心が苦しくなった。

    ある、アメリカドラマで
    黒人は白人よりも救急で心配蘇生の時間が短いと
    言っていた。実際の研究結果を...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年11月14日

    男性が怒ると圧を与えられるだろうけど女性が怒ってもいなされる
    ヒステリーの語源は子宮
    P293人々が普段、もっと真剣に話を聞いてもらいたいなら、こうすれば良いと女性にする提案は、すべて、医師が女性を『ヒステリー』か『健康への過度な不安』のいずれかに分類するサインであることが多いのです。そのため、女性...続きを読む

    0

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