妹尾武治のレビュー一覧
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著者の妹尾武治氏の自虐的な語り口も面白いし、話も分かりやすい。何より、内容が興味深い物ばかりで読んでいて楽しい。俗っぽいテーマだからなのだが、俗っぽいテーマこそ、興味を引くのだ。大きなテーマの一つとして「本当に自分の意思で行動しているのか」。
「やせよう、やせよう」と思ってもやせられない、「勉強しよう」と思っても長続きしないのは、自分の意思の問題なのだろうか。「意思とはすべて錯覚」と、妹尾氏は言い切る。次の話は面白い。例えば、「この本を取ったのも自分の意思による決断だ」と、そう思われるかもしれない。そう思う。絶対そうだ。だが、同時に「意思がないというのは本当だろうか」という自問自答が、みなさ -
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【自由意志などない。人間とは機械である。それは自分に全て責任がある訳でもなく、この先であなたを大事にする人が待っているということでもある】
表紙に一目惚れし、ようやく読み切れました。
まず漫画なのですらすら読める。
厚さはありますが、絵も字も大きく、作品内では一貫して「人間は機械である」ことの根拠を示していきます。
しかし、機械である=自由意志などない、全て決まっているからといって、ただ受動的に過ごせということではありませんでした。
自分が弱いことも,至らなかったことも、全ては自分たちが機械であるがゆえ。
だからこそそれを片隅において、全てが自己責任ではない、その先で、必ず幸せになれるこ -
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漫画でわかりやすく、人間とは何かを解説している。トウェインの主張は、一貫した人間機械論である。人間を特別視する人間には、到底受け入れられない思想だと思う。
これは人間は外的要因や情報をインプットして、あとは決められたアウトプットするだけの器に過ぎず、そこに自由意志などないというある種の過激な思想である。
僕はAIの仕組みを学ぶたびに、人間もただの機械だと思うことがある。要するに大量のデータを与えれば、AIだろうが人間同様の思考はできる。倫理観も膨大な教師データがあれば、パターン化できる。その中から最も尤もらしい選択をするだけだ。その選択基準は、環境に依存する。
人間の選択も機械のようなも -
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運命論や達観論、人間をプログラムされたものとして見る橘玲系の本。因果的決定論やカルヴァン派的宗教観、ラプラスの悪魔は、私には殆ど同じことを言っているように感じる。それと、自由意志の否定は同根という気がする。
まず脳が無意識に動き出し、その後、動かそうと言う意志が形成され、最後に実際に手首が動くと言うのが正しい順序。ベンジャミンリベットの実験が紹介される。尚、リベットは、自由意志は否定したが、自由否定は否定していない。
未来が自由で未確定だと思うのは、実は誤解であり、すべての情報を手元にした存在にとって、未来は全て確定済みである。複雑化している世界の全てのパラメータが明らかならば、その因果関 -
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「最初からこうなることが決まってたみたいに」
ミスチルもそう謳った心理学的決定論
著者が救われてきたように、読者も救われる
「偶然を運命と捉えることが利他の始まり」と説く幾つかの本に深く頷くが、この本はさらに深い考え方を教えてくれた気がする。
あの映画も小説も漫画も、心理学的決定論で考えたらこう読み解けるよ、という提示がとても良かった
僕は精神疾患で苦しんでるわけではない(と自分では思っている)が、それでもこうやって世の中を見渡すことで得られる視点は大きいと感じた
まさか、大好きな映画「グッドウィルハンティング」と、マイケル・サンデルの「実力も運のうち」が繋がってるとは思わなかったよ -
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『とりあえず人間は機械』だということが書いてある。
様々な角度から書いてある。
そしてそれを理解できた時、自分は少し人間になれた気がした。
以下全てメモ。
人間は自らの承認を求めて動く単なる機械。
設計どおり作用する。生まれた環境、外的要因、遺伝、生息地から作られた存在で、あるのは質の違いだけ。行動や思考は集積によって生み出された自動作用。
事実として脳波は意志よりも先んじる。意志よりも先に脳。よって後付けの錯覚。外部からの刺激→意志でなく脳。機械と同じ。
心理学的決定論。
人間は環境に変化するカメレオン。
自分で自分を変えることはできない、あくまで外的要因で。ただ気質を -
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「人間は機械である」
人間は自らの心をコントロールすることはできず、全て気質と環境により受けた影響に自動作用で働いているに過ぎない。
他人を助けることはとても美しいことであるが、それも自己満足でしかない。
人間は自らで何かをすることのできない無力な存在である。しかし、無力を自覚した時、人間は他者にも自分にも寛容になれる。
現代においては、先人たちの発見により様々なものがより便利に変化している。そのため、環境も目まぐるしく変化していき、自動作用で生きづらさを感じるようになっている人も多くいると感じる。
しかし、どうしようもない絶望であってもそれは環境からくる自動作用である。死にたくなったとし -
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ネタバレ自分の中で噛み砕くのに時間がかかっている。まだ発展途中の段階だが、感想を記しておきたい。
【要約】
・19世紀、『トム・ソーヤの冒険』で知られる著者が、妻と子どもに先立たれ晩年に、匿名で執筆。当時、彼の主張は受け入れられなかった。
・著者の主張とは『人間は機械である』。人間は、気質と教育、環境による影響の蓄積からなる集合体で、本人の欲求を満たすために自動で動く。そこに自由意志は存在しない。
・近年、著者の主張を裏付ける科学的な証明がされている。
【感想】
自己欲求を満たすために、人は他者を愛し、憎しみ、時には犠牲になる、は納得できる。興味深いのは、人間は意志が脳に命令して行動するのではなく -
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著者の言う通り、専門外の分野を渉猟した結果のエッセンス。すべては心理学的決定論に通じざるを得ないとする結果。研究者としては実績というよりは、読み物の体になるだろうが、この本を著してくれたことに感謝したい。おかげで自分の関心、意識とはなんだろう?にたいする、一つのアンチテーゼとして考えるものができた。「なぜ未来に対する決意、意思によって今までの延長線上とは違う未来に変わることをも(事前?)決定論とするこの考え方は、受け入れ難いのだろう?」
著者が調べた範囲の分野は以下、脳神経科学は『脳と時間』で、エントロピー増大則(熱力学の第二法則)に通ずる物理学はカルロ・ロヴェッリ教授の『時間は存在しない』 -
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本書は、書店で見かけてタイトルに惹かれて購入した。『未来は決まっており、自分の意思など存在しない。』私がこの本を手にとって購入することは、すでに決まっていて、私の意思など無かったの?なんて思いつつ手にとったのを覚えている。書籍の帯にも「あなたが本書を手にすることは、138億年前から決まっていた。」と書いてある。もう何がなんだか、確かめずにはいられなくなって気がついたら購入していた。のかな〜
著者の思考の軌跡をたどっていき、タイトルのような考えを持つようになったのかを証明するような一冊だった。著者の思考についていくのは結構たいへんで、多くの分野の哲学・思想を読み解きつつ結論に導く旅は、険しく、 -
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タイトルを見て、そんな考え方もあるんだ!面白いと思って読んでみたところ、確かにそうかもしれないと8割方信じさせられた。
剣道で面を素早く打つとき、打とうと意識する前に、脳と体が勝手に先に動いている。野球で速い球が打てるのも同様。打とうと思ったのは幻影であって行動に影響は及ぼしていない。
人間もAIと同じで、環境からの情報を元に条件反射的に行動させられているだけ。AIの選択を人間にわかるように説明することができないブラックボックス問題と同じく、人間も膨大な情報のやり取りを自分で全て理解できないため、行動に自由意志があるという誤解、幻影が生じる。
やめようと思っても薬物やアルコール中毒の人が