デボラ・インストールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ベンとエイミーの間に娘のボニーが生まれて1年余り。ベント世界を飛び回って2年になるロボット、タングは「ボンニー」ことボニート仲良くなりたい一心であるが、1歳のボニーは、大きなおもちゃとしか見られない毎日である。そんなある日、庭にピカピカの球体にハンガーがたくさん刺さったような浮遊する物体が現れた。物体いわく「ボリンジャーに遣わされ、位置情報を送信するロボット」だという。ロボットの名はジャスミン。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』でタングと旅をして帰ってきたベン、そして妊娠していたエイミーの話の続編でシリーズ2作目。タングが庭に現れて2年(なぜ1年でないのか?)の月日が流れ、一度は離婚したベンとエイミーに子供が生まれての少しぎくしゃくした夫婦の日常である。
一作目が、ロボットの修理のためにアメリカに飛び、日本に飛び、南の島へ飛びと冒険からの、タングが家族になる話だったのに対して、二作目はその家族を作るための基盤づくりという話である。したがって、あんまりあちこち動かない。一番遠くてスコットランドである。
純粋ですぐにすねるが、人間の子供のような好奇心を持つロボット、タングは、本作では一部を除いてファミリーの一員として動き、序盤と後半はクールなジャスミンが小さなトラブルを引き起こすというコントラストとなっている。一つ一つの章も短いため、大人から子供まで飽きずに読むことができるのも良いところだ。
しかし本作は、子供でも楽しめるものではあるが、家族が家族としてうまく歯車があっていくという部分を楽しみ、タングフィッシュやネコという名の猫がトラブルを引き起こし、それがきっかけで自分の立場を見直すなど、家族を少し引いて見られる大人向けのストーリーと言える。
ちょっと退屈だったという人もいるかも知れないが、次作への助走と考えるとわかりやすいのではないか。
ボンニーちゃんがもう少し走り回ったり、喋ったりし始めるとまた話が広がっていくのだろう。
一部を除いて訳がわかり易く丁寧で、最近の翻訳小説は読みやすくていいですなあ。 -
Posted by ブクログ
パンデミックの話をよんだなら
ホスピタルってほどホスピタルではない(本人は)
問題はタイトルとのリンクじゃなくて
タングがいかに人間社会のなかで生きて成長しているか
そしてロボット(マイノリティ)が人間の世界の中で何を感じ
どうしていきたいって悩みを抱え、我慢をして
ひと(ベンとその周り)が少しずつ世界を変えていこうとしていること
いや~ シリーズを読み進めるうちにタングが
どんどん かわいらしい守るべき幼児からか
自我を伴ったかわいい子供になっていき
そのうち中二病を患ったり、生意気な反抗期・思春期を迎えたり
それから自立、家庭を持つことを考えたりするのでは
とも思えるタングを通して人の成長と現実社会の多様性への
心構えを考えさせられ -
Posted by ブクログ
今年2月に劇団四季の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を観に行った。
二人のパペティアに操られるタングの姿と声(パペティアの女性の声)がとても印象に残っている。
3年近く前に「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読んで『読み口は悪くないので、続編にも付き合ってみようかとは思う』と書いたものの、そのままになっていたが、この本が中古本屋の棚にあったので買ってきた。
どうやらシリーズ3作目らしく、飛ばしてしまった2作目では「…ガーデン」でエイミーのお腹の中だったボニーが生まれ、タングの他にもう1台のロボット・ジャスミンが増えたよう(読んでなくてもあまり困らなかったが、2作目も、その内、読んでみよう)。
ボニーが4歳になりプレスクールに通い始めるところから始まるこの本。案の定タングがボニーと一緒に学校に行きたいと言い出し、どうにかタングも学校へ行けることになる。
少々心配な感じはありながらも思ったほどタングが学校でやらかすことはなく(もっとてんやわんやになるかと思っていたので、逆に残念かも)、ちょっとしたエピソードを重ねて学校と家庭の様子が描かれていく。
中盤、育てていたナナフシのえさになる葉を家の周りで探していたことから起こるアクシデントなどもあり、緩急あってなかなか読ませる語り口。
ベンはだいぶと大人になったという印象。獣医としてキャリアを積んでいきつつあるし、夫として親としてきちんと家族に向き合っている(まあ、口に出してから反省することもまだまだ多いけどね)。
タングはと言えば、運動会の卵運び競走で一等賞を取ったり、二条城の廊下を滑ったり、奈良公園の鹿を怖がったり、相変わらず可愛らしい(喜怒哀楽は激しいし言い出したらきかない頑固なところも、相変わらずだけどな)。
当初から夫婦親子の情愛や他人との距離の取り方、人間とロボットの関係について示唆しているところがあった話だったと思うが、ボニーやタングの成長に従い更にそうしたテーマがやんわりしっかり書き込まれていたように感じる。
ジャスミンの感情には驚いたけれど、男女や人間・ロボットに分けることなく接していたはずのベンが足元をすくわれるところが考えさせられる話だった。
★はちょっと甘めだが。 -
Posted by ブクログ
『ロボット・イン・ザ・~』シリーズ第2巻。
獣医を目指すベン、ぽんこつロボットのタング、(元)妻のエイミー、娘のボニーが暮らす家の庭に、またもや謎のロボットが現れた。
黒い球体にハンガーの針金が生えたような姿の〈彼女〉――ジャスミンは、どうやらタングを作ったマッドサイエンティスト・ボリンジャーから遣わされた、招かれざる客のようで……。
妹的存在のボニーが誕生し、お兄ちゃんたろうとするタング。ヤキモチを焼いたり、失敗して癇癪を起こしたりするさまは、まさに「上の子」。
家出して、ディーゼル飲んで酔っぱらっちゃうなど、愛らしい素振りを見せてくれます。
一方、一家を混乱に陥れるジャスミンは、最初は冷淡な機械らしい(?)機械といった印象ですが、実はロマンス小説を嗜んだり、タングの家出に付き合ったりと、ユーモアのある一面が見えてきます。
そして、よりを戻したような戻してないような、微妙な関係のベンとエイミーの行方は。
ツギハギだらけながら、家族の形を模索していく一家を応援したくなる一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今作は久々にタングが話の中心…になった部分もありました。
しかしもはやこの作品はロボット=タングではなく、ロボット=AI知能を搭載したロボットたちのことなのかもしれません。
タングが成長するにつれて、人間とロボットの持つ権利の違いが明確になり、それに苦しむタングと、心を痛めるベン。
どうして自分はみんなと違うの?
人間同士ならそれは個性と言われるが、人間とロボットの差異は…。
それだけではなく、人間同士の関係にも多様性が見えてきたので、この先のストーリーはやっぱりタング中心にはならないかもしれないなあ。
でも、明るくて楽天的で、時に癇癪持ちだけど素直なタングの存在は、この作品の癒しだよね。
うーん、可愛いなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・ロボット・イン・ザ・ファミリー
・短編 ロボット・イン・ザ・パンデミック
第2弾、第3弾と徐々に読むのがしんどくなってきたので、それ以降、新作が出版されていたのは知っていましたが、読む気にはなりませんでした。
しかし映画を観て、最新作は面白いという声も聞いて、さっそく第4弾を読んでみました。
少し間があいたからでしょうか、以前ほどしんどくはありませんでした。
何がしんどかったのかと言うと、ベンのひととなりです。
『シリーズの最初から、ベンに対して感じていた嫌悪。
面倒を避けて大勢に流されるところ、自分に甘くてだらしないところ。
それが父親となっても変わらない。
子どものわがままを抑えられなくて、簡単に許してしまう。
嫌だなあ、こんな親。
子どもの個性を認めるのと、わがままを許すのは違うと思う。』
これは、前作を読んだ時の私の感想。
今回はボニーの癇癪はわがままなのではないと徐々に気づきます。
相変わらず責任を負うくらいなら現状維持、的なことを考えますが、ボニーの気持を考えながら説得しようと努力しています。
とはいえ、ベンもエイミーも嫌なこと・面倒なことは相手に押しつけようとする傾向があるよね。
大人として、親として、それはどうかと思う部分は今回もありました。
新しくベンの家族になったロボット・フランキー。
私は最初、男の子ロボットだと思ったのですが、女の子ロボットでした。
だからジャスミンに振られたばかりのタングの気持ちを、ベンはものすごく気にかけるのです。
だけどフランキーってさあ、スーパーガタイのいい船大工のイメージが強いもので、なかなか表紙のロボット(女の子)とは結びつかなかったです。
やっぱり今作もタングはメインのストーリーにはあまり絡んできませんでしたが、タングにはタングの世界があり、タングなりに家族を大切に思っている姿が見えたので、今回はこれで良しとします。←何様?
この先話が進んできたら、AIの知能と心の関係(愛情や生きがいなど)がもう少し深く描かれるんだろうと思ので、それを楽しみにすることにします。 -
Posted by ブクログ
タングとベンが帰ってきた!
前作の読後感が良すぎて
2作目がそんなでもなかったら嫌かも…と
グズグズ読むのを引き延ばしていたのですが
ぜんぜん大丈夫だったわ!
エイミーが長女ボニーを産んで
ベンとは同居人のような
微妙な立場で暮らしているところから
物語はふたたびスタート。
いっぱしのお兄ちゃん気取りの
タングが微笑ましいのぅ。
ところが、またまた庭に
ヘンなロボットがあらわれた。
マッドサイエンティストに造られた
球形のジャスミンの役割は
タングを取り戻しにくるつもりの博士に
ベンの家の位置情報を発信すること。
実のところ、博士には監視がついてるし
情報を受信できるまでヒマもかかる。
そのあいだに策を講じなければと
ふたたび決意を固めるふたりだったが。
いかにしてジャスミンに
発信をやめさせるか試みたり
弁護士のエミーがロボットがらみの
判例を探して権利を主張しようとしたり
いちおう話の筋としては
そこをメインにしてるけど
どっちかというと
所有者のはっきりしていないタングを
きちんと自分のもとに置くために
ベンがどれだけ苦労するかってのが
私としては読みどころでした。
前作はダメ男の再生記で
SF的な部分も少しありましたが
今回はロボットが日常にある
ということ以外はいたって普通で
ジャンルがSFじゃなくなったかもね。
新しい家族の物語というか。
そして、なによりも
タングはあいかわらずで。
ロボットなのにペット飼いたがるし(笑)
この〝お世話〟がまた騒動巻き起こして
いやもう、笑って泣かされたわ(T=T)