【感想・ネタバレ】百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典のレビュー

あらすじ

かるた遊びとして広まり人口に膾炙され、日本文化に多大の影響を与えた百人一首を、手軽に楽しむ本。文法の知識や旧仮名の読み方を知らなくても、歌の意味がわかり声に出して朗読することができるように工夫。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。

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百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
編:谷 知子
角川ソフィア文庫 A 4 1

かるた取りの漫画を読んでいたら、百人一首を読みたくなったので手にしました。
あゝ、やっぱり、和歌って趣があってなごみます。

本書は、古典というだけに、むすめふさほせ、といった内容は含まれていませんでした。

万葉の古代、天智帝より、菅家、崇徳院、承久の乱の後鳥羽院、順徳院まで、百の歌をあつめた、和歌の入門書としての意味があったのではないかと思います。子供のころから親しんできた有名な和歌を集めたものです。無念になくなっていた、貴人の霊を弔うものでもあったかと思います。

恋の歌もいいですが、四季を詠った奥ゆかしさもまたいい

一番有名な歌は、

九 小野小町 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

とあるが、私の中では、

十七 ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

です
昔、はまっていた、落語のちはやぶる、漫画の題にもなっているもので、
落ち葉の下に小川が流れていますという内容でちょっとした驚きを歌ったものですが、落語を聞くかぎり、人間の解釈は無限の可能性があると感じてしまいます。

おもしろかったのは、深草少将百夜通い伝説 深草少将が、小野小町に百夜通ってくれたら契ってもいいといわれたのに、九十九夜で力尽きて死んでしまうというお話です。自分も、小野小町に、ひと目あってみたいと思いました。

歌としては、色恋を離れたものでは、次が風情があって好きな歌です。

五十五 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ

かつて仕えた主は、亡くなったが、その後、余徳で、未だにその名声は今なおを聞こえてくるというもの

七十 寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづこも同じ 秋の夕暮れ

寂しくて、草庵を出て、野原に出てみたが、やはりさみしくない場所などはなかった
というものです

ISBN:9784044072186
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:256ページ
定価:740円(本体)
2010年11月25日 初版発行
2024年09月05日 42版発行

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2025年03月20日

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大学で江戸文学を中心に勉強していて、そこに百人一首からの引用がたくさん出てくることに気づき、本格的に百人一首を勉強しようと思い本書を手に取りました。
少年期にあまり古典を読んでこなかったコンプレックスがあったのですが、この本は歌ことばの意味や歌の意味、歌人のバッググランドなどがわかりやすく書かれており、簡潔ながらも歌のひとつひとつを深く味わうことが出来ました!

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2024年12月10日

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百人一首を学び、味わうのに、入門として誰にでも薦められる好著。
個人的には、右近の「忘らるる身をば思わず誓いてし人の命の惜しくもあるかな」の深い読みに震撼させられました。

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2024年05月30日

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 入院中に、大学のゼミの先生が「お見舞いに」と下さった本。文庫本なので、バスや電車などの移動中などに少しずつ読んでいたら、読み終えるのに半年以上かかってしまった。

 百人一首のそれぞれの和歌について、初心者にもわかりやすく解説してあり、ときに著者の専門的な解釈が加わる。「古典は好きだけれども、和歌は苦手・・・」という人もいると思うが(まさに私w)、そういう人にもわかりやすい。また、解説の中や合間のコラムの中で、和歌を楽しむための技法や約束事などについても触れており、大変親切である。初心者には初心者なりの、中級者?には中級者なりのおもしろさがある。

 読み終えて感じたのは、「百人一首には百人百様のドラマがある」ということ。ドラマによっては創作もあるが、そこに描かれる世界観は雄大であったり、繊細であったり、たった三十一文字で映画が作れそうなくらいである。
 そして、もうひとつ新しく知りえたのは、「百人一首は選者である定家が数多くの人物の作品を集めて作りあげた、更なる壮大なドラマである」ということ。その配列、人物の背景を踏まえた上での和歌の選び方、構成…等と細かく見ていくと、定家にとって百人一首はただの”作品集”ではなく、自分自身の作りあげた”作品”であることがわかる。

 そういった、百人一首の奥深さを本書は教えてくれた。現代に生きる我々も、古代に生きた古き人びとも、同じ人間である。多少の価値観の違いはあるものの、生活の中で同じように喜び、悲しみ、恨み、愛した…
 古典の苦手な人にもぜひ読んでほしい。

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2011年07月14日

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このシリーズはほんとうにすばらしい。簡潔にして要を得ているってのはこういうものだ。筒井康隆の「裏小倉」まで紹介されているのは驚いた。

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2020年06月15日

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子供が中学生のときにすべて暗記していたが、この本はその歌の内容の解説があるので、意味がわかっていいと思う。ドラマ鎌倉殿で、源実朝様に興味を持ち、百人一首にもその歌があるとのことで、家の本棚にあったこの本を読んでみました。

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2023年11月02日

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中高生の時に国語便覧で拾い読みしかしたことのなかった百人一首を、初めて全て読んだ。やっぱり古文は難しいなぁと思ったが、意味がわかると風景や心情がすっと理解できた。当時の人が思っていたこと、恋愛のようす、自然などが歌を通して感じられた。たった三十一文字に様々な意味を込め、余韻を感じさせる。和歌は素晴らしい文化だと思う。

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2023年04月05日

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ネタバレ

学生の頃に暗記した百人一首。
今も多少興味はありつつも、その背景や込められた意味をほとんど知らないなと思い、手に取りました。

・田子の浦にうち出でてみれば白妙の
      富士の高嶺に雪は降りつつ
富士山に雪が積もっている歌…と、漠然としたイメージだったのが、「開放感とともに、青い空と青い海にはさまれた富士山頂の真っ白な風景が、見事なコントラストで、ぐっと迫ってくる。」と読み、この短さでこんなにはっきりイメージできるのか、と驚きと発見でした。
写真を撮ることも、それを映像で共有することもできない時代(絵はあったけど)、目を閉じて歌からその情景を楽しんだ多くの人がいたんだろうと、感慨深い気持ちになりました。

・奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
      声聞く時ぞ秋は悲しき
秋になると、どことなくもの悲しい、人肌恋しい、と思う哀愁は、当時の日本人も感じていたんだと、遠い昔が急に身近に思えました。
そして「悲しい、侘しいという感覚は、決して悪いことではなく、むしろそう感じていたいという願望の対象でもあった。」という一文に、私もこの感覚だ!と妙に納得。
秋が来たらこの歌を思い出しそう。

・君がため春の野に出でて若菜摘む
      わが衣手に雪は降りつつ
1つ目の天智天皇とこの歌、"露に濡れつつ"なのか"雪は降りつつ"なのか、いつも曖昧でした。
でも「(若菜の)緑と(雪の)白の鮮やかな対象」と情景が目に浮かび、こうして色をイメージしていたらちゃんと覚えられたな~。

どの歌からも、当時の日本がいかに美しかったか(特に秋)、風光明媚な土地に囲まれていたかと想像し、現代にはない風景が羨ましくなりました。

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2022年05月03日

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万葉集、古今和歌集、新古今和歌集と、順に楽しんできたので、とても親しい気持ちで読みすすめられました。

和歌というものがいかに決められた枠組みの中で詠われたものか、ということが大変よくわかります。感情を素直に言葉にするのだけではなくて、高度にルールが規定されたものでした。

百人一首は、膨大な和歌の中から、わずか100首を選りすぐった珠玉のベスト盤です。決められた数の音で、「縁語」「掛詞」「本意」「歌枕」「本歌取り」などの技巧をたくみに活用した名作集です。
こんな芸術性の高い歌を、即興バトルで披露し合ったというのですから、鎌倉以前の人たちの知識量と創造性には脱帽です。

この本は、現代語訳と解説に加え、和歌の世界をより深く理解するためのコラムなども織り交ぜながら、現代の私たちが共感できるように軽妙な語り口で、100首すべてを紹介してくれています。どういう境遇の人がどんな場面で詠んだものなのか、ということがわかると、歌に込められた思いがより深く味わえます。

高校古文ような眠くなりそうな授業ではありません。気軽な気持ちで、私たちの財産であるクラシック文学に触れることができます。

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2019年02月10日

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ちはやふるの影響もあり読み始めたが、人生や恋心を歌った和歌たちに心を揺さぶられた。
特に、多くの歌にどことなく寂しさや哀しさがあり、惹きつけられた。

2016.5.28

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2016年05月28日

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初心者向けに百人一首を一首ずつ説明した本。
歌の内容だけでなく、作者と作者の関係や、他に読んだ歌、似たテーマの歌なども紹介されててわかりやすい。
もっと欲を言えば、歌合の時の歌には、対戦した歌も載せて欲しい。

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2015年04月27日

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20年ぶりくらいに百人一首の歌の意味を勉強。暗記と並行してやったので、相乗効果で吸収が速い。承久の乱って何だっけ、ってくらいに歴史忘れてるのでそこらへんの復習も必要。百人一首って、1,2番と99,100番がどっちも天皇親子だったんだな

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2013年04月18日

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「ちはやふる」を読んでいて、百人一首の歌の意味を知りたくなったので手に取りました。
しっかりと歌の意味を理解するには、当時の文化や風俗、言葉使いに加えて、作者が誰で、いつ、どんなときに、誰に向けて詠んだ歌なのか、歌が作られた背景も知っていなければなりません。
その部分を平易に解説してくれているので、とても分かり易かった。
しかし、五七五七七という三十一文字に、こんなにもたくさんの思いや情景を込められるなんて、和歌って凄い。

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2013年08月19日

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2025.1.11(土)
いつからか買っていて、だいぶ放置。
たぶん、短歌始めるから。で買ったのだろうから去年か。

百人一首は坊主めくりしかやったことないけど、恋歌が多いのね。
この本は一首一首の解説と、
作者の経歴なども載っているので
その歌が詠まれた背景がわかる。

なんか、平安時代って
大変だなぁ…なんてぼんやりと思いながら
「日本語って面白いなぁ」なんてことも思ったり。

掛詞というのが頻繁に出てくるのだけど
今よりも外来語などがないような言葉が
少ない時代に
共通の発音や共通の意味を持つ言葉を
巧みに31文字の中に入れてくるって
凄いなと、語彙力ない感想だけど(笑)

言葉だけでなく歴史の勉強になりました。

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2025年01月11日

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百人一首について勉強しようかと思い、買ってみた一冊。一首につき、2〜3ページの解説がされている。解説がコンパクトなので、気に入った一首、気になった一首とかをサクッと知りたい時に便利である。

和歌というのは、「出会いや別れ、ある風景を前にしたとき、恋に落ちた瞬間など日常生活の一齣」に「心のときめき、緊張を感じ」た「ハレ」の瞬間を捉えた写真集のようなものだ。そんな考え方から、和歌が捉えた「ハレ」の「瞬間」を解説する姿勢が一貫してるので、和歌の一つの楽しみ方が、読み終わったときに身についているような気がする。
特に、目に見えない気持ちや感覚を、目に見えるもので「描こう」とするところに、和歌の表現があるという説明で、かなり和歌の楽しみ方が変わった実感がある。
「難波潟短き蘆の節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや」では、恋人会うことのできない時間が、たとえ短い時間であっても待っていられない気持ちを伝えるのに、「蘆の節の間」に託していると読む。「蘆の節の間」は、視覚的に見える空間的な短さだけれども、それ一気に恋人と離れている時間の短さに転じている。
こうした目に見えないものを、目に見えるもの託す、比喩と見立てが和歌の一つの表現なのだ。

こんな解説を百首分も読んでいると、次第に和歌の描く風景を、それを詠んだ人の情景として見ようとする。そうすると、何も知らずに読んだときとは、違った歌に見えてくる。それが楽しかった。

他にも、歴史的背景や歌人同士の人間模様など、別の楽しみ方も触れられている。ただ、似たような名前と人物関係がこんがらがって、まだまだそうした楽しみ方には程遠い。割と、自分自身が、歌の言葉そのものには興味はあっても、その人物模様にあまり興味がないのかもしれないなとも思った。

いずれにせよ、和歌の楽しみ方を、ちょっとお堅めの文章で初めて学ぶ一冊として、いい本だと思う。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

昔から好きなのは「さびしさに宿を…」なんだけど、今回は38番「忘らるる身をば思わず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな」も面白かった。
ううん、私のことはいいの。ただ、私との愛の誓いを破ったあなたが神罰で死ぬのがとっても残念で…と、悲痛な顔で中指立ててそうで笑っちゃった。

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2023年09月07日

Posted by ブクログ

「千年後の百人一首」を読むにあたって、百人一首の知識が皆無だったため副読本のように並行して読みすすめました。
恋歌が圧倒的に多く、43首をしめるらしい。なんとまあ。
著者によるあとがき解説の、和歌とはなんぞやという話も素敵でした。和歌とは「ハレ」を題材にしているらしい。恋の迷い、明けまで残った月、霧が立ち上る風景など、日常生活の中にあっても、心がきゅっと引き締まる、その優美な一瞬をとらえているもの。
和歌では自然が必ず詠まれるが、それは自然であって単なる自然ではない。人間の心情と深く絡み合うことによって意味が生まれる「自然」なのだ。
和歌にはかならず人と人とをつなぐ力がある。素敵だ。いとあはれ。

花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に

以前から気になっていたビギナーズ・クラシックスシリーズですが、とても読みやすくて良かったです。
他のも読んでみよう。

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2018年01月26日

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