西村寿行のレビュー一覧

  • 幽鬼犬

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    犯人に食べられる寸前であった赤犬を助けたことで、運命を変えた『世にも不幸な男の物語』、森で残虐な遺棄死をさせられたアイリッシュセッターを見つけた刑事が異常殺人鬼を追い詰める『幽鬼犬』など、動物を題材にした短編ミステリー3篇。
    淡々とそして、畳みかけるような文章が、スピード感を感じさせる、犯人は明確だが、謎解きは秀逸だ。

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    2019年12月04日
  • 曠野の狼(ロンリー・ウルフ)

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    西村寿行『曠野の狼』光文社文庫。

    『狼のユーコン河』に登場する戒能兵馬の若き日と、何故、戒能兵馬がアラスカに渡った理由が描かれる。『狼のユーコン河』に比べるとスケールは小さいが、サバイバル・ロマンとしての面白さは堪能出来る。

    明治の中頃、警視庁警部の戒能兵馬は同期の高垣の陰謀により上司斬殺の無実の罪で投獄される。北海道釧路集治監に移された戒能は高垣に復讐を誓い、脱獄する。過酷な北海道の自然の中で、復讐のために生き延びようとする戒能の運命や如何に。

    勿論、西村寿行による本作の方が遥かに前に執筆されているのだが、映画化されたマイケル・パンクの『レヴェナント 蘇えりし者』に非常に良く似たストー

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    2017年06月05日
  • 狼(ウルフ)のユーコン河(リバー)

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    西村寿行『狼のユーコン河』光文社文庫。

    久し振りに読む西村寿行。大概の作品は読んでいるのだが、たまに未読作に出会うことがある。最近では古本屋でも余り見掛けなくなった西村寿行作品であるが、本作は百円本コーナーで見付けた。

    アラスカを舞台にしたサバイバル大脱走冒険小説。西村寿行だけにエロスとバイオレンスの描写はあるが、なかなか読み応えのある骨太の冒険小説であった。

    戦時下の昭和17年のアラスカで、米軍による日系人の強制収容が始まる。米軍のアンガス・ギャビン少尉の策略により検束された氏家沖之介は妻のマリーを奪われ、収容所で悲惨な拷問を受ける。マリーはユーコンの狼と呼ばれる戒能兵馬に氏家の救出を

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    2017年06月03日
  • 犬  笛

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    娘を誘拐された父親が飼い犬と共に全国を股に掛けて追跡するハードボイルド。
    九死に一生を得る場面が何度もあり、はらはらさせられるが、現実味の無い話だと思った。
    そこで、そんな風に助かるのかという驚きもあるが、終盤は面白くて一気に読んだ。

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    2017年02月28日
  • 風紋の街

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    実にバカバカしい物語ながら、さすが全盛期の寿行先生、存分に楽しませてくれた( ´ ▽ ` )ノ。
    ある意味ギャグ小説( ´ ▽ ` )ノ。と言っても、ダジャレや揚げ足取りで笑わせるんじゃなく、シチュエーションで唖然とさせるタイプ( ´ ▽ ` )ノ。
    獰猛なドーベルマンを主人公らは如何にして手なずけたか?......まるで、山田風太郎忍法帖の現代版だね( ´ ▽ ` )ノ。
    圧倒的な筆力とデータの裏付けなしには、こんな作品とても書けはしまいね( ´ ▽ ` )ノ。
    大袈裟に言えば、記紀文学にも通じる大らかさ( ´ ▽ ` )ノ。

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    2014年03月21日
  • 襤褸(ぼろ)の詩(うた)

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    相変わらずのハード・アクション小説。現代作家でここまで描ける、独自の世界観を持つ作家は居ないだろう。

    掏摸の亀造、元博徒の三四郎、元刑事の源吉に一匹の猿の珍道中が、一転、国際的な謀略事件に巻き込まれる。お約束もあり!

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    2013年04月07日
  • 滅びの笛

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    西村寿行の名前を聞かなくなって随分たつ。1980年代には.森村誠一、半村良と並び「三村」と呼ばれる人気作家だった。ハードロマン小説や動物小説で有名だが、同時にスケールの大きい災害小説にも腕を振るった。大量発生したねずみの群れが人間社会をパニックに陥れるという本作は、その系列の代表作だろう。イメージとは裏腹に緻密なデータを駆使してカタストロフを描き出す技量は寒気がするほど見事だ。「鼠群」と書いて「そぐん」と読ませるなど独特の言葉遣いが雰囲気を創り上げていく。古書店で見かけたら手にとって損は無い、バイオレンスだけの作家だと思って敬遠するにはあまりにもったいない一冊だ。

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    2013年01月28日
  • 魔笛が聴こえる(電子復刻版)

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    何故なのだろう?一体誰が犯人なのだろう?と読み進めるのだが一向に分からないままクライマックスへと一気に突き進んでいく。
    ウラン鉱、国家権力の壮大な謀略。1986年7月に発売された小説が現代でも色褪せていない事に驚く。

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    2011年04月11日
  • 学歴のない犬(下)

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    凌辱シーンが多いのは寿行先生の味なんだろうが、自分的にはストーリー自体が面白いから要らないかなと思う。西村寿行作品の中では高ランクだと思う。

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    2011年02月04日
  • 垰

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    亡くなった娘の辿った峠を巡る旅の道中、何故かいろんな輩に妨害される。ハードな長編ロードムービー的な作品だが、郷愁を感じる作品でもある。

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    2011年02月04日
  • 学歴のない犬(上)

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    刑務所を脱走した4人の男たちが、追跡者(マンイーター)と闘いながらそれそれ別々に鹿児島を目指して逃亡する旅。4人の男にはそれぞれコードネームが付けられている。伊神はドール、一色はリカオン、拝郷はオオカミ、九能は学歴のない犬。国家権力により仕組まれた壮大なストーリーはお約束だけど、次々にマンイーターと繰り広げられる、やるかやられるかのサバイバルゲーム的な旅にひきつけられた。

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    2011年02月04日
  • 安楽死

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    『瀬戸内殺人海流』からパズル要素をかなり薄めた社会派だ。病院と製薬会社の癒着、医療過誤に安楽死の是非など医療問題について深めに切り込んでいる。それでも、自ら退職を望む刑事による捜査が紙面のほとんどを占めるので、一見無関係に見える人間関係が全て繋がっていくミステリ的愉悦も味わえる。被告が検挙した刑事が被告の弁護を勤めるという異色のリーガルミステリー要素もあり、十分に楽しめたが、現代では擦られすぎた議題で真新しさはない。といっても1973年の作品なのだから、逆に言えば先見の明があったということなのだろう。

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    2025年10月08日
  • 鬼狂い

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    ネタバレ

    この作者の作品は2作目であったが性描写が多く犬と交わった時はびっくりした。ストーリーはラブストーリーで終わったが、癌との闘いや死ぬことの怖さなど描かれており、犬の化身がもう少し出てくるのかなと思ったがあっさりおわった。
    おばさん達のいるところのストーリーは面白かったがだんだん尻すぼみになり、予想だにしない終わり方であった。

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    2025年08月18日
  • 沈黙の渚

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    元・海上保安庁特別警備官・関守充介の活躍を描いた「渚シリーズ」の3作目。1984年作品。
    北朝鮮から日本に密航した白人女性をめぐって、KGB、CIA、日本国家の秘密機関が暗躍する物語。
    白人女性をアメリカ大使館に護送するためだけに特別警備官に復帰させられた関守充介は、序盤早々物語の中心から退場。逃走する白人女性マリアを救った医師・河北正和が物語の中心になります。マリアの行方を知っていると国家機関から疑われた河北が妻子を殺され、自身は逃亡生活、という西村寿行作品ではいくつかある逃亡医師の物語になります。
    このまま河北正和の物語になるかと思いきや、終盤で関守充介が物語の中心に復帰する、というのは、

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    2024年02月17日
  • ふたたび渚に

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    1981年の西村寿行作品。
    1979年の『遠い渚』から始まる渚シリーズの第2作。

    前作の主人公海上保安庁警備官・関守充介は引退警備官として再登場。前作ヒロイン根岸由紀もメイン・ヒロインとして再登場。ですが、サブヒロインとしてインドネシア人カスワティ、イギリス人サンドラを配置。
    沖縄本島南西約77海里で事件が始まり、舞台はインドネシア、イギリスへと移り現地ヒロインが登場するのは、ボンド映画のよう。
    前作が、重厚な海洋サスペンスだったのに比べ、痛快なアクション作品へと路線変更したかのようです。
    ラスボスは現職官房長官・平木なのですが、クライマックスでの関守とラスボスの戦いまでの経緯は、海と全く関

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    2023年11月09日
  • 癌病船

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    インパクトのあるタイトルで思わず手に取ったが、末期のがん患者を病院船に乗せて世界中を旅するというような話という出だしなのだが、男気に溢れた船長、潜入ミッションまでこなしてしまうカーペンターと呼ばれる乗組員らが活躍するハードボイルド調。最初の2つの話では、看護婦が凌辱されるシーンがあって、昔の大人向けの娯楽小説という感じ。ほどほどの内容というところか。

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    2023年10月20日
  • 黄金の犬(上)

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    1977年から、「週刊アサヒ芸能」に連載された西村寿行作品。
    『君よ噴怒の河を渉れ』『犬笛』『化石の荒野』と共に、西村寿行作品の中でも代表作とされる作品。
    生き別れとなった犬と飼い主が、再会を果たそうとする途中で、巨大な陰謀に巻き込まれる、というパターンは、後の作品『旅券のない犬』でも使われます。
    自分が先に『旅券のない犬』を読んでたのが悪いのかもしれませんが、犬と飼い主との感動の再会シーンが、あまりにもあっさりしていて驚きました。もっと泣ける再会シーンだと思ってずっと最後まで読んでいたのに。
    映画化・テレビドラマ化された作品は、観たことが無いのですが、もっと盛り上げてくれたのでしょうかね。

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    2023年03月15日
  • 滅びの笛

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    リアルさがある

    読んでて怖かった。より怖さを感じたのはネズミの暴走よりも人間の愚かさ。あとラストシーン、動物たちが颯爽と現れてネズミたちを捕食していくんだけどやっぱり消化不良でモヤモヤする感じの終わり方だと思った。

    #ドロドロ #ダーク #怖い

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    2022年11月04日
  • 去りなんいざ狂人の国を

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    1977年から1978年にかけて小学館の若い男性向けの雑誌『GORO』に連載された西村寿行作品。
    『GORO』に連載された作品ではありますが、特に若者向けの内容ということもない、いつもの西村寿行作品になっています。
    毒ガスを使ったテロを発生させ、日本政府から五十億円を強請る犯人グループと、それに対する警察庁公安課の戦いを描く物語。
    全8章の内、第1~3章が、毒ガステロと、それによってパニックに陥る人々の様子を描いていますが、これが西村寿行作品の中でもトップクラスの凄絶さ。
    第4章からは、犯人グループの一人と公安課の追っかけっこ。特捜部のエースが、犯人を追ってSMクラブに潜入したり、と、過激な描

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    2019年06月25日
  • 珍らしや蟾蜍、吐息す

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    1985年に『週刊大衆』に連載された西村寿行作品。作家・西村寿行を主人公にした『黒猫の眸のほめき』の続編ですが、西村寿行は作品に登場せず、前作で西村寿行を誘拐した瀬田一家が主役となった作品。まあ、一番活躍するのは、前作では瀬田一家の敵、今作では瀬田一家の味方となった、超能力を使う荼吉尼婆ですけど。
    他の西村寿行作品の続編によくあるパターンで、強い美女が登場します。『蘭菊の狐』の続編『襤褸の詩』、『風紋の街』の続編『陽炎の街』と一緒ですね。それらの作品と比べると、エロス度とバイオレンス度が低めな気がしますね。そのせいか、西村寿行作品の中でもパワー低めな感じです。ユーモア度を高めにしたのかもしれま

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    2018年12月09日