下田昌克のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「サンドウィッチは銀座で」など、これを食べにあそこへ、というタイトルでずっときたシリーズ。新刊は「いわしバターを自分で」。このタイトルだけで、コロナ禍の日々のことだ、と気付く。
あのなんとも息苦しかった日々、毎日怯えたように、萎縮して暮らすしかなかった期間。
2020年5月半ばだったろうか、スーパーでカゴを持ったまま、売り場に立ち尽くしたことがあった。なんにも思い浮かばない。何を食べたいのかわからない。何を作ればいいのか、何を買えばいいのか、皆目見当がつかない。外食がほぼ不可能で、ちょっとした息抜きもできないから心に余裕が生まれない。
あの絶望感は忘れられない。
平松さんも同じように迫り来る -
Posted by ブクログ
この人の文章力や取材力に魅せられて、最近時々読んでいる。
本書はコロナ禍の、特に最初の緊急事態宣言の頃に書かれた文章を多く載せる。
鰯バターや、パセリカレーのレシピも魅力的だが。
きゅうりが干せるということも目からうろこだが。
やはりあの頃の閉塞感がよみがえって、ちょっとつらくなった。
いや、自分など、失職の心配もなく、今思えばのんきな身分だったと思う。
本書で取り上げられている生産者や町の食堂の経営者をはじめとする食に関わる職業の人たちが、その間どんな苦労をしていたか、どんな知恵を巡らせていたか。
そのことに思い至って、改めてため息が出た。
本書で紹介されている枝元なほみさんの「夜のパ -
Posted by ブクログ
平松洋子『いわしバターを自分で』文春文庫。
『週刊文春』連載エッセイの最新刊。連載は2019年12月から2021年9月。いつもと趣が違うことに驚きを隠せない。コロナ禍による巣籠もり生活のためか、いつものような外の店で仲間や友人、知人とワイガヤの食事場面が殆ど無いのだ。
『いわしバターを自分で』というタイトルからして巣籠もり生活を象徴しているようだ。気になるいわしバターとはそういうことか。
それでも平松洋子のエッセイは美味い。コロナなど何するものぞと言わんばかりに様々な食材を使いこなし、新たなレシピにも挑戦。ほや飯とパセリカレーは一度食べてみたいものだ。
本体価格670円
★★★★ -
Posted by ブクログ
久しぶりに東京に出て美術館に行く。
その時間だけでも至福な時間で、
「あぁ、私、この時間を求めていたんだ。」と、自分の心がひたひたと水が注がれていくみたいに満たされていくのが分かった。
完全予約制の展覧会だったので、待ち時間の間最寄りの本屋に寄り、ぼーっと本を眺める。地方の本屋は満遍なく色んなものを揃える傾向があるけれど、東京の本屋はその本屋なりの個性的なコンセプトが感じられたりして、小さな本屋でもすごく楽しい。
そこで出合った久しぶりの平松さん。
この人のエッセイは美味しそうで、読んでいて食べることの大切さと喜びを感じられる。そして背筋をスッと伸ばしたくなる。
あぁそう言えば、私仕事が -
Posted by ブクログ
ネタバレ東京に住んでいる間に一度、浅草で、浅草の今半ですき焼き食べた~い!と騒いでおりましたが、叶わぬ夢でした。
が、この本で夢は叶いました。
やっぱり素敵だ、今半ですき焼き。
著者の平松洋子。
最初に彼女を知ったのは読書エッセイだった。読んでないけど。
しかし気がつくと、彼女は食べ物系エッセイの一人者になっていた。
「本の雑誌」で立ち食い蕎麦屋について連載しているのを時折読んで、外食中心の生活をしている人なのかと思っていたけれど、この本を読む限り、この人たぶん料理が得意だ。
ジャムも餃子の皮も自分で作る。
家の台所に電子レンジはない。
子育てしながら仕事を持ちながらのこれは、すごい。
よほど -
Posted by ブクログ
読み終わったあと
「あ~食べたい!」と猛烈に思ってしまった。
おでん
カリーブルスト
奥渋の台湾料理「麗郷」
トマトの手ちぎり
なすそうめん
さんまのコンフィ
きのこ鍋
田部井さんの干し柿
鯨
そして、アボカド円月殺法に驚かされ!
(今晩やってみよう~)
さらにさらにとん蝶まで登場するとは!!びっくり!
あと、ぬるいお味噌汁は笑った~
実は私、以前同じような経験があるのだけど…
「ぬるいので温め直してください」と言ったら
同席していた男性たちが全員ドン引き。
でもさ、ぬるいお味噌汁ってなんかイヤじゃない?
ぬる~って感じで。
熱いか冷たいかはっきりしてほしいのよね。
このがっかり感…
わか