あらすじ
幸運と不運、成功と失敗。すべては事前に決まっている。だから、苦しむ必要はない。――前著『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 心理学的決定論』を刊行し、読者の皆様の多くから「自由ではないからこそ、生きていられる」という声を多数頂いた。本書では、私が心理学的決定論を信じるに至った科学的な論拠ではない部分、個人的な考えを自由に書いた。生い立ちなど個人的な背景についても少し書かせてもらった。
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Posted by ブクログ
「最初からこうなることが決まってたみたいに」
ミスチルもそう謳った心理学的決定論
著者が救われてきたように、読者も救われる
「偶然を運命と捉えることが利他の始まり」と説く幾つかの本に深く頷くが、この本はさらに深い考え方を教えてくれた気がする。
あの映画も小説も漫画も、心理学的決定論で考えたらこう読み解けるよ、という提示がとても良かった
僕は精神疾患で苦しんでるわけではない(と自分では思っている)が、それでもこうやって世の中を見渡すことで得られる視点は大きいと感じた
まさか、大好きな映画「グッドウィルハンティング」と、マイケル・サンデルの「実力も運のうち」が繋がってるとは思わなかったよ笑
Posted by ブクログ
こんなに支離滅裂で悲痛な叫びにも聞こえる内容なのに、自己を見つめ直し、他者に差し伸べる優しさが伝わってくるような本だ。巻末に書き出される「参考文献」には、手塚治虫から、スピノザ、キャプテン翼やヨブ記、成田悠輔、三島由紀夫、千原せいじ、矢沢永吉、笑い飯、少年A、エド・はるみなど、恐らくは著者を構成する文化スクリプトを解体したものだ。彼はこれだけのものに出会い、身につけて、自らを形作った。ああ、本書は一風変わった自伝でもある。心理学的決定論を語っていたかと思うと、東大を目指した頃の回想から自殺を試みた精神状態まで。
勉強量と読書量が並外れているのだと思った。東大を出て心理学分野の本を多数著し、私も気に入って読んでいたが、まさかここまで赤裸々で悩める人だったなんて…と。
ー 光の速度が一定であることは、この世界というゲームを処理しているゲーミングPCの処理速度を反映しているのかもしれない。マシンの処理速度は、まだ限界に来ていない。この処理速度の限界に達するまで情報を増やすことを生命は目指しているのかもしれない。1秒後の世界を作るために1秒以上の計算処理が必要になった時、世界には何が起こるのだろうか。全ての生命が、その限界を目指すように仕組まれているのだろうか。それが神の意志なのか?
これは野村泰紀の引用からだったと思うが、こうした興味深い引用や懐かしいエピグラフを並べながら、彼自身のプログラミングを覗くような文章が続く。
ー オーストラリアの哲学者、ディヴィッド・チャーマーズは、こういった人類にとって根源的な謎「私とは何か?」「意識とは何か?」「モノと心の関係性」ひいては「生きる意味」を、1995年にハードプロブレム(難しい問題)と名づけ、真に解くべき問いであると高らかに宜言した。私たち人間は、この問題と戦って戦死するしかないのだろうか?
泣きはらしたあとに
そこにきれいな実がなっているから
ひとつ持っていきなさい
とにかく、この独特な読後感と著者の脳内に入り込むような読書感覚や奇妙な迫力を私には表現する自信がない。この感覚を伝えたくて、いや、その世界に引き摺り込みたくて、私も次の引用をしておく。
ー 我々の世界は決定している。全ての事項は事前に準備されている。しかし時間は自由に流すことができる。何度も人生を繰り返すことも、巻き戻すことも。これは大昔からいわれてきた教えであり、私の新規な発見ではない。僕たちは何度でも新しい朝に目覚め直す。過去の雨の日だって自分次第で、素敵な日にできる。人はやさしい雨の香りを感じることができる。それをペトリコールと名づけ、喜びを共有することも。雨音のオノマトペを作り、子供たちとその不思議な穏やかさを味わってもきた。だから、大丈夫。シトシトパタパタピタピタピトぎゅっ —— 決定論は希望だ。人間に尊厳と思考の幅を持たせてくれる。その思考の幅を身勝手に「自由」に使ってみて欲しい。手のぬくもりが、今も守ってくれる。
Posted by ブクログ
心理学の棚にあったので、難しい内容かと思ったらそうではなかった。いや、書いてあることは難しいのかもしれないが、とてもわかりやすい表現や口調で書かれていてとても読みやすかった。
「自分はなぜ存在するのか、存在していてもいいのか」という筆者の問いと読者の問いがマッチした作品だ。