下田昌克のレビュー一覧
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最近、平松さんのエッセイにはまっている。
週刊誌の連載だとのことで、一つ一つは短い。
そのため、取り上げる食材、料理、食文化の幅が広く、読み進めてもちっとも退屈しない。
京都の炒り番茶。
ほうじ茶とは違う。
独特の「煙臭い」お茶だとのこと。
山形の冷たい肉そば。
鶏肉が入った日本そばで、見た目は非常に地味。
でも美味。
名古屋めし、帯広の豚丼、中津川の栗おこげ、根室のさんま…各地のおいしいもの、気になる食材の話は、とにかく読んで楽しい。
まねして作ってみたいレシピもある。
肉団子。
合鴨と鶏肉の合挽は手に入らないけれど、トライしてみたい。
それから、トマト寒天。
もっとも、これは「あさイチ」のレシピだそうだけど。
生のトマトを煮たりするのかと思ったが、なんとトマトジュースを使用するとのこと。
他に味を入れないそうなので、ジュースの分量はどんなものなんだろう。
おいしいものって、高級な食材でなくても、凝ったレシピじゃなくてもいいらしい。
断食道場や、菜箸・フライパンのお手入れといった話も興味深い。
閉店したなじみのお店への哀惜を綴った文章は、しみじみした味わい。
食という一つのテーマをめぐり、こんなにも多彩に、世界がひろがっていくんだなあ、と、一冊読んで大満足。 -
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「サンドウィッチは銀座で」など、これを食べにあそこへ、というタイトルでずっときたシリーズ。新刊は「いわしバターを自分で」。このタイトルだけで、コロナ禍の日々のことだ、と気付く。
あのなんとも息苦しかった日々、毎日怯えたように、萎縮して暮らすしかなかった期間。
2020年5月半ばだったろうか、スーパーでカゴを持ったまま、売り場に立ち尽くしたことがあった。なんにも思い浮かばない。何を食べたいのかわからない。何を作ればいいのか、何を買えばいいのか、皆目見当がつかない。外食がほぼ不可能で、ちょっとした息抜きもできないから心に余裕が生まれない。
あの絶望感は忘れられない。
平松さんも同じように迫り来る閉塞感を味わっていた。店から消えるマスク。閉まってゆく飲食店。破綻していくあれやこれや。負けじと見つける細々した楽しみ。
読みながら「そうそう」とうなずきまくった。
蘇、作った作った。応援したくてテイクアウトもたくさんした。
八百屋のおにいさんの声のところで、「素晴らしい、こういう人はちゃんといたんだ」と涙が出た。そしてそれをちゃんとキャッチする平松さんもやはり素晴らしい。
あの日々が遠くなりつつある今、生活者の視線と確かな筆力で淡々と綴った(しかも「生きる」ことに直結する食にまつわる)エッセイは、もはや現代史に遺るであろうあの日々のことを後世に伝える歴史書だ。生活のことは歴史に残りにくい。けれどあの右往左往と、そこををくぐりぬけたことは確かに記録されねばならぬ、と思う。
灰色のような日々だからこそひとしおに嬉しく感じる、旬の野菜や到来物のまぶしさと共に。 -
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この人の文章力や取材力に魅せられて、最近時々読んでいる。
本書はコロナ禍の、特に最初の緊急事態宣言の頃に書かれた文章を多く載せる。
鰯バターや、パセリカレーのレシピも魅力的だが。
きゅうりが干せるということも目からうろこだが。
やはりあの頃の閉塞感がよみがえって、ちょっとつらくなった。
いや、自分など、失職の心配もなく、今思えばのんきな身分だったと思う。
本書で取り上げられている生産者や町の食堂の経営者をはじめとする食に関わる職業の人たちが、その間どんな苦労をしていたか、どんな知恵を巡らせていたか。
そのことに思い至って、改めてため息が出た。
本書で紹介されている枝元なほみさんの「夜のパン屋さん」の試みは、最近新聞記事でも見かけた。
協力してくれるベーカリーから閉店間際で売れ残った商品を集め、夜の街頭で売るという試みだ。
売るのは、ビックイシューを売っていた人たち。
ということは、コロナ前後から、このプロジェクトはずっと継続していたということだ。
なんというパワフルな人だろう。
自分の場所でできることを探して、着実に前に進んでいる人がいる。
世の中にはすごい人がいるものだなあ、と思う次第だ。 -
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平松洋子『いわしバターを自分で』文春文庫。
『週刊文春』連載エッセイの最新刊。連載は2019年12月から2021年9月。いつもと趣が違うことに驚きを隠せない。コロナ禍による巣籠もり生活のためか、いつものような外の店で仲間や友人、知人とワイガヤの食事場面が殆ど無いのだ。
『いわしバターを自分で』というタイトルからして巣籠もり生活を象徴しているようだ。気になるいわしバターとはそういうことか。
それでも平松洋子のエッセイは美味い。コロナなど何するものぞと言わんばかりに様々な食材を使いこなし、新たなレシピにも挑戦。ほや飯とパセリカレーは一度食べてみたいものだ。
本体価格670円
★★★★ -
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久しぶりに東京に出て美術館に行く。
その時間だけでも至福な時間で、
「あぁ、私、この時間を求めていたんだ。」と、自分の心がひたひたと水が注がれていくみたいに満たされていくのが分かった。
完全予約制の展覧会だったので、待ち時間の間最寄りの本屋に寄り、ぼーっと本を眺める。地方の本屋は満遍なく色んなものを揃える傾向があるけれど、東京の本屋はその本屋なりの個性的なコンセプトが感じられたりして、小さな本屋でもすごく楽しい。
そこで出合った久しぶりの平松さん。
この人のエッセイは美味しそうで、読んでいて食べることの大切さと喜びを感じられる。そして背筋をスッと伸ばしたくなる。
あぁそう言えば、私仕事が立て込んだりしてキュウキュウとしてると、本屋に行ってばーっと本買って読んで自分を癒すことをしていたっけ。平松さんはそんな中よく読んだ本だった、と思い出した。そして癒された。
新しい生活。自粛。悲しいニュース。行き詰まっていく感じ。
いつもと違う雰囲気を抱えて「みんなも同じなんだから」とそこに慣れなきゃと言い聞かせて、きっと人はすごく自分に無理を課しているんだと思う。そんな中自分を取り戻したというか、うーん、自分を少し客観視する視点をもらえた感じ。
変わってしまったこの状況が大きく変わるわけでもない。ただこの少しだけ日常からズレるこの時間が、今の私にはどうしても必要だったみたいだ。 -
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ネタバレ東京に住んでいる間に一度、浅草で、浅草の今半ですき焼き食べた~い!と騒いでおりましたが、叶わぬ夢でした。
が、この本で夢は叶いました。
やっぱり素敵だ、今半ですき焼き。
著者の平松洋子。
最初に彼女を知ったのは読書エッセイだった。読んでないけど。
しかし気がつくと、彼女は食べ物系エッセイの一人者になっていた。
「本の雑誌」で立ち食い蕎麦屋について連載しているのを時折読んで、外食中心の生活をしている人なのかと思っていたけれど、この本を読む限り、この人たぶん料理が得意だ。
ジャムも餃子の皮も自分で作る。
家の台所に電子レンジはない。
子育てしながら仕事を持ちながらのこれは、すごい。
よほど料理が得意で好きじゃなくては出来ないと思う。
でね、簡単に作れそうで美味しそうな料理が結構あって、ちょっと手元に置いておきたい本になりました。
そのうち読書エッセイの方も読むぞ。 -
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読み終わったあと
「あ~食べたい!」と猛烈に思ってしまった。
おでん
カリーブルスト
奥渋の台湾料理「麗郷」
トマトの手ちぎり
なすそうめん
さんまのコンフィ
きのこ鍋
田部井さんの干し柿
鯨
そして、アボカド円月殺法に驚かされ!
(今晩やってみよう~)
さらにさらにとん蝶まで登場するとは!!びっくり!
あと、ぬるいお味噌汁は笑った~
実は私、以前同じような経験があるのだけど…
「ぬるいので温め直してください」と言ったら
同席していた男性たちが全員ドン引き。
でもさ、ぬるいお味噌汁ってなんかイヤじゃない?
ぬる~って感じで。
熱いか冷たいかはっきりしてほしいのよね。
このがっかり感…
わかるわ~。