斎藤貴男のレビュー一覧

  • 「東京電力」研究 排除の系譜

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    ノンフィクションというよりは、まさに研究論文といった内容の作品である。圧倒される参考文献と註釈の洪水と鋭い考察が執拗なまでに繰り返される。

    東日本大震災に端を発した福島第一原発事故を契機に浮き彫りにされた東京電力を中核にした原子力ムラの歪んだ実態。大企業の傲慢さと思想統制が招いた無責任体制は、朝鮮半島の北の国とも似ている。

    起こるべくして、起きた原発事故。無責任体制が生み出される過程とそれを支えた人脈。腹立たしい限りであるが、世論は原発再稼働へと向かっている。所詮、同じ穴のムジナか。

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    2016年01月06日
  • 子宮頸がんワクチン事件

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    出生前診断同様、医学の進歩で生まれた難題。
    多少のバイアスはあるけど、医学界、メディア、行政などの
    課題は的を射ているかも。

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    2015年07月14日
  • 子宮頸がんワクチン事件

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    タイトルは衝撃的だけど実際に事件が起きたわけではない。むしろ事件として扱われることのない問題だけに根が深いのかもしれない。

    本作は子宮頸がんワクチン(正しくはヒトパピローナウイルスワクチン)を接種後の副作用と思われる具体的な症例、短期でワクチンが導入されたその背景、そこに絡む利権、医師たちの見解の相違、各国でのワクチン導入状況など、さまざまな情報を丁寧な取材で至極冷静に追ったルポルタージュ。

    最後まで読んでもなおワクチンを打つべきなのか打たないべきなのか答えを出すのは非常に難しい。
    開発されてまだ間もないワクチンだけに実際にワクチン摂取によってどの程度子宮頸がんになるリスクが減らせるのか正

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    2015年07月03日
  • 「東京電力」研究 排除の系譜

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    日本経済中枢に位置する東京電力の社歴を追いながら、日本の暗部に切り込んだ骨太なルポルタージュ。国家、企業、アメリカの思惑によって個人の尊厳や生命が押し潰される過程は、恐怖と無力感を感じます。3.11後の脱原発を考える上でも非常に興味深い1冊です。

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    2013年02月09日
  • 「東京電力」研究 排除の系譜

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    講談社がこのような一冊を世に出していることで
    私の中では、この出版社をグレードアップさせてしまった。

    いつも過激な(そこが魅力なのですが)斎藤貴男さんが
    感情を押さえに押さえて、
    まるでローストビーフに旨味が染みとおるようにじっくり芯まで火が通るような様子で書き進めておられるのがすばらしい。

    たんなる、「原発」の問題を考える一冊ではなく
    これからの日本の行方を考えていくための
    指針になる一冊になっている。

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    2013年01月06日
  • 教育改革と新自由主義

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    ダーウィニズム、新自由主義、優生学・・・教育を取り囲む現状は社会状況、経済状況により左右される。時代の変化により改革する流れは必ず存在するが、どのような考えで改革が行われていくのかを知ることが必要。良い、悪いの判断をすることは難しいことであるが、大切なのは判断をすることではなく、教育(それに関わる状況)に関心を持つことだと感じた。少し乱暴な書き方ではあるものの、日本や東京都の教育を取り囲む現状についてしっかりと述べられている。どのような考えの上で教育改革が行われてきたかを知るためにも読んで損はない1冊。

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    2011年01月28日
  • 教育改革と新自由主義

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    [ 内容 ]
    「できん者はできんままでけっこう」、ゆとり教育の下敷きとなった答申を出した教育課程審議会元会長の三浦朱門氏のこの言葉通りに進められている教育改革。
    そのなかで、戦後、守られてきた教育の機会均等が奪われ、子どもたちは家庭の経済状況によって「勉強ができるようになる」ための努力さえ、認められなくなろうとしている。経済を専門とするジャーナリストが、「学力」を切り口に日本の階層化、不平等の現実を鋭く追及し、子どもと教育の未来を守る方法を語る。
    ルポ「『報国』の暴風が吹き荒れる」も収録。

    [ 目次 ]
    第1章 教育改革がめざすもの(ゆとり教育VS学力重視の裏側で 経済界の要求と教育改革の流

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    2010年06月03日
  • ニッポン不公正社会

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    斎藤貴男と林信吾が、いわゆる格差社会について対談するという内容。
    私の不勉強を恥じるしかないのだが、論が政治的な話題に及ぶと、理解できない部分も多かった。
    マルクス主義やら新自由主義やら保守主義やら、この本だけでなく他にも様々な本でよく見かける単語だが、それが何であるのかほとんど理解できていない状態。
    社会について深く知ろうともせず、内外の動きはテレビニュースや新聞の見出しだけでざっと概観するのみ・・・という生活を続けてきてしまったのだから仕方のないことかもしれないが。
    『下流社会』のように、具体的に「ある階層に属する者は○○を好む」などと単純な因果関係を示してもらわないと理解しにくいと感じて

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    2009年10月04日
  • 平成とは何だったのか 「アメリカの属州」化の完遂

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    平成史を振り返る本。最近、平成の歴史本が多数出版されているが、これもそのうちの一つ。平成時代に起きた事件、社会、政治について、ジャーナリストの視点で考察する。著者によると、平成は社会の保守化、アメリカへの依存が進んだ時代という認識で、アメリカの属州化というサブタイトルが付けられている。また貧困や差別が進んでおり、危機的な状況にあるという。著者は、弱者の視点で平成を振返っていて、確かにそのように感じる場合もあるが、それでも実感としては昭和時代よりははるかに福祉も充実し、平和な時代だったと思う。事件も起きるし政治でも様々な問題もあるけれど、戦争のような国の存亡に関わるような問題は無かった。社会環境

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    2019年11月20日
  • 子宮頸がんワクチン事件

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    ワクチン接種後に副作用と思われる症状に苦しむ少女たちのことを思うと胸が痛くなる。
    原因や因果関係がはっきりしないとはいえ、副作用で苦しむ少女は決して少なくない人数であるし、副作用が出る可能性がこれだけあるのであれば、ワクチン接種は行うべきではないと思う。

    P.247
    そんな悠長なことをしていたら、何十年後かの日本は子宮頸がん大国だという反論が聞こえてきます。でも、子宮頸がんになる女性を減らすためだからといって、何もしなければ健康でいられた少女を生贄に捧げるような行為ーしかも公権力によるーは、絶対におかしい。私たちはもっと謙虚であるべきだと思います。

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    2019年08月02日
  • 平成とは何だったのか 「アメリカの属州」化の完遂

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    多くの社会批判の著作のある斎藤貴男さんが書き下ろした平成史。折に触れて自分の著書が引用されていて、内容的には目新しいものはありませんが平成という時代のオーバービューとしては良くまとまっているのでは・・
    それにしても平成という時代は左派にとっては押しまくられた時代だったのでは。最後の砦が天皇の「お言葉」? 結局対抗できる論理が出てこなかったというか、まあ、何を出しても議論にはならなかったんだろうけど。
    著者の出す日本の未来像が「小日本」では説得力に欠けるように思います。令和の時代に発想を大きく転換するような新しい構想が出てくるといいですね。

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    2019年04月27日
  • カルト資本主義 増補版

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    この人のカルトの定義が自分の都合のいいように解釈している点が鼻についた

    しかし稲盛塾の裏側や船井総研の話など声高には言えない、聞けない話ばかりで面白かった

    どれも根本にはニューエイジ思想の潮流から派生したビジネス
    ニューエイジとは、現代世界を動かす西洋近代文明の根本的転換を目指そうとする思想運動のこと

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    2019年04月24日
  • 「マイナンバー」が日本を壊す(集英社インターナショナル)

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    多くの先進諸国ではやりかけた国々ででも見直す方向に進んでいるこの制度、最大の問題は情報の流失危険だ。
    運用が始まったマイナンバー制度の問題点、ひいてはビッグデータの取り扱いの危険性を指摘した警世の書。

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    2016年11月02日
  • 子宮頸がんワクチン事件

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    まだまだ現在進行形の事象であるため、感想は控えます。
    ただ一市民としても、注視しなければならない問題であることは確か。
    ワクチン問題は闇が深すぎる。

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    2015年12月13日
  • 子宮頸がんワクチン事件

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    子宮頸がんワクチン(正確にはHPVワクチン)騒動のルポルタージュ。
    被害者の声をきけたのはよかったけれど、書き方が前のめりだったり整理が不十分だったりするから素直には読めない。
    知っておきたいことではあるけれど。

    私はこの件についてよく知らない。
    あっという間に承認されたと思ったら急に一斉にたたかれて「積極的に推奨しません」というよくわからない言葉で否定された、
    という「なんかよくわかんないけど妙な感じにゴタゴタしてる」という印象だけがあった。
    その「よくわかんない」部分を知りたくて読んだけどますますよくわからない。

    ワクチン自体の問題(効果と副反応)と、運用の問題(不正や方向性)は分けて

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    2015年05月25日
  • 「東京電力」研究 排除の系譜

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    『東電の成立からの各種裏エピソードを雑多にまとめた本』という感じ。書きたいこと、言いたいことが多過ぎて脱線気味。褒章に対する東電経営陣の態度なんてどうでもいいのだよ。
    最終章の『受忍』と『犠牲のシステム』を交えた論考は流石。というか、これを書きたいがために書き起こしたのかもしれない。

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    2013年06月24日
  • 強いられる死

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    日本で、年間の自殺者数が3万人を超えて久しい。どれくらいの
    人数かと言うと、毎年の東京マラソンのランナーと同程度だ。
    道路をびっしりと埋めたランナーと同じ数だけの人々が自死を
    選んでいる。

    弱いから死を選ぶのではない。限界までふんばり、最後の最後で
    死を選ぶしかないよう追い込まれるのだ。

    先般、いじめが原因となった中学生の自殺が大きなニュースと
    なったが、これは子供の世界だけの問題ではない。大人の世界、
    職場でも「なんでここまで」と感じる壮絶ないじめがある。

    この職場でのいじめ、過重労働、多重債務等々。死しか選べなく
    なった人々の実例が多く収録されている。

    憲法25条 すべての国民は、

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    2017年08月18日
  • 東京を弄んだ男 「空疎な小皇帝」石原慎太郎

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    文庫版で初読。筆者の憤りが伝わってくる一冊だった。
    石原慎太郎という政治家の行状については、今更自分が語るべきこともない。
    ただ、統一地方選を控えて、都知事選挙の投票先を検討する方は、考える材料の一つとして本書を読まれると良いのではないだろうか。

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    2011年03月22日
  • ニッポン不公正社会

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    この本も購入してから長らく積ん読してあった一冊。斎藤氏の主張は、他の著作でおおよそ分かるが、林氏の本は読んだことがなかった。

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    2011年08月03日
  • ニッポン不公正社会

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     「日本社会が目指しているのはアメリカ社会の一部になるということ」というのは納得。そのアメリカ社会の基本原理は新自由主義であり、それは社会ダーウィニズムと同義だというのもうなづける。対談形式のこの本が一貫してテーマとしているのが、不公正な競争原理に支配された格差社会であり、それはイギリスのようなストレートな階級社会よりも問題があるということ。そして現在の格差社会が進むと日本も再び階層分化が進み、イギリス的な階級社会になるだろうと指摘する。
     「ジャーナリストは権力に逆らうことをもってアイデンティティがある」という斎藤氏のジャーナリストとしての著作を今度は読んでみたい。「わかりやすさ」が第一の価

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    2009年10月04日