谷知子のレビュー一覧
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[ 内容 ]
歴代の天皇は、和歌によって、政治を行い、人民と交流し、自らの心を吐露してきた。
和歌は日本国家の誕生時から天皇とともにあり、天皇が歌を詠み続けることは皇位継承の上からも、自然の恵みを得るためにも、必要なことであった。
一方で、天皇個人にとって歌は自然な心情の発露ともなった。
古代から現代までの天皇の歌、天皇たち自身のことばから、国家、天皇制、自然とのかかわりなどを読み解く試み。
[ 目次 ]
第1章 天皇と国家(国家の起源と歌;即位の歌;国土の歌;神仏の歌;戦争の歌)
第2章 天皇と制度(狩猟の歌;行幸の歌;年中行事の歌;勅撰集と歌)
第3章 天皇と自然(花の歌;四季の歌;天地 -
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『舟を編む』に出てきた繋がりで、久しぶりの百人一首。美しい日本語だね。
コラムには坊主めくりの話も出てきて懐かしい〜と思った。
百人一首は小6の時に意味もわからず丸暗記し、高校の時に古典で文法・内容を勉強し、大学の入門授業を受けたから、身近に感じてはいたけど、やっぱりブランクがあると全然思い出せない。
この本はビギナーズ向けの本で1つの歌につき、2〜3ページで解説されている。思い出すにはいい手助けになった。
一方で、もうちょっと突っ込んでほしいなと思う歌もあったり。その点に関しては、ビギナーズを選んだ自分に非があるんだけども。
「田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ -
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ダイジェストで良いから様々な古典作品に触れてみたいと思って読みました。
『古事記』からイーロン・マスクの言葉まで、多様な文章が取り上げられていましたが、その中で特に印象に残ったものをあげます。
『風姿花伝』「好色・博奕・大酒。三十戒、これ、古人の掟なり」昨今のニュースを見ても本当にその通りで、令和を生きる私達も肝に命じるべき言葉だなと思いました。
『徒然草』の「人生は穴の開いたバケツ」「誕生は死の始まり」という死生観。筆者は「恐ろしい比喩」「ぞっと」すると述べておられましたが、私は恐怖のようなマイナス感情は湧きませんでした。
避けられない死があるからこそ、今を大切に生きていかないといけな -
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2025.1.11(土)
いつからか買っていて、だいぶ放置。
たぶん、短歌始めるから。で買ったのだろうから去年か。
百人一首は坊主めくりしかやったことないけど、恋歌が多いのね。
この本は一首一首の解説と、
作者の経歴なども載っているので
その歌が詠まれた背景がわかる。
なんか、平安時代って
大変だなぁ…なんてぼんやりと思いながら
「日本語って面白いなぁ」なんてことも思ったり。
掛詞というのが頻繁に出てくるのだけど
今よりも外来語などがないような言葉が
少ない時代に
共通の発音や共通の意味を持つ言葉を
巧みに31文字の中に入れてくるって
凄いなと、語彙力ない感想だけど(笑)
言葉だけでな -
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百人一首について勉強しようかと思い、買ってみた一冊。一首につき、2〜3ページの解説がされている。解説がコンパクトなので、気に入った一首、気になった一首とかをサクッと知りたい時に便利である。
和歌というのは、「出会いや別れ、ある風景を前にしたとき、恋に落ちた瞬間など日常生活の一齣」に「心のときめき、緊張を感じ」た「ハレ」の瞬間を捉えた写真集のようなものだ。そんな考え方から、和歌が捉えた「ハレ」の「瞬間」を解説する姿勢が一貫してるので、和歌の一つの楽しみ方が、読み終わったときに身についているような気がする。
特に、目に見えない気持ちや感覚を、目に見えるもので「描こう」とするところに、和歌の表現が -
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日本の古典文学において大きな位置を占める和歌についての基本的な知識を、わかりやすいことばで解説している本です。
本書の解説は、「三十一文字」の和歌になぞらえて、31の項目で構成されています。「枕詞」「序詞」「掛詞」「縁語」といった、高校の古文の復習となるような内容もあれば、「数寄」や「幽玄・艶」といった和歌の美意識を理解するための説明、さらに「和歌とジェンダー」など近年の研究動向への目配りがうかがわれるような内容まで含んでいます。
古文のテクストからの引用には、ルビの形式で現代語訳が添えられており、古文にアレルギーのある読者にも読みやすいように工夫がなされています。 -
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いつも同時に複数の書籍を読み進めているので、小説を読む間の休憩本として手にしました。
自宅に父から貰った小倉百人一首があるので、それと共に保存しておきたいと思っています。
百首全てに現代語の読み仮名と意味が付いているので、ポケット入門といった感じでしょうか。
尾形光琳の絵柄も楽しめます。
ただ、全ての歌に詳しい背景解説をつけているわけではなく、厳選した25歌のみです。
本格的に学びたい方には不十分かもしれません。
昔から好きな歌が幾つかあって、中でも一番好きな歌は平兼盛の歌。
「忍ぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで」
"秘めた恋を耐え忍んできたけれど、表情に出て -
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ネタバレ凡庸な教師はただ喋る。良い教師は説明する。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける
恋することで初めて人は心を持ち、もののあわれを知ることができると言うのです
鬼は、人間の心が作り上げたものです。その背景にあるのは土地や時間から来る先入観、偏見です
いつの時代も変わらないのは、旅は日常からの脱出であり、新たな発見や驚き山冒険の喜びや苦労を私たちに与えてくれる
ほとんどの人は、病気が原因で生涯を終えます。病気は、人間の生命を脅かすものですが、その病気自体も人間の体内で生まれたものであり、生命の産物です。病気を考える事は、人間の生命、ひいては人生を考えることでもあります -
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「千年後の百人一首」を読むにあたって、百人一首の知識が皆無だったため副読本のように並行して読みすすめました。
恋歌が圧倒的に多く、43首をしめるらしい。なんとまあ。
著者によるあとがき解説の、和歌とはなんぞやという話も素敵でした。和歌とは「ハレ」を題材にしているらしい。恋の迷い、明けまで残った月、霧が立ち上る風景など、日常生活の中にあっても、心がきゅっと引き締まる、その優美な一瞬をとらえているもの。
和歌では自然が必ず詠まれるが、それは自然であって単なる自然ではない。人間の心情と深く絡み合うことによって意味が生まれる「自然」なのだ。
和歌にはかならず人と人とをつなぐ力がある。素敵だ。いとあはれ