妹尾武治のレビュー一覧
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■「ベクション」(vection)とは,「視野の大部分に一様な運動する刺激が提示れされるときに,その運動と反対の方向に自分が移動して行くように感じる現象。なお,この間,実際の体の移動は伴わない」
■「クオリア」とは,自分固有の独特な感覚,赤の赤さ,青の青さの個人的な感覚(感覚の感覚),質感のこと。
■0.5秒の持続した刺激があることで,ようやく人間は「触られている」という意識を持つようになる。
・この結果は脳の場所を変えても頑健に現れ続ける
・万事0.5秒の意識の遅れがある
・我々の脳は意識を伴わず無意識の力で,環境の変化に遅れないように,それに対応した適切な行動を取捨選択している
・意識は行 -
Posted by ブクログ
ネタバレ確かに、脳の働きが我々が思い込んでいることとはかけ離れている、という意味ではこのタイトルかもしれない。
しかし、それについて深く掘り下げてある、というより、我々が思い込んでいる様々なことが、実は知覚心理学的に説明するとこんな風に現実と乖離がある、というのが様々な切り口から説明してあって面白く読める。
本来は難しい知覚心理学の研究を、その検証の実験や結果のエッセンスを丁寧に分かりやすく、そして時にはユーモアを交えて説明してあるので、楽しく最後まで読める。
もし、自分が大学に入る前にこういう書物に接していれば、心理学の道を志したかもしれない。 -
Posted by ブクログ
認知バイアスとか錯視、サブリミナル効果の本当の所は、などの面白話が満載。人気のある子供と、人気のない子供では、人気を取るための努力行動の量が全く違うこと示した実験など、おどろきというより「タメになる」内容も多く、エンタメ半分、啓発半分のような感覚で読んだ。
私にとって驚きだったのは、女性が六人並んだ口絵の写真だ。それは体格を比較するためのものだが、太った女性に挟まれたぽっちゃりさんと、痩せた女性に挟まれたぽっちゃりさん。前者の方が痩せて見えるでしょうと。そりゃそうだ、と経験的に分かるような話だが、これはエビングハウス錯視によるのだという。同錯視は黒丸を複数の白丸で囲み、その白丸のサイズにより -
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この世界のシナリオはあらかじめ決められていて、私たちは外界の刺激に対して決められた反応をしている。我々人間は意識レベルが高度であるため選択肢を与えられているように錯覚しているが、これが自由意思があると思わせる神が与えた罠である。
意識とは情報。これが結論としている。
私たちの見ている世界は私たちの脳内で電気信号として構成されており現実と妄想や夢との区別は曖昧で、頭のなかにあるもの全てが現実である。
いまの生活も、これを書いている私も、私の文章を読んでいるあなたも、年老いた自分が夢を見ている若き日の自分である可能性もあり、その可能性を否定できる証拠はどこにもない。
この理論の魅力的なところは -
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「トムソーヤの冒険」「ハックルベリーフィンの冒険」等、一度は聞いたことがある様な少年向けの冒険譚の著者、マーク・トウェイン。
その彼が「匿名」で残したとされる「人間とは何か?」が漫画化された本です。
『人間とは機械である。』
ある青年は人間には自由意志が存在すると主張し、ある老人は人間は機械であると主張する。それらの問答を通して、人間とは何なのかを考えていく物語です。
人間が持つ意志やそれに基づいた行動とは、それまでの環境や経験から蓄積されたものから導き出された自動的な行動であり、自己欲求を満たす為だけに弾き出された主衝動である、と本著では語られている。
それはつまり、人間は全て考えてから -
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ネタバレ人間は自らの承認を求めて動く単なる機械に過ぎない
人間にはあいも憎しみもない、そんな名称をつけているから本質が見えなくなる、あるのは主衝動だけ、満足したいという機械的な心だけ
結局すべては主衝動だ、あくまでも自分の良心を満たしているに過ぎない
そしてその良心は教育できる、環境しつけ書物などから
人間は不愉快でなければ人の不幸などどうでもいい
愛も憎しみも慈悲も貪欲も善意もみんな自己陶酔、自己満足だけが私たちの原動力であり機械と変わらない
自由意思は幻覚
人間は環境からの刺激を受けて全自動的に体を動かしている
人間は自己満足のために行動しその欲望もまた外部からの影響 自分から生み出しているものな -
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漫画だから読みやすかった。
人間は機械であるという主張、その理由は
・満足したいという機械的な心だけで人間は動いている。家族の愛や社会的称賛や自己犠牲をする人も結局はそのひとが何を優先してるかが違うだけで自己満足の奴隷である。
・人間の心は自分でコントロールできていると思いがちだが、実は経験したイメージを勝手に結合するだけの機械である。
・「私」とは私が全てを支配してると思いがちだが、実際は教育気質や環境の外的要因からプログラムを設計する内なる主人の満足を満たす自動作用である。
良心を持ってやったことも自動作用だが、逆に、苦しみや悲しみ、他人と比べたりプライドなども全ては自己満足であり設計 -
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『トム・ソーヤーの冒険』でお馴染みのマーク・トウェインさんの原作である『人間とは何か』を漫画化したもの。
九州大学准教授の妹尾武治さんの寄稿文が読める。妹尾さんは『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。心理学的決定論』という書籍を書いているお方。
本書と併せて、読むことをお薦めする。妹尾さんの書籍の内容の一部は、本書の寄稿文でも知ることができる。最初に読んだ時には衝撃を受ける人もいるかと思う。ただ、同様の内容の書籍はいくつかあるので、気になる人は学びを深めることができる。
さて、本書では著者の卓越した人間観察眼と哲学から、人間は設計図通りに環境からの刺激で反応する機械であるという考えを