林信吾の一覧
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ユーザーレビュー
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日本優勝を夢見るところに共感がもてました。
いろいろなフットボールファンがいていいと思いますが、
本書を書くようなファンが増えるといいと思います。
いろいろな雑誌や本で、いろいろな情報が流れると嬉しいです。
Posted by ブクログ
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「ゆりかごから墓場まで」のイギリスを医療制度から分析した本。
NHS(National Health Service)という公的機関とプライベートの医療施設。
この2種類の医療施設でイギリスの医療制度が出来ていることが、
第一章では最初に説明されています。
NHSは付加価値税で運営されているため、
...続きを読む薬代などを除いて基本的に無料。
けれど歯医者など一部の例外は無料でなく、むしろ高額なため、
そのような治療にはプライベートな民間の医療施設が利用されているのです。
税金はばっちり高いですが「高負担・高福祉」のため、
お金がないからといって医者にかかれないなんてことがないことが特徴。
「低負担(?)・低福祉」の日本とは違った考えの国なんです。
第二章と第四章ではそんなイギリスの福祉政策を分析しています。
「ゆりかごから墓場まで」で有名なやつですね。NHSの誕生です。
でもこのNHSは後にイギリス病とまで言われる経済停滞を招いた上、
一度無料化したものを有料化するには猛烈な反発が想定されるため、
制度撤回もできないっていうかなり困ったやつにもなったりして。
チャーチルも、サッチャーですらこのデリケートすぎるものには手をつけられなかったのです。
サッチャーは病院の統廃合などを推し進める事での効率化をはかりましたが、
これにより人口の少ない地域での医療機関の不足、
多い地域での医師の労働環境の悪化そしてそれによる医師不足が起こっちゃったんです。
で、トニー・ブレア。イケメンの登場です。
彼はNHSをクラウン・ジュエル(誇るべき英国の宝石)として、
財政負担を増やしてでもNHSへの投資を惜しまなかった。
そのためサッチャーのもとで崩壊の危機に瀕していたNHSはなんとか生き延びます。
ただ、医師の激務が慢性化して海外へ医師が流出したり、
そのために患者の待ち時間の長期間化(ほんとに数週間単位)は依然問題。
イギリスとしてもいつまでもサッチャリズムの後遺症だとか言ってられないので、
最近患者負担を求めるだの、民間のコスト意識を取り入れようと頑張ってるみたいです。
あと第三章は飛ばしてた訳じゃなく、日本の話題が間に挟まっていたので。
二十年も前から出生率の低下と、高齢者の増加は予期できてたのに、
財源も確保せず、国民皆保険を守ろうとしなかったっていうのに怒ってます。
医療施設の高度化に伴って1人あたりの医療費が高額化しただとか、
不況だとか、まぁ政府ばかりを責めもできないけど失策は確かですし。
きちんと負担した人にだけ支援をし、
受給者(高齢者とか医療を享受する人)にも負担を求める政策、
英国の様に税金を増やして「高負担・高福祉」にする政策、
いろいろありますがどうなることでしょうか。
まあでも林さんも書いていますが福祉は経済と違って、
不況だから財源を減らすとしてはならない国家の根幹をなすものなので、
なんとかきちんと説明と実行をしていただきたいものです。
で、第五章と第六章ではそのほかのイギリスについてですね。
若者の就職支援や失業保険、学校制度などなど。
短いのでさらっと読めますが、一国の問題なので重いです。
あとは最近消費税率を上げるだの日本の偉い人が言ってますがそれについて。
日本ってヨーロッパに比べて税金がとても低いイメージってありませんか?
確かにイギリスだと付加価値税率は17.5%ととんでもなく高い数値ですが、
実はこれは食料品・子供服・処方箋などは非課税なんです。
経済的弱者を守るため、生活必需品にあたるものからは税金取らないっていう。
他のヨーロッパ諸国も基本的には同じ。
なので食料品やサービス関連全てに課税している日本は実は高負担とのこと。
目から鱗です。福祉大国・スウェーデンより酷税です。
消費税3%を導入した竹下内閣、消費税を3%から5%に上げた橋本内閣、
ともに「少子高齢化の到来に備えて、福祉のための財源を確保する」と言ってましたが、
果たしてそれはきちんと目に見える形で実現されているでしょうか。
増税はもちろん嫌ですが、するならどこにいくらなんのために必要なのか、
それを提示して国民の了解を得てからして欲しいですね。
日本国民はそろそろ怒るといい。
てなわけで結構面白かったです。文章も平易で読みやすいしおすすめです。
Posted by ブクログ
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これでもイギリスが好きですか?
はい。好きです。
イギリスが今も厳然たる階級社会であることは知っています。
イギリスは紳士の国でありますが、労働者の国でもあります。
ジェントルマンであることは、イギリスの文化や社会形式の中でのジェントルマンということであって、日本人からみたら、紳士的ではないことも
...続きを読むあるでしょう。
でも、子どもの頃から読み親しんできたイギリス文学がやっぱり好きなのよ。
ディケンズ、オースティン、ブロンテ姉妹、コナン・ドイルにアガサクリスティー。
音楽だってイギリスさ。
ベイ・シティ・ローラーズもビートルズも〈普通は順序逆に書くと思うけど、許してね〉イギリスだもの。
映画も「小さな恋のメロディー」とか「モンティ・パイソン」とかね。
どれもこれも好き。
だからこの本の最初の方、イギリスってこんなところの羅列はちょっとつまらなかった。
どんなことでも良い面悪い面はあるもので、悪くとろうと思うといくらでも悪口は書ける。
わかりやすいイメージという配慮なのかもしれないけれど、著者の個人的なエピソードが多く書かれているのも、却って趣旨がわかりにくくなっていたように思う。
でも、日本とイギリスの、近代からの関わり方について書かれた後半は面白かった。
明治維新のあと、イギリスを手本に近代化を進めた日本。
そして第一次大戦の時には日英同盟を結ぶまでに信頼を得る事になった…と思っていた。
けれどそれは信頼というよりも、遅れてきたドイツの帝国主義に対抗させるべく日本と手を組んだだけだ、と。なるほど。
だから、第一次大戦のとき、日本もヨーロッパに派兵して闘えと要請した。
「断る」
だって日本にメリットないじゃん。
メリットないのに血を流すわけないじゃん。
その代わり、アジア周辺の戦いはまかせろ。
「そんなことは頼んでない」
双方の思惑が食い違った結果、大戦後、日本は孤立する。
日本は当然中国支配を強めたいところだったが、アメリカをはじめとする「民族自決主義」が大勢を占めたから。
約束が違うじゃ~んって思ったのは、やはりイギリスによって大戦に巻きこまれたイタリアも一緒。
勝った暁にはダルマチア地方をあげるからさあ、とイギリスに言われて参戦したのに、終わってみたらユーゴスラビア独立してんじゃん。
かくて、イギリスにいいようにやられた日本とイタリア、そしてヨーロッパ各国から寄ってたかって叩かれたドイツが三国同盟を結んでしまった。
で、第二次大戦へ…。
第一次大戦によって4つの帝国が崩壊した。
ドイツ帝国、ロシア帝国、オーストリア・ハンガリー二重帝国、オスマン・トルコ帝国
オスマン・トルコ帝国の崩壊の裏にもイギリスの影。
アラブの独立を約束して、アラビアのロレンスを送りこんだのは有名な話。
そして第二次大戦のあと、イスラエル建国でアラブの独立は踏みにじられ、今の中東の情勢へと続くのである。
インドとパキスタンも、イギリスがインドを制圧する際に、ヒンズー教徒とイスラム教徒をいいように使い分けて煽り立て、今でも核でけん制し合う両国を作ってしまった。
イギリスにスポットを当てて世界史を振り返ればそういうところなのだろう。
けれど世界の情勢は、ただ一国の思惑だけで動くものではないと思うから、これも一つのものの見方として、覚えておく程度でいいと思う。
イギリスは帝国の宗主国からアメリカのパートナーへ、最近はアメリカ主導の政策に振りまわされているようにも見えるくらい、かつての偉容は見る影もなくなってしまった。
EUの中で一人勝ちしているドイツに対するわだかまりもあるだろう。
歴史を知って、現在を見て、これからのイギリスを見ていこう。
だって、それでもイギリスが好きだもの。
Posted by ブクログ
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イギリス=紳士の国だと思っている私のような人が読むと、何故日本人はそのように思うのか、実際にはイギリスがどのようなことをこれまでしてきたか、これら津々浦々な話がデラックスフルコースで用意されており大変楽しめました。著者の語り口が気に入ったので、別の本も探してみたいと思います。
Posted by ブクログ
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先月読んだ「常識としての軍事学」とは180度反対の立場から書いているにも関わらず、内容がほぼ同じというのは面白い。新書レベルで軍事学について語ろうとすれば、落とし所はこのくらいのレベルに落ち着くのだろう。ただ本書が対象とする読者層は、朝日新聞を購読するレベルを想定しているだけに、冷静(中立的)な立場
...続きを読むで物を言っているだけ(の違いなのだろうが)いらいらせずには読めるが。と中級編を読み終えた段階では思っていたが、上級編、応用編になると一転して改憲論者や核武装論者の論説を喝破してゆく。
Posted by ブクログ
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