【感想・ネタバレ】安楽死のレビュー

あらすじ

警視庁に、奇妙な通報があった。
石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は、事故ではなく殺人であるという。

妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。

医療過誤、製薬会社との癒着、患者の自殺関与――。
病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。

人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。

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Posted by ブクログ

『瀬戸内殺人海流』からパズル要素をかなり薄めた社会派だ。病院と製薬会社の癒着、医療過誤に安楽死の是非など医療問題について深めに切り込んでいる。それでも、自ら退職を望む刑事による捜査が紙面のほとんどを占めるので、一見無関係に見える人間関係が全て繋がっていくミステリ的愉悦も味わえる。被告が検挙した刑事が被告の弁護を勤めるという異色のリーガルミステリー要素もあり、十分に楽しめたが、現代では擦られすぎた議題で真新しさはない。といっても1973年の作品なのだから、逆に言えば先見の明があったということなのだろう。

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2025年10月08日

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